第128話おっさんとロートレック公爵

どうしてこうなった？

おっさん、てっきりロートレック公爵の息子と話すみたいに、立って少しばかりと思ってたんだけど、思いのほか？希望者が多く、あれ？会場にこんなに人来てたっけ？

というくらい、おっさんと話す人の希望者が殺到してきてね、もう捌ききれないのよ、これが。

なのでね、もう公爵の息子２人と娘さんを採用でいいやと、ロートレック公爵の息子２人とメイドさんに頼んで奥の部屋を臨時の面接会場？として占拠させて、早速そちらにに行ったよ。

前もっておっさんに話しかけてた貴族の当主と言うの？の数からしたら倍どころか５倍以上いるんじゃない？

よく考えたら、一番多いと思われる男爵は誰も話しかけてこなかったんだよね。

おっさんはそう言えば、なる事がなかったけど、男爵の下は準男爵、さらにその下に騎士爵っていうどちらかと言えば武勲を立てた人に授ける一代限りの名誉爵位な感じのメンツがいるはずなんだけど、それも来てなくてね。それが今恐らく会場入りして並んでるんだろうね。

だからかな？皇帝とエルヴィーラがこの場にいないのは。

恐らくこうなる事が分かってたから、気を遣わせたのかめんどくさーってので逃げたか。

逃げたほうが怪しいんだけど・・・・

おっさんね、準備の間、これはまずいと思って助けがいると気が付いてね、最初の挨拶しかしてないけど、急いでロートレック公爵の元へ向かったよ。

「やあ、シラカワ辺境伯、娘は役立っているかな？」

「ロートレック公爵殿、感謝していますよ。あなたの娘さんがいなかったら、もうどうなっている事やら。」

「娘が役立って何より。それより、大変な事になりそうですなあ。」

そうなんだよ。他の大貴族ももう気が付いてるんだけど、異様な行列がすでに出来上がってるから、もうおっさん全員の注目の的って感じでね。

「そうなんですよ。恐らく私の領地への働き先を希望している、若しくは私との繋がり、知遇を、又は知己を得ようとこのような多数の人々が殺到してしまったようで。」

「でしょうなあ。シラカワ辺境伯の話は我々の間でも常に聞こえてきますしな、それに今までシラカワ辺境伯と接触する機会もほどんどなかったので、この機会を逃さぬよう、皆来たのでしょう。かく言う私もその口でね、いの一番に会いに来たのだよ。」

あーそんな噂になってるんか。リサーチしとくべきだったな。これは見通しが甘かった。

まさかこれほど希望者が来るとは思ってもなかったからな。

「ロートレック公爵殿、恥を忍んでお願いがあるのですが、人を今すぐ貸してはいただけないでしょうか？」

「あれを今から捌くおつもりで？別に貸すのは構わないが、大丈夫なのかい？」

「見通しの甘さがあったのは事実ですが、あの者達を放っておくわけにもいきませんし、全員採用する訳にもいきませんから、実際に目で見て確かめようと。」

「なるほど。既に下の娘はシラカワ辺境伯の元におるし、息子２人も何やらすでに動いておるようですし、後はリュシエンヌとジョスリーヌがいいか・・・・２人の侍女がおればなんとかなるだろう。特にリュシエンヌなどは喜んでシラカワ辺境伯の手伝いをするだろう。ああ見えて、細かい気遣いのできる娘でね、それとジョスリーヌだが、実は、妻の具合が少々悪くなってしまってね、本当ならばリュシエンヌの後にシラカワ辺境伯と踊ってもらうつもりだったのだが、妻の看護に向かってしまってね。リュシエンヌも妻の具合を知っていたら恐らくはシラカワ辺境伯の元にはいかなかっただろう。自慢の娘だよ、２人とも。」