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復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第十話】母親 ④

「くそッ!!何なんだよ……ッ!!何なんだよ、それは!!」


話が終わって、スパイルは家の中で一人、怒鳴り散らした。

動揺し過ぎて再び冷静さを失っている。

さっきから感情と思考がメチャクチャだ。

冷静になっては動揺し、落ち着いたと思ったら取り乱している。


「何だよ……ッ!!何なんだよ!!くそッ!!」


あれから、

スパイルは母親の話を黙って聞き続けた。

混乱する頭で何とか思考を回しながら、母親と"父親"の間に起きた、あまりに馬鹿げた話を聞き続けたのだ。

今は母親と分かれて、ティアルの部下を家で待っている。

もうイライラが募って仕方がなかった。

感情が荒ぶって止められないのだ。

思考を回そうにも、脳が上手く機能しない。

椅子に座っているものの貧乏ゆすりが止まらず、スパイルは思わず目の前のテーブルを蹴り飛ばした。


「ふざっけんなよ!!何だってそんなことになったんだッ!!」


母親は先にディオドラス鉱山へと向かわせた。

渡した金を持って、今はディオラスの国境を抜けた辺りか。

スパイルはとうとう立ち上がって、座っていた椅子すらも蹴り飛ばした。

テーブルも椅子も部屋のあちこちに散らばって、ぱっと見は空き巣にでも入られたかのような有り様だ。

スパイルはそれでも、さっき蹴ったテーブルをもう一度蹴り飛ばす。

とうとう、テーブルは壊れた。


「何で言ってくれなかったんだ……ッ!!言ってさえくれれば……ッ!!こんな地位になんてならなかったのにッ!!」


後悔は先に立たない。

何度過去を振り返っても、過去は何一つとして変わりはしない。

それでも、

振り返ってこうしていればと考えてしまう。

例え無駄なことだと分かっていても、分かっているのに止められない。

もう自暴自棄だった。


「どうして……ッ!!どうしてなんだ!!タイミングならあったろう!?いくらでもあったじゃないかッ!!なのに何で今なんだ!?何で、こんな、もう取り返しの付かない所まで言えなかったんだ!!」


違う。

気付くことは出来た。

聞けば良かった。

話せば良かった。

会話すれば良かった。

団欒すれば良かった。

スパイルはそれをずっとしなかったのだ。

してなかったんじゃない。

敢えてしなかったのだ。

気付くことなら出来た。

ヒントはいくらでも転がっていた。

なのに、

一度もそれを、拾わなかった。

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