復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第九話】スパイルの過去 ①
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!有り得ねぇ!!マジで痛い!!本気の本気で痛い!!」
「うるせぇな。少し黙れ」
ドラルスへ向かう前に、2人はとりあえずお互いの出血状態をなんとかすることにした。
恭司の方は出血は多いものの、傷自体はあまり深くなく、ただ数が多いだけだったので、わりと早く済んだ。
空跳を筆頭に、三谷の技を無理矢理使用した激痛はまだ続いているが、それについてはしばらく休んでいれば自然と治るだろう。
今はスパイルの傷口を看ている。
恭司は治療院から持ってきた医療道具で傷口を手際よく縫い付けた。
骨折は無理でもこれくらいなら出来る。
喰斬りの傷跡は非常に複雑だが、その対処の仕方は分かっていた。
奥義書に技と一緒に書かれていたのだ。
喚くスパイルの言葉に耳を貸さず、黙々と作業を進めると、10分もした頃には完全に止血は終わっていた。
「死ぬかと思った……」
「大袈裟だ」
恭司はフラつく体を立て直しながら、とりあえず立ち上がった。
止血は終わっても、元々かなりの量の血が体から抜けているのだ。
フラつくことは何とも出来ない。
スパイルも恭司の後に立ち上がると、その背に尋ねた。
「で、これからどうするんだ?やっぱドラルスへ向かうのか?」
「……そうだな。とりあえずお互いにこの体を何とかしよう。この状態では……さすがにマズい」
「やっぱそうだよな。てか、先に物凄い重要なことを聞いておきたいんだがな……。ついて来いって言われて俺もついついそのまま了解しちまったが、お前の目的って何だ?」
「バルキー・ローズを殺すことだ」
「あぁ……」
「あぁ……って……。驚かないのか?」
「んー、正直なとこ、戦ってる時にちょっと予想ついてたかな。だってお前……ミッドカオスの『王族狩り』だろう?」
恭司は無表情ながらも、体をピクッと動かした。
スパイルはそれを見てやっぱりかと相槌をうつ。
「ここに現れたタイミングがあの落雷とほぼ同時だったからな。それに、ミッドカオスで俺とタメ張れる奴なんて、シェル・ローズやビス・ヨルゲンを除けば、王族狩りくらいのものだろうからな。簡単な推理だ」
「…………」
「で、何か策はあるのか?バルキー・ローズっていやぁかなり厄介な奴だぜ?あの数ばかりの貧弱なミッドカオスが三大国に数えられてんのはほとんどアイツの手腕と言って良い。アイツを殺すっていうんなら、こっちもそれなりの覚悟が……」
「うるせぇな。そんなことは言われなくても分かってんだよ」
恭司は眉間にシワを寄せて気怠そうにそう答えた。
バルキーのことはよく分かっている。
バルキーを殺すことばかりを夢見て、今までを生きてきたのだ。
日本国を潰された時から、復讐のためにずっと調べ続けてきたのだ。
スパイルに言われたことなど、とうの昔に理解しきってる。
恭司はスパイルに言った。
「お前は余計な詮索はしなくていい。黙って俺について来たらいいんだ」
スパイルは大袈裟に肩をひょいと竦める。
恭司がドラルスの方向へ足を進めると、その後ろについて行きながら、スパイルはさらに尋ねた。
「じゃあさ、せめてこれだけは教えてくれよ。お前がバルキーの首を狙う理由って……一体何なんだ?」
「うるせぇな。少し黙れ」
ドラルスへ向かう前に、2人はとりあえずお互いの出血状態をなんとかすることにした。
恭司の方は出血は多いものの、傷自体はあまり深くなく、ただ数が多いだけだったので、わりと早く済んだ。
空跳を筆頭に、三谷の技を無理矢理使用した激痛はまだ続いているが、それについてはしばらく休んでいれば自然と治るだろう。
今はスパイルの傷口を看ている。
恭司は治療院から持ってきた医療道具で傷口を手際よく縫い付けた。
骨折は無理でもこれくらいなら出来る。
喰斬りの傷跡は非常に複雑だが、その対処の仕方は分かっていた。
奥義書に技と一緒に書かれていたのだ。
喚くスパイルの言葉に耳を貸さず、黙々と作業を進めると、10分もした頃には完全に止血は終わっていた。
「死ぬかと思った……」
「大袈裟だ」
恭司はフラつく体を立て直しながら、とりあえず立ち上がった。
止血は終わっても、元々かなりの量の血が体から抜けているのだ。
フラつくことは何とも出来ない。
スパイルも恭司の後に立ち上がると、その背に尋ねた。
「で、これからどうするんだ?やっぱドラルスへ向かうのか?」
「……そうだな。とりあえずお互いにこの体を何とかしよう。この状態では……さすがにマズい」
「やっぱそうだよな。てか、先に物凄い重要なことを聞いておきたいんだがな……。ついて来いって言われて俺もついついそのまま了解しちまったが、お前の目的って何だ?」
「バルキー・ローズを殺すことだ」
「あぁ……」
「あぁ……って……。驚かないのか?」
「んー、正直なとこ、戦ってる時にちょっと予想ついてたかな。だってお前……ミッドカオスの『王族狩り』だろう?」
恭司は無表情ながらも、体をピクッと動かした。
スパイルはそれを見てやっぱりかと相槌をうつ。
「ここに現れたタイミングがあの落雷とほぼ同時だったからな。それに、ミッドカオスで俺とタメ張れる奴なんて、シェル・ローズやビス・ヨルゲンを除けば、王族狩りくらいのものだろうからな。簡単な推理だ」
「…………」
「で、何か策はあるのか?バルキー・ローズっていやぁかなり厄介な奴だぜ?あの数ばかりの貧弱なミッドカオスが三大国に数えられてんのはほとんどアイツの手腕と言って良い。アイツを殺すっていうんなら、こっちもそれなりの覚悟が……」
「うるせぇな。そんなことは言われなくても分かってんだよ」
恭司は眉間にシワを寄せて気怠そうにそう答えた。
バルキーのことはよく分かっている。
バルキーを殺すことばかりを夢見て、今までを生きてきたのだ。
日本国を潰された時から、復讐のためにずっと調べ続けてきたのだ。
スパイルに言われたことなど、とうの昔に理解しきってる。
恭司はスパイルに言った。
「お前は余計な詮索はしなくていい。黙って俺について来たらいいんだ」
スパイルは大袈裟に肩をひょいと竦める。
恭司がドラルスの方向へ足を進めると、その後ろについて行きながら、スパイルはさらに尋ねた。
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