復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第六話】王族狩り 17
「おいおい、ずいぶんしぶといなぁ。流石にここまで粘られると萎えてくるよ」
シェルはそう言うと、ため息を吐きながら歩み寄ってきた。
もう恭司に反撃する余力はない。
そう判断してのことだ。
シェルは剣を恭司に向け、今一度構える。
直接斬るつもりだ。
「僕も二度の雷でエネルギーを消費し過ぎてしまったからね。"もう使えない"し、最後はコレで締めるとするよ」
恭司は体をピクリと揺らした。
『もう使えない』と、シェルは言った。
残りは自力の剣術のみだということだ。
恭司はない力を振り絞って立ち上がる。
シェルは感心に目を大きくした。
「ほぉぉぉ、いい漢気だ。流石は『三谷』……。とでも言っておくよ。君との戦いはとても熱くて、楽しかった」
シェルはそう言って剣を振り上げる。
隙の一つも見つけられないほど綺麗なフォームで、恭司はそれを睨み付けるように見ていた。
決して見逃すまいと、目を大きくしながら、その瞬間を待っていた。
シェルはその様子を確認しつつ、剣を振り下ろす。
そのフォームはやはりとても綺麗で、隙なんてどこにもなかった。
どこまでも油断しない男だ。
その攻撃はここに至っても正確無比で、反撃された時のことまでしっかり織り込まれている。
万が一すら許さないつもりだ。
そして、
恭司はその剣筋を見ながら、ギリギリの所で技を行使する。
ラスト1回の三谷の技。
最後の最後に残された、唯一の活路。
それを放つ。
ーー基本技が一つ、『瞬動』。
恭司の体は、その瞬間、まるで瞬間移動のように消え去った。
「やはりかァ!!」
シェルの振り下ろした剣は空を斬るが、シェルは待ってましたとばかりに反撃に対する準備を整えた。
雷使いとしての反射神経はもちろんそのままだ。
油断も勿論していない。
何が来ようとも防いでカウンターを与える準備は出来ていた。
しかし、
「………………どうなっている……」
反撃は結局こなかった。
全ての準備を終え、いつ来られても大丈夫だったのに、何もこなかった。
何なら恭司自身の姿すらない。
瞬動を使って移動したはずだが、ここにはもうシェル以外誰もいなかった。
シェルはハッとすぐに気付いて、思わず身をプルプルと震わす。
そう、
シェルは、もうエネルギーを消費し過ぎて雷技を使えないのだ。
つまり、
『雷伝』も使えない。
シェルは思わず叫ぶ。
「逃げやがったかぁぁぁあああ!!」
声だけで衝撃が走り、殺気が辺りに弾け飛んだ。
今日で一番だった。
シェルは血が出るほど歯を食い縛り、己が失策を呪う。
カウンターの用意ではなく、逃げられないようにするべきだった。
まさかあの局面で『逃げる』と思えなかったのが、全ての要因だ。
シェルはそう言うと、ため息を吐きながら歩み寄ってきた。
もう恭司に反撃する余力はない。
そう判断してのことだ。
シェルは剣を恭司に向け、今一度構える。
直接斬るつもりだ。
「僕も二度の雷でエネルギーを消費し過ぎてしまったからね。"もう使えない"し、最後はコレで締めるとするよ」
恭司は体をピクリと揺らした。
『もう使えない』と、シェルは言った。
残りは自力の剣術のみだということだ。
恭司はない力を振り絞って立ち上がる。
シェルは感心に目を大きくした。
「ほぉぉぉ、いい漢気だ。流石は『三谷』……。とでも言っておくよ。君との戦いはとても熱くて、楽しかった」
シェルはそう言って剣を振り上げる。
隙の一つも見つけられないほど綺麗なフォームで、恭司はそれを睨み付けるように見ていた。
決して見逃すまいと、目を大きくしながら、その瞬間を待っていた。
シェルはその様子を確認しつつ、剣を振り下ろす。
そのフォームはやはりとても綺麗で、隙なんてどこにもなかった。
どこまでも油断しない男だ。
その攻撃はここに至っても正確無比で、反撃された時のことまでしっかり織り込まれている。
万が一すら許さないつもりだ。
そして、
恭司はその剣筋を見ながら、ギリギリの所で技を行使する。
ラスト1回の三谷の技。
最後の最後に残された、唯一の活路。
それを放つ。
ーー基本技が一つ、『瞬動』。
恭司の体は、その瞬間、まるで瞬間移動のように消え去った。
「やはりかァ!!」
シェルの振り下ろした剣は空を斬るが、シェルは待ってましたとばかりに反撃に対する準備を整えた。
雷使いとしての反射神経はもちろんそのままだ。
油断も勿論していない。
何が来ようとも防いでカウンターを与える準備は出来ていた。
しかし、
「………………どうなっている……」
反撃は結局こなかった。
全ての準備を終え、いつ来られても大丈夫だったのに、何もこなかった。
何なら恭司自身の姿すらない。
瞬動を使って移動したはずだが、ここにはもうシェル以外誰もいなかった。
シェルはハッとすぐに気付いて、思わず身をプルプルと震わす。
そう、
シェルは、もうエネルギーを消費し過ぎて雷技を使えないのだ。
つまり、
『雷伝』も使えない。
シェルは思わず叫ぶ。
「逃げやがったかぁぁぁあああ!!」
声だけで衝撃が走り、殺気が辺りに弾け飛んだ。
今日で一番だった。
シェルは血が出るほど歯を食い縛り、己が失策を呪う。
カウンターの用意ではなく、逃げられないようにするべきだった。
まさかあの局面で『逃げる』と思えなかったのが、全ての要因だ。
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