本当の恋・・・見つけたら(3Version)
回想** 誤解 **
~ Rie side ~
ギブスも取れてバイト復帰3日目。
『お疲れ様で~す!』
やっと終了。やっぱり久々のバイトは疲れる(ーー;)
ロッカーから荷物を取り出し帰ろうとしたその時、徹から呼び止められる。
徹『よっ、お疲れ!』
『あっ、徹、この間はありがとねっ。
今日は遅番?』
徹『うん。それよりこの間送ったメールだけどさっ・・・深い意味はないから気にしないで!』
って言われたんだけど、私には徹からメールをもらった記憶がなく
『メール?私に?いつ徹からメール、もらってたっけ?』
徹『えっ?いってない?この間話した次の日の朝、メール送ったんだけど…』
そう言われ、携帯を取り出し確認。
でも徹からのメールは見当たらず。
『来てないみたいだけど…ちゃんと私に送ったの? 
もしかして違う女の子に送ってたりするんじゃない?(笑)』
ちょっと茶化してそういうと、
徹『そうかもねっ(笑)』といって笑った徹。
でもそのメールの内容が気になった私は、
『えっ、でもメールの内容ってなんだったの?』
すると徹がいつになく赤い顔で、
徹『いや、いい、いい…大したことないから!』
~ Norika side ~
あの日以来、自分でやらかしたこととはいえ、落ち込みが半端ない私。
練習に参加していてもどこか上の空。
翔太『どうした?さっきからボ~っしてるけど…』
『あっ、ごめん。ちょっと考え事してた。』
翔太『そうそれならいいけど…
それはそうと紀佳も行くだろっ?真希達の応援。』
そう、今週の土曜日は女子のバスケの大会が開かれることになってた。
『もちろん、男子部のマネージャーとはいえ、いつも練習してる仲間の試合だもん。応援に行くつもりだけど…』
すると翔太が
翔太『だったらお願いがあるんだけど・・・』
翔太のお願いとは、その応援にりえを誘ってほしいという事だった。
『えっ、何で私?そんなの自分で誘えばいいじゃん!』
翔太『いや、俺は男子部でみんなで行くことになっててさっ…
さっき、りえに声かけてみたんだけど、真希となんかあったんだろっ?
会いづらいって言ってて…』
そういえば、私とりえはゼミが一緒だからあの日から何度かあったけど、真希とは会ってないのかも…
確かにあのまま別れたきりだとしたら、りえの言い分もわからなくもない。
私もこのままじゃよくないって思うし…
『OK、私から誘ってみるよ。』
~ Rie side ~
紀佳から誘われた真希の試合の応援。
最初はちょっと躊躇したけど、
紀佳『このままだともっともっと会いづらくなるんじゃない?
りえがそれでも構わないなら別にいいけど…』
そう脅され一緒に行く事にした。
試合前にみんなが集まってる場所に差し入れを持っていくと、
真希『りえも応援に来てくれたんだねっ。ありがとう』って真っ先に言われちょっとびっくりした。
もしかして私があの言葉に過剰に反応してただけなのかな?
『うん、頑張ってねっ。真希の活躍楽しみにしてるねっ。』
そう言うと私と紀佳にガッツポーズを見せた真希。
良かった~!
なんのわだかまりのなさそうな真希の態度にほっと胸を撫で下ろした。
~ Norika side ~
今日の真希の様子をみてちょっと違和感を感じた私。
昨日まではこっちがお節介をやきたくなるくらいに落ち込んでいたのに…
それとも、弘樹との事、もう吹っ切れたのかな?
その時、後ろから
翔太『紀佳、サンキュー。真希とりえ、大丈夫みたいでほっとしたよ』って…
『どういたしまして。』
本当にりえにはめちゃ甘の翔太。
『それより、翔太達はどこで応援?』
翔太達はベンチにて応援するという事で、私達2人は別に2階の観覧席で試合観戦することにした。
せっかく、りえとめいっぱい応援するつもりでいたのに、試合序盤から真希達チームはかなりの劣勢。
特に真希のプレイはさっきの態度と裏腹にグダグダでいつもの俊敏さは微塵もなかった。
りえ『真希、調子悪いのかなぁ~(ーー;)』
素人のりえにもわかるくらいの状況で…
案の定、1クオーター終了後に交代をつげられたみたいで、そのまま体育館から姿を消した。
『調子悪かったみたいね(ーー;)』
すると、りえが急に立ち上がる。
りえ『私、ちょっと探してくる!』
『へっ?ち、ちょっと待ってよ。』
すぐにりえの後を追ったつもりだったけど、思いのほか走る速度が違ってて、あっという間に見失った私。
はぁ~、とりあえず、翔太に連絡しなきゃ(ーー;)
~ Syouta side ~
いつもの調子じゃない真希。
やっぱりまだ弘樹との事を引きずってる?
そんな時、交代をつげられた真希。
確かにこの状態だと仕方ないかも(ーー;)
でも交代がよっぽどショックだったのか、真希はそのまま体育館を後にした。
そんな真希をほっとけなくて急いて後を追った。
~ Rie side ~
さっきはあんなに元気だったのに、どうしちゃったんだろう。
私がそばにいても何の役にもたたないかもだけど…
真希を1人にはしておけなくて。
でもやっと探しだしたその時、
真希のそばには、翔太が…
ちょっと遠くで何を話してるかはわからないけど…
なんとなく近づけない雰囲気。
その時、、、
真希が翔太の胸の中に…
心臓を鷲掴みにされた衝撃。
そして、翔太の腕が真希の背中にまわされた瞬間、、、
その場にいることさえできずに駆け出してた。
~Norika side ~
マジで足速くない?
自分の体力のなさにいささか凹みつつ、りえを探す。
その時、目の前から全速力でこっちに向かってくるりえ発見。
やっと見つけた!
『りえ…』
声をかけたのに、完全スルーのりえ。
泣いてた? まさかねっ。
でも様子がおかしい。
あっちから走ってきたという事はあっちに何かしら答えがあるという事?
少し早足でりえが走ってきた方向へ…
するとそこには目を疑うような光景が。
翔太と真希が抱きあってる? 時折、翔太が真希の髪を撫でながら、、、
その時初めてりえの涙を思い出し納得した私。
そりゃあ~、この光景は逃げ出したくなるよね~(ーー;)
そして私は来た道を逆戻り。
またりえを探す羽目になった。
~ Syouta side ~
体育館の裏の庭・・・噴水の横の木陰に真希を見つけた。
傍に行って声をかける。
『どうしたの?こんなとこで…』
振り返った真希は慌てて手で涙を拭いながら、
真希『あんなプレイしかできないのが申し訳なくって、あの場にいる事が出来なかったの。心配かけてごめんなさい。』
そういいながら泣くのを必死で我慢している。
『しょうがない。人間だもん。そういう時もあるって・・・』
そういいながらそっと手を取り、
『みんなが心配してるから、戻ろう。』
すると突然、真希が俺の手を振り払った。
真希『優しくしないで… 好きでもないのにそんなに優しくしないでよ。私、バカだからすぐに勘違いしちゃうじゃない。
そうよ、みんなりえの事が好きなのに、もう私に構わないで!』
そして頬をつたう涙・・・
『真希?』
真希『私はどんなに頑張っても、愛してもらえないの。
翔太にも弘樹にも・・・だけどりえは、りえは…』そういうと涙で言葉が続かない真希
『真希、どうした?落ち着いて…』
そう声をかけた瞬間、俺の胸にユラが飛び込んできたんだ。
~ Maki side ~
どこかで切り替えなきゃ・・・
いつまで恋しがっても弘樹の心はりえでいっぱいなんだもん。
頭では十分理解してるんだけど、気持ちがついていかなくて。
あれから何をするにも覇気のない私。
でもみんなには悟られたくなくて、かっこつけてきたけど、、、
もう限界かも・・・
唯一の心のよりどころだったバスケもこんなざまで、そこに立っているのもつらくなって裏庭に…
何とか気持ちを落ち着けようとしてるのに、
翔太『どうしたの?こんなとこで…』
『あんなプレイしかできないのが申し訳なくって、あの場にいる事が出来なかったの。心配かけてごめんなさい。』
翔太・・・今の私をそっとしといて。そんな思いでいっぱいだったのに・・・
翔太『しょうがない。人間だもん。そういう時もあるって・・・』って言った途端私の手を握り、
翔太『みんなが心配してるから、戻ろう。』
その瞬間、私の中でいろんな思いがあふれ出す。
『優しくしないで… 好きでもないのにそんなに優しくしないでよ。私、バカだからすぐに勘違いしちゃうじゃない。
そうよ、みんなりえの事が好きなのに、もう私に構わないで!』
泣くのはずるい。
そう思ってたから必死で我慢してたのにもうおさえられなくなった。
翔太『真希?』
『私はどんなに頑張っても、愛してもらえないの。
翔太にも弘樹にも・・・だけどりえは、りえは…』
りえのせいじゃないって私が一番わかってるのに…
翔太『真希、どうした?落ち着いて…』
でももう限界だった。
みずから翔太の胸に飛び込むと
『私の事かわいそうだって、そう思うのなら…ほんの少しでいい。
このままでいて・・・気持ちが落ち着くまで、、、お願い。』
そういうと
翔太『わかった。真希、少し気持ち落ち着けよう。』
翔太の優しい声が聞こえてきて、私をゆっくりと包んでくれた。
~ Syouta side ~
俺の胸の中にいる真希が小さな声で呟く。
真希『私の事かわいそうだって、そう思うのなら…ほんの少しでいい。
このままでいて・・・気持ちが落ち着くまで、、、お願い。』
今にも消えてしまいそうな、そんな声で…
さっきの真希の言葉に動揺している俺が確かにここにいるけど、今は目の前の消えそうな真希をほっておくことはできなかった。
そっと真希を包み込み、
『わかった。真希、少し気持ち落ち着けよう。』って…言ったんだ。
~Rie side ~
翔太が真希を抱きしめた・・・
その事実を受け止めるのにかなりの時間がかかった私。
多分、きっと落ち込んでいる真希を慰めてるだけなんだよねっ?
頭では十分わかってるつもりなんだけど…胸が締め付けられるように痛い。
私、なんて心の狭い女なんだろう。
ひとしきり走ってきた観覧席の入口。
誰にも見えないように涙を拭き、気持ちを落ち着けるために大きく深呼吸。
その時、後ろから私の名前を呼ぶ人が、
徹『りえ?』
振り返るとそこには徹が
徹『こんなところでどうした?』
そう言われた途端にさっきちゃんと拭ったはずの涙があふれてきた。
徹『へっ?はっ?なに泣いてんの?』
~Norika side ~
りえを探してはや5分。もう~、一体どこに行っちゃったの?
とりあえず、観覧席に戻っておいてきた荷物も持ってこなきゃ…
すると目の前にりえの姿が… そして誰かと話してる?
あの後ろ姿は、もしや徹?
この状況で徹と会うなんてタイミング悪すぎない?
しかもなんであいつがここにいるのよ(;一_一)
でもまず今はりえのフォローが最優先!
『りえ、こんなところにいたの。随分探したんだよ。』私の顔を見るとハッとした表情で下を向いて涙を拭うと、
りえ『ご、ごめん。急にいなくなっちゃったら心配するよねっ?(^_^;)』
無理して笑っちゃってるりえ。心中穏やかじゃないだろうに…
すると振り返った徹が、
徹『おっ、紀佳。おまえなぁ~、、、』
私に向かってそう言いかけた徹の言葉を遮るように、
『わかってる!その話はゆっくり聞くから!! それよりりえ、あんたは大丈夫?』
とりあえず、今は徹、あんたよりりえの方が優先なの!
りえ『えっ?なにが?』
『何がじゃないわよ。みたんだよねっ?』私がそう声をかけると一気に表情が曇る。
でも、徹には知られたくないみたいで
りえ『何も、何もみてない・・・』
徹『見た、見てないって・・・何を?』徹が話に入ってきた。
でもりえが小さく首を横に振っている。
『そっか。ならいいんだ。それより、なんでここに徹がいるの?』
それ以上この話が続かないように話題を変える。
腑に落ちない徹は私の顔をじ~っ( 一一)
でもりえが振れてほしくない話題をこれ以上話すわけにはいかない。
『で、、、どうしてあんたがここにいるの?』ってあくまでも気づかないふりをした。
~Toru side ~
紀佳の奴・・・
俺に何か隠しやがった(ーー;)
自分の言ってる事を追及されたくないから、わざと俺に話題を振ってきて…
でも俺にはお前に貸しがある。
わかってるよなっ?
絶対に聞き出してやるから!!
とりあえず一旦ここは引き下がり紀佳の質問に答えることに…
『翔太から誘われたんだ。久しぶりに飯でもどう?ってさっ…
弘樹も一緒にって言ってたんだけど、あいつシフトの関係で来れなくて俺一人で来たって訳。これで理解した?』
すると心配そうな顔のりえが
りえ『ほんとにシフトの関係?』
『さぁ~、ほんとのことはよくわからないけど…そういう事でいいんじゃない。
お互い傷がいえるまでには時間が必要みたいだし。』
紀佳は俺の言葉にビックリして脇をツンツンしてたけど・・・
りえが、
りえ『弘樹と真希の事なら、徹から聞いて知ってるから…翔太も真希から聞いたって。』
紀佳『そう・・・ならいいけど。』そういうと俺をにらみつけた紀佳。
『そんなににらむなよ。
あとから変に耳に入るよりちゃんと伝えた方がいいと思ったんだよ。俺達友達だからさっ…』
~ Norika side ~
真希があの状態で参加できるかどうかは不明だけど、とりあえず私達は先にお店に行って後のメンバーを待つことになった。
お店まで向かう道すがら、もう一度りえにあの状況を見たのかと確認したら、
ふさぎ込んだ顔でコクリとうなづいた。
『あれはきっと落ち込んでる真希を慰めてたんだと思うよ。翔太って友達思いだから…』
りえ『わかってる。
最初に見た時は動揺したけど、私が心配で真希を探したように翔太もきっと真希が心配だったんだって、、、
だから気にしないことにしたの。そう、私は何も見なかったって・・・
だから紀佳…これは私と紀佳だけの秘密にしてくれない?』
『秘密?』
りえ『そう。変に気を遣われるのが嫌だから…だから2人だけの秘密…お願い。』
そう言ったりえの真意は今一つわからなかったけど、
『わかった。誰にも言わないよ。だからりえも気にしないのよ。』
お店について15分後、翔太と徹がやってきた。
『2人?やっぱり真希はまだ凹んでる?』
翔太『いちよう誘ったけど…今日は家に帰って一人で考えたいって。』
何を考えるの?って思ったけど、、、
それは口に出せないままの心の奥にしまい込んだ。
~ Toru side ~
弘樹と真希のいない飲み会はやっぱりいつもと違っててなんとなく楽しめない。
でもみんなその雰囲気を掻き消そうと必死で楽しくしてるようにみえた。
これって俺だけが感じてる?
2時間くらいして翔太が明日が試合という事でお開きになった。
俺は紀佳、翔太はりえと帰ることに…
りえ『徹、紀佳の事、お願いね。』
徹『あ~、今日はちゃんと歩けるみたいだから助かったよ(笑)』
その言葉に翔太とりえは不思議顔。
唯一、焦った紀佳が、
紀佳『な、何でもない、ない!(^_^;) 
ほら、いこう!徹』
そういいながら俺のTシャツを引っ張った。
『お、おい。ひっぱんなよ(-"-) これ高いんだからなっ!伸びたらどうすんだよ。』
紀佳『あんたが余計なこと言うからでしょ?じゃぁ~ねっ、翔太。』
~ Syouta side ~
『じゃっ、俺達も帰ろうかっ?』そういうと
りえ『うん。』と笑顔で頷いたりえが俺の手を握る。
りえから手を握るなんて初めてでちょっとびっくりしたけど、不安を抱えた今の俺には少しホッとする材料だった。
『あの2人、なんか仲いいな…』
りえ『よく喧嘩もしてるけどすごくウマが合ってるみたいだよねっ。』
『徹は紀佳の事が好きなのかなぁ~?』
この間のメールを見る限り徹が好きなのはりえだってわかっているのに…
りえ『さぁ~、どうだろう?でも紀佳は徹の事、好きなんじゃないかな?』
『なんでそう思うの?』すると人差し指を立てながら
りえ『女の勘(ー_ー)! なぁ~んて(笑) 
でも2人とも大事な友達だから幸せになってほしいなってねっ。
翔太もそうでしょ?』
この答え、りえは徹の気持ちには気づいてないみたいだなっ。
ってさっきから俺、りえの事を探るような事ばかり考えている。
でも本当に聞きたかったのは、弘樹の気持ちにりえ自身が気づいてるのか?という事だった。
~ Rie side ~
普通にしなきゃ、普通にしてなきゃ、思えば思うほど普段と違う行動をしてしまう。
自分から手を握るなんて今まで一度もしたことないのに。
翔太に今の心のうちを悟られたくなくて…
家の近くで翔太が
翔太『今日はお兄さん、家にいるの?』
確か今日は夜勤~深夜勤の日だったような…
でも今日は早く一人になりたくて
『今日は多分、バイトじゃないかも。』とウソをついてしまった。
~ Syouta side ~
『そっか(^_^;) そうそう夜勤ばかりじゃ疲れるもんなっ…』
りえ『ごめんねっ。じゃっ、明日応援行くから頑張ってねっ。』
そういうと握った手を持ち上げてガッツポーズのりえ。
そしてその言葉に俺も笑顔で応えた。
でも帰り道、、、ずっと頭の中を占領してるのは真希のあの言葉。
真希『私はどんなに頑張っても、愛してもらえないの。翔太にも弘樹にも・・・
だけどりえは、りえは…』
あの言葉の意味は何だったんだろう?
真希に確かめてみようとも思ったけど、今日の真希を問い詰めることはあまり酷な気がしたんだ。
~ Norika side ~
『もういいよ。ここで・・・』
徹『おまえんち、ここからだとまだ20分以上もかかるだろっ。』
そう言うと私の前を歩く徹。
そして振り返り、
徹『それに俺はお前に貸しがある。わかってるよな?』って…( ̄ー ̄)ニヤリッ
やっぱりそこ・・・つついてくるよねっ?(ーー;)
『わかったわよ。約束だから・・・でもさっきも結構食べてたけど、まだ入るの?』
すると私の前に来て顔をグッと近づけると
徹『飯はいい!そのかわり、さっきりえの前で言ってた事、教えろ!』
顔が近いだけでもドキドキしてんのに、上乗せでヒヤヒヤするような事をいう徹。
紀佳『へっ?りえに言ってた事って、何のことかしら?』
誤魔化しきれるとは思ってないけど、いちようとぼけてみる。
徹『時間の無駄。さっさという!』
でもあの事はりえと2人だけの秘密って、さっき約束したばかり。
舌の根も乾かぬうちにもう破っちゃうなんて、やっぱり気が重くて(ーー;)
『りえと約束したばかりなの。
誰にも言わないって…だから、、、
徹『じゃぁ~俺も約束する。誰にも言わない!』
そう言う事になっちゃうよねっ。
さっきのりえの涙を見てしまったら、、、
『絶対に約束だよ。』
~  Toru side ~
さっきのあの涙はきっとただごとじゃない。
そう直感した俺は、紀佳から事の真相を聞き出す。
すると紀佳から信じられない言葉が、
紀佳『翔太が真希を抱きしめてたの。
そしてその現場をりえが見ちゃったって訳。』
『なんでそんな事になるんだよ。』
紀佳『そんなの私が聞きたいわよ。翔太がどういうつもりでそんな事したかを…』
そして紀佳は静かに続ける。
紀佳『あとりえにも本当の気持ちを聞きたい。なぜ、翔太とちゃんと向き合わないかをね…』
~ Rie side ~
家に帰って一人になると、つい考えてしまうさっきの事。
翔太にちゃんと確かめた方がよかったのかなっ?
『どうして真希を抱きしめたりしたの?』って・・・
でも怖くてとても聞けなかった…
ただ慰めていただけ。
そう思いたかったから、私は聞けかなったんだ。
でも、、、
慰める事って試合の事?
それとも弘樹と別れた事?
もし後者だとしたら、なんで別れたの?
あんなに仲良かったのに…
考え始めたら止まらなくなっていた。
~ Toru side ~
紀佳が言ってた事がやけに気になった。
紀佳『あとりえにも本当の気持ちを聞きたい。なぜ、翔太とちゃんと向き合わないかをね…』
この間から気になっていたんだけど、、、
もしかしたらりえの中で弘樹の存在が大きくなり始めてるんじゃないかってそう思えて…
だからその罪悪感から翔太の事も責められない。
違う?
この勘、当たってなきゃいいけど・・・
俺ってこういう勘は、鋭いんだよね(ーー;)
こういう状況になるとりえは翔太と付き合ってる自分を責めてしまうだろう。
そして・・・どちらとも距離を置く。
そんな事になったら、完全にりえから笑顔が消える。
というか、もうりえと会えなくなるかも。
そんな嫌な予感ばかりが頭から離れなかった。
~ Norika side ~
徹と別れ、部屋へ入った途端その場に座り込む。
色んな事が起き過ぎてほとほと疲れた。
走り回った事で体はかなり疲れ切っているのに、頭の中は未だに休まらない状態。
りえが翔太と向き合えない理由。
真希を抱きしめた翔太。
私だったらいくら慰めていたとしてもやっぱりショックだし、行き過ぎた行動なんじゃないかって責めたくなる。
でも、りえはそれをしなかった。
もしかして、りえには翔太を責められない何かがあるの?
それは真希にも共通してる?
翔太の胸で泣いていた真希を責める事が出来なかった。
それって、、、それって、、、
りえの中に弘樹がいるって・・・
そういう事?
その考えが浮かんだ時、りえの気持ちが少し理解できる気がした。
そして帰り道で言った徹の何気ない
徹『弘樹達が別れたことを知った時のりえの様子がちょっと変だったんだ…』
という言葉を思い出していた。
~ Syouta side ~
昨日は真希のあの言葉が妙に気になり、なかなか寝付けなかった。
それでもウトウトとしたのか気が付けば、りえと最寄駅で約束した時間をすでに10分も過ぎていた。
ヤバい!すぐに出ないと!!
その時、俺の携帯にりえから連絡が…
洗面所にいた俺が取ろうとした瞬間、留守録に代わってしまう。
そして聞こえてきたりえの声。
りえ『翔太・・・駅で待ってるんだけど、どうしたのかな?なにかあった?
心配だから留守電聞いたら連絡頂戴ねっ。』
手が濡れているのも構わず携帯を手に取ると、
『ごめん!寝坊した!! すぐに行くから、ちょっと待ってて!!』
りえ『よかったぁ~、
いつも時間に正確なのに来ないから何かあったかと思って電話したの。
何もないんだったら大丈夫だよ。慌てずにゆっくり来て。
私ならお茶でもしながら待ってるから…』
っていつもと変わらないりえの声が聞こえた。
昨日は少し元気なくて気になったんだけど、この声はいつものりえだ。
その瞬間、もう些細なことを気にするのはやめようってそう思った。
真希が言ってた事が事実でも、今、りえは俺の大切な彼女だ。
もう余計なことは考えない。そう誓って部屋を飛び出した。
~ Hiroki side ~
昨日、久しぶりに6人で会わないかって徹から誘われたけど・・・
自分の気持ちに未だ決着がついてない以上、真希にもりえにも平然と会う事は出来ないってそう思ってた。
そんな時、駅の近くのコーヒーショップでりえを見かけた。
どうしてこんなところに?
でも次の瞬間、翔太が走ってりえの元にやってきたことで思い出す。
そういえば、翔太のマンション・・・この近くだったなって。
翔太を見つけたりえはいつもの笑顔で手を振り翔太の元へ。
翔太もいつにもましていい笑顔でりえの肩を抱き駅へと消えて行った。
今まで普通に見ていた光景。
でも、思いが増している今は、あの時よりも胸が痛い。
徹・・・やっぱり俺、当分みんなとは会えそうにないよ。
~ Maki side ~
自分がした事を心から後悔した。
見られなかったとはいえ、私のあの行動は完全にりえに対して裏切り行為。
もしみられていたとしたらりえにも弘樹にも軽蔑されてしまうだろう。
そう思うと、今日は外に一歩も出たくない。そんな心境だった。
~ Syouta side ~
駅までの道を全力で走る。
いつもよりましてりえに会いたい気持ちがこみ上げる。
カフェの中から俺が見えたのか、笑顔で駆け寄ってきたりえ。
りえ『おはよう~!随分急いだんだね。すごっい汗・・・(^_^;)』
『うん、待たせてごめん。じゃっ、行こうか?』
そういいながらりえの肩を抱く。
俺の横で笑顔でいてくれるりえに心からホッとした瞬間だった。
~ Rie side ~
翔太を待ってる間、駅の横のカフェで時間をつぶす。
何を飲むか迷ってる時、前に並んでいた男の人が…
男『スモールサイズのココア。生クリーム多めでお願いします。』少し恥ずかしそうに店員さんに言ってる。
その人の言葉で、弘樹の事を思い出す。
そういえば弘樹もちょっと小さめの声で
弘樹『ココアのMで生クリームたっぷりで・・・』って言ってたなって(^_^;)
それを私と徹で
『お子ちゃまだね~ww』
徹『ほんとに(ーー;) ココアっていうだけで甘いのに、生クリームまで・・・』
って2人してよくからかってたなぁ~なんて…
そんな事を考えてたら、大通りを挟んだ向こうの道に弘樹とよく似た人を見つけた。
もしかして、、、弘樹?
店員『ブラックMのお客様・・・』
店員さんの言葉に振り返り、もう一度見直した時にはすでにその姿はなかった。
弘樹じゃなかったのかな?
気が付けば翔太を待ってる間・・・ずっと弘樹の事を考えてた。
そう思ってハッとした時に、マンションのある方向から走ってくる翔太の姿が…
きっと私を待たせてると思い走ってきたんだろう。
そんな翔太を見て、心の中に少しだけ芽生えた罪悪感。
そしてその思いを掻き消すように笑顔で駆け寄る。
でもこの頃から、私の中で、あえない弘樹への思いがどんどん大きくなっていった。
~ Syouta side ~
試合は3試合見事全勝。
昨日のもやもやとした気持ちが晴れたからなのか、寝ていない割には体がよくボールに反応してくれてた。
これも観覧席で応援してくれてる女神のおかげだよ・・・りえ(*^^)v
ロッカールームで着替えを終え帰ろうとした時、部長から、
部長『近田、今からみんなで祝賀会に行くぞ。いいなっ?』って…
今日こそはりえと2人でゆっくりしようと思っていたんだけど、そうはいかないみたいだなっ。
そして俺はりえにメールを…
『今から祝賀会なんだけど、早めに切り上げるから、俺んちで待っててくれない?』
~  Rie side ~
翔太の部屋で、お祝いのワインを買って、軽いおつまみを用意して待つ事、3時間…
バタバタと玄関先で音がした。
『翔太?』
そこには朝と同じく息を切らした翔太の姿が…
でも朝と違っていたのは、疲れてるのか、その場に座り込んでいるという事。
もしかして、アルコールが入ってるのに走って帰ってきたの?
『大丈夫?』
そう言いながらしゃがみ込むと、突然私を抱きしめ
翔太『いたぁ~!良かった~!』って…
『どうしたの?翔太…
いるに決まってるじゃない。
待ってて言ったの、翔太だよww』
翔太『うん、そうだよなっ。
でも本当に待っててくれてるか不安で走って帰ってきた~!』
そう言うと私の瞳を見ながら髪を何度も撫でる。
飲んでいるのに走って帰ってきたりするから完全に酔いが回ったんだねっ。
『翔太、お水飲む?ちょっと待ってて…』
そう言ったのに私の手を離そうとしない。
翔太『お水なんかいいよ。そんなのいらないから、ここにいて。』
『でも…』
翔太『りえ、ここにいて。俺のそばに、そう俺のそばにずっといて…』
~ Syouta side ~
気がついたらそこはベッドで、隣にはりえの姿が…
カーテンの隙間からは朝陽が差し込んでて、今が朝だと言う事だけは認識できた。
でも店を出てからこのベッドまでの間の記憶がない。
しかもりえと約束したのは昨日の夜だったのに、すでに日付が変わってるようで…
そんな事を考えてたら、隣のりえが目を覚ました。
りえ『お目覚めはいかが?』
『りえ、俺、なんでここに?』
りえ『やっぱり覚えてないんだねっ(ー ー;) 
もう、ここまで連れてくるの、大変だったんだからねっ。』と頬を膨らまし横目で睨まれる。
やっぱりかなり迷惑かけたみたいだ。
でも、すぐに笑顔になったりえ。
りえ『でも許してあげる。』
そう言うと俺の肩に寄りかかりながら
りえ『私に早く会いたくて走って帰ってきたって言ってくれたから~(*^^*)』
『俺、そんな事言ったの?』
酔ってる時ってかなり恥ずかしげな言葉も言えるんだ。
りえ『うん。そこも覚えてないの?だったら許すのやめようかな?』
俺の胸のあたりをツンツンってつつくりえ
でもその気持ちに嘘はないから
『覚えてないけど、それはきっと俺の素直な気持ちだよ。
だから許してよ。それより、昨日できなかった事、今からやらない?(笑)』
~ Maki side ~
昼過ぎにやっとベッドから起き、鏡の前に立つ。
昨夜あんなに泣いたから、目は腫れぼったく、超ブサイク。
こんな顔じゃ外にも出れないなっ(-_-;)
そう思った時、インターフォンが…
ピンポ~ン。
出来れば今日は誰にも会いたくないのに…
そう思いながらドアスコープをのぞくと、そこには紀佳の姿が
紀佳『私だけど、いるんでしょ?早く出なさいよ。』
訪ねてきてくれたのは紀佳。
ドアを開けると、私の顔を見るなり、
紀佳『やっぱり、思った通りひどい顔してるわねっ(笑)』って…
確かに、紀佳が言ってるのは間違いないけど、あまりにもストレートすぎて更に落ち込む。
『言い過ぎ(-_-;)』
そう言うと
紀佳『言い返せる元気はまだ残ってるみたいねっ。』
~ Norika side ~
はじめから暗くならないようにちょっといじる程で
『やっぱ思った通り、ひどい顔してるねっ(笑)』すると肩をがっくりと落としたユラ。
真希『言い過ぎ(-_-;)』って・・・
でも
『言い返せる元気はまだ残ってるみたいねっ。』
マジで凹んでる時に、本気で同情なんかしようもんなら、真希の性格上、二度浮上できない気がしたから…
これは長い付き合いの中で私が学んだ真希の操縦術。
部屋に入ると明らかに今までふて寝してましたの構図。
『もしかして、今までふて寝してた?(笑)』
するとむくれたままうなづく真希。
真希『自分の事、超嫌いになって立ち直れない。』
その言葉を聞いて少しだけほっとする私。
真希はこのこと翔太とりえの事をダメにしようとかそういう作略はなさそう。
昨日の一部始終見てわかってるのに、何も知らない程で聞いてみる。
『自分を嫌いにって、なんかあったの?』
真希『翔太にいっちゃったの。
弘樹がりえを好きだって事…』
でも真希からは思いもしなかった言葉が、
『翔太に?』
真希『泣きわめいちゃってたから、聞いてたどうかは定かじゃないけど・・・
私の中ではちゃんと記憶があるから、なんだか落ち込んじゃってるの…』
結局はあんたもいい子なんだよねっ。
みんなの仲がこじれない事を一番心配してる。
『でもその後、翔太から何か聞かれたの?』
真希『ううん、昨日は何も聞かれなかった。でももし、これから先に昨日の事聞かれたとしたら、私はなんて答えればいいのかな?』
ギブスも取れてバイト復帰3日目。
『お疲れ様で~す!』
やっと終了。やっぱり久々のバイトは疲れる(ーー;)
ロッカーから荷物を取り出し帰ろうとしたその時、徹から呼び止められる。
徹『よっ、お疲れ!』
『あっ、徹、この間はありがとねっ。
今日は遅番?』
徹『うん。それよりこの間送ったメールだけどさっ・・・深い意味はないから気にしないで!』
って言われたんだけど、私には徹からメールをもらった記憶がなく
『メール?私に?いつ徹からメール、もらってたっけ?』
徹『えっ?いってない?この間話した次の日の朝、メール送ったんだけど…』
そう言われ、携帯を取り出し確認。
でも徹からのメールは見当たらず。
『来てないみたいだけど…ちゃんと私に送ったの? 
もしかして違う女の子に送ってたりするんじゃない?(笑)』
ちょっと茶化してそういうと、
徹『そうかもねっ(笑)』といって笑った徹。
でもそのメールの内容が気になった私は、
『えっ、でもメールの内容ってなんだったの?』
すると徹がいつになく赤い顔で、
徹『いや、いい、いい…大したことないから!』
~ Norika side ~
あの日以来、自分でやらかしたこととはいえ、落ち込みが半端ない私。
練習に参加していてもどこか上の空。
翔太『どうした?さっきからボ~っしてるけど…』
『あっ、ごめん。ちょっと考え事してた。』
翔太『そうそれならいいけど…
それはそうと紀佳も行くだろっ?真希達の応援。』
そう、今週の土曜日は女子のバスケの大会が開かれることになってた。
『もちろん、男子部のマネージャーとはいえ、いつも練習してる仲間の試合だもん。応援に行くつもりだけど…』
すると翔太が
翔太『だったらお願いがあるんだけど・・・』
翔太のお願いとは、その応援にりえを誘ってほしいという事だった。
『えっ、何で私?そんなの自分で誘えばいいじゃん!』
翔太『いや、俺は男子部でみんなで行くことになっててさっ…
さっき、りえに声かけてみたんだけど、真希となんかあったんだろっ?
会いづらいって言ってて…』
そういえば、私とりえはゼミが一緒だからあの日から何度かあったけど、真希とは会ってないのかも…
確かにあのまま別れたきりだとしたら、りえの言い分もわからなくもない。
私もこのままじゃよくないって思うし…
『OK、私から誘ってみるよ。』
~ Rie side ~
紀佳から誘われた真希の試合の応援。
最初はちょっと躊躇したけど、
紀佳『このままだともっともっと会いづらくなるんじゃない?
りえがそれでも構わないなら別にいいけど…』
そう脅され一緒に行く事にした。
試合前にみんなが集まってる場所に差し入れを持っていくと、
真希『りえも応援に来てくれたんだねっ。ありがとう』って真っ先に言われちょっとびっくりした。
もしかして私があの言葉に過剰に反応してただけなのかな?
『うん、頑張ってねっ。真希の活躍楽しみにしてるねっ。』
そう言うと私と紀佳にガッツポーズを見せた真希。
良かった~!
なんのわだかまりのなさそうな真希の態度にほっと胸を撫で下ろした。
~ Norika side ~
今日の真希の様子をみてちょっと違和感を感じた私。
昨日まではこっちがお節介をやきたくなるくらいに落ち込んでいたのに…
それとも、弘樹との事、もう吹っ切れたのかな?
その時、後ろから
翔太『紀佳、サンキュー。真希とりえ、大丈夫みたいでほっとしたよ』って…
『どういたしまして。』
本当にりえにはめちゃ甘の翔太。
『それより、翔太達はどこで応援?』
翔太達はベンチにて応援するという事で、私達2人は別に2階の観覧席で試合観戦することにした。
せっかく、りえとめいっぱい応援するつもりでいたのに、試合序盤から真希達チームはかなりの劣勢。
特に真希のプレイはさっきの態度と裏腹にグダグダでいつもの俊敏さは微塵もなかった。
りえ『真希、調子悪いのかなぁ~(ーー;)』
素人のりえにもわかるくらいの状況で…
案の定、1クオーター終了後に交代をつげられたみたいで、そのまま体育館から姿を消した。
『調子悪かったみたいね(ーー;)』
すると、りえが急に立ち上がる。
りえ『私、ちょっと探してくる!』
『へっ?ち、ちょっと待ってよ。』
すぐにりえの後を追ったつもりだったけど、思いのほか走る速度が違ってて、あっという間に見失った私。
はぁ~、とりあえず、翔太に連絡しなきゃ(ーー;)
~ Syouta side ~
いつもの調子じゃない真希。
やっぱりまだ弘樹との事を引きずってる?
そんな時、交代をつげられた真希。
確かにこの状態だと仕方ないかも(ーー;)
でも交代がよっぽどショックだったのか、真希はそのまま体育館を後にした。
そんな真希をほっとけなくて急いて後を追った。
~ Rie side ~
さっきはあんなに元気だったのに、どうしちゃったんだろう。
私がそばにいても何の役にもたたないかもだけど…
真希を1人にはしておけなくて。
でもやっと探しだしたその時、
真希のそばには、翔太が…
ちょっと遠くで何を話してるかはわからないけど…
なんとなく近づけない雰囲気。
その時、、、
真希が翔太の胸の中に…
心臓を鷲掴みにされた衝撃。
そして、翔太の腕が真希の背中にまわされた瞬間、、、
その場にいることさえできずに駆け出してた。
~Norika side ~
マジで足速くない?
自分の体力のなさにいささか凹みつつ、りえを探す。
その時、目の前から全速力でこっちに向かってくるりえ発見。
やっと見つけた!
『りえ…』
声をかけたのに、完全スルーのりえ。
泣いてた? まさかねっ。
でも様子がおかしい。
あっちから走ってきたという事はあっちに何かしら答えがあるという事?
少し早足でりえが走ってきた方向へ…
するとそこには目を疑うような光景が。
翔太と真希が抱きあってる? 時折、翔太が真希の髪を撫でながら、、、
その時初めてりえの涙を思い出し納得した私。
そりゃあ~、この光景は逃げ出したくなるよね~(ーー;)
そして私は来た道を逆戻り。
またりえを探す羽目になった。
~ Syouta side ~
体育館の裏の庭・・・噴水の横の木陰に真希を見つけた。
傍に行って声をかける。
『どうしたの?こんなとこで…』
振り返った真希は慌てて手で涙を拭いながら、
真希『あんなプレイしかできないのが申し訳なくって、あの場にいる事が出来なかったの。心配かけてごめんなさい。』
そういいながら泣くのを必死で我慢している。
『しょうがない。人間だもん。そういう時もあるって・・・』
そういいながらそっと手を取り、
『みんなが心配してるから、戻ろう。』
すると突然、真希が俺の手を振り払った。
真希『優しくしないで… 好きでもないのにそんなに優しくしないでよ。私、バカだからすぐに勘違いしちゃうじゃない。
そうよ、みんなりえの事が好きなのに、もう私に構わないで!』
そして頬をつたう涙・・・
『真希?』
真希『私はどんなに頑張っても、愛してもらえないの。
翔太にも弘樹にも・・・だけどりえは、りえは…』そういうと涙で言葉が続かない真希
『真希、どうした?落ち着いて…』
そう声をかけた瞬間、俺の胸にユラが飛び込んできたんだ。
~ Maki side ~
どこかで切り替えなきゃ・・・
いつまで恋しがっても弘樹の心はりえでいっぱいなんだもん。
頭では十分理解してるんだけど、気持ちがついていかなくて。
あれから何をするにも覇気のない私。
でもみんなには悟られたくなくて、かっこつけてきたけど、、、
もう限界かも・・・
唯一の心のよりどころだったバスケもこんなざまで、そこに立っているのもつらくなって裏庭に…
何とか気持ちを落ち着けようとしてるのに、
翔太『どうしたの?こんなとこで…』
『あんなプレイしかできないのが申し訳なくって、あの場にいる事が出来なかったの。心配かけてごめんなさい。』
翔太・・・今の私をそっとしといて。そんな思いでいっぱいだったのに・・・
翔太『しょうがない。人間だもん。そういう時もあるって・・・』って言った途端私の手を握り、
翔太『みんなが心配してるから、戻ろう。』
その瞬間、私の中でいろんな思いがあふれ出す。
『優しくしないで… 好きでもないのにそんなに優しくしないでよ。私、バカだからすぐに勘違いしちゃうじゃない。
そうよ、みんなりえの事が好きなのに、もう私に構わないで!』
泣くのはずるい。
そう思ってたから必死で我慢してたのにもうおさえられなくなった。
翔太『真希?』
『私はどんなに頑張っても、愛してもらえないの。
翔太にも弘樹にも・・・だけどりえは、りえは…』
りえのせいじゃないって私が一番わかってるのに…
翔太『真希、どうした?落ち着いて…』
でももう限界だった。
みずから翔太の胸に飛び込むと
『私の事かわいそうだって、そう思うのなら…ほんの少しでいい。
このままでいて・・・気持ちが落ち着くまで、、、お願い。』
そういうと
翔太『わかった。真希、少し気持ち落ち着けよう。』
翔太の優しい声が聞こえてきて、私をゆっくりと包んでくれた。
~ Syouta side ~
俺の胸の中にいる真希が小さな声で呟く。
真希『私の事かわいそうだって、そう思うのなら…ほんの少しでいい。
このままでいて・・・気持ちが落ち着くまで、、、お願い。』
今にも消えてしまいそうな、そんな声で…
さっきの真希の言葉に動揺している俺が確かにここにいるけど、今は目の前の消えそうな真希をほっておくことはできなかった。
そっと真希を包み込み、
『わかった。真希、少し気持ち落ち着けよう。』って…言ったんだ。
~Rie side ~
翔太が真希を抱きしめた・・・
その事実を受け止めるのにかなりの時間がかかった私。
多分、きっと落ち込んでいる真希を慰めてるだけなんだよねっ?
頭では十分わかってるつもりなんだけど…胸が締め付けられるように痛い。
私、なんて心の狭い女なんだろう。
ひとしきり走ってきた観覧席の入口。
誰にも見えないように涙を拭き、気持ちを落ち着けるために大きく深呼吸。
その時、後ろから私の名前を呼ぶ人が、
徹『りえ?』
振り返るとそこには徹が
徹『こんなところでどうした?』
そう言われた途端にさっきちゃんと拭ったはずの涙があふれてきた。
徹『へっ?はっ?なに泣いてんの?』
~Norika side ~
りえを探してはや5分。もう~、一体どこに行っちゃったの?
とりあえず、観覧席に戻っておいてきた荷物も持ってこなきゃ…
すると目の前にりえの姿が… そして誰かと話してる?
あの後ろ姿は、もしや徹?
この状況で徹と会うなんてタイミング悪すぎない?
しかもなんであいつがここにいるのよ(;一_一)
でもまず今はりえのフォローが最優先!
『りえ、こんなところにいたの。随分探したんだよ。』私の顔を見るとハッとした表情で下を向いて涙を拭うと、
りえ『ご、ごめん。急にいなくなっちゃったら心配するよねっ?(^_^;)』
無理して笑っちゃってるりえ。心中穏やかじゃないだろうに…
すると振り返った徹が、
徹『おっ、紀佳。おまえなぁ~、、、』
私に向かってそう言いかけた徹の言葉を遮るように、
『わかってる!その話はゆっくり聞くから!! それよりりえ、あんたは大丈夫?』
とりあえず、今は徹、あんたよりりえの方が優先なの!
りえ『えっ?なにが?』
『何がじゃないわよ。みたんだよねっ?』私がそう声をかけると一気に表情が曇る。
でも、徹には知られたくないみたいで
りえ『何も、何もみてない・・・』
徹『見た、見てないって・・・何を?』徹が話に入ってきた。
でもりえが小さく首を横に振っている。
『そっか。ならいいんだ。それより、なんでここに徹がいるの?』
それ以上この話が続かないように話題を変える。
腑に落ちない徹は私の顔をじ~っ( 一一)
でもりえが振れてほしくない話題をこれ以上話すわけにはいかない。
『で、、、どうしてあんたがここにいるの?』ってあくまでも気づかないふりをした。
~Toru side ~
紀佳の奴・・・
俺に何か隠しやがった(ーー;)
自分の言ってる事を追及されたくないから、わざと俺に話題を振ってきて…
でも俺にはお前に貸しがある。
わかってるよなっ?
絶対に聞き出してやるから!!
とりあえず一旦ここは引き下がり紀佳の質問に答えることに…
『翔太から誘われたんだ。久しぶりに飯でもどう?ってさっ…
弘樹も一緒にって言ってたんだけど、あいつシフトの関係で来れなくて俺一人で来たって訳。これで理解した?』
すると心配そうな顔のりえが
りえ『ほんとにシフトの関係?』
『さぁ~、ほんとのことはよくわからないけど…そういう事でいいんじゃない。
お互い傷がいえるまでには時間が必要みたいだし。』
紀佳は俺の言葉にビックリして脇をツンツンしてたけど・・・
りえが、
りえ『弘樹と真希の事なら、徹から聞いて知ってるから…翔太も真希から聞いたって。』
紀佳『そう・・・ならいいけど。』そういうと俺をにらみつけた紀佳。
『そんなににらむなよ。
あとから変に耳に入るよりちゃんと伝えた方がいいと思ったんだよ。俺達友達だからさっ…』
~ Norika side ~
真希があの状態で参加できるかどうかは不明だけど、とりあえず私達は先にお店に行って後のメンバーを待つことになった。
お店まで向かう道すがら、もう一度りえにあの状況を見たのかと確認したら、
ふさぎ込んだ顔でコクリとうなづいた。
『あれはきっと落ち込んでる真希を慰めてたんだと思うよ。翔太って友達思いだから…』
りえ『わかってる。
最初に見た時は動揺したけど、私が心配で真希を探したように翔太もきっと真希が心配だったんだって、、、
だから気にしないことにしたの。そう、私は何も見なかったって・・・
だから紀佳…これは私と紀佳だけの秘密にしてくれない?』
『秘密?』
りえ『そう。変に気を遣われるのが嫌だから…だから2人だけの秘密…お願い。』
そう言ったりえの真意は今一つわからなかったけど、
『わかった。誰にも言わないよ。だからりえも気にしないのよ。』
お店について15分後、翔太と徹がやってきた。
『2人?やっぱり真希はまだ凹んでる?』
翔太『いちよう誘ったけど…今日は家に帰って一人で考えたいって。』
何を考えるの?って思ったけど、、、
それは口に出せないままの心の奥にしまい込んだ。
~ Toru side ~
弘樹と真希のいない飲み会はやっぱりいつもと違っててなんとなく楽しめない。
でもみんなその雰囲気を掻き消そうと必死で楽しくしてるようにみえた。
これって俺だけが感じてる?
2時間くらいして翔太が明日が試合という事でお開きになった。
俺は紀佳、翔太はりえと帰ることに…
りえ『徹、紀佳の事、お願いね。』
徹『あ~、今日はちゃんと歩けるみたいだから助かったよ(笑)』
その言葉に翔太とりえは不思議顔。
唯一、焦った紀佳が、
紀佳『な、何でもない、ない!(^_^;) 
ほら、いこう!徹』
そういいながら俺のTシャツを引っ張った。
『お、おい。ひっぱんなよ(-"-) これ高いんだからなっ!伸びたらどうすんだよ。』
紀佳『あんたが余計なこと言うからでしょ?じゃぁ~ねっ、翔太。』
~ Syouta side ~
『じゃっ、俺達も帰ろうかっ?』そういうと
りえ『うん。』と笑顔で頷いたりえが俺の手を握る。
りえから手を握るなんて初めてでちょっとびっくりしたけど、不安を抱えた今の俺には少しホッとする材料だった。
『あの2人、なんか仲いいな…』
りえ『よく喧嘩もしてるけどすごくウマが合ってるみたいだよねっ。』
『徹は紀佳の事が好きなのかなぁ~?』
この間のメールを見る限り徹が好きなのはりえだってわかっているのに…
りえ『さぁ~、どうだろう?でも紀佳は徹の事、好きなんじゃないかな?』
『なんでそう思うの?』すると人差し指を立てながら
りえ『女の勘(ー_ー)! なぁ~んて(笑) 
でも2人とも大事な友達だから幸せになってほしいなってねっ。
翔太もそうでしょ?』
この答え、りえは徹の気持ちには気づいてないみたいだなっ。
ってさっきから俺、りえの事を探るような事ばかり考えている。
でも本当に聞きたかったのは、弘樹の気持ちにりえ自身が気づいてるのか?という事だった。
~ Rie side ~
普通にしなきゃ、普通にしてなきゃ、思えば思うほど普段と違う行動をしてしまう。
自分から手を握るなんて今まで一度もしたことないのに。
翔太に今の心のうちを悟られたくなくて…
家の近くで翔太が
翔太『今日はお兄さん、家にいるの?』
確か今日は夜勤~深夜勤の日だったような…
でも今日は早く一人になりたくて
『今日は多分、バイトじゃないかも。』とウソをついてしまった。
~ Syouta side ~
『そっか(^_^;) そうそう夜勤ばかりじゃ疲れるもんなっ…』
りえ『ごめんねっ。じゃっ、明日応援行くから頑張ってねっ。』
そういうと握った手を持ち上げてガッツポーズのりえ。
そしてその言葉に俺も笑顔で応えた。
でも帰り道、、、ずっと頭の中を占領してるのは真希のあの言葉。
真希『私はどんなに頑張っても、愛してもらえないの。翔太にも弘樹にも・・・
だけどりえは、りえは…』
あの言葉の意味は何だったんだろう?
真希に確かめてみようとも思ったけど、今日の真希を問い詰めることはあまり酷な気がしたんだ。
~ Norika side ~
『もういいよ。ここで・・・』
徹『おまえんち、ここからだとまだ20分以上もかかるだろっ。』
そう言うと私の前を歩く徹。
そして振り返り、
徹『それに俺はお前に貸しがある。わかってるよな?』って…( ̄ー ̄)ニヤリッ
やっぱりそこ・・・つついてくるよねっ?(ーー;)
『わかったわよ。約束だから・・・でもさっきも結構食べてたけど、まだ入るの?』
すると私の前に来て顔をグッと近づけると
徹『飯はいい!そのかわり、さっきりえの前で言ってた事、教えろ!』
顔が近いだけでもドキドキしてんのに、上乗せでヒヤヒヤするような事をいう徹。
紀佳『へっ?りえに言ってた事って、何のことかしら?』
誤魔化しきれるとは思ってないけど、いちようとぼけてみる。
徹『時間の無駄。さっさという!』
でもあの事はりえと2人だけの秘密って、さっき約束したばかり。
舌の根も乾かぬうちにもう破っちゃうなんて、やっぱり気が重くて(ーー;)
『りえと約束したばかりなの。
誰にも言わないって…だから、、、
徹『じゃぁ~俺も約束する。誰にも言わない!』
そう言う事になっちゃうよねっ。
さっきのりえの涙を見てしまったら、、、
『絶対に約束だよ。』
~  Toru side ~
さっきのあの涙はきっとただごとじゃない。
そう直感した俺は、紀佳から事の真相を聞き出す。
すると紀佳から信じられない言葉が、
紀佳『翔太が真希を抱きしめてたの。
そしてその現場をりえが見ちゃったって訳。』
『なんでそんな事になるんだよ。』
紀佳『そんなの私が聞きたいわよ。翔太がどういうつもりでそんな事したかを…』
そして紀佳は静かに続ける。
紀佳『あとりえにも本当の気持ちを聞きたい。なぜ、翔太とちゃんと向き合わないかをね…』
~ Rie side ~
家に帰って一人になると、つい考えてしまうさっきの事。
翔太にちゃんと確かめた方がよかったのかなっ?
『どうして真希を抱きしめたりしたの?』って・・・
でも怖くてとても聞けなかった…
ただ慰めていただけ。
そう思いたかったから、私は聞けかなったんだ。
でも、、、
慰める事って試合の事?
それとも弘樹と別れた事?
もし後者だとしたら、なんで別れたの?
あんなに仲良かったのに…
考え始めたら止まらなくなっていた。
~ Toru side ~
紀佳が言ってた事がやけに気になった。
紀佳『あとりえにも本当の気持ちを聞きたい。なぜ、翔太とちゃんと向き合わないかをね…』
この間から気になっていたんだけど、、、
もしかしたらりえの中で弘樹の存在が大きくなり始めてるんじゃないかってそう思えて…
だからその罪悪感から翔太の事も責められない。
違う?
この勘、当たってなきゃいいけど・・・
俺ってこういう勘は、鋭いんだよね(ーー;)
こういう状況になるとりえは翔太と付き合ってる自分を責めてしまうだろう。
そして・・・どちらとも距離を置く。
そんな事になったら、完全にりえから笑顔が消える。
というか、もうりえと会えなくなるかも。
そんな嫌な予感ばかりが頭から離れなかった。
~ Norika side ~
徹と別れ、部屋へ入った途端その場に座り込む。
色んな事が起き過ぎてほとほと疲れた。
走り回った事で体はかなり疲れ切っているのに、頭の中は未だに休まらない状態。
りえが翔太と向き合えない理由。
真希を抱きしめた翔太。
私だったらいくら慰めていたとしてもやっぱりショックだし、行き過ぎた行動なんじゃないかって責めたくなる。
でも、りえはそれをしなかった。
もしかして、りえには翔太を責められない何かがあるの?
それは真希にも共通してる?
翔太の胸で泣いていた真希を責める事が出来なかった。
それって、、、それって、、、
りえの中に弘樹がいるって・・・
そういう事?
その考えが浮かんだ時、りえの気持ちが少し理解できる気がした。
そして帰り道で言った徹の何気ない
徹『弘樹達が別れたことを知った時のりえの様子がちょっと変だったんだ…』
という言葉を思い出していた。
~ Syouta side ~
昨日は真希のあの言葉が妙に気になり、なかなか寝付けなかった。
それでもウトウトとしたのか気が付けば、りえと最寄駅で約束した時間をすでに10分も過ぎていた。
ヤバい!すぐに出ないと!!
その時、俺の携帯にりえから連絡が…
洗面所にいた俺が取ろうとした瞬間、留守録に代わってしまう。
そして聞こえてきたりえの声。
りえ『翔太・・・駅で待ってるんだけど、どうしたのかな?なにかあった?
心配だから留守電聞いたら連絡頂戴ねっ。』
手が濡れているのも構わず携帯を手に取ると、
『ごめん!寝坊した!! すぐに行くから、ちょっと待ってて!!』
りえ『よかったぁ~、
いつも時間に正確なのに来ないから何かあったかと思って電話したの。
何もないんだったら大丈夫だよ。慌てずにゆっくり来て。
私ならお茶でもしながら待ってるから…』
っていつもと変わらないりえの声が聞こえた。
昨日は少し元気なくて気になったんだけど、この声はいつものりえだ。
その瞬間、もう些細なことを気にするのはやめようってそう思った。
真希が言ってた事が事実でも、今、りえは俺の大切な彼女だ。
もう余計なことは考えない。そう誓って部屋を飛び出した。
~ Hiroki side ~
昨日、久しぶりに6人で会わないかって徹から誘われたけど・・・
自分の気持ちに未だ決着がついてない以上、真希にもりえにも平然と会う事は出来ないってそう思ってた。
そんな時、駅の近くのコーヒーショップでりえを見かけた。
どうしてこんなところに?
でも次の瞬間、翔太が走ってりえの元にやってきたことで思い出す。
そういえば、翔太のマンション・・・この近くだったなって。
翔太を見つけたりえはいつもの笑顔で手を振り翔太の元へ。
翔太もいつにもましていい笑顔でりえの肩を抱き駅へと消えて行った。
今まで普通に見ていた光景。
でも、思いが増している今は、あの時よりも胸が痛い。
徹・・・やっぱり俺、当分みんなとは会えそうにないよ。
~ Maki side ~
自分がした事を心から後悔した。
見られなかったとはいえ、私のあの行動は完全にりえに対して裏切り行為。
もしみられていたとしたらりえにも弘樹にも軽蔑されてしまうだろう。
そう思うと、今日は外に一歩も出たくない。そんな心境だった。
~ Syouta side ~
駅までの道を全力で走る。
いつもよりましてりえに会いたい気持ちがこみ上げる。
カフェの中から俺が見えたのか、笑顔で駆け寄ってきたりえ。
りえ『おはよう~!随分急いだんだね。すごっい汗・・・(^_^;)』
『うん、待たせてごめん。じゃっ、行こうか?』
そういいながらりえの肩を抱く。
俺の横で笑顔でいてくれるりえに心からホッとした瞬間だった。
~ Rie side ~
翔太を待ってる間、駅の横のカフェで時間をつぶす。
何を飲むか迷ってる時、前に並んでいた男の人が…
男『スモールサイズのココア。生クリーム多めでお願いします。』少し恥ずかしそうに店員さんに言ってる。
その人の言葉で、弘樹の事を思い出す。
そういえば弘樹もちょっと小さめの声で
弘樹『ココアのMで生クリームたっぷりで・・・』って言ってたなって(^_^;)
それを私と徹で
『お子ちゃまだね~ww』
徹『ほんとに(ーー;) ココアっていうだけで甘いのに、生クリームまで・・・』
って2人してよくからかってたなぁ~なんて…
そんな事を考えてたら、大通りを挟んだ向こうの道に弘樹とよく似た人を見つけた。
もしかして、、、弘樹?
店員『ブラックMのお客様・・・』
店員さんの言葉に振り返り、もう一度見直した時にはすでにその姿はなかった。
弘樹じゃなかったのかな?
気が付けば翔太を待ってる間・・・ずっと弘樹の事を考えてた。
そう思ってハッとした時に、マンションのある方向から走ってくる翔太の姿が…
きっと私を待たせてると思い走ってきたんだろう。
そんな翔太を見て、心の中に少しだけ芽生えた罪悪感。
そしてその思いを掻き消すように笑顔で駆け寄る。
でもこの頃から、私の中で、あえない弘樹への思いがどんどん大きくなっていった。
~ Syouta side ~
試合は3試合見事全勝。
昨日のもやもやとした気持ちが晴れたからなのか、寝ていない割には体がよくボールに反応してくれてた。
これも観覧席で応援してくれてる女神のおかげだよ・・・りえ(*^^)v
ロッカールームで着替えを終え帰ろうとした時、部長から、
部長『近田、今からみんなで祝賀会に行くぞ。いいなっ?』って…
今日こそはりえと2人でゆっくりしようと思っていたんだけど、そうはいかないみたいだなっ。
そして俺はりえにメールを…
『今から祝賀会なんだけど、早めに切り上げるから、俺んちで待っててくれない?』
~  Rie side ~
翔太の部屋で、お祝いのワインを買って、軽いおつまみを用意して待つ事、3時間…
バタバタと玄関先で音がした。
『翔太?』
そこには朝と同じく息を切らした翔太の姿が…
でも朝と違っていたのは、疲れてるのか、その場に座り込んでいるという事。
もしかして、アルコールが入ってるのに走って帰ってきたの?
『大丈夫?』
そう言いながらしゃがみ込むと、突然私を抱きしめ
翔太『いたぁ~!良かった~!』って…
『どうしたの?翔太…
いるに決まってるじゃない。
待ってて言ったの、翔太だよww』
翔太『うん、そうだよなっ。
でも本当に待っててくれてるか不安で走って帰ってきた~!』
そう言うと私の瞳を見ながら髪を何度も撫でる。
飲んでいるのに走って帰ってきたりするから完全に酔いが回ったんだねっ。
『翔太、お水飲む?ちょっと待ってて…』
そう言ったのに私の手を離そうとしない。
翔太『お水なんかいいよ。そんなのいらないから、ここにいて。』
『でも…』
翔太『りえ、ここにいて。俺のそばに、そう俺のそばにずっといて…』
~ Syouta side ~
気がついたらそこはベッドで、隣にはりえの姿が…
カーテンの隙間からは朝陽が差し込んでて、今が朝だと言う事だけは認識できた。
でも店を出てからこのベッドまでの間の記憶がない。
しかもりえと約束したのは昨日の夜だったのに、すでに日付が変わってるようで…
そんな事を考えてたら、隣のりえが目を覚ました。
りえ『お目覚めはいかが?』
『りえ、俺、なんでここに?』
りえ『やっぱり覚えてないんだねっ(ー ー;) 
もう、ここまで連れてくるの、大変だったんだからねっ。』と頬を膨らまし横目で睨まれる。
やっぱりかなり迷惑かけたみたいだ。
でも、すぐに笑顔になったりえ。
りえ『でも許してあげる。』
そう言うと俺の肩に寄りかかりながら
りえ『私に早く会いたくて走って帰ってきたって言ってくれたから~(*^^*)』
『俺、そんな事言ったの?』
酔ってる時ってかなり恥ずかしげな言葉も言えるんだ。
りえ『うん。そこも覚えてないの?だったら許すのやめようかな?』
俺の胸のあたりをツンツンってつつくりえ
でもその気持ちに嘘はないから
『覚えてないけど、それはきっと俺の素直な気持ちだよ。
だから許してよ。それより、昨日できなかった事、今からやらない?(笑)』
~ Maki side ~
昼過ぎにやっとベッドから起き、鏡の前に立つ。
昨夜あんなに泣いたから、目は腫れぼったく、超ブサイク。
こんな顔じゃ外にも出れないなっ(-_-;)
そう思った時、インターフォンが…
ピンポ~ン。
出来れば今日は誰にも会いたくないのに…
そう思いながらドアスコープをのぞくと、そこには紀佳の姿が
紀佳『私だけど、いるんでしょ?早く出なさいよ。』
訪ねてきてくれたのは紀佳。
ドアを開けると、私の顔を見るなり、
紀佳『やっぱり、思った通りひどい顔してるわねっ(笑)』って…
確かに、紀佳が言ってるのは間違いないけど、あまりにもストレートすぎて更に落ち込む。
『言い過ぎ(-_-;)』
そう言うと
紀佳『言い返せる元気はまだ残ってるみたいねっ。』
~ Norika side ~
はじめから暗くならないようにちょっといじる程で
『やっぱ思った通り、ひどい顔してるねっ(笑)』すると肩をがっくりと落としたユラ。
真希『言い過ぎ(-_-;)』って・・・
でも
『言い返せる元気はまだ残ってるみたいねっ。』
マジで凹んでる時に、本気で同情なんかしようもんなら、真希の性格上、二度浮上できない気がしたから…
これは長い付き合いの中で私が学んだ真希の操縦術。
部屋に入ると明らかに今までふて寝してましたの構図。
『もしかして、今までふて寝してた?(笑)』
するとむくれたままうなづく真希。
真希『自分の事、超嫌いになって立ち直れない。』
その言葉を聞いて少しだけほっとする私。
真希はこのこと翔太とりえの事をダメにしようとかそういう作略はなさそう。
昨日の一部始終見てわかってるのに、何も知らない程で聞いてみる。
『自分を嫌いにって、なんかあったの?』
真希『翔太にいっちゃったの。
弘樹がりえを好きだって事…』
でも真希からは思いもしなかった言葉が、
『翔太に?』
真希『泣きわめいちゃってたから、聞いてたどうかは定かじゃないけど・・・
私の中ではちゃんと記憶があるから、なんだか落ち込んじゃってるの…』
結局はあんたもいい子なんだよねっ。
みんなの仲がこじれない事を一番心配してる。
『でもその後、翔太から何か聞かれたの?』
真希『ううん、昨日は何も聞かれなかった。でももし、これから先に昨日の事聞かれたとしたら、私はなんて答えればいいのかな?』
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