復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第八話】スパイル・ラーチェス 12
「く、くそッ!!」
均衡は続き、2つの大技の余波が森へドンドン浸透していく。
目に見える範囲の木々は全て燃え盛っていた。
火が森を包み込む。
……と、その時、
「「ッ!!」」
2人のもとに炎上した木が一本倒れてきた。
ちょうど2人のカチ合っているど真ん中だ。
このままでは2人とも踏み潰されてしまうだろう。
恭司は一旦、技の向きを変え、均衡していた状態から抜け出した。
途端、
2人はすぐに後ろへと退き、木は何もない地面に打ち付けられる。
(危なかった……)
刹那の攻防の中で、男はホッと息をつく。
あのまま均衡が続いていれば、負けていたのは間違いなく男の方だ。
最後の最後にラストスパートをかけて同率に持ち込んだものの、肺に溜め込んだ空気の量と雨のハンデによって、それが長く続くことは決してなかっただろう。
しかし、
かといって恭司の方もあまり良い状態じゃない。
風撃閃はフィニッシュ技だ。
正直、アレで終わらせてしまうつもりだった恭司には、もう体力がほとんど残っていなかった。
コンディションと合わせ、残りの体力もほぼ五分と五分ときている。
2人は距離をそれなりに保ったまま、睨み合うようにその場で構えていた。
「おおおおおお!!」
先に仕掛けたのは恭司だった。
刀を空に一線。
男に向けて三日月を飛ばす。
男は上に跳び、これを避けるが、恭司がここからさらに追撃を重ねてくるであろうことは予想がついていた。
1つ目の三日月とほぼ同時に飛んでくる2つ目の三日月。
男は爪で弾き返し、代わりに炎の槍を繰り出す。
恭司は後ろに下がってこれを避けた。
そして、
足に力をためる。
しかし、
ためている間に再び炎の槍が襲い掛かってきた。
男の方も二重だったのだ。
恭司はこれを刀でかき消すと、男が既に前にいないことに気づいた。
右にも左にもいない。
ならば……
「上かッ!!」
上から振り下ろされる爪の攻撃に、恭司は刀で応戦し、その場にキィィンと甲高い音が響く。
そのまま鍔ぜり合いに持ち込み、2つの攻撃が互いに後ろに弾かれると共に、その場で猛烈な斬り合いが始まった。
鋭利な爪と刃物が引っ切りなしにぶつかり合い、互いに動かす手は見えない。
斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬り合って、
終わることなく、
斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬り合って斬り合い続けて、
それでも尚、
戦いは終わらなかった。
ほぼ互角。
互いに肉を削り、血を吹き出し、殺すか殺されるかの瀬戸際の中ーー。
火花が散るようなその攻防の中で、男の表情は、嬉々として笑っていた。
(楽しいッ!!)
口元の緩みが抑えきれない。
止まらない。
止まるわけがない。
"アイツ"との戦いではこうはならなかった。
これほどの高揚はなかった。
喜々爛々と長爪を振る男の姿は、どこか狂気を帯びているほどにまがまがしく、
だが、
恭司はそれとは正反対に厳しく、イラついた表情をしていた。
均衡は続き、2つの大技の余波が森へドンドン浸透していく。
目に見える範囲の木々は全て燃え盛っていた。
火が森を包み込む。
……と、その時、
「「ッ!!」」
2人のもとに炎上した木が一本倒れてきた。
ちょうど2人のカチ合っているど真ん中だ。
このままでは2人とも踏み潰されてしまうだろう。
恭司は一旦、技の向きを変え、均衡していた状態から抜け出した。
途端、
2人はすぐに後ろへと退き、木は何もない地面に打ち付けられる。
(危なかった……)
刹那の攻防の中で、男はホッと息をつく。
あのまま均衡が続いていれば、負けていたのは間違いなく男の方だ。
最後の最後にラストスパートをかけて同率に持ち込んだものの、肺に溜め込んだ空気の量と雨のハンデによって、それが長く続くことは決してなかっただろう。
しかし、
かといって恭司の方もあまり良い状態じゃない。
風撃閃はフィニッシュ技だ。
正直、アレで終わらせてしまうつもりだった恭司には、もう体力がほとんど残っていなかった。
コンディションと合わせ、残りの体力もほぼ五分と五分ときている。
2人は距離をそれなりに保ったまま、睨み合うようにその場で構えていた。
「おおおおおお!!」
先に仕掛けたのは恭司だった。
刀を空に一線。
男に向けて三日月を飛ばす。
男は上に跳び、これを避けるが、恭司がここからさらに追撃を重ねてくるであろうことは予想がついていた。
1つ目の三日月とほぼ同時に飛んでくる2つ目の三日月。
男は爪で弾き返し、代わりに炎の槍を繰り出す。
恭司は後ろに下がってこれを避けた。
そして、
足に力をためる。
しかし、
ためている間に再び炎の槍が襲い掛かってきた。
男の方も二重だったのだ。
恭司はこれを刀でかき消すと、男が既に前にいないことに気づいた。
右にも左にもいない。
ならば……
「上かッ!!」
上から振り下ろされる爪の攻撃に、恭司は刀で応戦し、その場にキィィンと甲高い音が響く。
そのまま鍔ぜり合いに持ち込み、2つの攻撃が互いに後ろに弾かれると共に、その場で猛烈な斬り合いが始まった。
鋭利な爪と刃物が引っ切りなしにぶつかり合い、互いに動かす手は見えない。
斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬り合って、
終わることなく、
斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬り合って斬り合い続けて、
それでも尚、
戦いは終わらなかった。
ほぼ互角。
互いに肉を削り、血を吹き出し、殺すか殺されるかの瀬戸際の中ーー。
火花が散るようなその攻防の中で、男の表情は、嬉々として笑っていた。
(楽しいッ!!)
口元の緩みが抑えきれない。
止まらない。
止まるわけがない。
"アイツ"との戦いではこうはならなかった。
これほどの高揚はなかった。
喜々爛々と長爪を振る男の姿は、どこか狂気を帯びているほどにまがまがしく、
だが、
恭司はそれとは正反対に厳しく、イラついた表情をしていた。
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