復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第七話】逃走 ⑤
「ハハ!!ハハハハハハハハハハ!!ようやく捉えたぞ、三谷!!よもやあの時の雪辱を果たせる時が来るとは思っていなかったッ!!感謝してるよッ!!問題ないと次に行ったら、"いつも"お前らはそこにいたからなァ……!!引き返して正解だったッ!!」
ビスはそう言って地上に降りてくると、何事もなかったように歩み寄ってきた。
恭司は刀を構える。
今はまだ三谷の技も充分に使えない。
どこまでも逃げに徹する必要がある。
「おーっと!!出会って早々サヨナラなんて悲しいことは勘弁してくれよ~?こっちは、あの時の借りを返したくて返したくて……ッ!!仕方がなかったんだからなァァアアアア!!!!」
ビスはそう言うと、問答無用に数多のナイフを繰り出してきた。
桁のおかしい大量のナイフによる投擲は一瞬で恭司の視界を奪い、恭司は辛くも応戦する。
素の刀技で迫るナイフを打ち落とし、隙を見つけては移動を繰り返した。
しかし、
「さあ!!お楽しみの時間だ!!」
途端に描かれる正方形。
恭司を囲むように忍ばされた術符付きのナイフが、互いに赤い線で結ばれ合った。
「ッ!!」
早速の大ピンチだった。
数多のナイフをまともに打ち落としていたのがマズかったのだろう。
足止めだと気付いた頃にはもう遅い。
恭司は歯をグッと噛み締める。
体の状態は最悪で、成功するかどうかすら怪しいが、こうなっては仕方がなかった。
恭司は放つ。
三谷の基本技が一つ、『瞬動』。
「あぁ!?」
正方形が真っ赤に染まった瞬間、恭司の体は近くの木の枝の上にあった。
正方形は誰もいない所で火柱を上げ、恭司はホンの一瞬だけ息を吐く。
途端、
体中が痺れ上がるほどの激痛が走った。
息が荒れ、全身から滝のような汗が流れ落ちる。
本来ならもっと遠くに移動できるはずの瞬動で、たったこれだけしか移動出来なかったにも関わらず、恭司の体は悲鳴を上げていた。
いつも呼吸するように使っていた"基本技"とは到底思えない。
筋肉が軋み上がり、限界を訴える痛みが体中を駆け回る。
だが、
(今は……ッ!!耐えるしかないッッ!!)
限界だろうと何だろうと、使わなければ死ぬ。
コレはもうそこまでの状況だ。
恭司は泣き叫びたくなるほどの痛みを堪えながら、再び走り出した。
「クックックックッ!!かくれんぼの次は鬼ごっこかァ!?逃がすわけないだろうがぁッ!!」
ビスは再び嵐のようにナイフを放ってきた。
夥しいほどのナイフの群れは恭司を背後から襲い、恭司はギリギリの所で避け続ける。
足を止めれば終わりだ。
またさっきみたいに術符で包囲される。
そうなればもう抗う手立てが無い。
ビスはそう言って地上に降りてくると、何事もなかったように歩み寄ってきた。
恭司は刀を構える。
今はまだ三谷の技も充分に使えない。
どこまでも逃げに徹する必要がある。
「おーっと!!出会って早々サヨナラなんて悲しいことは勘弁してくれよ~?こっちは、あの時の借りを返したくて返したくて……ッ!!仕方がなかったんだからなァァアアアア!!!!」
ビスはそう言うと、問答無用に数多のナイフを繰り出してきた。
桁のおかしい大量のナイフによる投擲は一瞬で恭司の視界を奪い、恭司は辛くも応戦する。
素の刀技で迫るナイフを打ち落とし、隙を見つけては移動を繰り返した。
しかし、
「さあ!!お楽しみの時間だ!!」
途端に描かれる正方形。
恭司を囲むように忍ばされた術符付きのナイフが、互いに赤い線で結ばれ合った。
「ッ!!」
早速の大ピンチだった。
数多のナイフをまともに打ち落としていたのがマズかったのだろう。
足止めだと気付いた頃にはもう遅い。
恭司は歯をグッと噛み締める。
体の状態は最悪で、成功するかどうかすら怪しいが、こうなっては仕方がなかった。
恭司は放つ。
三谷の基本技が一つ、『瞬動』。
「あぁ!?」
正方形が真っ赤に染まった瞬間、恭司の体は近くの木の枝の上にあった。
正方形は誰もいない所で火柱を上げ、恭司はホンの一瞬だけ息を吐く。
途端、
体中が痺れ上がるほどの激痛が走った。
息が荒れ、全身から滝のような汗が流れ落ちる。
本来ならもっと遠くに移動できるはずの瞬動で、たったこれだけしか移動出来なかったにも関わらず、恭司の体は悲鳴を上げていた。
いつも呼吸するように使っていた"基本技"とは到底思えない。
筋肉が軋み上がり、限界を訴える痛みが体中を駆け回る。
だが、
(今は……ッ!!耐えるしかないッッ!!)
限界だろうと何だろうと、使わなければ死ぬ。
コレはもうそこまでの状況だ。
恭司は泣き叫びたくなるほどの痛みを堪えながら、再び走り出した。
「クックックックッ!!かくれんぼの次は鬼ごっこかァ!?逃がすわけないだろうがぁッ!!」
ビスは再び嵐のようにナイフを放ってきた。
夥しいほどのナイフの群れは恭司を背後から襲い、恭司はギリギリの所で避け続ける。
足を止めれば終わりだ。
またさっきみたいに術符で包囲される。
そうなればもう抗う手立てが無い。
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