復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第六話】王族狩り ⑩
「ゲヒャヒャヒャ!!アヒャーッハハハハハハァァアア!!」
笑う度に、シェルの剣撃は鋭く重くなっていった。
より精密に、より力強く、より鋭利的に、より狂気的になっていった。
シェルは大口を開け、雄叫びを上げる。
いつもの皇太子としてじゃない。
素のシェル・ローズが、そこにいた。
「楽しいいいいいいい!!楽しいなぁ!!王族狩りィ!!こんな興奮めったと味わえない!!まさかこの僕と!!1対1で渡り合うなんてッ!!」
「気色悪いッ!!さっさと死ね、狂乱者が!!」
王族狩りは怒りに声を荒げつつ、目にも留まらぬ連撃を仕掛け続けた。
刀身など傍からは一切見受けられず、それどころか王族狩り本人の姿すら見えない。
瞬動で風のように動き回る上に超高速な技を常に連撃しているのだ。
普通なら、もう数えきれないほど殺している。
(くそッ!!くそくそくそくそくそッ!!何をヘラヘラしている!!何をゲラゲラと笑っているッ!!俺が……!!俺がこの時をどれだけ待っていたと思っているんだ!!)
王族狩りの攻撃は苛烈さを増すばかりだった。
力強さはどんどん増していき、速さもまたどんどんどんどん速くなっていく。
シェルも流石に手傷を負い始めたが、それでもシェルの笑みは消えなかった。
より不気味に、より気持ち悪く、より悪魔的になっていった。
王族狩りに合わせてシェルの剣身もまた速く動き、力強くなって、雷迅の速度も上がっていく。
ーーシェルは、この戦闘で成長を始めていた。
(あぁ……ッ!!この時間がッ!!もっと長く続けば良いのに……ッ!!)
高鳴る鼓動。
蓄積される経験値。
この殺し合いの中、シェルのテンションは上がる一方だった。
いなかったのだ。
今まで。
シェルと渡り合える人間は。
幼き頃から天才で、武力だろうと学力だろうと権力だろうと誰も叶わない存在であることに、シェルはいつも退屈を感じていた。
渡り合えるのはディオラスの『ティアル・サーライト』か、メルセデスの『ウィズ・ローゼス』くらいだと思っていた。
でも違った。
ここにいた、宿敵は。
シェルはさらなる雷を纏い、攻撃する。
次の段階だ。
「褒美をくれてやる!!ここからは本気モードだ!!」
すると、
シェルを纏う雷の量が急激に増加した。
雷迅で既に纏われていた雷がさらにその密度と大きさを増し、凄まじい圧力と衝撃が走る。
足からもそれは放出され、地面にも多くの雷が走り回った。
王族狩りはそれを見て上に跳び、一旦木の枝に着地する。
あからさまに危険な気配がした。
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