復讐の刃ーー独りになった少年が、世界を血の海に変えるまでーー
【第一話】日本国⑤
そんなことを言いながら、2人は椅子から立ち上がると、その足で息子と娘に会いにいくことにした。
国としての話し合いも煮詰まっていたし、頃合いとしては丁度よかったかもしれない。
2人は応接間を出ると、屋敷の廊下に出て玄関へと向かう。
子どもたちの遊び場、もとい修行場は屋敷の外にあって、毎回履き替えなければならなかった。
まぁ距離はほとんど無いに等しいため、特に気にするほどでもない。
2人は玄関で下駄に履き替えると、外に出る。
すると、
その2人の肩に、パラパラと水滴が落ちてきた。
「ん?雨か……」
「タイミング悪いですね……」
空を見上げると、その雲は少しばかり黒ずんでいた。
これから降り出すかもしれない。
だが、
修行場はここからそれほど距離もないため、あまり考えず、2人は結局そのまま向かうことにした。
どうせ屋敷に戻るなら、息子と娘たちも一緒だからだ。
「『瞬動』が使えるのなら、もう我らと手合わせできる日も近いかな?」
「いや、それは流石に早すぎるでしょう……」
そんなことを話しながら、2人は修行場に到着する。
到着すると、ちょうど小さな男の子と女の子の2人が向かい合わせに立っていて、木刀を構えている所だった。
どうやら、2人の子ども、『恭司』と『優香』は、正に子ども同士で手合わせをしている真っ最中だったらしい。
程よい緊張感が場を包んでいた。
「やぁっ!!」
身の丈に合わない長大な木刀を手にした女の子が、壁を三角飛びして振り下ろしの一撃を繰り出す。
男の子の頭上に向かう縦の一閃。
フワリと宙を舞うその姿は、彼女自身の愛らしさと合わせて、まるで妖精のようだった。
顔つきも大きなクリクリの瞳で愛らしいが、その振り下ろされた一撃は鋭く、重い。
木刀の長大さもまるで気にしていないようで、あの細腕のどこにそんな力があるのかと疑いたくなるくらいの強烈な一撃を繰り出している。
彼女が『優香』だった。
元気で活発な性格で、基本的にいつも明るく、ここぞという時には思い切りのいい一手も打てるタイプだ。
今の振り下ろしも、全体重をかけた少し博打要素の入った一撃だが、物怖じした様子は一切見受けられない。
当たれば終わりで、受けるにもしんどい一撃だ。
だが、
相対する男の子に慌てた様子はほとんど無かった。
同じく長大な木刀を手にした彼は、地に足をつけたまま、優香の一撃を冷静に見定め、受けるための力を本能的に計算する。
その時間は傍からは一瞬たりとも見受けられない。
男の子はまるで鞘の無い居合いのような振りで木刀を動かすと、優香の一撃にジャストタイミングでかち当てた。
カンッと高い音が鳴り、2人の間でほんの一瞬ギリリと膠着したが、宙にいる状態の彼女と地に足を付けた状態の彼では、込められる力に違いがある。
膠着はあっという間に瓦解し、男の子の振り切った一撃に、優香は難なく吹き飛ばされた。
国としての話し合いも煮詰まっていたし、頃合いとしては丁度よかったかもしれない。
2人は応接間を出ると、屋敷の廊下に出て玄関へと向かう。
子どもたちの遊び場、もとい修行場は屋敷の外にあって、毎回履き替えなければならなかった。
まぁ距離はほとんど無いに等しいため、特に気にするほどでもない。
2人は玄関で下駄に履き替えると、外に出る。
すると、
その2人の肩に、パラパラと水滴が落ちてきた。
「ん?雨か……」
「タイミング悪いですね……」
空を見上げると、その雲は少しばかり黒ずんでいた。
これから降り出すかもしれない。
だが、
修行場はここからそれほど距離もないため、あまり考えず、2人は結局そのまま向かうことにした。
どうせ屋敷に戻るなら、息子と娘たちも一緒だからだ。
「『瞬動』が使えるのなら、もう我らと手合わせできる日も近いかな?」
「いや、それは流石に早すぎるでしょう……」
そんなことを話しながら、2人は修行場に到着する。
到着すると、ちょうど小さな男の子と女の子の2人が向かい合わせに立っていて、木刀を構えている所だった。
どうやら、2人の子ども、『恭司』と『優香』は、正に子ども同士で手合わせをしている真っ最中だったらしい。
程よい緊張感が場を包んでいた。
「やぁっ!!」
身の丈に合わない長大な木刀を手にした女の子が、壁を三角飛びして振り下ろしの一撃を繰り出す。
男の子の頭上に向かう縦の一閃。
フワリと宙を舞うその姿は、彼女自身の愛らしさと合わせて、まるで妖精のようだった。
顔つきも大きなクリクリの瞳で愛らしいが、その振り下ろされた一撃は鋭く、重い。
木刀の長大さもまるで気にしていないようで、あの細腕のどこにそんな力があるのかと疑いたくなるくらいの強烈な一撃を繰り出している。
彼女が『優香』だった。
元気で活発な性格で、基本的にいつも明るく、ここぞという時には思い切りのいい一手も打てるタイプだ。
今の振り下ろしも、全体重をかけた少し博打要素の入った一撃だが、物怖じした様子は一切見受けられない。
当たれば終わりで、受けるにもしんどい一撃だ。
だが、
相対する男の子に慌てた様子はほとんど無かった。
同じく長大な木刀を手にした彼は、地に足をつけたまま、優香の一撃を冷静に見定め、受けるための力を本能的に計算する。
その時間は傍からは一瞬たりとも見受けられない。
男の子はまるで鞘の無い居合いのような振りで木刀を動かすと、優香の一撃にジャストタイミングでかち当てた。
カンッと高い音が鳴り、2人の間でほんの一瞬ギリリと膠着したが、宙にいる状態の彼女と地に足を付けた状態の彼では、込められる力に違いがある。
膠着はあっという間に瓦解し、男の子の振り切った一撃に、優香は難なく吹き飛ばされた。
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