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45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしい

第687話 勇者ヨーリスと転生者ライナス その11

ヨーリス達が”前”勇者とそのお供の末路を見届けていた頃、クサーヴァーと女子3人は、ようやく目的の場所へたどり着いた。

だが、様子がおかしい。
しかも3人の女の子は疲れ切って周りが見えていない。

クサーヴァーは内心ドキドキしながら受付の女性に声をかけた。

「15になったのでここに来ました。私の前に男の子が2人来ていたと思いますが、もしかしてまだ到着していませんでしょうか?」

「もしかしてお連れでしたか?」
「はい、先に行ってもらい、私達の手続きしてもらうように伝えていたのですが・・・・」

「あらそうなの?ええとね、1時間ほど前に問題があったのよ?あの屑勇者・・・・おっと失礼、勇者が此処にやって来たのよ。だけど多分君の言う2人がトラブルに巻き込まれてね、だけど、アルフォンシーナ様が現れて・・・・アルフォンシーナ様って知ってる?」

随分興奮してるなあとか思いながらこれは!と、内心思いつつ
「聖女アルフォンシーナ様の事でしょうか?確か勇者の子を産んだとか・・・・」
「・・・・それは言ってはならないのよ?まあどう見ても田舎者の君に言っても仕方ないけれど。だけどね、どうやらあの屑の加護が消えたようなのよ?で、アルフォンシーナ様は冒険者に緊急依頼を発動させ、君の言っている2人と娼館へ向かったのよ。」

娼館・・・・現勇者にふさわしい死に場所だなあとか思いつつ、
「そうなのですか?よく分りませんが、僕らの手続きは・・・・?」
「何もしてないわね。4人ともする?そんなに時間かからないわよ?」

これは確信。まさに予言の通り。
後は上手く勇者が死に、ヨーリスが勇者となれば・・・・

「あ、お願いします・・・・」

・・・・
・・・
・・


無事手続きを終えた4人。
だが、この3人の少女とはここで別れなければならない。
しかし、いくら装備が良くても、このままではこの3人は生き延びる事が難しいだろう。
クサーヴァーは、この3人には今後の険しい道のりに関わらせたくなかったので、2人が戻ってるまでにこの場から去ってもらう必要を感じていたので、思案していた所、運が見方をしたのか、この場に丁度大物がやって来た。

ロニー商会のトップ、ロニー氏である。
「こんにちはお嬢さん、頼まれた商品が揃ったので、届けに来たのだが、今いいかい?」
「あ、ロニー様こんにちは!ササ、どうぞ。」
暫くしてロニー氏が話が終わったのか、この場を去ろうとしたので、クサーヴァーは呼び止めた。
無論3人には待っていてもらう。

「申し訳ございません、時間は取らせませんので、ほんの少し宜しいでしょうか?」
「うん?何だい君は?もしかして15になったのでここに来たのかい?」
「ええ、そうですロニー様。そして・・・・これを受け取って頂きたいのと、申し訳ありませんが、その中身を読んで頂き、出来ればあの3人を連れていってほしいのです。」
「うん?どういう事かな?よく分からないね。ま・・・・これを見ればいいのかい?・・・・特に変な仕掛けは無さそうだが・・・・うん?君・・・・これはどういう・・・・」
そしてクサーヴァーは誰にも分らないよう、ロニー氏に何かを手渡す。
「これだけあれば如何でしょう?そしてこの事は内緒で・・・・」
暫くロニーさんはその受け取った中味を確認しながら・・・・
「いやしかし君、これは・・・・君の身内は予知者なのかい?」
「・・・・いずれ分る事です。僕は勇者ヨーリスを導く必要があります。ロニー様ならお分かりかと・・・・」
「うーん・・・・信じられないが・・・・まあこれだけあれば向こう数年この3人を預かるのもやぶさかではない。しかも君の言う事が真実なら、私は喜んでこの3人を保護しよう。」

「ありがとうございます!」
「しかし・・・・君は一体何者なのだい?」
「・・・・いずれ分る・・・・いえ、分かってもらっては困りますので、誰にも言わないで頂きたいのです。」
「・・・・君が仇成すものでなければばそうしよう。」

このやり取りはロニー氏から漏れる事はなかった。
なのでクサーヴァーが一体何を渡し、そこに何が記載してあったのか、それを知るものは二人以外にはいなかった・・・・

そしてヨーリスとライナスが戻ってきた時、クサーヴァーは腕を組んで怒り心頭の顔をし、
「俺はお前らに先行させて、手続きをしておいてもらうように伝えたよな?なのに何でそんな美女とよろしくやってんだよ!」
内心歓喜に満ちあふれているクサーヴァーは、バレない様ワザとそう言い放った。

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