復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第一話】日本国⑧
「そうか、『鬼斬り』もやっていたのか。偉いぞ。だが、今回はミルドの弱兵だったからな……。少し手ごたえがなかったんじゃないか?」
恭一郎が会話に入ってくる。
恭司は素直に頷いた。
ーー『鬼斬り』に使われる死体や人間は、1度斬ったらすぐに使えなくなってしまうため、大人たちによって回収と供給が常に行われていた。
回収は基本的に戦争が終わった時に持ち帰ってくるが、それだと持ち運びに難がある上に危険なため、時には他国の村から生きたまま回収に動くこともある。
要はその村からここまで生きたまま連れて帰り、里で綺麗な形のまま死体にするのだ。
そうすると人間に歩かせることが出来る上、殺す時にも五体を残しやすく、何より新鮮な状態で子どもたちの修行に提供することができるため、戦争が無い時はこのパターンでの回収がほとんどだった。
そして、
そういった形で回収される死体の中でも、アタリとハズレはあった。
何をアタリと見なすかは人それぞれだが、回収された人間次第で、斬りやすいものと斬りにくいものがあるのだ。
今回2人に提供された死体はミルドという国の兵士だったが、恭司や優香からすれば、この程度のレベルでは斬り易すぎる。
兵士の体は筋肉が程よくついていて、戦争時に相対する感覚としても一致し易いが、その中でも強度はマチマチだ。
今回のように斬りやすい肉体相手だと、2人のレベルでは修行にならないことも多い。
簡単にバラバラになるのでは、藁や竹を斬っているのと変わらないからだ。
「次はもう少しハードル高いのがいい」
恭司は優香ほど愛想はよくないが、自分の意見はしっかり述べるタイプだった。
恭一郎は満足そうに笑う。
「そうか。次は善処するから、期待しておいてくれ。修吾に任せたらきっちり用意してくれるはずだ」
「結局、私ですか……」
修吾が仕方なさそうに笑う。
満更でもなさそうだった。
「それか、次のシュギョーでもいいよー。シュンドーはもう大体使いこなしたし!!」
優香が修吾の胸の中でエヘンと胸を張った。
修吾は思わず恭一郎の方を見る。
恭一郎もちょうどそれを提案しようと思っていたのだ。
恭一郎はコホンと咳払いすると、『言われたから仕方なく』といった感じで話し出す。
「それなら、次は『殺影』をやってみるか。明日教えてあげよう」
「やったー!!」
優香は修吾の胸の中で両手を上げて喜んだ。
ふと目を向けると、恭司も言葉には出さないが嬉しそうだ。
恭一郎と修吾はそんな子どもたちの様子を見て笑いながら、それぞれの子どもと共に屋敷の中へと入っていく。
外では雨が徐々に強さを増し、強い風が吹き始めていた。
恭一郎が会話に入ってくる。
恭司は素直に頷いた。
ーー『鬼斬り』に使われる死体や人間は、1度斬ったらすぐに使えなくなってしまうため、大人たちによって回収と供給が常に行われていた。
回収は基本的に戦争が終わった時に持ち帰ってくるが、それだと持ち運びに難がある上に危険なため、時には他国の村から生きたまま回収に動くこともある。
要はその村からここまで生きたまま連れて帰り、里で綺麗な形のまま死体にするのだ。
そうすると人間に歩かせることが出来る上、殺す時にも五体を残しやすく、何より新鮮な状態で子どもたちの修行に提供することができるため、戦争が無い時はこのパターンでの回収がほとんどだった。
そして、
そういった形で回収される死体の中でも、アタリとハズレはあった。
何をアタリと見なすかは人それぞれだが、回収された人間次第で、斬りやすいものと斬りにくいものがあるのだ。
今回2人に提供された死体はミルドという国の兵士だったが、恭司や優香からすれば、この程度のレベルでは斬り易すぎる。
兵士の体は筋肉が程よくついていて、戦争時に相対する感覚としても一致し易いが、その中でも強度はマチマチだ。
今回のように斬りやすい肉体相手だと、2人のレベルでは修行にならないことも多い。
簡単にバラバラになるのでは、藁や竹を斬っているのと変わらないからだ。
「次はもう少しハードル高いのがいい」
恭司は優香ほど愛想はよくないが、自分の意見はしっかり述べるタイプだった。
恭一郎は満足そうに笑う。
「そうか。次は善処するから、期待しておいてくれ。修吾に任せたらきっちり用意してくれるはずだ」
「結局、私ですか……」
修吾が仕方なさそうに笑う。
満更でもなさそうだった。
「それか、次のシュギョーでもいいよー。シュンドーはもう大体使いこなしたし!!」
優香が修吾の胸の中でエヘンと胸を張った。
修吾は思わず恭一郎の方を見る。
恭一郎もちょうどそれを提案しようと思っていたのだ。
恭一郎はコホンと咳払いすると、『言われたから仕方なく』といった感じで話し出す。
「それなら、次は『殺影』をやってみるか。明日教えてあげよう」
「やったー!!」
優香は修吾の胸の中で両手を上げて喜んだ。
ふと目を向けると、恭司も言葉には出さないが嬉しそうだ。
恭一郎と修吾はそんな子どもたちの様子を見て笑いながら、それぞれの子どもと共に屋敷の中へと入っていく。
外では雨が徐々に強さを増し、強い風が吹き始めていた。
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