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復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第ニ話】ミッドカオス戦<1> ⑩

恭一郎が奇襲部隊からの報告を受けたのは、ちょうど正午を過ぎたばかりの頃だった。

全速力だったのだろう、息を切らす彼らに、恭一郎はしばらくの休息を命じると、指揮官席で戦場を見つめる。

侍たちの猛攻に対し、必死に抵抗を重ねるミッドカオス兵。

そこには策も戦略も無さそうに見える。

恭一郎には、それが却って不可解だった。


(彼らは、自分たちの後ろに味方がいないことを知っているのだろうか……?)


ミッドカオスが戦争に好んで奴隷を使ってくるというのは有名な話だ。

ミッドカオスで新しく王になった男は、敗戦国の兵士や住民を悉く奴隷にして使い潰すと聞いている。

その上で、彼らの背後に敵の本陣がいないときているのだ。

明らかにおかしい。

この目の前にいるミッドカオス兵たちはずっと一心不乱に侍たちへ愚直な突撃を繰り返し続けているが、普通なら味方の本陣がいない中で必死に戦うことなど出来ないだろう。

一体何を守っているのかという話だ。


(やはり、囮か陽動なんだろうな)


恭一郎は内心で確信する。

修吾たちを襲った男の目的について、恭一郎はこの情報を自分たちに知られないようにすることだろうと思っていた。

ミッドカオスが奴隷を好んで使うことと同じく、日本国が好んで奇襲を行うことも世界的に有名になっている。

そして、

奇襲を行われれば、当然自分たちの本陣の状況を知られることは予想に容易い。

その超能力者の男の仕事は、本陣の状況を隠し通すことだったのではないかと思っている。

修吾の判断は正しかったのだろう。


(本陣がいない以上、この目の前の敵を殲滅しても戦争は終わらない。いや、そもそもこいつらはあくまで囮で、メインの策は別にあると考えるべきだ)


時間が刻一刻と過ぎ去る中、恭一郎はひたすら無言で考え続ける。


●敵の本陣は人っ子ひとりいない。
●ミッドカオスは奴隷制度を積極的に使用する国で、目の前の兵士も使い潰しの奴隷の可能性が高い。
●超能力者の男の仕事は、本陣の状況を隠し通すことで、それは修吾によって阻止された。


そこまで考えて、恭一郎は奇襲部隊からの報告でもう一つ気になることを思い出した。


●敵は、分かるはずのない修吾の位置を、この場にいないにもかかわらず見抜いてきた。


(まさか……)


恭一郎の額に汗が滴り落ちる。

途端、

異変は突如として引き起こされた。

日本国本陣を囲む周囲の木々から、草を押し退けるような大量の雑音が聞こえてきたのだ。

すぐさまそちらに目を向けると、およそ見たこともないくらいの膨大な数の人間が、木々の間を抜けて走り迫ってくる。

銀色の甲冑に身を包んだそれは、どう見てもミッドカオス兵。

木々を揺るがす大迫力をもって、敵が自陣に攻め込んでくる所だった。

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