復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第十一話】ティアル・サーライト 13

「ぐはぁぁあああああああああああああああああああああッ!!」


ティアルから放たれた蹴りは拳以上の威力だった。

ガードした腕が悲鳴を上げ、未だに衝撃が体中を蝕んでいる。

体が何度も血をバウンドし、意識が飛びそうになる。

しかし、

ティアルはそこで、またしてもスパイルに追い縋ってきた。

もはやお決まりのように、自分で吹き飛ばしたばかりのスパイルを自分で追いかけてくる。

トドメを刺すつもりだ。

さっきまで50メートルの剣のようだった両腕は、いつの間にか両腕とも槍のような形状になっていた。

ティアルは跳び、スパイルの上で両腕を構える。


「カァァァァァァァァァァァ!!」


一瞬、ティアルの腕が消えたように見えた。

ティアルは両腕の槍をマシンガンのように連続して放ってきたのだ。


「くそォ!!」


スパイルは咄嗟に炎を吐いて、反動で後ろに下がる。


ドドドドドドドドドドォォォオオオ!!


スパイルの目の前の地面が一瞬にして抉り取られた。

あんなのに当たったら木っ端微塵だ。

文字通り粉々にされてしまう。


「避けるなってェ!!言ってんだろうがァァアアアア!!!!」


ティアルは槍状になった片方の腕を、スパイルに向けて伸ばしてきた。

スパイルの顔面にまっすぐ向かってくるそれを、スパイルは間一髪爪で防ぐ。

またしても後ろに吹き飛ばされるが、ティアルはそこに連続して腕を伸ばしてきた。


「く、し、ざ、し、だァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


そこから暴風のように繰り出される手と手と手と手と手と手と手と手と手と手と手と手と手。

ティアルは両腕を何度も何十度も前へ前へと伸ばし、先端が槍状になったそれを、何百何千と突き出してくる。

まるで突きの嵐、いや壁だ。

連続して行われる突きの猛ラッシュ。

とうとう、スパイルの体にも被弾した。


「ぐあァァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!」


スパイルの肩に、ティアルの尖った腕が深々と突き刺さる。

槍状になったそれは完全に向こう側まで貫通し、ティアルはニタァァァァと嫌らしく笑った。

ティアルはスパイルの肩に貫通させたそれを固定すると、そこから引っ張るように腕を戻していく。

そして、

口を大きく開けた。


「いただきまぁぁぁぁすッ!!」


すぐに分かった。

ティアルはこのまま食うつもりだ。

腕を戻す勢いのまま、あの牙のような歯で、スパイルに噛みつこうとしているのだろう。

スパイルは瞬間的に息を吸い込んだ。

もう、命に関わるなどと言っていられない。

このままだと、スパイルはティアルの腹の中で人生を終えることになる。

もはや思考するより早く、体の方が先に動いた。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


口から飛び出したブレス。

スパイルの必殺技ーー。

それはカウンターになって、ティアルに直撃した。


「ぐあァァァァァッ!!」


ティアルはそれで動きを止め、腕を戻していた時の勢いは消失する。

だが……


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