復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第十一話】ティアル・サーライト 14

「まだだァァアアアアアアアアアアアアアア!!」


ティアルはそれでも尚、怯まなかった。

コレはさっきも見たのだ。

動きを一度止めたものの、もう一度地面を蹴って、引き続きスパイルに猛速で近づいていく。

決して逃すまいと、捕食者の執念で追い縋ってきた。

スパイルは恐怖に押されつつ、力を振り絞る。


「あ、アアアアアアアアアアアア!!来るなァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾着弾ーー……ッ!!


一発でダメなら何度だってやった。

何度だって当て続けた。

体中が熱くてもーー。

自らの炎で身が焼かれようともーー。

やるしかなかった。

やらなければならなかった。

やらなければ死ぬのだ。

死ぬしかなくなるのだ。

仕方がなかった。

そして……


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


それによって、ようやくティアルは止まった。

その反動で肩からも腕が抜け、スパイルはホッと息を漏らす。

出血もダメージも体力も何もかもがギリギリだ。

ほとんど根性で立っている。

しかし、

スパイルがそれで顔を上げると、


「スパァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアイルッッッ!!」


ティアルはさらなる怒りと憎しみで、再び立ち上がってきた。

まだ戦えるようだった。

体にヒビは入っているものの、最初ほどじゃない。

予想されていたのだろう。

分かっていたのだろう。

体力も何もかも余裕のある状態で、ティアルは再び獣のような咆哮を上げる。

スパイルは、絶望に駆られた。


「嘘だろ……」


勝てないーー。

そう思った。

体力も何もかもがギリギリなスパイルに対し、スパイルの方が全体的に押しているにも関わらず、ティアルはまだピンピンしているのだ。

圧倒的な力の差ーー。

絶望的才能の差ーー。

もはや無尽蔵とすら思えるスタミナに、スパイルの必殺技を何千と撃ち込まれようともくたばらない防御力ーー。

そこにあの変幻自在な攻撃とパワーがやってくるのだ。

終わりが見えない。

どうしたら殺せるのか分からない。

もう心が折れそうだった。

もはや人間相手とは思えない。

人と戦っている気がしない。

ここまでの戦力差は……

想定していない。

スパイルは、戦慄を禁じ得なかった。

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