復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第六話】王族狩り ⑦
「は?」
シェルは目を離したつもりはなかった。
むしろ集中して見ていたくらいだ。
何が起きたのか分からない。
王族狩りは一瞬の如き速さでシェルの前に躍り出ると、即座に刀を振り、シェルの首を斬り飛ばしにかかっていた。
シェルは間一髪剣を滑り込ませてそれを防ぐも、あまりの勢いに体制を崩される。
防げたのは雷使いとしての反射神経があったおかげだった。
最初の三日月を防いだ時もそうだったが、シェルは体内に常時電流を循環させ、自分に危機が迫ると体が反射的に動くように訓練している。
雷伝と組み合わせ、生命に危険が及ぶと勝手に防ぐようにしているのだ。
だから、
王族狩りの攻撃を防いだ今も、頭はまだ追い付いていない。
分かっているのは不意をつかれたことと、攻撃されたことだけだ。
そして、
一度マバタキした頃には、もう次の攻撃の準備が整っている。
王族狩りはその場から動かずに刀を振り、宙を飛ぶ風の刃を放ってきた。
その数は1、2、3、4、5連撃。
たった数秒の交錯の中、5つの刃が同時にシェルを襲い、シェルはその内の3つを剣で弾いて、残りは避けた。
また崩される体制。
王族狩りはそこにさらにさらにの追撃を仕掛ける。
シェルも流石に反応した。
「ナメるなァ!!」
雷を纏った剣を一閃。
その瞬間、
シェルを囲うように雷の壁が形成された。
またしても放たれていた三日月はそこで阻まれ、シェルは無事に地面へと着地する。
仕切り直しだ。
「兵の惨殺と言いコレと言い、さっきから随分と好き放題やってくれるなァ!!王族狩り!!貴様の正体はもう分かっているぞ!!さっさとその気色悪い面を外したらどうだ!?」
「…………」
シェルに怒鳴られ、王族狩りは一度動きを止めた。
勿論、怖気付いたなどということはない。
王族狩りもまた、怒りに身を震わせているようだった。
「好き放題だと……?分かっているだと……?よくもまぁ、ヌケヌケと言ってくれるものだな……」
強い怒りと憎しみのこもった声。
初めて聞いたその声は低く、喋る度に場が冷え込むかのようだった。
シェルは剣を構え、警戒レベルを上げる。
何かしてきそうな気配がした。
「俺はこの日をずっと待ち望んでいたんだ……。ローズ家……いや、ミッドカオス、貴様らを地獄に叩き落とすために」
「…………」
「貴様に分かるか?仲間を……友達を……父を家族を皆を!!大切な人を全て奪われた人間の気持ちがッ!!」
「………………」
「長かった……。とても長かったよ。修吾おじさんから受け取った秘伝書をもとに、俺はこの10年、ずっと修練に捧げてきたんだ。全ては貴様らを!!全員ブチ殺すためになぁ!!」
(修吾……。柊修吾か……。確か三谷一族の参謀だったな)
シェルはあくまでも冷静に分析する。
頭は王族狩りの殺し方で一杯だった。
シェルは元々、"短気で理不尽で高圧的"だ。
「特に貴様ら親子だけは決して許す事が出来ない!!貴様とバルキー・ローズだけは!!この手で必ず殺s」
「知るかぁぁああああ!!」
シェルの雷技が一つ、『雷撃砲』。
王族狩りの言葉を遮り、シェルの持つ剣の切っ先から横向きの雷が飛び出した。
王族狩りにまっすぐ向かう雷の放射は、さしずめ光線のような代物だ。
速すぎて普通は目でも追えない。
しかし、
王族狩りはそれを横に跳んで避けると、シェルはそこに雷迅で一気に距離を詰め、剣を振り下ろした。
王族狩りは空中でそれを受け止めるが、そのまま後ろに弾き飛ばされる。
シェルは再び切っ先を王族狩りに向け、叫んだ。
シェルは目を離したつもりはなかった。
むしろ集中して見ていたくらいだ。
何が起きたのか分からない。
王族狩りは一瞬の如き速さでシェルの前に躍り出ると、即座に刀を振り、シェルの首を斬り飛ばしにかかっていた。
シェルは間一髪剣を滑り込ませてそれを防ぐも、あまりの勢いに体制を崩される。
防げたのは雷使いとしての反射神経があったおかげだった。
最初の三日月を防いだ時もそうだったが、シェルは体内に常時電流を循環させ、自分に危機が迫ると体が反射的に動くように訓練している。
雷伝と組み合わせ、生命に危険が及ぶと勝手に防ぐようにしているのだ。
だから、
王族狩りの攻撃を防いだ今も、頭はまだ追い付いていない。
分かっているのは不意をつかれたことと、攻撃されたことだけだ。
そして、
一度マバタキした頃には、もう次の攻撃の準備が整っている。
王族狩りはその場から動かずに刀を振り、宙を飛ぶ風の刃を放ってきた。
その数は1、2、3、4、5連撃。
たった数秒の交錯の中、5つの刃が同時にシェルを襲い、シェルはその内の3つを剣で弾いて、残りは避けた。
また崩される体制。
王族狩りはそこにさらにさらにの追撃を仕掛ける。
シェルも流石に反応した。
「ナメるなァ!!」
雷を纏った剣を一閃。
その瞬間、
シェルを囲うように雷の壁が形成された。
またしても放たれていた三日月はそこで阻まれ、シェルは無事に地面へと着地する。
仕切り直しだ。
「兵の惨殺と言いコレと言い、さっきから随分と好き放題やってくれるなァ!!王族狩り!!貴様の正体はもう分かっているぞ!!さっさとその気色悪い面を外したらどうだ!?」
「…………」
シェルに怒鳴られ、王族狩りは一度動きを止めた。
勿論、怖気付いたなどということはない。
王族狩りもまた、怒りに身を震わせているようだった。
「好き放題だと……?分かっているだと……?よくもまぁ、ヌケヌケと言ってくれるものだな……」
強い怒りと憎しみのこもった声。
初めて聞いたその声は低く、喋る度に場が冷え込むかのようだった。
シェルは剣を構え、警戒レベルを上げる。
何かしてきそうな気配がした。
「俺はこの日をずっと待ち望んでいたんだ……。ローズ家……いや、ミッドカオス、貴様らを地獄に叩き落とすために」
「…………」
「貴様に分かるか?仲間を……友達を……父を家族を皆を!!大切な人を全て奪われた人間の気持ちがッ!!」
「………………」
「長かった……。とても長かったよ。修吾おじさんから受け取った秘伝書をもとに、俺はこの10年、ずっと修練に捧げてきたんだ。全ては貴様らを!!全員ブチ殺すためになぁ!!」
(修吾……。柊修吾か……。確か三谷一族の参謀だったな)
シェルはあくまでも冷静に分析する。
頭は王族狩りの殺し方で一杯だった。
シェルは元々、"短気で理不尽で高圧的"だ。
「特に貴様ら親子だけは決して許す事が出来ない!!貴様とバルキー・ローズだけは!!この手で必ず殺s」
「知るかぁぁああああ!!」
シェルの雷技が一つ、『雷撃砲』。
王族狩りの言葉を遮り、シェルの持つ剣の切っ先から横向きの雷が飛び出した。
王族狩りにまっすぐ向かう雷の放射は、さしずめ光線のような代物だ。
速すぎて普通は目でも追えない。
しかし、
王族狩りはそれを横に跳んで避けると、シェルはそこに雷迅で一気に距離を詰め、剣を振り下ろした。
王族狩りは空中でそれを受け止めるが、そのまま後ろに弾き飛ばされる。
シェルは再び切っ先を王族狩りに向け、叫んだ。
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