復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第四話】三谷恭司 11
「は?」
この状況で、訳が分からなかった。
この音は知っている。
分かっている。
でも、
こんな状況で聞くとは思わなかった。
油断していた。
大人の兵士を1000人も導入して子ども6人を殲滅しようとした挙句、開始早々、自軍の兵士もろとも砲撃で片付けようなどと、誰が思うだろう。
誰が予想するだろう。
この場にいる全員が固まってしまっている。
ミッドカオスの兵士たちも、まさか自分たちが子ども相手の捨て駒だとは思ってもみなかったのだろう。
誰も思考が追いついていない。
そして、
空から降り落ちた砲弾は地面に着地すると、辺りに爆炎を撒き散らした。
「ギャアアアアアアアアア!!!!」
「熱い!!アツイイイイイイイイイイ!!」
強烈な爆音と共に、火はあっという間にその場を焼き尽くし、人の叫び声が木霊する。
……地獄だった。
砲撃はその場にいたほとんどの人間を焼き、焼かれた人間は体のあちこちを吹き飛ばされて、言葉にならない絶叫と共に絶命する。
1000人いた部隊もそれで半数をやられ、生きている人間は残り僅かだ。
思わず呟く。
「バカな……こんなこと……」
あり得ない。
そう言いたかった。
恭司はあの瞬間にギリギリで風の障壁を展開したが、至近距離でいきなり襲い掛かってきた爆炎は防ぎ切れなかった。
体中が火傷で大きく負傷し、爆風で刃物でも飛んできたのか出血も夥しい。
今は何とか生きているだけだ。
体は思うように動かず、思考も定まらない中、意識だけがボンヤリと残っている。
このまま目を瞑れば死んでしまうだろう。
荒れる息はどんどんか細くなっていき、体に力は入らない。
恭司は何とか首だけを横に動かし、他の子どもたちの様子を確認した。
「……ッ!!くそッ!!」
体の原形を留めていなかった。
手や足がそこら辺に散らばり、顔も何もかもが火に焼かれて燃え盛っている。
涙が出た。
絶命しているのは間違いなく、まだ5歳や6歳の子どもが、こんな惨たらしい最期を迎えるなど、あっていいはずがない。
恭司と彼らの差は風の障壁が出せたかどうかだけだ。
恭司はつい最近それを会得していて、たまたま今回成功したに過ぎない。
何故、こんな目に合わなければならないのか。
「そ、そうだ……。優香……優香は……」
恭司はすぐに優香を見る。
優香は修吾の亡骸の近くにいたはずだ。
勿論、砲撃の範囲内にいたはず。
恭司は背筋が酷く冷たくなっていくのを感じた。
この状況で、訳が分からなかった。
この音は知っている。
分かっている。
でも、
こんな状況で聞くとは思わなかった。
油断していた。
大人の兵士を1000人も導入して子ども6人を殲滅しようとした挙句、開始早々、自軍の兵士もろとも砲撃で片付けようなどと、誰が思うだろう。
誰が予想するだろう。
この場にいる全員が固まってしまっている。
ミッドカオスの兵士たちも、まさか自分たちが子ども相手の捨て駒だとは思ってもみなかったのだろう。
誰も思考が追いついていない。
そして、
空から降り落ちた砲弾は地面に着地すると、辺りに爆炎を撒き散らした。
「ギャアアアアアアアアア!!!!」
「熱い!!アツイイイイイイイイイイ!!」
強烈な爆音と共に、火はあっという間にその場を焼き尽くし、人の叫び声が木霊する。
……地獄だった。
砲撃はその場にいたほとんどの人間を焼き、焼かれた人間は体のあちこちを吹き飛ばされて、言葉にならない絶叫と共に絶命する。
1000人いた部隊もそれで半数をやられ、生きている人間は残り僅かだ。
思わず呟く。
「バカな……こんなこと……」
あり得ない。
そう言いたかった。
恭司はあの瞬間にギリギリで風の障壁を展開したが、至近距離でいきなり襲い掛かってきた爆炎は防ぎ切れなかった。
体中が火傷で大きく負傷し、爆風で刃物でも飛んできたのか出血も夥しい。
今は何とか生きているだけだ。
体は思うように動かず、思考も定まらない中、意識だけがボンヤリと残っている。
このまま目を瞑れば死んでしまうだろう。
荒れる息はどんどんか細くなっていき、体に力は入らない。
恭司は何とか首だけを横に動かし、他の子どもたちの様子を確認した。
「……ッ!!くそッ!!」
体の原形を留めていなかった。
手や足がそこら辺に散らばり、顔も何もかもが火に焼かれて燃え盛っている。
涙が出た。
絶命しているのは間違いなく、まだ5歳や6歳の子どもが、こんな惨たらしい最期を迎えるなど、あっていいはずがない。
恭司と彼らの差は風の障壁が出せたかどうかだけだ。
恭司はつい最近それを会得していて、たまたま今回成功したに過ぎない。
何故、こんな目に合わなければならないのか。
「そ、そうだ……。優香……優香は……」
恭司はすぐに優香を見る。
優香は修吾の亡骸の近くにいたはずだ。
勿論、砲撃の範囲内にいたはず。
恭司は背筋が酷く冷たくなっていくのを感じた。
コメント