復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第二話】ミッドカオス戦<1> ③
「……なんてことだ……」
一方、場面は移り変わり、
作戦行動で奇襲部隊を率いて目的地に到着した修吾は、愕然とした声で立ち竦んでいた。
今は作戦の終盤に差し掛かった辺りで、敵の側面をついて山の中から敵の本陣前に辿り着いた所だ。
これから敵の本陣に襲い掛かる直前とも言える状況だが、そこに集まった三谷一族は全員が愕然としていた。
本陣に人がいないのだ。
椅子や旗は用意されていて、戦前に遠目から確認した通りであるものの、肝心の人がそこにいない。
荷物や本陣の様子を見ても、それが散らかったりしている様子は無く、取り繕った気配も見当たらない。
急遽行われたものでないことは明らかだ。
敵は、余裕を持って移動している。
「……戦前に見たときは確かにいたはずだ。まさか我らの奇襲を読まれていた……?いや、それにしたって、時間的猶予を考えれば……。……ッ!?」
修吾は現状を把握するべく一人言を紡いだが、それを言い終わらないうちに、飛んできたナイフを刀で打ち落とした。
依然として山の中に身を隠す彼に向かって、ナイフは1本だけまっすぐに修吾へ向かってきたのだ。
この場所を見破られているうえ、修吾には敵の存在は察知出来ていなかった。
並みの使い手じゃない。
修吾はナイフの飛んできた方向を見つめた。
「クックックッ。すごいな。バルキーの旦那の言った通りだ」
見つめていると、ナイフを投げた本人は悠々と茂みから顔を覗かせた。
戦闘服ですらない明らかな私服を身に纏ったその男は、軽薄そうな口調で遊びに来たかのような態度だった。
修吾は無表情なままで、その男を睨み付ける。
見たところフリーハンドで武器は所持していないようだが、さっきのナイフのことがある。
修吾は慎重な姿勢を崩さなかった。
「クフフ。お前らがここに来ることは完全に予想通りだったんだぜ?バルキーの旦那はお前らの作戦も居処も完璧に把握していた。俺はそんな旦那の指示に従っただけさ。だからそんなに怖い顔で睨まないでおくれよ。柊修吾さん?」
男は尚も軽薄そうな口調で、修吾に話し掛けてくる。
すぐにでも仲間と共に襲い掛かってもいいが、男の放つ雰囲気はあまりに独特だった。
こちらの軍勢に対し、向こうは一見して一人のように見えるが、物怖じした様子は一切見受けられない。
もしかしたら伏兵がいるのかもしれないが、だとしても戦闘前に情報収集する必要はある。
その男の発言にどうしても気になる所があるのだ。
一方、場面は移り変わり、
作戦行動で奇襲部隊を率いて目的地に到着した修吾は、愕然とした声で立ち竦んでいた。
今は作戦の終盤に差し掛かった辺りで、敵の側面をついて山の中から敵の本陣前に辿り着いた所だ。
これから敵の本陣に襲い掛かる直前とも言える状況だが、そこに集まった三谷一族は全員が愕然としていた。
本陣に人がいないのだ。
椅子や旗は用意されていて、戦前に遠目から確認した通りであるものの、肝心の人がそこにいない。
荷物や本陣の様子を見ても、それが散らかったりしている様子は無く、取り繕った気配も見当たらない。
急遽行われたものでないことは明らかだ。
敵は、余裕を持って移動している。
「……戦前に見たときは確かにいたはずだ。まさか我らの奇襲を読まれていた……?いや、それにしたって、時間的猶予を考えれば……。……ッ!?」
修吾は現状を把握するべく一人言を紡いだが、それを言い終わらないうちに、飛んできたナイフを刀で打ち落とした。
依然として山の中に身を隠す彼に向かって、ナイフは1本だけまっすぐに修吾へ向かってきたのだ。
この場所を見破られているうえ、修吾には敵の存在は察知出来ていなかった。
並みの使い手じゃない。
修吾はナイフの飛んできた方向を見つめた。
「クックックッ。すごいな。バルキーの旦那の言った通りだ」
見つめていると、ナイフを投げた本人は悠々と茂みから顔を覗かせた。
戦闘服ですらない明らかな私服を身に纏ったその男は、軽薄そうな口調で遊びに来たかのような態度だった。
修吾は無表情なままで、その男を睨み付ける。
見たところフリーハンドで武器は所持していないようだが、さっきのナイフのことがある。
修吾は慎重な姿勢を崩さなかった。
「クフフ。お前らがここに来ることは完全に予想通りだったんだぜ?バルキーの旦那はお前らの作戦も居処も完璧に把握していた。俺はそんな旦那の指示に従っただけさ。だからそんなに怖い顔で睨まないでおくれよ。柊修吾さん?」
男は尚も軽薄そうな口調で、修吾に話し掛けてくる。
すぐにでも仲間と共に襲い掛かってもいいが、男の放つ雰囲気はあまりに独特だった。
こちらの軍勢に対し、向こうは一見して一人のように見えるが、物怖じした様子は一切見受けられない。
もしかしたら伏兵がいるのかもしれないが、だとしても戦闘前に情報収集する必要はある。
その男の発言にどうしても気になる所があるのだ。
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