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復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第七話】逃走 ②

(取り急ぎは、それが第一目標だな)


恭司は一旦の段取りをつける。

すると、

目当ての物を一つ見つけた。


「あった……」


カササギ草だった。

草から放出される成分で、出血を一時的に止める効果がある。

恭司はそこで足を止めると、手早く摘み取った。

即座に衣服を引きちぎり、包帯代わりにして、カササギ草を固定する。

これで、少しの間出血を止められるはずだ。


「……急がないと」


素早く処置を終え、恭司は再度走り出した。

止血出来たのは良いが、一時的なものに過ぎない上、他はまだ何も解決していない。

だが、

首都ともある程度離れたからか、求めていた薬草がチラホラと散見できるようになってきた。

恭司は再度足を止める。

今度はマルドキノコだ。

基本的には毒キノコだが、ちゃんと処置をして必要な所だけを使えば、頭痛や目眩などの症状を緩和できる。

恭司は手早くキノコの処置を行った。


(敵はいつ来るか分からない。まだ時間的に余裕はあるだろうが、瞬動が使えない今、急がないとな……)


恭司は再び走り出す。

このペースで走れば、一旦の目的地である『ヒューゴ村』には2~3日ほどだろうか。

瞬動の使えない今の現状がもどかしい。

今はただ、こうやって地道に走っていくしかないのだ。

ある程度離れたら休憩も取らなければならない。

今の体力ではずっと走り続けることは不可能だ。

なるべく離れた所で、体を休めなければならない。

そこが正念場だ。


(願わくば、敵の追手が愚鈍な兵士どもだと助かるんだが……)


休憩で足を止めた時点で、ミッドカオスから放たれた追手とは確実にぶつかる。

その時こそ勝負だ。

木の陰に身を潜め、何とかやり過ごすしかない。

しかし、

そんなことを思っている恭司の耳に、微かだが音が聞こえてきた。

キィィィィンと、空気を裂いて進むような音で、それはどんどん大きくなってくる。

恭司はギョッとして後ろを振り返った。

まだ走り始めてから1時間と経っちゃいない。

まさかこんなに早いとは、流石に思わなかった。


「クックックックックッ!!さぁて、どこかなぁ?どこかなぁ!?」


見ると、宙を滑走するナイフに足を置いた、『ビス・ヨルゲン』がそこにいた。

ビスは森の木々の上から、楽しそうな笑顔で森を見回している。

恭司は胸がザワつくのを感じた。

どうりでこんなに早かったわけだ。

ビスのことは恭司も知っている。

まだ幼かった、"あの時"。

全てを失ったあの戦争前に、自分たちの前に2度も現れた男だ。

ナイフを湯水の如く宙に生み出し、空中を飛ばすことのできる超能力者で、最後は陰陽術まで行使していた。

そして……

そして何より、


(修吾おじさんの仇……ッ!!)


父の側近であり、優香の父親。

自分のことについても、産まれた頃から何度も世話を焼いてくれた人だった。

思わず自分の胸ぐらをグッとを掴む。

思い出したら抑えきれなくなってきた。

コロシタクテシカタガナイ。

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