第311話　距離が近い？

ああ！どうしたら！遂にオイヴィさんの意識が！
これは非常にまずいです。
僕は混乱しました。
まさかエリクサーが効かないとは思ってもみなかったですから。

すると秘書さんになった？女性の一人が見かねて僕に声をかけてくれます。あ、彼女なら何か知っている？

「ご領主さま、少々宜しいでしょうか？」

はい！もう全力で！

「き・・・・君も秘書かい？」
「秘書？側仕えでございます。秘書でもよろしいのですが。私の御役目は、ご領主さまの補佐でございます。宜しければ現状について、助言をいたしても？」
「はい！お願いします！僕困ってるんです！まさかこんな事になろうとは思ってもいなかったので！」
「その、言いにくいのですがエリクサーを過剰に投与した事による中毒でございます。」

「え？そんな事あるの？？」
「私の見立てでは、こちらのオイヴィ嬢でございますが、そもそもエリクサーの必要はなかったのではないかと愚考いたします。そうであれば、健常者にエリクサー・・・・身体が過剰反応を起こし、意識を失ったと推察いたします。あ・・・・どうやら意識が戻られたようです。」

「う・・・・な・・・・何がどう・・・・」

よかった・・・・気が付いたようです。

「オイヴィさん、僕が分かりますか？」
焦点が合ってないようですが・・・・だんだんと合ってきたようです。

「・・・・貴殿は・・・・この地のご領主・・・・常山公爵さま・・・・」
「よかった・・・・」

だけど何か様子が変です。
顔が真っ赤です。
まだエリクサーの過剰投与の影響ですか？
「我が名はオイヴィ・ラハテラ。常山公爵の求婚を受け入れる。求愛・確かに承った。そう言う事故、今後は良しなに、旦那さま。」

うん？
何か今とんでもない事を言ったような？
「え？」

「え？」



暫し僕とオイヴィさんは見つめあってしまいました。

「え、ええと、え？オイヴィさんが求婚を受け入れる？え？僕がいつ求婚を？」


僕は大いに混乱しました。
そんなつもりは微塵もありません。
何せ１６人もの妻がいるのですから、これ以上増えたらどうなる事やら。

「何！？どういう事だ？あれほど情熱的に求婚をしたではないか！我に二度も、いや三度だな・・・・何度も触れた挙句に、口づけをかわしたではないか！我が国最上の求婚の儀。それを違うとぬかすのか？」

え？ちょっと待って？
僕は助けを求め、秘書さんを見ます。
「ご領主さま、私はあの場に居合わせませんでしたので、何がどうなったのかはわかりかねます。失礼ながらオイヴィ嬢、私は常山公爵の側仕えをさせて頂いております。失礼ながら出身国はどちらでござましょう？」
「む！我の出身はもう滅んだが神聖帝国ロンドロッグだ。」

「あ・・・・なるほど・・・・で、その、常山公爵はどのような振る舞いを？」

オイヴィさんが説明してるけど・・・・何処にも求婚したとか無いよね？
一通り説明が終わったけれど、様子が変ですね。

「ご領主さま・・・・見事な求婚でございます。」

「え？あの一連の何処に求婚の要素が？」
僕がそんな事を言った途端、空気が凍りました。そう、オイヴィさんの周りの空気が目に見えて変化していきます。
「どういう事だ？我を愚行するか？領主常山公爵、剣を抜け！我オイヴィ・ラハテラは貴殿に決闘を申し込む！今すぐ剣を抜け！そこの女、立会人となれ！」

え？えええ？何でこうなったの？