復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第六話】王族狩り ③
「シェル様……敵の気配は……」
シェルのすぐ側で待機している将軍が耳元で尋ねる。
シェルは首を横に振った。
「そうですか……」
将軍は相変わらずの緊張した面持ちで持ち場に戻る。
ーーシェルには昔から特別な力があった。
体内で雷を生成できるのだ。
それは空から雷を落としたり、直接的な攻撃に使ったりと、とても強力な能力だが、シェルの一番のお気に入りは『気配察知』ーー。
『雷伝』というシェルのオリジナル技だった。
微弱な電気を自分の周囲に張り巡らし、そこに引っかかる者の居場所を特定できるのだ。
要は雷による索敵網を張る訳だが、精度は恐ろしく正確で、情報をほぼ一瞬で把握することができる。
問題点があるとすればエネルギー消費だ。
雷の生成なんてものが無制限にできる訳はなく、雷伝も範囲を広げれば広げるほどエネルギーを消費する。
雷を空から落とすなんて以ての外だ。
撃てても日に2発か3発が限界だった。
(しかし、雷伝は範囲を調整するだけで大幅にコストを抑えられるからな。軍略を武器とするミッドカオスにとって、コレほど便利な技はない)
雷伝はシェルの意のままに範囲を変えられ、地面に張る形なども思うがままだった。
必要の無い所には張らず、必要な所にだけ集中すれば、効率よく敵の位置を炙り出せる。
大砲と組み合わせれば無敵だ。
だからこそ、
シェルはこの作戦に自信を持っていた。
自分の周囲に限定されるため普段は使えないが、自分に向かってくる相手なら効率的に網を張り、コストを削減できる。
欲しい所にだけ張っておけば、無駄にエネルギーを消費することもない。
(まぁ、それでも普通に現れてくれるのが最良な訳だが、仮にコッソリ来たとしても、この布陣ならすぐに分かる。敵が陣に紛れ込んだ瞬間、雷撃で瞬殺だ)
シェルは内心で目算を立てる。
兵をコの字型に配置したのは、自分との間に極力兵を挟むことで、弓などの遠距離攻撃を防ぐためだ。
正面だけは敢えて開けているが、正面からならどんな攻撃でも防げる自信があった。
そして、
陣の周りには森が広がっているが、今回はそこまで雷伝の網を張っているため、現れた途端、すぐに分かる。
シェルはほくそ笑んだ。
「さぁ、いつでも来い。どれだけいるのか知らないが、返り討ちにしてやるぞ」
表情に余裕が表れる。
すると、
その矢先に森の中から気配を感じた。
場所は正面だ。
コの字型の開いている所を狙ったのだろう。
シェルの正面に位置する森の中に、その気配はあった。
シェルは嬉しそうに口元を緩める。
だが、
動くにはまだ早い。
(感じている気配は1つだけだ。おそらくは斥候か何かだろう。ここで動いてしまえば、肝心の本体が出て来なくなる可能性がある)
シェルは気付かないフリをしたまま、一旦放置することにした。
この作戦はあくまで王族狩りを殲滅することが目的だ。
生き残りを出してしまっては意味がない。
完全完璧に潰し切る必要がある。
シェルのすぐ側で待機している将軍が耳元で尋ねる。
シェルは首を横に振った。
「そうですか……」
将軍は相変わらずの緊張した面持ちで持ち場に戻る。
ーーシェルには昔から特別な力があった。
体内で雷を生成できるのだ。
それは空から雷を落としたり、直接的な攻撃に使ったりと、とても強力な能力だが、シェルの一番のお気に入りは『気配察知』ーー。
『雷伝』というシェルのオリジナル技だった。
微弱な電気を自分の周囲に張り巡らし、そこに引っかかる者の居場所を特定できるのだ。
要は雷による索敵網を張る訳だが、精度は恐ろしく正確で、情報をほぼ一瞬で把握することができる。
問題点があるとすればエネルギー消費だ。
雷の生成なんてものが無制限にできる訳はなく、雷伝も範囲を広げれば広げるほどエネルギーを消費する。
雷を空から落とすなんて以ての外だ。
撃てても日に2発か3発が限界だった。
(しかし、雷伝は範囲を調整するだけで大幅にコストを抑えられるからな。軍略を武器とするミッドカオスにとって、コレほど便利な技はない)
雷伝はシェルの意のままに範囲を変えられ、地面に張る形なども思うがままだった。
必要の無い所には張らず、必要な所にだけ集中すれば、効率よく敵の位置を炙り出せる。
大砲と組み合わせれば無敵だ。
だからこそ、
シェルはこの作戦に自信を持っていた。
自分の周囲に限定されるため普段は使えないが、自分に向かってくる相手なら効率的に網を張り、コストを削減できる。
欲しい所にだけ張っておけば、無駄にエネルギーを消費することもない。
(まぁ、それでも普通に現れてくれるのが最良な訳だが、仮にコッソリ来たとしても、この布陣ならすぐに分かる。敵が陣に紛れ込んだ瞬間、雷撃で瞬殺だ)
シェルは内心で目算を立てる。
兵をコの字型に配置したのは、自分との間に極力兵を挟むことで、弓などの遠距離攻撃を防ぐためだ。
正面だけは敢えて開けているが、正面からならどんな攻撃でも防げる自信があった。
そして、
陣の周りには森が広がっているが、今回はそこまで雷伝の網を張っているため、現れた途端、すぐに分かる。
シェルはほくそ笑んだ。
「さぁ、いつでも来い。どれだけいるのか知らないが、返り討ちにしてやるぞ」
表情に余裕が表れる。
すると、
その矢先に森の中から気配を感じた。
場所は正面だ。
コの字型の開いている所を狙ったのだろう。
シェルの正面に位置する森の中に、その気配はあった。
シェルは嬉しそうに口元を緩める。
だが、
動くにはまだ早い。
(感じている気配は1つだけだ。おそらくは斥候か何かだろう。ここで動いてしまえば、肝心の本体が出て来なくなる可能性がある)
シェルは気付かないフリをしたまま、一旦放置することにした。
この作戦はあくまで王族狩りを殲滅することが目的だ。
生き残りを出してしまっては意味がない。
完全完璧に潰し切る必要がある。
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