第273話　ファートとサージュが、賢者の娘とか・・・・

「だからあんな事になったのか・・・・？」
「そして、ここに滞在される間、この薬を服用してほしいのだが、飲んではくれぬかのう？」
「それなんですか？」
「我々エルフは中々妊娠せぬ。そして発情期は一度過ぎてしまえば次に来るのに時間がかかる。それ故どうしても子が欲しい場合は薬に頼るのが普通でな。この薬があれば人とエルフの間でも間違いなく子が授かる。」
「はあ・・・そうですか・・・って何でそんなの飲む必要があるの？」
「うむ？もちろん我の娘を身籠らせてほしいからじゃ。」
ぶー　ナニイッテルノコノオカアサン
「ちょっと待って。何でそうなるの？」
「エルフにとって伴侶の基準は魔術の多さじゃ。そして魔力があればあるほど魅力的じゃのう。我はもうこの歳じゃから無理故、せめて娘にはと思うてな。」
「そこに当事者の意思は？」
「？？娘は感激して泣いておったぞ。絶対に妊娠してみせると。あんな娘は初めてじゃったがのう。」
「どうなってるのこの倫理観？みたいなの。」
「倫理観？エルフと人間の価値観の違いかのう？普通人間はエルフの娘を抱けるとなれば我先にとやってくるものじゃが、賢者様は違うのかのう？それ故の賢者殿なのかのう？」
「ねえ長さん？賢者って何？おっさん賢者と言われた事が無いんだけど・・・・」
「先ほども聞かれたが答える必要があるのかわからぬが、賢者とは別に賢い者ではないのじゃ。言ってみれば単に魔術を極めた者がなれる職業じゃな。」
「そんな魔術なんて極めてないんだけど？」
「少しいい方が悪かったかのう？普通は魔術は沢山の属性を持つことができぬのじゃ。たとえスキルを譲られてもじゃ。」
「どういう事？そういうの知らないんだけど？」
「・・・・賢者殿は基本の４属性を全部所持されておる。しかしそれだけでは賢者にはなれぬ。」
「？？で？」
「賢者殿は光魔術と闇魔術も所持しておるのではなかろうか？」
「ああそういえばそんなのあったような？」
「しかも、これだけでは賢者にはなれぬ。賢者はここ数百年現れてはおらぬ。勇者は時代に一人は必ず存在するのじゃが、賢者はそうおらぬ。かつて同時に３人いた時代もあった様じゃが、今は賢者殿だけじゃ。」
・・・・何それ？
「えー賢者ってそんなに凄いの？」
「無論じゃ。そして我が知りうる限り、もうひとつ存在しない属性があってのう、その属性がないと賢者にはなれぬと聞いておる。」
・・・・確か無属性ってあったような？よく分からないし使う機会もなかったからほったらかしだったけど。
「でも賢者ってなった覚えがないんだけど。」
「どの職業でもそうじゃが、条件がそろえば発現するもの。そして賢者のように多属性持ちの場合、我々エルフとの間にできた子はそれは素晴らしい子になると聞いておる。」
「・・・・それで？」
「今エルフは滅亡の道を歩んでおる。長寿が故の弊害じゃな。この状況を打開すべく、是非にも賢者殿には励んでほしいのじゃ！」
ちょっと近いよ長さん！ちょっと落ち着こう？

「取り乱してしまったようじゃ。そしてファート様とサージュ様は・・・その３人の賢者の娘なのじゃ。勿論別々の父親じゃが。」
「・・・・あの２人ってエルフの中でもすごいのか？」
「無論じゃ。しかしその強さ故エルフの男には見向きもせなんだのだが、賢者殿はあの御二方に余程気に入られたようでのう。羨ましい。」

・・・・おっさんどうしろと？