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復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第八話】スパイル・ラーチェス 16

「ふぅん……。まぁ、良いや。とりあえず、やることを……先に済ませろよ」


そう言って、スパイルは座って恭司の前に首を差し出してきた。

恭司の顔つきも、自然と引き締まる。

穏やかだった空気に、緊張感が混ざり込んだ。


「俺は勝負に負け……お前は勝った。お前には俺の首を跳ねる権利がある。やるなら……早くやれ」


場がシィンと静まった。

マグマの燃え上がる音も、木々が燃えて朽ち果てる音も、今は聞こえない。

まるで世界に恭司とスパイルしかいないかのような静けさだった。


「……そうだな……」


恭司は刀に手をかける。

今まで王族狩りとして、様々な首を跳ねてきた。

男も女も子供も老人も……殺すことに躊躇うことなどなかったし、今でも殺すことに抵抗はない。

だが……

スパイルに対しては今や、殺意よりも別の感情も芽生えつつあった。

今までの恭司にはなかったものだ。

生まれて初めて"他人"に感じた感情だ。

それを、ゆっくりと口に出してみる。


「お前……俺と一緒に、来ないか?」


自分自身ですら驚くような言葉。

恭司が初めて"他人"に向けて感じた感情と考えーー。

それは一つの『興味』だった。

恭司とほぼ同等の力を持つこの男。

咄嗟の状況でも瞬時に策を巡らす頭の回転に、戦闘力。

今、恭司一人でバルキーを殺しに行くことは難しいだろう。

というより不可能だ。

ドラルスでいかに体制を整えようと、一人ではその刃を届かせるのにあと何年もかかる。

しかし……

もし、これだけの力を持つ味方が加わればどうか?

恭司と同等の力を持つスパイルと2人でならば……。


ーー三谷でもない男を仲間に引き入れるなど、今までの恭司では考えられなかったことだ。


日本国が無くなって以来、恭司は『仲間』という存在に興味を持ったことはなかった。

というより避けてきた。

また同じことを繰り返すかもしれない。

また同じ思いをするかもしれない。


(それでも……)


逸る気持ちが思考を急ピッチで巡らせる。

思わず、スパイルの表情を見た。

その表情は……笑顔だった。


「良いのか?」


内容もまだ聞いていないのに、嬉しそうに放つ言葉。

恭司は頷いた。

スパイルは立ち上がり、喜んで恭司の手を握り、ほぼ無理やり握手を交わす。


「ありがとう!!よろしくな!!」


こうして、恭司に一人、仲間ができた。

久しぶりに得る『仲間』という存在に、内心では戸惑いを感じる恭司だったが、そこには同時に喜びも混じっていた。


旅は続く。

バルキーやシェルの首をかっ斬る日もそう遠くはないと、恭司は頬を少しだけ緩めた。

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