復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第六話】王族狩り 15

「こんな万全の状態で放たれても当たるかよォ!!"王の裁き"を与えてやる!!」


シェルは剣を天に向けるように振り上げた。

自らの真上を指すかのような動きだが、そこから間髪入れずに王族狩りに向けて振り下ろす。

雷撃砲による正面衝突ーー。

竜巻を体に纏いながら宙を飛ぶ恭司は、そう判断した。

コレはさっきまでの風撃砲とは訳が違う。

それなら勝てると思って、シェルに向かった。

勝利のビジョンしかなかった。

他には何も考えていなかった。

しかし、

シェルの振った剣の切っ先から何も出なかったのを見て、流石に気付いた。

雷撃砲も、球体も、何も出なかったのを見て、いくらなんでも気付いた。

世界が一瞬ーー

止まったのかと思った。

だが、

状況は否応無しに動き出す。

シェルの攻撃は不発でも何でもなく、しっかり発動していたのだ。

天から感じる存在感。

よく知ってる気配。

瞬時に気付いて上を見ると、

いつの間にか展開されていた雨雲が、今にも光り出す所だった。

思わず"あの時"のことを思い出すーー。

皆を散々殺した、悪夢の一撃。

シェルの切り札、『王の裁き』。


ドガァァァァァァァァァァァ!!!!


要は落雷だった。

一瞬の交錯。

シェルへとまっすぐ向かう竜巻の横っ腹を抉るように、上から雷が落ちてきたのだ。

視界がまたしてもホワイトアウトし、衝撃が雷撃が自らに襲い掛かってくる。

涙が出そうだった。


「なん……で……」


横っ腹を食い破られる形となった風撃閃は、その一瞬で瞬く間に崩壊した。

恭司は派手に吹き飛ばされ、地を滑るように何度も地面をバウンドし、その度に体を痛め付けられた。

背中はズル剥け、体の至る所に傷を負い、全身が痺れを訴えている。

雷撃が恭司の体を打ち、口からは血が飛び出て、意識を失いそうになるのも一度や二度ではなかった。

ダメージ量は深刻。

コレで死んでもおかしくなかった。

もう満身創痍で、精神的にも追い詰められている。

今はただ生きているに過ぎない。

そして、

そこに、

シェル・ローズは容赦なく追い討ちの雷撃砲を放つ。


「~~~~~~ッ!!」


恭司はギリギリの所で風の障壁を展開し、直撃は防いだものの、体はまたしても遠くへ吹き飛ばされた。

ピンボールのように地面を滑走し、体を痛め付けられる中、木々の一つにぶち当たってようやく動きを止める。

もう何が何だか分かっていなかった。

皆の仇だと、

思い知らせたいと思って三谷の秘奥まで用いたのに、

シェルはそれすら逆手にとって攻撃を当ててきたのだ。

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