復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第六話】王族狩り ⑥
「久しぶりだなぁ、三谷一族。やってくれるじゃないか」
シェルはコメカミをひくつかせながら、怒りを抑えきれない様子で王族狩りに目を向けた。
戦場に似つかわしくない、異様な雰囲気を漂わせている。
改めて見たそいつは、顔に面を被っていた。
鬼を模した般若面だ。
服は青を基調とした着物姿で、腰には長大な刀をかけている。
パッと見た感じの体は細く、どことなく儚げな印象を持ったが、その男がやったのであろう現場の被害状況は、恐ろしく惨たらしいものだった。
連れてきた兵士のほとんどは真っ二つに切り捨てられ、手や足などの肢体や臓器がメチャクチャに飛び散っている。
血の量も凄まじく、蒸せ返るような鉄の臭いが場に充満していた。
よくもまぁ、この数分の間にやってのけたものだ。
まるで地獄絵図のような惨状だが、まだ全滅した訳ではない。
元々端にいたのであろう兵士たちが、まだ多少残っている。
シェルは素早く指示を出した。
「コイツの相手は僕がする!!生き残っている者は今すぐ城に戻り、王に伝えろ!!急げッ!!」
シェルに言われて、兵士たちは慌てて動き出した。
呆然と何がどうなのか分かっていなかったのだろう。
ようやく理解して、一目散に走り出す。
「…………」
そこに、王族狩りは風の刃を放った。
最初にシェルを襲った奴だ。
『三日月』と呼ばれる風の刃は逃げる兵士たちを背後から襲い、今にも体を裂かんと宙を走る。
しかし、
シェルは雷迅で一瞬のような速度でそこに移動すると、三日月を剣で弾いた。
兵士たちはその隙に一も二もなく撤退し、シェルは王族狩りに目を向ける。
「つれないことをするなよ。どこの誰かは知らないが、10年ぶりなんだろう?」
シェルは挑発的に話し掛けた。
あの戦争が終わってから、既に約10年の月日が流れている。
生き残りがいるなどと思っていなかったが、いたとすればそれ以来のはずだ。
シェルは剣を構えると、その途端に体を纏う雷がバチバチと音を鳴らした。
再び地面が捲り上がり、大気が弾けるように空気を揺らして、シェルは王族狩りに殺意を剥き出しにする。
燃えるような激しい殺気が場を覆い、シェルの目は興奮に大きくなって、その姿はどんどん人間離れしていった。
まるで雷神だ。
空想上のそれを思い浮かべるくらい、シェルの放つオーラは猛々しく、この戦場に圧倒的存在感を放っている。
ーー王族狩りは、それを黙って見ていた。
何も言わず、静かに刀に手をやり、足にグッと力を込める。
途端、
背筋が凍るほどの凄まじい殺気が放たれた。
「ッ!!」
シェルも思わずたじろぐ。
押し込んでいたものを解放するように、シェル以上に獰猛で激しい殺気が、急に場を支配してきたのだ。
シェルが雷神なら、王族狩りは魔王のそれだ。
見た者に恐怖を駆り立てる圧倒的絶望感に、妖気的な雰囲気。
冷え込むような空気感と合わさって、まるで死神のような印象すら与える。
神々しさと禍々しさがぶつかり合って、戦場はもはや異界にいるかのような混沌ぶりだった。
王族狩りは黙って殺気を色濃くしていき、シェルは怒りと興奮で強い殺意を振り撒く。
そして、
戦いは、王族狩りの不意打ちから始まった。
シェルはコメカミをひくつかせながら、怒りを抑えきれない様子で王族狩りに目を向けた。
戦場に似つかわしくない、異様な雰囲気を漂わせている。
改めて見たそいつは、顔に面を被っていた。
鬼を模した般若面だ。
服は青を基調とした着物姿で、腰には長大な刀をかけている。
パッと見た感じの体は細く、どことなく儚げな印象を持ったが、その男がやったのであろう現場の被害状況は、恐ろしく惨たらしいものだった。
連れてきた兵士のほとんどは真っ二つに切り捨てられ、手や足などの肢体や臓器がメチャクチャに飛び散っている。
血の量も凄まじく、蒸せ返るような鉄の臭いが場に充満していた。
よくもまぁ、この数分の間にやってのけたものだ。
まるで地獄絵図のような惨状だが、まだ全滅した訳ではない。
元々端にいたのであろう兵士たちが、まだ多少残っている。
シェルは素早く指示を出した。
「コイツの相手は僕がする!!生き残っている者は今すぐ城に戻り、王に伝えろ!!急げッ!!」
シェルに言われて、兵士たちは慌てて動き出した。
呆然と何がどうなのか分かっていなかったのだろう。
ようやく理解して、一目散に走り出す。
「…………」
そこに、王族狩りは風の刃を放った。
最初にシェルを襲った奴だ。
『三日月』と呼ばれる風の刃は逃げる兵士たちを背後から襲い、今にも体を裂かんと宙を走る。
しかし、
シェルは雷迅で一瞬のような速度でそこに移動すると、三日月を剣で弾いた。
兵士たちはその隙に一も二もなく撤退し、シェルは王族狩りに目を向ける。
「つれないことをするなよ。どこの誰かは知らないが、10年ぶりなんだろう?」
シェルは挑発的に話し掛けた。
あの戦争が終わってから、既に約10年の月日が流れている。
生き残りがいるなどと思っていなかったが、いたとすればそれ以来のはずだ。
シェルは剣を構えると、その途端に体を纏う雷がバチバチと音を鳴らした。
再び地面が捲り上がり、大気が弾けるように空気を揺らして、シェルは王族狩りに殺意を剥き出しにする。
燃えるような激しい殺気が場を覆い、シェルの目は興奮に大きくなって、その姿はどんどん人間離れしていった。
まるで雷神だ。
空想上のそれを思い浮かべるくらい、シェルの放つオーラは猛々しく、この戦場に圧倒的存在感を放っている。
ーー王族狩りは、それを黙って見ていた。
何も言わず、静かに刀に手をやり、足にグッと力を込める。
途端、
背筋が凍るほどの凄まじい殺気が放たれた。
「ッ!!」
シェルも思わずたじろぐ。
押し込んでいたものを解放するように、シェル以上に獰猛で激しい殺気が、急に場を支配してきたのだ。
シェルが雷神なら、王族狩りは魔王のそれだ。
見た者に恐怖を駆り立てる圧倒的絶望感に、妖気的な雰囲気。
冷え込むような空気感と合わさって、まるで死神のような印象すら与える。
神々しさと禍々しさがぶつかり合って、戦場はもはや異界にいるかのような混沌ぶりだった。
王族狩りは黙って殺気を色濃くしていき、シェルは怒りと興奮で強い殺意を振り撒く。
そして、
戦いは、王族狩りの不意打ちから始まった。
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