復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第八話】スパイル・ラーチェス ⑩
「がぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
突如、
燃え上がる大火の中から、一人の人間が飛び出した。
言わずもがな恭司のことだが、全身を隈なく損傷した恭司の体は見るも無惨なほどひどい出血を帯びていた。
体は自らの血で真っ赤に染まり、怒りに感情を支配された恭司の表情は、溢れ出す膨大な殺気を盛大に露にしている。
恭司は空中で刀を振り上げると、強大な殺気と共にその刀身を男の頭上へと振り落とした。
だが……
「太刀筋が鈍いぞォ!!」
男はそれを片方の爪だけで受け止めると、もう一つの爪で恭司の横っ腹を斬り裂いた。
「グオオオオオオオオオオオ!!」
体から血が吹き出す。
恭司の太刀筋は力強かった。
当たればその威力も大したものだったろう。
だが、
怒りで我を忘れたその攻撃はひどく単純で、いつもの鋭さはカケラも発揮されてはいなかった。
恭司の斬り裂かれた傷口からは血と共に炎が燃え上がり、出血と火傷を同時に受けているその体は、見るも無惨なほど痛々しい外見を帯びている。
その中、
一旦痛みで我を取り戻したのか、恭司は瞬時に刀を振ると、自分を囲むように小さな竜巻を作り出した。
竜巻は恭司を囲い、その強風は体に纏わり付く火を吹き消す。
一度目の爆発でも同じことをして、身に纏う火を吹き消したのだが、その際に、ほとんど鎌鼬に近いこの風は恭司の体を血だらけの真っ赤な姿へと変えてしまった。
血に燃える恭司の姿は、その表情と相俟って、まるで鬼のような見た目へと変わり、溢れ出す怒りと殺気は一気に最高潮へと突入する。
「くそったれがぁぁああああ!!ナメてんじゃねぇぞぉぉおおおおおお!!!!」
瞬間、
恭司の姿が消えた。
男に向かったわけじゃない。
むしろ逆側。
男の真っ正面からまっすぐに大きく離れ、容易には手を出せない位置へと恭司は移動する。
逃げたわけじゃない。
逃げるわけがない。
場を満たす殺気の上昇はまるで止まる様子もなく、むしろ増え続けたまま、恭司の怒りに燃える視線は男の姿を捉え続ける。
ふとして、恭司は男から何十メートルも離れた木の側面に現れた。
落ちない。
それに喰斬りと同じ構えだ。
だが喰斬りじゃない。
飛距離と殺気の大きさが違う。
男は素早く周りに炎の壁を築いた。
さっきの柱よりも分厚い。
ただ事じゃないと……肌で直感的に感じたのだろう。
男の額には大粒の汗が浮いていた。
「お前は殺す……ッ!!殺す殺す殺す殺す殺す!!光栄に思え!!この技は三谷の秘奥……ッ!!三谷の中でも頭首を受け継いだ者にしか使えぬ世界最高の刀技だ!!骨の一欠けらすらも残すものか!!肉も内臓も全てグチャッグチャにしてやる!!!!」
そう言って……
恭司は
動いた。
風が鳴る。
空気が歪む。
男は爪を構えたまま、迫りくる脅威に雄叫びを上げ、炎を燃え上がらせた。
突如、
燃え上がる大火の中から、一人の人間が飛び出した。
言わずもがな恭司のことだが、全身を隈なく損傷した恭司の体は見るも無惨なほどひどい出血を帯びていた。
体は自らの血で真っ赤に染まり、怒りに感情を支配された恭司の表情は、溢れ出す膨大な殺気を盛大に露にしている。
恭司は空中で刀を振り上げると、強大な殺気と共にその刀身を男の頭上へと振り落とした。
だが……
「太刀筋が鈍いぞォ!!」
男はそれを片方の爪だけで受け止めると、もう一つの爪で恭司の横っ腹を斬り裂いた。
「グオオオオオオオオオオオ!!」
体から血が吹き出す。
恭司の太刀筋は力強かった。
当たればその威力も大したものだったろう。
だが、
怒りで我を忘れたその攻撃はひどく単純で、いつもの鋭さはカケラも発揮されてはいなかった。
恭司の斬り裂かれた傷口からは血と共に炎が燃え上がり、出血と火傷を同時に受けているその体は、見るも無惨なほど痛々しい外見を帯びている。
その中、
一旦痛みで我を取り戻したのか、恭司は瞬時に刀を振ると、自分を囲むように小さな竜巻を作り出した。
竜巻は恭司を囲い、その強風は体に纏わり付く火を吹き消す。
一度目の爆発でも同じことをして、身に纏う火を吹き消したのだが、その際に、ほとんど鎌鼬に近いこの風は恭司の体を血だらけの真っ赤な姿へと変えてしまった。
血に燃える恭司の姿は、その表情と相俟って、まるで鬼のような見た目へと変わり、溢れ出す怒りと殺気は一気に最高潮へと突入する。
「くそったれがぁぁああああ!!ナメてんじゃねぇぞぉぉおおおおおお!!!!」
瞬間、
恭司の姿が消えた。
男に向かったわけじゃない。
むしろ逆側。
男の真っ正面からまっすぐに大きく離れ、容易には手を出せない位置へと恭司は移動する。
逃げたわけじゃない。
逃げるわけがない。
場を満たす殺気の上昇はまるで止まる様子もなく、むしろ増え続けたまま、恭司の怒りに燃える視線は男の姿を捉え続ける。
ふとして、恭司は男から何十メートルも離れた木の側面に現れた。
落ちない。
それに喰斬りと同じ構えだ。
だが喰斬りじゃない。
飛距離と殺気の大きさが違う。
男は素早く周りに炎の壁を築いた。
さっきの柱よりも分厚い。
ただ事じゃないと……肌で直感的に感じたのだろう。
男の額には大粒の汗が浮いていた。
「お前は殺す……ッ!!殺す殺す殺す殺す殺す!!光栄に思え!!この技は三谷の秘奥……ッ!!三谷の中でも頭首を受け継いだ者にしか使えぬ世界最高の刀技だ!!骨の一欠けらすらも残すものか!!肉も内臓も全てグチャッグチャにしてやる!!!!」
そう言って……
恭司は
動いた。
風が鳴る。
空気が歪む。
男は爪を構えたまま、迫りくる脅威に雄叫びを上げ、炎を燃え上がらせた。
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