なんと平和な(非)日常 ~せっかく異世界転生したのに何もやることがない件~
今この瞬間のために生きてきたって感じ
「これがお店一番人気のショートケーキ、こっちがボクのおすすめのチーズケーキ、そっちが新商品のロールケーキです。サンゴさんどうですか?」
「うん、どれもうまいよ。ありがとねサリエルちゃん」
街の中心部にある、通称『噴水広場』。その名の通り、大きな噴水がシンボルとなっている広場である。俺とサリエルちゃんはそこに設置されているベンチに座り、サリエルちゃんおすすめのケーキ屋さんで買ったケーキを堪能していた。
実を言うと、俺はそこまで甘いものが好きというわけではなく、ケーキだって元の世界ではそこまで好んで食べていたわけではない。
苦手ではないが好きでもないという程度であり、あまり多くは胸やけがして食べられなかった。でもここに並ぶケーキは予想していたよりもおいしく、サリエルちゃんがオススメだと言うのも納得の味である。
サリエルちゃんと一緒というシチュエーションも相まっていくらでも食べられそうだ。
一つ気になる点としては、どのケーキも食べると唐辛子を舐めた時のような、舌がピリピリとする感覚があることなんだけど……この世界で流行ってる調味料なのだろうか。
「へへ、ごめんなさいサンゴさん。結局ボクの行きたかったところに連れて来てもらっちゃって」
「気にすんなって。俺も行ってみたいって思ってたからさ」
「そう言ってもらえると嬉しいです! ちなみに、ここのケーキもおいしいですけど、オーダおじさんの作るケーキもこれに負けないくらいおいしいのですよ」
まじか。魔王様の女子力が計り知れない。
箱に入ったままのケーキに直接プラスチック製のフォークを刺し、口に運ぶ。少し行儀が悪いが、机も皿もないのだからしょうがない。それに、皿に取り分けるのではなく、こうやって同じケーキを一緒に分け合って食べるというのは、サリエルちゃんととても仲良しなようでなんとも感慨深い。
「それにしても本当にうまいなこれ。やっぱり作ってる人って有名なパティシエだったりするの?」
「さすがサンゴさん、その通りなのです! あの店の店長さんは、この街で一番の腕を持つと言われる、バジリスクのパティシエールなのです!」
「ぶっ!?」
【※バジリスク――非常に強力な毒をもつ】
もしかしてこの舌を痺れさせているのは調味料ではなく……毒?
「このピリピリとした感覚がとてもくせになるのですぅ。他のお店にはない、ここだけの特徴なのです!」
うっとりした顔でそう力説するサリエルちゃん。
間違いない、毒だ。その特徴が他のお店にはないのは、作ってる人がバジリスクだからだと思う。
「そ、そうだね……た、確かにこのピリピリは興味深いね……」
毒かぁ……だ、大丈夫なのかなこれ。もしかしてサリエルちゃんって味音痴というか、ちょっと天然? い、いや! こういうところもサリエルちゃんのかわいらしさの一つだから! それにこうして商品になってるんだから安全のはず! ちょっと眩暈がしてきた気がするけど安全のはず! そ、それにおいしいことに変わりはないんだから、少しくらい気にしなくても大丈夫だ! このピリピリは毒ではなくちょっとしたアクセントだと思えばいいだけだ!
い、いやぁ、それにしてもこれに負けないほどおいしいケーキを作るとは、さすが魔王様! 魔王様のケーキは舌が痺れなさそうだし、今度はぜひそっちを食べてみたい。
そういえばサリエルちゃんは魔王様の姪なわけだし、これはサリエルちゃんも料理が得意の可能性があるな……サリエルちゃんの手料理……うむ、死ぬまでにいっぺん食べてみたいものだ。
そんな人生の新しい目標を考えていたら、隣からもごもごとした音が聞こえてきた。そちらを見ると、ケーキを口いっぱい頬張って、リスのように頬を膨らませたサリエルちゃんが俺を見上げていた。
「ふぉころへはんほはん、ふぁはがほっへはりひまへんふぁ?」
「ごめんサリエルちゃん。なんて言ってるか全然わからない」
「ん――ごくん。ところでサンゴさん、肩が凝ってたりしませんか?」
ああそう言ってたのね。この世界特有の言語かと思った。
それにしても肩が凝ってないか、か。なんだか唐突だな。なんでそんなこと聞いてくるんだろう。凝ってるか凝ってないかで言えばそこまで凝ってはいない。これでもまだ十八歳という若い体だ。もちろん凝るほどの胸もない。
「いや、そうでもないけど……何で?」
「あ、いえ、もしよければマッサージをさせていただこうと思ったのですが……凝ってないのですか。おせっかいかけてすみませ――」
「ああー! めっちゃ肩凝ってるなぁ! 凝りすぎてバッキバキだぁ! 誰か肩揉んでくれないかなぁー!」
「そ、そうなのですかサンゴさん! それならこのボクにお任せください! オーダおじさんにも上手と褒められた肩もみをお見せしましょう!」
ふぅ、危なかった。あと少しでサリエルちゃんにモミモミしてもらうというご褒美を取り逃がすところだった。
「おおっとそれは本当かい!? それならお願いしようかな!」
「はい! もちろんです! なんたって今日はサンゴさんにリフレッシュしてもらうのですから!」
力こぶを作り、ムフーっと自信満々な顔をするサリエルちゃん。かわいい。
そんなかわいいサリエルちゃんは、言い終わるや否やベンチから立ち上がると、俺の後ろへ移動した。どうやら早速マッサージをしてくれるようだ。
「ふふふ、では行きますよサンゴさん?」
そんな声と共に、肩にそっと手が添えられる。その手は小さいながらもしっかりと肩をつかみ、ぐっぐっと心地よいリズムを刻み始めた。
「んっ、ふっ……ど、どうですか?」
「ああ、気持ちいいよ。もっと強くてもいいかな」
「了解ですっ!」
肩に加わる力が強くなる。おお……結構うまいな。一定の力ではなく、強弱をつけた力加減、時折揉む場所を少しずらし、満遍なくマッサージする心遣い。結構、いやすごく気持ちいい。さすがサリエルちゃん。まだ強くしてくれても平気かな。
「サリエルちゃん、もっと強くしても大丈夫だよ」
「わかりましたです! では、思いっきり行きますよ!」
「ん――んん! そうそう、いい感じ」
ちょうどいい力で肩を揉まれ、心地よい気持ちよさが広がった。言われたことがすぐにできるとは、サリエルちゃんには肩もみの才能があるかもしれない。
「いかがですかぁ? どこか凝ってるところはありますかぁ?」
「それじゃ、もう少し首よりを」
「こう、ん……ここ、ですか?」
「も、もう少し右……」
「はぁ、ん……ここ、ですね?」
「あ、ああ……んんっ、はぁ……そ、そこ」
「行きますよサンゴさん。思いっきり行きますからね?」
「ふっ……んん、ああ、いいよ」
「ん――えいっ」
「ふ――っ! うんんっ――いや逆だなこれ」
サリエルちゃんの肩もみの気持ちよさに身をゆだねていたが、なんかこう、逆な気がする。何がとは言わないけど。うん、逆だ。
「どうしましたかサンゴさん?」
「いや、なんでもないよ。でもマッサージはちょっとやめておこうか。こう、絵面がね」
「……? わかりました」
本当はもう少しマッサージしてほしかったが、これ以上はちょっといけない気がする。
頭を振って呆けていた思考をはっきりさせる。気づけばもう夕暮れ時。太陽も西の大地へと沈もうといている。よい子は家に帰る時間だ。
「さぁてっと、サリエルちゃん。もうそろそろ帰らないとじゃないか? 魔王様も心配するぞ?」
もちろんサリエルちゃん一人で返すのは心配だから送っていくつもりだが、それでもあまり遅い時間になるのはよろしくない。なぜなら、暗い道をサリエルちゃんと歩いている姿をどっかの神様やどっかの勇者に見られたら、誘拐犯扱いされる気がするから。
そんな俺の心配を察したのかサリエルちゃんは、
「わわっ! もうこんな時間でしたか! た、確かにサンゴさんの言う通りなのです!」
と素直な返事をしてくれた。
ふっ、口に出さずとも俺の考えを察してくれるとは。これはもう、以心伝心の仲といっても過言ではないんじゃなかろうか。
であるならばわざわざ口に出すまでもなく俺の欲っきゅ――もとい気持ちは彼女に伝わることだろう。さあサリエルちゃん! 魔王城までエスコートしてしんぜよう! 出来れば肩車で! それとも、おててをつないでいくかい?
「あっ、でもその……えっと、サンゴさん。もう一つだけ、サンゴさんを元気にするお手伝いをさせてほしいのですけど……」
そう言って、サリエルちゃんはこちらを不安そうな顔で見てくる。
そんな申し訳なさそうな顔しなくてもいいのに。別に帰るのが少しくらい遅くなったって俺は気にしないぞ。
まあとりあえず、以心伝心は出来ていなかったようだ。なんか悔しい。仲良し度をもっとあげる必要があるかもしれない。
「もちろんそれは構わないし、どころかこっちから願いしたいくらいなんだけど。いったい何を?」
いや待てよ、以心伝心が出来ていないと決めつけるのはまだ早いんじゃないか? もしかしたら俺の心の内を察したサリエルちゃんが、サプライズ形式で発表してくれるのかもしれない。
例えば『じゃじゃーん! そのお手伝いとは! ボクと手をつないで帰ることです!』とか……お、おお! 悪くない、悪くないぞ! 確かにこれなら俺も元気いっぱい間違いなしだ!
「えっと……あの、ですね……その……」
「ああ!」
恥ずかしそうに頬を赤らめるサリエルちゃん。まあしょうがない。子供とはいえ、羞恥心を覚えるお年頃なのだから。でも安心してくれ! 俺は決して笑わないから!
「その…………あの…………あの!」
「ああ!」
大丈夫! 分かってるよ!
「さ、サンゴさん! ボクがパフパフをしてあげましゅ!!」
「ああ! ――――――――あい?」
「うん、どれもうまいよ。ありがとねサリエルちゃん」
街の中心部にある、通称『噴水広場』。その名の通り、大きな噴水がシンボルとなっている広場である。俺とサリエルちゃんはそこに設置されているベンチに座り、サリエルちゃんおすすめのケーキ屋さんで買ったケーキを堪能していた。
実を言うと、俺はそこまで甘いものが好きというわけではなく、ケーキだって元の世界ではそこまで好んで食べていたわけではない。
苦手ではないが好きでもないという程度であり、あまり多くは胸やけがして食べられなかった。でもここに並ぶケーキは予想していたよりもおいしく、サリエルちゃんがオススメだと言うのも納得の味である。
サリエルちゃんと一緒というシチュエーションも相まっていくらでも食べられそうだ。
一つ気になる点としては、どのケーキも食べると唐辛子を舐めた時のような、舌がピリピリとする感覚があることなんだけど……この世界で流行ってる調味料なのだろうか。
「へへ、ごめんなさいサンゴさん。結局ボクの行きたかったところに連れて来てもらっちゃって」
「気にすんなって。俺も行ってみたいって思ってたからさ」
「そう言ってもらえると嬉しいです! ちなみに、ここのケーキもおいしいですけど、オーダおじさんの作るケーキもこれに負けないくらいおいしいのですよ」
まじか。魔王様の女子力が計り知れない。
箱に入ったままのケーキに直接プラスチック製のフォークを刺し、口に運ぶ。少し行儀が悪いが、机も皿もないのだからしょうがない。それに、皿に取り分けるのではなく、こうやって同じケーキを一緒に分け合って食べるというのは、サリエルちゃんととても仲良しなようでなんとも感慨深い。
「それにしても本当にうまいなこれ。やっぱり作ってる人って有名なパティシエだったりするの?」
「さすがサンゴさん、その通りなのです! あの店の店長さんは、この街で一番の腕を持つと言われる、バジリスクのパティシエールなのです!」
「ぶっ!?」
【※バジリスク――非常に強力な毒をもつ】
もしかしてこの舌を痺れさせているのは調味料ではなく……毒?
「このピリピリとした感覚がとてもくせになるのですぅ。他のお店にはない、ここだけの特徴なのです!」
うっとりした顔でそう力説するサリエルちゃん。
間違いない、毒だ。その特徴が他のお店にはないのは、作ってる人がバジリスクだからだと思う。
「そ、そうだね……た、確かにこのピリピリは興味深いね……」
毒かぁ……だ、大丈夫なのかなこれ。もしかしてサリエルちゃんって味音痴というか、ちょっと天然? い、いや! こういうところもサリエルちゃんのかわいらしさの一つだから! それにこうして商品になってるんだから安全のはず! ちょっと眩暈がしてきた気がするけど安全のはず! そ、それにおいしいことに変わりはないんだから、少しくらい気にしなくても大丈夫だ! このピリピリは毒ではなくちょっとしたアクセントだと思えばいいだけだ!
い、いやぁ、それにしてもこれに負けないほどおいしいケーキを作るとは、さすが魔王様! 魔王様のケーキは舌が痺れなさそうだし、今度はぜひそっちを食べてみたい。
そういえばサリエルちゃんは魔王様の姪なわけだし、これはサリエルちゃんも料理が得意の可能性があるな……サリエルちゃんの手料理……うむ、死ぬまでにいっぺん食べてみたいものだ。
そんな人生の新しい目標を考えていたら、隣からもごもごとした音が聞こえてきた。そちらを見ると、ケーキを口いっぱい頬張って、リスのように頬を膨らませたサリエルちゃんが俺を見上げていた。
「ふぉころへはんほはん、ふぁはがほっへはりひまへんふぁ?」
「ごめんサリエルちゃん。なんて言ってるか全然わからない」
「ん――ごくん。ところでサンゴさん、肩が凝ってたりしませんか?」
ああそう言ってたのね。この世界特有の言語かと思った。
それにしても肩が凝ってないか、か。なんだか唐突だな。なんでそんなこと聞いてくるんだろう。凝ってるか凝ってないかで言えばそこまで凝ってはいない。これでもまだ十八歳という若い体だ。もちろん凝るほどの胸もない。
「いや、そうでもないけど……何で?」
「あ、いえ、もしよければマッサージをさせていただこうと思ったのですが……凝ってないのですか。おせっかいかけてすみませ――」
「ああー! めっちゃ肩凝ってるなぁ! 凝りすぎてバッキバキだぁ! 誰か肩揉んでくれないかなぁー!」
「そ、そうなのですかサンゴさん! それならこのボクにお任せください! オーダおじさんにも上手と褒められた肩もみをお見せしましょう!」
ふぅ、危なかった。あと少しでサリエルちゃんにモミモミしてもらうというご褒美を取り逃がすところだった。
「おおっとそれは本当かい!? それならお願いしようかな!」
「はい! もちろんです! なんたって今日はサンゴさんにリフレッシュしてもらうのですから!」
力こぶを作り、ムフーっと自信満々な顔をするサリエルちゃん。かわいい。
そんなかわいいサリエルちゃんは、言い終わるや否やベンチから立ち上がると、俺の後ろへ移動した。どうやら早速マッサージをしてくれるようだ。
「ふふふ、では行きますよサンゴさん?」
そんな声と共に、肩にそっと手が添えられる。その手は小さいながらもしっかりと肩をつかみ、ぐっぐっと心地よいリズムを刻み始めた。
「んっ、ふっ……ど、どうですか?」
「ああ、気持ちいいよ。もっと強くてもいいかな」
「了解ですっ!」
肩に加わる力が強くなる。おお……結構うまいな。一定の力ではなく、強弱をつけた力加減、時折揉む場所を少しずらし、満遍なくマッサージする心遣い。結構、いやすごく気持ちいい。さすがサリエルちゃん。まだ強くしてくれても平気かな。
「サリエルちゃん、もっと強くしても大丈夫だよ」
「わかりましたです! では、思いっきり行きますよ!」
「ん――んん! そうそう、いい感じ」
ちょうどいい力で肩を揉まれ、心地よい気持ちよさが広がった。言われたことがすぐにできるとは、サリエルちゃんには肩もみの才能があるかもしれない。
「いかがですかぁ? どこか凝ってるところはありますかぁ?」
「それじゃ、もう少し首よりを」
「こう、ん……ここ、ですか?」
「も、もう少し右……」
「はぁ、ん……ここ、ですね?」
「あ、ああ……んんっ、はぁ……そ、そこ」
「行きますよサンゴさん。思いっきり行きますからね?」
「ふっ……んん、ああ、いいよ」
「ん――えいっ」
「ふ――っ! うんんっ――いや逆だなこれ」
サリエルちゃんの肩もみの気持ちよさに身をゆだねていたが、なんかこう、逆な気がする。何がとは言わないけど。うん、逆だ。
「どうしましたかサンゴさん?」
「いや、なんでもないよ。でもマッサージはちょっとやめておこうか。こう、絵面がね」
「……? わかりました」
本当はもう少しマッサージしてほしかったが、これ以上はちょっといけない気がする。
頭を振って呆けていた思考をはっきりさせる。気づけばもう夕暮れ時。太陽も西の大地へと沈もうといている。よい子は家に帰る時間だ。
「さぁてっと、サリエルちゃん。もうそろそろ帰らないとじゃないか? 魔王様も心配するぞ?」
もちろんサリエルちゃん一人で返すのは心配だから送っていくつもりだが、それでもあまり遅い時間になるのはよろしくない。なぜなら、暗い道をサリエルちゃんと歩いている姿をどっかの神様やどっかの勇者に見られたら、誘拐犯扱いされる気がするから。
そんな俺の心配を察したのかサリエルちゃんは、
「わわっ! もうこんな時間でしたか! た、確かにサンゴさんの言う通りなのです!」
と素直な返事をしてくれた。
ふっ、口に出さずとも俺の考えを察してくれるとは。これはもう、以心伝心の仲といっても過言ではないんじゃなかろうか。
であるならばわざわざ口に出すまでもなく俺の欲っきゅ――もとい気持ちは彼女に伝わることだろう。さあサリエルちゃん! 魔王城までエスコートしてしんぜよう! 出来れば肩車で! それとも、おててをつないでいくかい?
「あっ、でもその……えっと、サンゴさん。もう一つだけ、サンゴさんを元気にするお手伝いをさせてほしいのですけど……」
そう言って、サリエルちゃんはこちらを不安そうな顔で見てくる。
そんな申し訳なさそうな顔しなくてもいいのに。別に帰るのが少しくらい遅くなったって俺は気にしないぞ。
まあとりあえず、以心伝心は出来ていなかったようだ。なんか悔しい。仲良し度をもっとあげる必要があるかもしれない。
「もちろんそれは構わないし、どころかこっちから願いしたいくらいなんだけど。いったい何を?」
いや待てよ、以心伝心が出来ていないと決めつけるのはまだ早いんじゃないか? もしかしたら俺の心の内を察したサリエルちゃんが、サプライズ形式で発表してくれるのかもしれない。
例えば『じゃじゃーん! そのお手伝いとは! ボクと手をつないで帰ることです!』とか……お、おお! 悪くない、悪くないぞ! 確かにこれなら俺も元気いっぱい間違いなしだ!
「えっと……あの、ですね……その……」
「ああ!」
恥ずかしそうに頬を赤らめるサリエルちゃん。まあしょうがない。子供とはいえ、羞恥心を覚えるお年頃なのだから。でも安心してくれ! 俺は決して笑わないから!
「その…………あの…………あの!」
「ああ!」
大丈夫! 分かってるよ!
「さ、サンゴさん! ボクがパフパフをしてあげましゅ!!」
「ああ! ――――――――あい?」
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