第101話　時が解決してくれますわ

アルフォンシーナさんが２人を見てくれたんだけど、ひょっとしたら治るかもしれないと言い、何か魔術を唱えたようで、２人の顔はみるみる穏やかになっていったよ。

「緩やかに回復していくとは思いますが、女性にとって死ぬのと同じような恐ろしい目にあったわけですから、回復まではまだまだ時間がかかるでしょう。ですが、きっと立ち直ります。どうかこの２人が女性の幸せを取り戻せるよう、細心の注意を払ってくださいまし。」

と言ってくれたんだよね。

何か引っかかる感じがあったんだけど、悪い意味じゃあなくって。もしかしてこの女性、同じような目に合ってる？

「アルフォンシーナさん、貴女・・・・」

「・・・・おっしゃりたい事はわかるつもりですわ。おそらく、伯爵さまの思っている事は真実ですわ、と言っておきます。」

「・・・・その、どう言ったらいいか・・・・」

「お気になさらず。時が解決してくれましたわ。」

「そうですか・・・・実はこの大塚さんも・・・・あなたと同じような・・・・」

そうしたら、アルフォンシーナさんは、大塚さんの手を取って、じっと見つめ合ってたよ。

たぶん、この２人、年齢的にも、境遇的にも似てるんだろうな。

「時が解決してくれますわ。」

「・・・・ありがとう・・・・」

何か、触れてはいけない感じがしたのでおっさん達はしばらく無言だったよ。

そして、治療が終わったので、お礼をと聞いたら、特にいらない、と言われてね。

それでは申し訳ないから、店で色々といるものを持って行ってくれって言ってね。

それすら拒絶しそうだったので、オリアーナを呼んで、有無を言わさず連れてったよ。

何故かオリアーナ、アルフォンシーナさんを一目見た時えらいギョッとした表情だったんだよね。

そうして、

「ひょっとして、アルフォンシーナ様ではございませんか？」

って。えっ？そんな偉い人なん？

「アルフォンシーナで結構でございますわ。オリアーナ殿。」

あー、きっと本当は身分がある人なんだな。

めっちゃフレンドリーに接してしまったよ。やべー

店は女性向きの品物ばかりだし、下着も扱ってるからって事で、今回は少年2人には同行を遠慮願ったんだよね。

最初はおっさんの言う事を聞いてくれず、一緒に店の中に入っていったけど、すぐさまえらい勢いでおっさんの所に来たっけな。

顔を真っ赤にして。

15歳だっけ？普通は中学生ぐらいだからね。大人向けのセクシーなランジェリーとかあったら恥ずかしいよな。

そこで、暇になった少年二人を連れて、おっさんは庭に行ったんだよね。

そして、おっさん、15歳の少年とはこの異世界では接する機会が今までなくってね、ちょうど15歳からスキルを取得できるって話だったから、何気なしに聞いたんだよね。

「ねえ君達、おっさんはね、異世界から来た所為かこの世界の事が未だによくわかってないんだよね。確かスキルは、15歳から取得できるんだよね？」

「はい、その通りです、伯爵さま。」と少年の一人が礼儀正しくしゃべってくれたよ。

「君達は、何かスキルを取得してるのかい？」

おっさん、何気なしに聞いたんだよね。

そうしたら、何やら険しい顔をして、2人顔を見合わせてるんだよね。あれ？そんな聞いちゃいけない事だった？

「あの、言わないといけませんか？」

「ん？ああ、別に言いたくなければ言わなくていいんだよ。おっさん、知らない事が多いからね、もしかして今のも聞いちゃあいけない事だった？」

「いえ、そういう訳ではないのですが・・・・」

「うーん、もしかして君達を鑑定するのもまずかった？」

おっさん、じっと見てしまって、思わず鑑定しちゃったんだよね。なので、今はカバンの中の表示プレートを見れば、この2人のスキルが分かるんだよね。

そう思っていたら、何やら2人の雰囲気がかなり悪くなってね。