復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー

ノベルバユーザー520245

【第二話】ミッドカオス戦<1> ⑥

「ハハァッ!!ナイフの嵐を見せてやる!!」


分身の前に10人が襲い掛かった時に放たれたナイフ。

アレは全て打ち落としたわけではないはずだ。

それぞれの間を抜けていったナイフも多数あったはず。

修吾は咄嗟に後ろを振り向くと、案の定、宙に浮いたナイフが修吾を背中から狙っていた。


「チッ!!」


修吾は瞬動で移動し、そのナイフを辛くも躱す。

だが、

男を見ると、既に新しいナイフが宙に浮かび上がり、装填されていた。

先に放たれていた数十本とそれを合わせると、その数は100にも届くかもしれない。

男はそれらを操作しながら、100あまりのナイフをこの場に飛び回らせた。

正面から背後から右から左から飛んでくるナイフに、修吾もさすがに手一杯になる。

他のメンバーも同じような状況のようだ。

こんな隠し球を持っているなど、一体誰が予想できただろう。


「ハハハハァァ!!まだまだだ!!もっともっといくぜぇ!!200本だ!!」

「なっ!?」


修吾が驚く間にも、男はさらなるナイフを宙に展開していた。

その数は正に100。

既に放たれているものと合わせて、200本だ。

修吾はさすがに焦りを感じた。


「全員、直ちに帰還せよ!!当主様に現状報告だ!!こいつは俺が相手をする!!」


決断は早めに出した。

それもいつもの手振りではなく、口頭での指示だ。

今は手振りでやり取りができるほど、修吾にも他のメンバーにも余裕がない。

追加で現れた100のナイフは、今まさに放たれたばかりなのだ。


「バカがぁ!!逃がすわけねぇだろ!!お前らは全員ここで死ね!!」


総勢200本のナイフは、改めて周囲を巻き込みながら、彼らに襲い掛かる。

元々の嵐のスケールと合わせ、無数のナイフが自らに迫り来る今の現状は、さしずめ激流の中に身を投じているかのような心境だ。

修吾はそれを見ながら、何も無い空中で刀を振る。

すると、

その刀身から風の刃が放たれた。

巨大な三日月を描いたようなその斬撃は、飛び回るナイフを何十本か斬り裂き、まだ生きている10人の退路を確保する。


「あぁ?」


男は苛ついた声を上げてその様子を見ていたが、途端にその場を移動した。

さっきの風の刃が、次は自分に向かって飛んできたのだ。

男は驚愕に目を見開くが、驚くのはこれからだ。

修吾は瞬動で男に追撃をかけ、直接の刀身を男に振り下ろす。

男は咄嗟にナイフで防いだものの、直接の刀身の勢いに弾き飛ばされた。

修吾の風のように軽やかで、鬼のように苛烈な追撃が始まった。

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