復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第六話】王族狩り ⑧

「過去のことは知らん!!僕はまだ幼かったんだ!!よく分かってなかったし仕方ないだろう!!」


王族狩りは素早く着地すると、体をワナワナと震わせた。

言葉を遮って攻撃してきた挙句にこの物言いに、我慢の限界はとうに飛び越えている。

王族狩りから放たれる殺気はより密度を増し、場は凍えるような殺意の嵐に呑まれた。


「もう死ねッ!!肉片すら残してやると思うなぁぁぁああああ!!!!」


三谷の奥義が一つ、『風撃砲』。

王族狩りの刀の切っ先から横向きの竜巻が放たれる。

シェルもまた剣の切っ先を向け、横向きの雷を放った。

シェルの雷技が一つ、『雷撃砲』。


ダァァァン!!!!


両者の放った攻撃はちょうど中間地点でぶつかり合い、凄まじい衝突音と衝撃が響いた。

膠着したかに見えたその戦況はすぐに移り変わり、両者ともにその場から姿が消え、別の場所で剣と刀が鍔迫り合う。

瞬動と雷迅ーー。

両者とも同じ動きで牽制し合い、それは次なる戦いを呼んだ。

さっき放った風撃砲と雷撃砲が互いに破裂し合う中、両者は至る所で金属同士の衝突音を響かせる。

瞬動と雷迅による高速の斬り合いだった。


「まさかとは思うが、自分ばかりが不幸だとでも思っているのか!?貴様は既に!!僕が用意した精鋭500人を細切れにしたじゃないかッ!!お互い様だろう!!」

「黙れッ!!」


もはや傍からは見えないほど圧倒的速度で戦う両者は、戦場を見るも無惨なほど無茶苦茶にしていた。

瞬動と雷迅に、風撃砲と雷撃砲ーー。

似たような技が両者ともに繰り出される中、地面が建物が次々と破壊されていく。

地形はあっという間に以前と別物になってしまい、決着はなかなか付かなかった。

轟音と衝撃が辺りに響き渡り、森がどんどん死滅していく。

さらには、

刀術と剣術の達人同士による、風と雷の乱舞で、ミッドカオスはかつてないほどの大地震に苛まれていた。

地面がガタガタと縦揺れし、空気が津波のように波打って、もはや景色が歪むかのような有様だ。

天災と言ってもいい。

自然現象をも操る両者の戦いにより、ミッドカオスは生まれて初の災厄による恐怖の只中にあった。

しかし、

シェルは"そんなこと"は意にも介さず、雷迅で王族狩りとの戦闘を継続しながら、"周り"の戦力を確認する。

森の中に配置していた"戦力"は、上手く機能しているようだった。

シェルは内心でほくそ笑む。

ミッドカオスの真骨頂は、あくまで"集団戦"だ。


「貴様に面白いものを見せてやろう!!単身で乗り込んできたことを後悔するがいいッ!!」


すると、

シェルはおもむろに手を上げ、その瞬間に森の中から数多のミッドカオス兵が出てきた。


「何?」


王族狩りは苛立ちの視線を彼らに向ける。

しかし、

次の瞬間にはその目を見開くこととなった。

100名以上いるであろう彼らの手には、その全員に『銃』が持たされていたのだ。

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