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クラス転移したけど私(俺)だけFPSプレイヤーに転生

青空鰹

第11話

 同時刻、月明かりが照らす真夜中。デブトルの冒険者達が森の中で焚き木を中心にして八人で輪を作り、休息を取っているか薪を番している。しかし、その中の冒険者の内の五人が負傷者である。
 何故五人は負傷者なのか? それは負傷した部分がポーションの効力では治りきらなかった為、布切れを包帯代わりにして傷を無理やり塞いだのだが痛みまでは治せないので、満身創痍の姿のまま痛みを感じながら唸り声を上げて苦しんでいる。


 その中の一人が痺れを切らしたのか、いきなり立ち上がると声を張り上げ始めた。


 「あぁ〜〜〜、もうっ!! うるせぇんだよテメェらっ!! テメェらの唸り声がうるさくて眠れねぇじゃねぇかっ! 静かにしやがれっ!!」
 

 その言葉を聞いた傷だらけの一人の男が相立ち上がると、喧嘩腰になりながらその男の目の前に立つ。


 「んだとゴラァッ!! テメェ下っ端のクセによぉ。俺に向かって何言ってっか分かってんのか? あぁ〜?」


 二人の騒ぎを聞いた周りにいる仲間達はさまざまだった。起きて見張りをしている者は顔を向けて、寝ている者は身体を起こして二人のようすを見始める。そして、少数だがウンザリしたようすをしながら 関わりたくない。 と言いたげに背を向けてまた寝始める者もいた。
 そんな周りの反応にも目もくれずに二人は険悪なムードを出していた。


 「下っ端だぁ? ハッ! 笑わせるなよ。無傷の俺とその傷を抱えたお前でりあえばどっちが勝つか分かるよな? それにわけわからねぇ武器を持った女と今のお前を比べたら、お前なんか全然怖かねぇ〜んだよっ!!」


 そう言いながら下っ端の彼は勝てると見込んでいるのか、嫌みったらしくニヤつきながら剣を抜き構える。


 「テメェ、俺に殺されたいようだなぁ・・・・・・・・」


 彼も顔を怒りに歪ませながら言った後に自分の持つ槍を構える。本当に殺す気だと雰囲気で理解出来るほど殺気立っている。


 「止めろお前らっ!! 今はそんな事している場合じゃないだろっ!!」


 ミスリルの防具を装備していた男がそう言う瞬間に、二人はピタリと止まり構えを解く。


 「チッ! 命拾いしたな」


 「それはお荷物のお前かもな」


 「・・・・・・なんだとぉ? もういっぺん言ってみろっ!!?」


 「だからもう止めろと言ってんだろうが馬鹿共がっっっ!!」


 ミスリル装備を着けた男は今度は二人の間に入って止め始める。


 そう、ミスリル製の防具を装備している彼は元デブトル副ギルド長 シューライ だ。


 「良いかお前ら! 今は仲間割れしている場合じゃないだぞっ!! いいか、何度も言うようだけど俺たちは国に追われているんだぞっ! ここで騒ぎを起こしたら俺達を探しに来た兵士がすっ飛んで来るかもしれないし、何よりも国境まで協力する。て約束を忘れたとは言わせはしないっ!!」


 その言葉を聞いた二人は無言のまま互いに武器を下ろすが、今度は焚き木を焼べていた男が焚き木を地面に叩きつけた後に立ち上がり始める。


「チクショウッ!!? やってられっかぁっ!! もう我慢の限界だ。俺はここで抜けるっ!!」


 「待てベス! 落ち着けっ!!」


 ベスと呼ばれた男は怒りに顔を歪ませながら、シューライに向かって口を開き始める。


 「何が落ち着けだ! テメェらのせいでこうなったんだろうがようっ!! 何が今度も上手くいくだっ! 何処が大金が手に入る仕事だ!  作戦がバレたから数で襲ったってのに、あの白髪しろがみの女に仲間が殺られるわ。ゴーゼスに戻ろうとしたら捕まりそうになるわ。挙げ句の果てに傷を治すのにポーションを全部使い切っちまって傷を治せないままだしよぉ・・・・・・お前ら、この落とし前どう責任取ってくれるんだよ? あぁ?」


  その言葉を聞いた。他の冒険者が顔を怒りに歪めながらベスに詰め寄って行く。


 「はぁ? ベス・・・・・・テメェはよぉ。行く前にこう言ってよな? 大金が手に入ったら良い武器と良い防具を買った後、娼婦でたっぷり遊んやる。て高笑いしながらやる気満々だっただろうが・・・・・・まさか忘れた何て言わねぇよなぁ〜?」


 「それにお前はあの時よぉ。女が三人もいるなんて夢のようだなぁ〜。 生きてたら俺が死ぬまで楽しんでやる。テメェら手を出すんじゃねぇぞっ!! って俺たちに言ってなかったか? あぁ?」


 旗色が悪いと見たベスは後退りした後に、言葉を絞り出すように話し始めた。


 「ちょ、ちょっと待てお前ら・・・・・・お、お前らもこうなると思わなかっただろ? それにこんなに追われるのも何かおかしいと思わないか?
 そ、そうだ! お前ら。デブトルの兄貴が俺達に何か隠して仕事をさせたって思わねぇか? なぁ、副ギルド長どうなんだ?」


 ベスがシューライを見ながら言うのと同時に他の冒険者達もシューライを見つめる。
 

 「俺は・・・・・・詳しい話は何も聞いてない。ただ・・・・・・」


 「ただ?」


 「数日前にギルド内でギルド長がグルベルトと話しているところを偶然見掛けた。怪しい感じがしたから物陰に隠れてようすを窺ってたら、アイツらはこう話してたな。
 今回ヤツを消さなければ俺達は終わりだ。 と・・・・・それに今回も、あの怪しいフード女が一枚噛んでいるのも感じたから、俺はギルド長に詳しい話を聞こうとしたら、 ゴチャゴチャ言わず仕事しろ。良いか大金だ! 大金が手に入るんだから理由なんてどうでも良いだろっ!! と言われて逃げるようにどっかに行ってしまった。俺自身も今回の仕事をやる前から怪しいと思っていた」


 その話しを聞いた仲間達は困惑した表情を見せるがベスだけは違っていた。


 「ほらな! デブトルは俺達を何かに利用する為に、こんな割に合わない仕事をさせたんだっ!! だから俺は抜けるぜ! じゃあなっ!!」


  ベスは反対方向を向き歩こうとするが、シューライが目の前に立ち行く手を阻む。


 「ちょっと待てベス! お前本当に抜けるつもりか?  ここで抜けて何処に行くつもりなんだ?」


 シューライが慌てたようすを浮かべながら止めに掛かるが、ベスはシューライに顔を向け睨み付けながら跳ね除けた。


 「うるせぇっ! 俺が何処に行こうか何しようが俺の勝手だろっ!? それに一番信用出来ねぇヤツの側にいる方が危険だっつうの! お前らと一緒にいるよりも、そこら辺の山賊の方がよっぽど信用出来るからなっ!! それにもう良いだろ、デブトルは解散したも同然だ・・・・・・じゃあな」


 ベスがそのまま振り返る事無く森の奥へ歩いて行くのをシューライ達は何も言わず姿が消えるまで見るしかなかった。


 「ベスの奴、本当に行きやがった。てか副ギルド長、さっき話しは本当か?」


 冒険者の一人がシューライに聞いてくるのでシューライは正直に話し始める。


 「あぁ、ベスには話してなかったがギルド長自身四日前ぐらいにようすがおかしくなって来て、今日に至っては周りに当たり散らすぐらいに荒れていた。そして今回の仕事をする前にギルド長から、 今回の仕事を絶対に成功させろ。出来なかったら俺がお前ら全員を殺す。 と言われたほどだからな。なぁ、この事をお前はどう思う?」


 元副ギルド長シューライは聞いて来た冒険者に意見を聞く。


 「ギルド長がそこまで荒れるのは金になる仕事を失敗した時ぐらいだよな? 仕事が始まる前にそんなに荒れるのはおかしいよな」


 「・・・・・・お前もそう思うか」


 「あぁ、俺達は完全にデブトルのヤツに嵌められたかもな・・・・・・ところで見回りに行ったヤツら、遅くないか?」
 

 「そう言えばそうだな。もう交代時間とっくに過ぎてんのに来ないなんて・・・・・・アイツらに何かあったのか?」


 デブトルの残党仲間で見回りを交代でやっていたのだが、見回りに行った二人組が交代時間になっても帰って来ないのだ。


 他の冒険者も、 油を売ってのか? 逃げた。 モンスターに襲われたのか? などと話し始める。


 「ん〜〜〜・・・・・・まぁいい。確かカザルとラド、お前らが次の番だろ? 見回りに行くついでにアイツらを探しに行ってくれ」


 副ギルド長がそう言うと二人はそれぞれ返事をし、武器を持ち始める。


 「その必要はないぞ。[ロックスピア]!!」


 と言う言葉と共に二人の頭に石の槍が突き刺さり、糸が切れた人形のように倒れる。


 「なっ、誰だっ!?」
 

 副ギルド長は飛んで来た方向を向きながら言うと、夜の闇からフードを深く被った人間が現れて来て、顔の前で手の平を合わせてさっきとは違ったようすで副ギルド長に話し始めた。


 「あらあら、アナタとは先日会ったばかりよ」
 

 「お前は・・・・・・リヴァイス!? 何でこんな事をするんだっ!!」


 リヴァイスはさっきとは違って両腕を組みながら答えてくる。


 「何故? 愚問だな。貴様らには仕事の失敗の責任を取って貰いに来たのだが」


 元副ギルト長は憤怒の表情を作りながらリヴァイスを見て言う。


 「責任だと? ふざけるなっ!! 俺達をこんな目に遭わせて置きながら・・・・・・お前ら、コイツを殺すぞっ!!」


 副ギルド長と四人の冒険者は武器を構えて一斉に襲い掛かるが、リヴァイスは不気味なほどに落ち着いたようすで右手をかざす。


  「あらあら、正面から来る何ておバカさん達ね。[ファイアーウォール!]」


 「「「ギャァァーーー!!?」」」


 炎の壁に下っ端冒険者三人が呑まれてしまったが、副ギルド長ともう一人の傷だらけの冒険者が辛うじて避けた。


 「副ギルド長、大丈夫か?」


 「あぁ、手と足に火傷しただけだ・・・・・・しかしなんてヤツだっ! 上級魔法に詠唱破棄まで出来るなんて、アイツは一体何者だ?」


 「分からない。ッ!? アイツはどごぉあっ!?」


 「人間、余所見している場合か?」


 リヴァイスは傷だらけの冒険者の背中から突き刺した剣を引き抜いた後に、副ギルド長を見ながら言葉を掛ける。


 しかし、シューライは目の前で四人の仲間が殺された現実よりも、リヴァイスが持っている剣の方に目が行ってしまう。


 「あ・・・・・・そ、その剣はベスの・・・・・・」


 忘れるはずがない。ベスは買った剣を悪趣味に装飾するクセがあるので、ベスと付き合いがあるヤツからすればベスの剣だと分かる。


 「ベス? あの冒険者さんの事ね。良い剣を持っていから使わせて貰ったのよ・・・・・・それと貴様の仲間を連れて来てやったぞ。ほら、受け取れ」


 副ギルド長に向かって投げ込まれたのは、ベスと見回りに出ていた冒険者二人の首だった。


 「ヒ、ヒィッ!?」


 仲間の首をシューライは顔を青くしながら尻餅つくと股の間を湿らせる。


 「あらあら、お漏らしだ何て、はしたないわよ・・・・・・さてと、終わりにするぞ人間」


 「ま、待ってくれっ!? 降参だ! 頼む、何でもするから助けてくれぇっ!?」


 副ギルド長は自分が粗相をしている事を気にもせず、神様にすがりつくようにリヴァイスに向かって涙を流しながら祈りの姿勢を取り言葉を投げ掛ける。


 「ウフフッ、そう言われても困るわぁ」


 「な、なんで? この装備だって売れば・・・・・・」


 空を切る音と同時にシューライの首が突然中を舞い、そして地面に落ちる。


「残念だったな。俺の仕事は失敗したお前達を始末する事だからな」








  ~~~リヴァイス side ~~~


 「・・・・・・さて、首は処理したからこれでメモリーリードはされないだろうな・・・・・・このまま放っておけば人間達が勝手な憶測をするでしょうね」


 リヴァイスは首だけは灰になるまで燃やし、残りの胴体はそのままにしている。


 「しかし俺の作戦は完璧なはずなのに、何故バルデックは街にたどり着けたんだ? ・・・・・・グエルが勇者の末裔だったからかしら? ・・・・・・それに王都を出る時には見かけなかったあの白い髪の女は誰なんだ?」


 リヴァイスは腕を組みながら考えるが答えまで辿り着かない。


 「まぁ良い。グルベルドも始末したし、街にある魔法陣も消せたから良しとしよう・・・・・・それに彼の方も資金源が一つ潰れただけで目くじらを立てないでしょうね・・・・・・あそこは捨て駒同然の存在だったしな」


 しかし、我々にとってレーベラント総合ギルド長を暗殺出来るチャンスを逃したのは惜しい。


 とまでは思ってはない。何故なら"今回は偶然舞い込んだチャンス"だったけれども、勇者のような我々にとって危険人物ではないが消せるチャンスがあるなら消しときたい。
 ならばゴーゼスにいる人間共にやらせたらどうだ? そうすれば我々が関与している事実がハッキリとバレる事はまずない。と言う結論になったのだ。だから成功しようが失敗しようがどちらでもよかったのだ。


 「フッフッフッフッ・・・・・・ウフフフ・・・・・・」


 リヴァイスは口に手を当て笑った後に空を見つめながら微笑むと語り始める。


 「良かったわね。バルデック会長、アナタが死ぬ時は・・・・・・・・彼の方の力が目覚める時だ!」


 そう言い残した後にリヴァイスは夜の闇に消えて行った。

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