復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第三話】ミッドカオス戦<2> ⑦

「ち、畜生畜生ッ!!なんてザマだ!!なんて醜態だ!!動くぞ、修吾!!ここまで来たら死ねない!!もう死ねないッ!!ここまで来たらッ!!いつか奴らを根絶やしにするまでッ!!絶対に死ねないぞ!!」

「はっ!!」


怒る恭一郎に、修吾は冷静な表情で返答する。

修吾も恭一郎と同じ心境だったが、子どもたちの前で大人が2人揃って錯乱するわけにはいかなかった。

2人は子どもたちを抱えて、ただ走る。

森の中へ入り、木々の間を瞬動で駆けて、2人は木々の間をひたすら走った。

その間も後ろでは雷の音が鳴り響き、戦場を音で埋め尽くす有様だ。

もはや何度目になるのか分からない。

ミッドカオスの兵がいない中、自分たちだけが遠くから標的にされ、何十何百と命を刈り取られていくのだ。

もう、

何度足を止めそうになったか分からない。

何度引き返したくなったか分からない。

だが、

子どもたちのためにもそうは出来なかったから、

2人は走って走って、ただただ走って、

逃げ続けた。

瞬動で一塊になりながら、2人は森の中をひたすら駆けた。

日本国の中でも最強の部族である三谷一族、そのトップたる2人だ。

もちろん速い。

景色は瞬きする間に移り変わり、風のような速度であっという間に森の中を駆け抜けていく。

しかし、

一緒に付いてきている恭司と優香は既に限界だった。

いかに天才とはいえ、いかに勝手知ったる地とはいえ、2人はまだ幼いのだ。

天才だとか神童だとか言われていても、これだけの緊張の中走り続ければ、当然に限界はくる。

それを見た恭一郎と修吾はある程度の所まで走ると、森の中の少し開けた所で足を止めた。

休憩のためだ。


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