【第二話】ミッドカオス戦<１> ⑦

「おおおおおおおおおお！！」


縦横上下と、幾度となく繰り出される斬撃。

直接の刀身を男に何度も叩きつけ、前へ前へと前進する。

しかし、


「ははぁ！！参謀殿自らがお相手か！！嬉しいねぇ！！だが、俺も仕事なもんでね！！」


男の声と修吾の繰り出す斬撃音が重なる。

修吾は男に向けて攻撃をいくつも繰り出したが、男はそれらを軽やかな動きで躱していた。

どうやらナイフの特殊能力だけでなく、本人の身体能力も高いらしい。

しかも、

男は激烈な修吾の攻撃を躱す最中にも、追加でナイフをいくつも展開していく。

男の周りにナイフが数十本出現していく中でも、男自身の軽やかな動きは変わらない。

その展開したナイフが100にも到達すると、男はそれらを一瞬のような速さで修吾の部下たちに向けて飛ばした。

修吾の攻撃と攻撃の間を突く速攻技。

だが、

修吾は男に向けていた刀身を不意にナイフの方向に向けると、振り下ろしと同時にナイフ群を全て風の斬撃で吹き飛ばしてしまった。

三日月のような形をした斬撃は他のナイフも次々と葬り去り、男の方から舌打ちの音が聞こえる。

その間に、修吾の部下たちは活動を再開し、もう見えなくなった。


「くそっ！！」


男は忌々しそうな目で修吾を睨みつける。

勿論、修吾がそんなことで怖気付いたりするはずはなく、追撃は改めて再開された。

修吾としてはもう無理をする必要もなく、彼らが増援を呼んで来るまで待てば良い状態でもあるが、男としてはそもそもこのまま彼らを逃がされるわけにはいかない。

相変わらず修吾の攻撃を躱す最中でナイフを展開し続ける中、男は修吾の攻撃を躱すついでに、その展開したナイフの1つに跳び乗った。

宙に浮くナイフは、男を上に乗せても落ちることなく、そのまま宙に浮かび上がる。

修吾はそれを見てすぐに男の意図に気づいたが、今一歩遅かった。


「あんたの前にアレを片付けるのが先だ！！悪いがトンズラさせてもらうぜ！！」


男はナイフの上に乗ったまま、ナイフは去った10人の方向へ宙を爆進した。

修吾はそれを風の刃で打ち落とそうとするも、間に合わない。

男はナイフと共に、修吾の部下たちの背中を追いかけた。


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