復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第六話】王族狩り 14

「ハッハァ!!イイね!!好みのタイプだ!!こういう状況でなければ口説くものを!!」


シェルは雷の球体をここ一番で大量に作り出すと、恭司に向けて一斉に放った。

宙を飛ぶ数多の雷の球体はそれぞれがまっすぐ恭司に向かい、恭司にトドメを刺さんと空中を疾走する。

しかし、

恭司は刀を振り上げると、数多の球体を一閃で斬り落とした。

振ったのは1回で、巨大な三日月が全てを丸呑みにしたのだ。

恭司は叫ぶ。


「お前だけは許せない……ッ!!絶対に!!絶対にブチ殺す!!」

「アハーハァ!!やってみるがいいッ!!あの時の汚点を注いでやるゾォ!!」


途端、

両者から凄まじい殺気と圧力が放出された。

冷ややかな殺意と熱い闘志が激突し、身を震わすほど恐ろしい迫力が場を包みこむ。

恭司の周りを渦を巻く大風は凶暴なほどに激しく吹き荒れ、シェルは今までにないほどの巨大な電流を身に纏った。

これこそ、

正真正銘、2人の本気の姿だ。

もうとっくに人間同士の戦いの枠には収まっていない。

神話やファンタジーの世界だ。

風と電流は空中で何度もぶつかり合い、いつ始まってもおかしくない一触即発の緊急事態と化している。

恭司はそんな中、一も二もなく真っ先に攻撃を仕掛けた。


「#@gaj/jujmugm#ッ!!」


もはや言葉にすらなっていない叫び声を上げ、恭司は特大の大三日月を網状に30発放つ。

シェルの視界は全てが風の刃によって埋め尽くされ、まるで死が津波のように押し寄せてくるかのようだった。

しかし、

シェルは剣を大きく上に振りかぶると、地面に当たるほど力強く降って、超巨大な雷の刃を作り出す。

雷の刃と風の刃は2人の中央でぶつかり合い、それがスタートの合図になった。

風と雷による巨大なエネルギー同士がぶつかった衝撃で瞬間的に視界が遮られ、たった一瞬の間が空く。

そして、

視界が晴れる頃には、恭司は既に前屈みになっていた。

太腿が風船を膨らますかのように肥大化していき、風が恭司の周りを包むように吹き荒れる。

もう待たない。

やるつもりだ。


「ハハァ!!ビスを退けた技かッ!!貴様の正体も分かったぞ!!あの砲撃からよく生きていたなッ!!」


シェルは尚も挑発する。

恭司は目から血を流すほどに狂乱した。

あの日のことは、10年経った今でも鮮明に覚えている。

子どもたちが、修吾が……

そして、

優香が亡くなった日だ。


「ああああああああああ!!皆をよくもォォォオオオ!!優香ァァアアアア!!」


王族狩りの足下の地面が割れる。

バキバキに破壊された地面を踏みしめ、王族狩りはパンパンに膨らんだ太腿の筋肉を爆発させると、そのままロケットのように突っ込んだ。

これこそ、

三谷の秘奥が一つ、『風撃閃』。

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