復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第二話】ミッドカオス戦<1> ⑨
「道理で……!!死神なんて呼ばれてるわけだ!!」
周囲の木々をバネにしながら5人がかりで止めどなく繰り広げられる猛ラッシュに、男は防ぐだけで精一杯だった。
潰しても潰しても意味がない。
分身は再出現を繰り返して、本体には攻撃が当たらないときている。
複数で1人を殺すためだけにあるような技だ。
このままでは、いずれ男の体力が尽きるか、その前に増援が来てしまうことになるだろう。
男は最後に大きな舌打ちを漏らすと、残り5人の追撃は諦めることにした。
もう追っても追いつけないだろうし、そろそろ修吾が背後から追い付いてくるはずだ。
ここまでくると、優先すべきは自分の命。
男はナイフを展開するさながら、懐に片手を忍ばせた。
「ッ!!何かくるぞ!!」
5人のうち1人が叫ぶ。
途端、
男を眩い光が包んだ。
閃光玉だ。
ここでナイフ以外の道具を使ってくるとは思わなかった。
視界を封じられ、5人はとりあえず距離を取ったが、男がその気なら今のうちに誰か殺せるだろう。
全員がそれを覚悟して構えたが、光が消えた時、男がいないのは勿論だが、誰も殺されてはいなかった。
男はただ逃走だけを果たし、ここにいる人間を殺していかなかったのだ。
5人はそれぞれが不思議そうな顔で見合わせたが、その時、修吾が戻ってきた。
「おいっ!!大丈夫か!?」
自分の部下が5人しかいないことを確認しつつ、修吾が悲鳴のような声で尋ねかける。
閃光玉による光は、遠目から修吾も視認していた。
自分自身に被害はなかったものの、気になるのは直撃したはずの彼らだ。
状況を考えても、アレは男がやったもののはず。
「大丈夫です。我らの半分はあの男が接近した段階で別れたため分かりませんが、ここにいるメンバーに被害はありません」
「そうか……。簡単でいいから、ここで起きたことを説明してもらえるか?」
「分かりました」
修吾の指示を受けて、さっき説明した部下が続けて説明する。
修吾は頷いた。
「状況は分かった。それなら他の5人は既に本陣へ着いているだろう。男も逃げ出したと思われる。このまま我らも本陣へ戻り、当主様の指示を仰ぐぞ」
「「「「「分かりました」」」」」
修吾の指示出しに、部下5人は間髪いれずに了解の意を示した。
要は作戦中止ということで、本来予定していた活動はしないという方針だが、敵本陣に誰もいないということと、あの男の『仕事』が気になる。
自分たちの『居処が知られていた』というのも、由々しき事態だ。
敵には間違いなく何かしらの策略がある。
修吾は激しくなる一方な嵐の空を見上げながら、味方本陣のことを想った。
要の奇襲の失敗と、敵の策略。
これからの戦争の行方は、恭一郎の判断にかかっている。
修吾は己の主人を信じて、5人部下と共に味方本陣へ向かった。
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周囲の木々をバネにしながら5人がかりで止めどなく繰り広げられる猛ラッシュに、男は防ぐだけで精一杯だった。
潰しても潰しても意味がない。
分身は再出現を繰り返して、本体には攻撃が当たらないときている。
複数で1人を殺すためだけにあるような技だ。
このままでは、いずれ男の体力が尽きるか、その前に増援が来てしまうことになるだろう。
男は最後に大きな舌打ちを漏らすと、残り5人の追撃は諦めることにした。
もう追っても追いつけないだろうし、そろそろ修吾が背後から追い付いてくるはずだ。
ここまでくると、優先すべきは自分の命。
男はナイフを展開するさながら、懐に片手を忍ばせた。
「ッ!!何かくるぞ!!」
5人のうち1人が叫ぶ。
途端、
男を眩い光が包んだ。
閃光玉だ。
ここでナイフ以外の道具を使ってくるとは思わなかった。
視界を封じられ、5人はとりあえず距離を取ったが、男がその気なら今のうちに誰か殺せるだろう。
全員がそれを覚悟して構えたが、光が消えた時、男がいないのは勿論だが、誰も殺されてはいなかった。
男はただ逃走だけを果たし、ここにいる人間を殺していかなかったのだ。
5人はそれぞれが不思議そうな顔で見合わせたが、その時、修吾が戻ってきた。
「おいっ!!大丈夫か!?」
自分の部下が5人しかいないことを確認しつつ、修吾が悲鳴のような声で尋ねかける。
閃光玉による光は、遠目から修吾も視認していた。
自分自身に被害はなかったものの、気になるのは直撃したはずの彼らだ。
状況を考えても、アレは男がやったもののはず。
「大丈夫です。我らの半分はあの男が接近した段階で別れたため分かりませんが、ここにいるメンバーに被害はありません」
「そうか……。簡単でいいから、ここで起きたことを説明してもらえるか?」
「分かりました」
修吾の指示を受けて、さっき説明した部下が続けて説明する。
修吾は頷いた。
「状況は分かった。それなら他の5人は既に本陣へ着いているだろう。男も逃げ出したと思われる。このまま我らも本陣へ戻り、当主様の指示を仰ぐぞ」
「「「「「分かりました」」」」」
修吾の指示出しに、部下5人は間髪いれずに了解の意を示した。
要は作戦中止ということで、本来予定していた活動はしないという方針だが、敵本陣に誰もいないということと、あの男の『仕事』が気になる。
自分たちの『居処が知られていた』というのも、由々しき事態だ。
敵には間違いなく何かしらの策略がある。
修吾は激しくなる一方な嵐の空を見上げながら、味方本陣のことを想った。
要の奇襲の失敗と、敵の策略。
これからの戦争の行方は、恭一郎の判断にかかっている。
修吾は己の主人を信じて、5人部下と共に味方本陣へ向かった。
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