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復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第七話】逃走 ⑧

「ふざけるなぁ!!こんな大事な局面で!!俺が待ちに待っていたこの状況で!!何が"たまたま"だッ!!何が"仕方なかった"だッ!!よりにもよってこんな時に!!こんなふざけた理由で!!『開戦』の火蓋を切るつもりかァ!!『ティアル・サーライト』ォォォオオオ!!!!」


ビスはその影のような男に向かって叫んだ。

その怒りは相当なものだ。

殺気が弾けるように辺りへ飛び散り、強烈な怒りと殺意が森を呑み込んでいる。


「カァーッカカカカカカァ!!いいねぇ!!痺れるような良質な殺意だ!!火照るよ滾るよ熱くなっちまうよッ!!流石は近衛部隊長だッ!!そりゃあついつい味見したくもなるってもんだろうがよ、ええおいおいおいおいおい!!」


ティアルはそんなビスの様子にも怯まない。

何一つ動じることなく、軽々飄々とノラリクラリ躱す。

ビスは、もう我慢するのを止めた。


「ブチ!!殺す!!」

「やってみろ、カァーッカッカッカァ!!」


そうして、

2人はぶつかり合った。

男は黒い手を槍のように変形させてビスに突撃し、ビスもまた、溜めていたナイフを全て解放する。

序盤から既にクライマックスのような激しい音と共に、激闘は始まりを迎えた。

数多のナイフを操る『無限武器庫』ビス・ヨルゲンと、『金属人間』ティアル・サーライトの戦いは、こうして始まったのだ。

そして、

ミッドカオスとディオラス、その両国のそれぞれの顔役が戦いを始めたことで、それは後に、『開戦』の引き金にもなった。

シェルは不在でミッドカオスとしては分が悪いが、この予期せぬアクシデントにより、両国の戦いの火蓋は切って落とされたのだ。

『三大国』として続いていた冷戦はこの日を境に終わりを迎えることになり、世は再び戦国の渦に呑まれていくことになる。

しかし、

恭司にはそんな事情は勿論関係ない。

当然、構うことはなく、2人が戦っている隙に、静かに森の中に身を潜めた。


「ま、待て、三谷!!」


ビスの声が聞こえる。

だが、

それも勿論関係ない。

恭司は素早く撤退に移り、大急ぎで"村"に向かって走っていった。

再度ビスの怒り狂った声が背中越しに聞こえてくるが、それも当然気づかないフリだ。

背後では2人による激闘の音が絶え間なく響き続けて、森中を震撼させていたが、もうそんなことに構っている暇はなかった。

そのうち雨も降り始め、恭司にとってはさらなる追い風が吹く。

動いた形跡はこれで一層見えにくくなるだろう。

兎にも角にも、

こうして、

この予想外の奇跡により、恭司は取り急ぎ死ぬことだけは避けることが出来たのだ。

状況は未だによく分からないものの、相当に幸運だったと言える。

恭司は森にある薬草を駆使しつつ、背後の気配を気にしながら前へと進んで、3日も経った頃には、第一目標である『ヒューゴ村』へと辿り着くことが出来た。

その頃には雨も相当酷くなっており、このままでは嵐となるだろう。

恭司は体や精神の疲れもあって、早々に村へと入っていった。

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