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復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第四話】三谷恭司 ⑨

「やった。退け……た……」


風撃閃を放って空中にいた修吾は、そう呟いて地面に落下した。

ドサリと音が鳴って、一瞬だけ静かになる。


「お、お父さん!!」


最初に動き出したのは優香だった。

ビスも誰もいなくなったこの戦場で、木々やナイフが見るも無惨に破壊される中、優香だけが動き出せた。

恭司も他の子どもたちも、それを見ていることしか出来ない。

幼い頭では、この事態の状況を整理するのに時間が掛かった。


「おお、優香。愛しの我が子よ。駆け寄って来てくれているのだな」


修吾は弱々しい声でそれだけを言った。

優香は返答する。


「当たり前じゃない。っていうか、見たら分かるでしょ?急に戦闘になったと思ったら、いきなりこんな大技放つなん……て……」


優香は父親の体を抱き抱えながら、唖然とした。

体の至る所から、血が流れているのだ。


「こ、コレ……どういう……」

「奴が引いてくれて良かった。コレで、ようやく皆にも、あの世で顔向けできる」


優香の言葉を遮り、修吾は虚な様子でそう話した。

恭司も事態の急変に理解が追いつかない。

何がどうなっているのか分からない。

ただ黙って聞くことしか出来なかった。


「長い間、恭一郎様のもとで、三谷を……日本国を見守ってきた。コレは私の誇りだ。私の戦果だ。私の手で、我が子を、三谷の跡を継ぐ子どもたちを守ることが出来た。私は、誇っていいはずだ。自慢しよう、皆に。自慢しよう、祖先に。私こそが、三谷を守り、次代を守ったのだ。自慢しよう……自慢しよう…………」


修吾は虚で呟くようにそう言った。

優香はフルフルと首を横に振り、父親をギュッと抱きしめる。


「お父さん……死なないでよ、お父さん……。ホントは何ともないんでしょ?こんなの冗談なんでしょ?ねぇ、起きてよ、お父さん……」


優香は出血の止まない父親の体を抱きしめながら、呟くように声を掛ける。

恭司も優香も分かっていた。

三谷の秘奥『風撃閃』は、竜巻の勢いに呑まれないほどの身体能力を持ち、竜巻自身をも制御する力を持たなければならない。

だからこそ秘奥で、皆扱えないのだ。

それを無理に行使したことで、修吾はこうなっている。

それは、三谷においては子どもにすら分かることだった。


「分が非相応に……こんな技を使ったから、こうなった。だが……後悔はない。ソレを使わねば奴は引かなかったし、こうして我が子を守れなかった……。俺の人生としては、最良だ。尊敬できる君主に出会い……その方のために一身を捧げ……最期には我が子と次代の子どもたちを守ることも出来たのだ……。なんて幸運……。なんて幸福だろうか」


修吾はもはや目も見えていない状態で周囲を見回しながら、気配だけで恭司の方を見る。

目の焦点は明らかに定まっていないが、恭司は静かにその言葉を聞いた。

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