第368話　禁断の蘇生術？

私はそこに、女神の加護に似た何かのようなものを感じ、すぐさま思いついたのが
「アメリータ、旦那さまの頭と体を繋ぎ合わせ回復させてみます。」
「えっ？今そんな事しても・・・・生き返らないし、ヨーリス君達を支援したほうが良いのでは・・・・？」
「アメリータ、あそこに落ちている・・・・残骸から何かを感じない？」
「えっ？・・・・・・え・・・・えええ？あれって女神様の気配？・・・・？」

娘は全部を言わなくても察してくれます。
出来る限り素早く旦那さまの頭を旦那さまの身体につなぎ合わせ、私が回復魔術を唱え、娘はそれを補佐してくれてます。
何かを察してくれたカトリーン様やウェンディ様をはじめ、旦那さまのこの場に居合わせた奥方様も気が付いたのか、戦える方は護衛を、そうでない方は見守ってくれております。
メーネア様が血で汚れた旦那さまを丁寧に布で拭いてくれて・・・・流石は旦那さまの奥方様。皆様素晴らしい方です。何も言わずとも察して下さり、行動を起こして下さる。

そう思っているとアメリータが
「お母様、旦那さまから離れて！」
と警告を。ハッとして見てみると、先ほど床に落ちていた残骸が、旦那さまと共に光だし、その残骸が細かい粒子になり旦那さまにまとわりはじめたではありませんか。
急いで離れると、それを待っていたかのように魔法陣が展開され、旦那さまの身体はその中心に。
このような魔法陣は見た事が・・・・・やはり女神様のでしょうか？よく似ております。
しかし、旦那さまは勇者パーティの一員ではありませんし、女神の加護を受けてはいないはず。これはどういう・・・？

そう思っていると魔法陣は消え、それと共に光も消え去り、残ったのは旦那さまのみ。
皆が・・・魔王と交戦しているメンバーを除いてですが・・・・見ている前で、生命の蘇生などありえないと分かっているのですが・・・・旦那さまは生き返らないと・・・・そう思いつつひょっとしてという期待を込めて旦那さまを見ていると、何の前触れもなく、旦那さまが起き上がり
「あれ？何でこんな所で寝てたんだ？それと、何皆？っていうか何この壊れた書斎？何があったんだ！」

信じられない事に何事もなかったように旦那さまが生き返りました。これはどういう事でしょう？

そう、私はかつての勇者パーティの一員として女神の加護に触れる機会もあり、よくわかっておりますが、
人が生き返るのはまさしく女神が勇者に与えた加護。
正確には死んだ勇者が生き返るのではなく、女神の加護で魔王を倒すまで死ねない体になってしまったという事。
なので、勇者が蘇生したように見えてもそうではなく、加護で死ななかった、という・・・・旦那さまは何者なのでしょう？
召喚された人というのはこれほどの力を持っているのでしょうか？
何はともあれ、旦那さまの復活は大変うれしい事実。
そして気が付けば、私が一番旦那さまの近くにいた事もあり、真っ先に抱きついてしまいました。
聖女と言われている立場としてはあまり褒められた振る舞いではありませんが、こればかりは仕方ありません。私も女ですから。
旦那さまもよく分からないながら抱き返してくれます。人との触れ合いはいいものですね。安心します。