本当の恋・・・見つけたら(3Version)
回想** 作戦 **
~Toru side ~
クリスマスから一週間後の12月31日。すなわち今年最後の日…
俺と弘樹はいつもの如くスタジオで踊りおさめと称し、4時間程踊り続けていた。
『そろそろ帰る?』
そう言いながらシャワー室へ向かおうとする俺の腕をつかんだ弘樹。
そして真剣な顔つきで
弘樹『俺さ…真希ちゃんとつきあう事にしたんだ。』
『へっ?なにいってんの?』
弘樹『だから、この間あったあの真希ちゃんとつきあう事になった…』
『お前、自分が何言ってるかわかってる?』
俺の言葉にうなづく弘樹。
『えっ、いつそんな事になったの?説明しろよ。』
弘樹『この間送って行った時に妙に話があって…彼女、スタイルもいいし、きれいだし、いいかなって・・・』
まるで話がかみ合ってない弘樹。
話があった?あの時そんなに話してもないのに?
それに、あの真希ちゃんって子…
翔太にしか興味を示してなかったよなっ?
そんなあの子とお前がつきあう?
そんな話、信じろって言われたって信じられるわけがないじゃないかよ。
『お前なに考えてんの? ほんとの事言えよ。弘樹!!』
~ Hiroki side ~
あの日、真希ちゃんが言った
真希『私達、、、協力しない?』
といった内容とは、
真希『私とあなたが付き合うの。』
『へっ?付き合う?』
想像もしていないことだったので変な声が出る。
真希『もちろん、ふりよ、付き合うふり!
私達が付き合い始めたら、私とあなたがあの2人の日常にすっごく近づいたとしても怪しまれない。私、年明け早々にバスケサークルに入ろうと思ってるの。』
『あのサークル、かなり入りづらいって聞いたけど…』
真希『それは私も知ってる。だからあなたが近田君に話して入れるようにしてよ。
彼女の私が入りたがってるって…
もし、それがうまくいったら、私がりえに話してりえがバイトしてる本屋のバイト候補にあなたを推薦してあげるから…』
『俺が本屋のバイト?』
真希『そう!りえは週4でバイトだから、仲よくなるには一番効率がいいと思うの。
どう?』
そう言われ、心が動かないっていったら嘘になるけど・・・
そこまでして俺はりえちゃんと付き合いたいと思ってるのかって自問自答してみる。
いや、俺は、2人の事を邪魔する気持ちはない!
だったらこの誘いは
『俺はいい。そこまでしてりえちゃんと付き合いたいとは思わない。』
すると彼女が意味ありげな言葉をはいた。
真希『あなたは私に逆らえないはずよ。』
『それって…どういう意味?』
真希ちゃんが話し始めた逆らえないと言った意味とは…
俺がりえちゃんが今日会う前から顔見知りだったという事。
真希『化粧室に行った時にりえにきいたの。前にあなた達と会った事あるんでしょって…
そしたら言いにくそうにしてたんだけど、コンビニの常連さんだって教えてくれた。
絶対近田君に言わない事を約束にねっ。』
翔太にばれたくないって事、りえちゃんもわかったんだ…
真希『りえにとっては多分、ただのコンビニの常連さん。
でもあなた達、いやあなたは違うでしょ?
りえを恋い焦がれてる眼差しで見てた。
詳しい事情はわからないけど、少なくともあなた達は近田君にりえの事を知ってたという事実を知られたくない。
池田さんのあの時の言葉に反論しなかったもん。』
真希ちゃんの深い読みが全て当たってるだけに何も返せない俺がいて…
真希『井坂さん、協力して…何もしないで諦めたくない。汚い真似はしないから。
そして側にいて、彼がどんなにりえの事が好きなのかって事がわかったら諦める。
うん、諦めるから…』
そう言うと少し寂しそうに笑う彼女…真希ちゃんの事を突っぱねる事が俺にはできなかったんだ。
『わかった。そのかわりちゃんと約束、守ってねっ。』
~Toru side ~
長い付き合いの俺の事、そんな見え透いた嘘で騙そうなんて…
なに、考えてんだよ、お前は~(-_-#)
『何年お前と一緒にいると思ってんだよ…
俺が「へぇ~、そうなんだ。おめでとう!」って言うとでも思ったのかよ。』
俺の言葉に何も言えず俯く弘樹。
『何があった?話してみろよ。』
~ Hiroki side ~
徹に話すべきか…
でもこのままこいつが納得するような言い訳も思いつかない。
徹『言い訳探しても無駄。吐け( ̄Д ̄)ノ』
仕方なく真希ちゃんとのやりとりを話した。
すると、、、
徹『返事する前に相談してくれなかったんだよ、弘樹…』
『悪りぃ(ー ー;)』
徹『今更やめたって?言えない?よなっ(ーー;)』
力なくうなづく俺。
徹『わかった。でもこれだけは言っておく…
俺らは翔太の親友だから、俺が言いたい事、わかるよなっ?弘樹。』
『わかってる。お前ら2人を裏切るような事だけはしないって、、、約束するよ。』
~Norika side ~
あと10分で新しい年。家でのんびりDVDを見ていると、ベッドの上に放り投げていた携帯が鳴り響く。
こんな遅い時間にいったい誰?
携帯を取り、そのまま通話ボタンをポチッ
『もしもし~』
いつもより低いトーン…すると電話の向こうから
徹『ヤベっ…もしかして機嫌悪かった?』って、これって徹の声。
一瞬でテンションの上がる私。
『もしかして?池田 徹?』
徹『あったり~!よくわかったねっ。でもフルネームは勘弁・・・
あっ、もしかして俺からの電話、待ってた?』
『そ、そんなわけないじゃん!どうして私が徹の電話を待ってなきゃいけないの?』
焦って・・・全否定。
って、、、やっぱり私、変だよねっ
徹『そこまで言わなくても(ーー;)』落ち込む徹。
なんか調子狂っちゃう(-_-;)
徹っていつもこういう風に自然にじわじわと人の心に侵入していくの?
やたら気になる・・・この男・・・マジで要注意!って思った瞬間だった。
~Toru side ~
『実は紀佳に電話したのは、お願いがあってさっ。
友達になって初めてのお願い、、、聞いてくれるよねっ?』
必殺!ちょっと甘え声(*^^)v
紀佳『内容聞かないと…返事できない!』
どうやらこの秘策・・・紀佳には通用しないみたいだなっ(^_^;)
とりあえず弘樹から聞いたそのままの内容を話す。
紀佳『そこまで思い詰めちゃった感じなんだ(ーー;)
私とりえの前では結構、普段通りに装ってるんだけどねっ…』
『それでさっ、お願いというのは・・・真希ちゃんが暴走しないように、紀佳も一緒にサークルに入部してほしいんだ。
俺も弘樹が暴走しないように、本屋でバイトするつもり。
だめかなっ?なっ、紀佳。』
紀佳『どっちかというと井坂くんを監視したいんだけど・・・だめ?』
それってどういう意味?
紀佳は弘樹に興味あり?
『それって、、、弘樹に興味…
紀佳『いやだっ(;一_一) 勘違いしないでよ。私は単に運動音痴でサークル入部っていうのが難しいからよっ。』
かぶせてきた紀佳… ほんとにそう?なんだか怪しい( 一一)
『そう!それなら大丈夫。さっき弘樹と一緒に真希ちゃんの入部を翔太に頼みに行った時、部室の入口に
『女子マネ求む!!』
って書いてあったから・・・これなら大丈夫だよね、紀佳。』
かなりテンションの低い声で電話の向こうの紀佳が
紀佳『わかった。やりぁ~いいんでしょ(-_-;)』って引き受けてくれた。
~ Rie side ~
今年も残すところあと一日…
年明けは翔太と約束して、一緒に初日の出をみに行く約束。
来年もまたこうしてここに2人で来れますようにってしっかり初日の出のお祈りするんだ(^^♪
なんて頭の中で色々考えていたら
蒼『シャワー、空いたぞ…』ってお兄ちゃんの声!
『はぁ~い!』
って、、、
でもその時に私はちょっとした失敗をしでかしていた。
シャワーを終えると…
お兄ちゃんが私を見て、、、
蒼『お前、今日の夜中から真希ちゃん達と初日の出見てくるって言ってたよな?』
『へっ?そ、そうだけど…それがどうかした?』
へっ?私がシャワーを浴びてる間に一体何がおこったの?
蒼『さっき、お前の携帯に真希ちゃんから電話があったから。』
『えっ?お兄ちゃん、、、出たの?』
蒼『何回も鳴ってうるさかったから、誰かと思ってみたら、真希ちゃんだからいいかなって思ってさっ…なんか都合が悪いことでもあるのか?』
『な、ないけど…』隠し事をしているのでなぜか強気に出れない私。
でも、真希、お兄ちゃんと何を話したんだろう?(ーー;)
蒼『今日の夜中から日の出一緒に行くんだよねっ?って聞いたら。少し間があったから、なんか変だなって思って・・・』
しまった(;一_一)真希との打ち合わせ…まだだった。
いや~な沈黙が続いた後・・・お兄ちゃんが一言。
蒼『まさか男と行くとかじゃないよなっ?』
『へっ?そ、そんなわけないじゃない!お兄ちゃん、勘繰り過ぎだから(^_^;)』
焦るな、私。落ち着け、私。焦り隠すようにニッコリ笑ってみた。
するとぷ~っと吹き出したお兄ちゃん…
蒼『そうだなっ…お前みたいなお子ちゃまを相手にする奴なんていないかっ!まっ、気を付けて行って来いよ。』
そういって自分の部屋へ…
ふ~っ( ´ー`)ホッ とりあえずばれてないみたい。よかったぁ~
自分の部屋で厳重に鍵をかけた後に、窮地を救ってくれた大恩人の真希に電話…
電話にでるなり…
真希『あんたって子は~!口実に私を使うのは構わないけど、ちゃんと連絡しときなさいよ。マジで焦った(-"-)』
『ごめ~ん。シャワー浴びたら連絡しようと思ってたんだ。でも超助かった(^_^;) 
かなり怪しいって思ってたみたいだけど、真希がうまくごまかしてくれたから、大丈夫だった。ありがとう!!』
すると真希が
真希『じゃっ今度は私のお願い…きいてよねっ。』って。
お願いっ、、、一体なに?
~ Rie side ~
翔太と近くの公園で待ち合わせ。待ち合わせの時間まであと5分。
嬉しくて少し早く来過ぎちゃったかな?
公園のベンチに腰掛け彼を待つ事5分。時間通りにやってきた翔太・・・
急いで駆け寄ると、車のドアを開けてくれた。
翔太『寒かっただろうっ。早く乗って・・・』
車に乗り込むと、
翔太『これっ、、、ココア。これ飲むと体があったまるから…』
こういう気遣いが出来るのが私の彼なんです!って新年早々惚れなおす私。
『ありがとう。ほんと、あったかぁ~い(*^^)』
そういうと
翔太『どういたしまして…お姫様。』っていいながら頭を撫でてくれた。
~ Syouta side ~
早めに出てりえを待っていようって思ったのに、家を出る寸前に弘樹から電話が
弘樹『あけましておめでとう。今年もよろしくなっ。』って年始のあいさつ。
急いでいたので手短に済まそうとしたのに・・・
新年早々驚かされるニュースを聞かされ、足が止まった。
『へっ?なに?』
弘樹『そんなに驚く事?』
『いやっ、おめでたいことだけど・・・なんか展開早くない?』
弘樹がりえの友達の真希ちゃんと付き合う事になったという告白。
弘樹『フィーリングが妙にあったんだよ。』って…
フィーリングがあった? でもあの時はそんなに話してなかったよなっ?
そんな事を色々考えてると
弘樹『でさっ、早速なんだけど翔太に頼みたい事があってさっ、、、』
翔太の頼みとは、彼女である真希ちゃんの事…
弘樹『あのさっ、実は真希がバスケサークルに入りたいらしいんだけど、入部希望が多くてなかなか入れないだろっ…ちょっとだけ口きいてもらえないかなって思って。』
親友の弘樹の頼みとあらば、ひと肌脱がなきゃだろっ(ー_ー)!
『そういう事かっ…わかった!部長に掛け合ってみるよ。いい返事期待してて(*^^)v』
そんなこんなで先輩とやり取りしてたら、りえとの約束の時間ぎりぎりになっちゃって…
両手をこすりながらエアコンの前に手をやるりえに
『ごめんなっ。もう少し早く来るんだったんだけど…遅くなっちゃって…』
すると、俺の顔を見てにっこり笑うりえ。
りえ『謝ることなんかないよ。翔太はちゃんと約束の時間に来たんだもん。
私が嬉し過ぎて早めに出ちゃったから…』
新年早々…この笑顔にやられてしまった俺。
今年もこんな可愛いりえに翻弄されてしまうのかなっ、なんて一人で考えてしまった瞬間だった。
~ Syouta side ~
年頭のあいさつをすませ、車の中での談笑。
その話の中で真希ちゃんの名前が出て思い出した。
『そういえば、りえは真希ちゃんから聞いてる?』
するとハッとした表情になったりえ
りえ『あっ、そうだった!翔太と会った嬉しさに今年最初のビックニュースを忘れてた。』ってちょくちょく嬉しい言葉をもりこんでくる(^_^;)
りえ『聞いた!真希と井坂さんが付き合う事になったって事でしょ?』
『そう!年明け早々にビックリしちゃったよ。』
すると、りえが切々と語りだす。
りえ『うん。私も聞いた時はすっごくビックリしたぁ~。
真希ってあんなに綺麗なのに彼がいないから今まで不思議だなぁ~って思ってたの。
でも今まで彼がいなかったのは…井坂さんとの運命の出会いを待ってたからじゃない!
きっとそうよ。そうだよねっ?』
って最後にはいささか興奮気味。そんなりえが愛おしくてたまらくなくなる。
『という事は・・・俺達、もしかして、愛のキューピットって事だよねっ?』
りえ『そうだねっ。ダブルキューピットだねっ(*^^)v』
っていいながら、今年初めての満面の笑みをくれた。
~ Rie side ~
あともう少しで海が見渡せる丘・・・その時、翔太がまたもや真希の話題。
翔太『そういえば、真希ちゃんが年明けからバスケサークルに入りたいって言ってた事…知ってる?』
『へっ?そうなの?それは聞いてないなぁ~。』っていうか、私が急いでたから言えなかった?
『それで?』
翔太『入部希望が多くてなかなか入れないから、部長に頼んでもらえないかって弘樹から頼まれて・・・』
『へぇ~、早速彼女のお願いを聞いてあげるなんて、井坂さんって優しいんだぁ~(*^^)』
するとちょっと拗ねた翔太。
翔太『俺だって・・・りえから頼まれた事したなら全力でかなえてあげるよ。』って。
優しいって言葉に妙に反応したんだぁ~
なんだか、かわいい(^^♪
『そんなこと、言わなくてもわかってるよ。翔太・・・』
~ Syouta side ~
りえ『そんなこと、言わなくてもわかってるよ。翔太・・・』
もしかして俺、今、慰められてる?なんてことを考え込んでると、
りえ『あっ!翔太!海が見えてきたよ。』って窓の外と俺の顔を交互に見ながらはしゃぎはじめたりえ。
『あともう少しだねっ。日が昇るまでに間に合わせないと・・・』と言いながら少しスピードを上げた。
~ Rie side ~
朝陽が海面から少しその姿をのぞかせた時に車はタイミングよく丘の上に…
『翔太!間に合ったよ。』
そう言いながら車から慌てて降りる私。
翔太『そんなに慌てて降りなくても…』
『そんなこと言ってたらお願い事が出来なくなっちゃうから!早く、早く!』
私のあとからゆっくりと車を降りる翔太。
そして私の横に…
翔太『寒くない?』
そう言って自分のマフラーを私に巻き始める
『翔太、私なら大丈夫だよ。あらゆるところに使い捨てカイロを貼りまくってるから・・・』
すると翔太が澄ました顔で
翔太『誰が全部りえに貸すなんていった?これはこうやってくっついて2人で巻く為のマフラーだよ。こうやれば、首元も体も・・・そしてここもあったかくなるだろう。』
そういいながら胸をトントンと叩く。そしてマフラーを自分の首にも巻き付けた。
翔太『これであったかさ10倍(*^^)v なっ。』
そのぬくもりに包まれながら、私は初日の出に願いを・・・
来年も、再来年も、その先もずっとこうやって翔太と新年を迎えられますように・・・
~ Syouta side ~
無事、お願い事を済ませたようなりえは満足げな顔。
『何をお願いしたの?』
すると肩をすくめて俺の口元に人差し指を立てながら
りえ『それは・・・ひ、み、つ(*^_^*)』
りえの可愛い笑顔に免じて今日の追及はここまでしてやるか(^_^;)
そして俺達はまた東京へ逆戻り。
帰りの車の中でも、また弘樹と真希ちゃんの話題になる。
よっぽど2人が付き合うようになったことが嬉しいんだろうなぁ~
りえ『そういえばさっきはすっかり忘れてたけど、私も真希から頼まれごとしちゃった。』
『えっ?どんな?』
りえ『井坂さんをうちの本屋のバイトで雇ってもらえるように店長にお願いしてって…』
『えっ?どうして・・・確か、弘樹と徹はスポーツクラブでバイトしてたはずだけど。』
りえ『そこのバイト、身体的にかなり大変だって。井坂さん達、バイトが終わってからもダンスの練習してるでしょ。だから少し楽なバイトはないかって探してたらしいの・・・
それでうちがバイトさん募集してるのを聞きつけて、真希が頼んでほしいって。』
えっ?あのバイトって…
『文献情報学科の学生優先じゃなかった?』
すると
りえ『応募者が重なったら優先されるけど、そうじゃなければどこの学部でもOKなんだよ…』
~ Hiroki side ~
1月の中旬・・・俺と徹のバイト初日。
いやいや真希の作戦に乗ったはずなのに、朝からなんだかワクワクが止まらない俺。
そんな俺の心の中を見透かすように、
徹『弘樹、、、お前、、、顔に出過ぎ(ーー;)』
『へっ?何が?』
徹『今日からりえちゃんと一緒にいられる~!!って顔してる(-"-)』
『んなっ、、、ことないよ。』
そう言い訳しても昔からの付き合いの徹にはバレバレで・・・
徹『いいか。お前、俺との約束・・・忘れてないだろうなっ(ーー;)』
そう言われぶんぶんと顔を上下に動かす。
『忘れてないない!約束は守る。俺はりえちゃんにとってなんでも話せる男友達を目指すんだから・・・うん!』
~Toru side ~
明らかに上機嫌の弘樹。さっきから顔が緩みっぱなし(-_-;)
そんなんじゃすぐに翔太に勘付かれる。
俺はあいつのそんな不謹慎な態度をチェックする役目でこうしてここにいる。
でも、俺も今日は朝からやけにドキドキ・・・
人の事いえないかっ!そういいながら事務所の鏡で、にやけ顔に喝を入れた。
俺達の指導係は当然の如く、りえちゃん。
まずは事務所で店長さんの話を聞く俺達。
店長『中村さんに君達の教育係を頼んだので、しっかりと教えてもらってねっ。
君達が覚えるまでは、一緒のシフトにしといたから、よろしく頼むよ。』って…
店長から蛍光緑のエプロンを渡された。
弘樹『これ、俺達もつけるんですか?(^_^;)』
店長『そうだよ。うちのバイトはこれをちゃんと着用してもらう事になってるんだ。
はい、恥ずかしがらずに・・・それ、つけてここで待ってて。』
この年になってこんな公衆の面前でド派手なエプロンをつける事になろうとは(-_-;)
2人して身支度を整えていると、コンコンと事務所のドアをノックする音。
もしや、、、りえちゃん?
『はい、どうぞ・・・』するとひょっこり顔を覗かせたりえちゃん。
りえ『あっ、こんにちは。今日からですよねっ?よろしくお願いしますねっ。』って、コンビニでよく見かけてたあの笑顔。
一瞬で固まってしまった俺。
逆に弘樹から声をかけられる。
弘樹『徹・・・どうかした?』
『い、いや別に・・・』
慌てて取り繕い、何事もなかったかのようにりえちゃんに話しかける。
『こちらこそ・・・今日からは俺らはりえちゃんの生徒になるんだから、さん付けはやめてフランクにはなしかけてよ。』
~ Rie side ~
徹『…さん付けはやめてフランクにはなしかけてよ。』って池田さんは言ってくれたけど、やっぱりそんな簡単に「さん」は取れないよ(^_^;)
バイト3日目…
池田さんには新しく入荷した雑誌の陳列をやってもらい、井坂さんにはお客様からの希望で取り寄せた本についての処理方法を説明中…
『それは、右の棚に入れて、こちらの受注票はこちらの引き出しに入れてください。それから、』
弘樹『ねっ、りえちゃん…そろそろ徹が言ったように「さん」はやめない?
生徒の俺達がタメ口なのに、先生のりえちゃんが敬語で「さん」づけはやっぱりおかしいよ。でしょ?』
そういいながら苦笑いの井坂さん。
『でも…』
弘樹『わかった!こうしない?俺達もりえちゃんって呼ばずにりえって呼ぶことにするよ。だったらいいでしょ?だめかなっ?』
『私の事を…りえ…ですか?』
弘樹『あっ、もしかして…気分害した?呼び捨てされるのは嫌かな?』
嫌じゃないけど、家族と翔太以外の人から名前で呼ばれるのはちょっと気恥ずかしくて…
『いやっ、嫌とかじゃないです。
ただ今まで男性にそんな呼ばれ方したことなかったので…』
弘樹『嫌じゃないなら、それで決まりだねっ。俺はいまからりえって呼ぶ。だからりえも弘樹って呼んでみなっ!ほらっ!』
井坂さんに急かされ
『弘樹さん…ですか?』
弘樹『さんもいらないし、ですかもいらないよ。弘樹…はい!もう一回!』
『弘樹…』
弘樹『はいっ!よく言えました!(*^^)v これで俺達、、、友達だねっ。』
『友達?ですか?』
弘樹『そうだよ。俺達の大親友である翔太の彼女だもん。りえも俺達の大事な友達…
だろっ?』
その言葉になんだか胸の奥があったかくなった。
そして最後に井坂さんが
弘樹『あっ、俺の事だけ弘樹っていってたら徹が羨ましがるから、あいつの事も徹って呼んであげてよ。』
~ Hiroki side ~
りえ『弘樹…』
りえちゃん、いやっ、りえが俺の事を弘樹って呼んだ。
呼ばれた瞬間、ドキドキが止まらなくなった。
俺がもしりえの彼氏だったら…
毎日こうやって「弘樹」って呼んでくれるんだろうなぁ~なんて、起こることもないことを想像したりして…
でも、目の前にいるのは俺の彼女のりえではなく、翔太の彼女であるりえ。
もう余計なことを考えるのはやめようって、そう心に誓ったんだ。
~ Syouta side ~
年明け2回目の練習日…
そして今日はりえの友達である真希ちゃんが初めて練習に参加する日だ。
だけど俺の前に現れたのは、真希ちゃんだけではなかった。
和博『こちら、今日から入部することになった、近藤 真希ちゃんと松本 紀佳ちゃんだ。』
松本さんも?
和博『じゃっ、2人とも自己紹介してもらえるかなっ?』
そういうとチラッと俺の方を見た真希ちゃん。軽く会釈をしてから、みんなの前に立つと
真希『今日から一緒に練習させてもらう事になりました文献情報学科の近藤 真希と申します。
中高とバスケ部に入っていたので、初心者ではありませんが、何分2年以上の現役から離れているので、感も鈍ってるんじゃないかと思います。
皆さんの足手まといにならないように頑張りますのでよろしくお願いします。』
彼女・・・バスケ経験者なんだ・・・
和博『6年間もやってたなら、すぐに感も戻るよ。焦らずに頑張って…』
どうやら彼女は山木先輩の好みらしいなっ(^_^;) いつになく発言が優しい・・・
次に前に出たのは、松本さん…
紀佳『松本 紀佳と言います。
私も真希と一緒の文献情報学科です。
私は運動が苦手なので、選手としてではなくマネージャーとして頑張りたいと思います。よろしくお願いします。』
そっかっ… 真希ちゃんが一人だと心細いと松本さんに一緒に入ってと誘ったんだなっ。
これはりえに報告するネタが一つ増えたなっ。
~ Maki side ~
翔太に近づくのは私一人だと思ったのに、
バスケサークルへの入部の話をしたら
紀佳『なんだか面白そう。私も入ろうかなっ』って言い出した紀佳。
『へっ?紀佳・・・それって正気?』
紀佳『うん…なんか変?』
真希『変だよ!あなた、運動音痴じゃん。
高校時代も体育の時間は超憂鬱って言ってたのに…』
『いやだっ、誰がプレイヤーとしてなんかいった?私はマネージャーだよ。』
真希『マネージャー?』
『そう。大学時代に一つでも何かに夢中になって頑張りました!
みたいな思い出…作りたいじゃない。
そんな事をちらっと考えてたら、、、バスケ部の部室の前に
『女子マネ求む!!』って…それで私も入部希望出そうかなって・・・』
なんだかとってつけたみたいな言い訳をする紀佳。
でも私もそもそもの動機が不純だから何も言い返せない。
紀佳『それとも、私が一緒だったら…なにか都合でも悪いの?』って
それ以上、何も言えなくなってしまった。
~ Norika side ~
徹が言ってた通り、どうも動機が不純のような真希…
やっぱり、これは監視の必要があるのかも(ーー;)
でも、真希の気持ちもわからなくもない。
だって真希は高校時代から近田 翔太 一人をず~っと思ってきたんだもんね。
近田 翔太と一緒の大学に通うために一生懸命勉強して、この大学に入った。
近田 翔太に相応しい女の子になるために、頑張って減量してあのスタイルをずっと維持してるし、顔だって・・・ちょっと・・・
それなのに、やっと顔見知りになれたきっかけが…友達の彼って、、、
神様もひどいシチュエーションを考えたものだわっ。
だから、私は徹に
『監視はするけど私に真希の行動を抑える事はできないから』宣言したの。
徹は不服そう声で
徹『どうしてだよ。』って言ってたけど…
私は、りえの友達でもあるけど、真希の友達でもあるから。
あくまでも中立の立場で2人を見てるって…
それでもいいよって言ったのは徹、貴方なんだから、私が辛くなったら話ぐらいは聞きなさいよねっ。
~ Syouta side ~
早速、練習に参加した真希ちゃん。
自己紹介のあいさつでは、感が戻るかどうかなんて言ってたけど、そのバスケの腕前は大したもので、軽々とディフェンスをかわし見事なシュートを決めていく。
その衝撃とやらは男性、女性ともにかなりの噂に…
女子部員『彼女、やるじゃない。
私達も頑張らないとレギュラーの座を取られちゃうかも。』
男子部員『あれだけ綺麗で、スタイルもよくて、バスケの技術も大したものだなんて…近田、噂のお前の彼女ってあの子じゃないの?』
なんて聞いてくる奴までいてちょっと慌てた。
『違うよ。彼女は俺の彼女の友達。それに、彼女には彼氏がいるから・・・
それも俺の友達。だから変なちょっかい出すなよ。』って釘をさしておいた。
そしてその日の練習が終わり、部長の提案で2人の歓迎会を開く事に…
でも、今日は唯一、りえがバイトが休みの日で夕飯を一緒に食べる事になっていた。
『山木先輩、申し訳ないんですけど、俺、今日、用事があって…
和博『えっ、お前の頼みで入部をOKした彼女の歓迎会なのに、お前が欠席なんてありえないだろう?』
そう言われ、返す言葉が…ない。
その時、真希ちゃんが俺の方を見て小さな声で
真希『もしかして、りえとデートでした?ごめんなさい。私のせいで…』
そこまで言われると、やっぱり行かない訳にはいかないよなっ(-_-;)
ここは抜ける訳にはいかないと腹をくくってりえに電話。
すると意外にもあっさりと承諾してくれたりえ。
許してもらえたのはホッとしたけど、あっさりしすぎてるのもそれはそれでちょっと寂しくて…なんだか気分が落ちた(-_-;)
店も決まり、2人の歓迎会が始まった。
部長のあいさつも終わり、早速飲み始める俺達。
2人の歓迎会だというのに注目は真希ちゃんで、松本さんの傍には俺と数人の女の子だけ
あまりのみんなの態度に少し呆れながら飲んでいると
紀佳『近田さんは行かなくていいんですか?真希の所…』って、松本さんがその光景を見つめながらボソッ。
『あ~、あれだけ人がいたらいいんじゃないかなっww』
紀佳『私に遠慮なんてしてないですよねっ?』そういうと俺の顔をちらり。
どうも彼女は人の心が読めるみたいで、、、居心地が悪い。
その時、真希ちゃんを囲む人の輪から山木先輩が・・・
和博『近田、こっちに来いよ。』って…
全く、この場の空気を少しは読み取ってほしいよ(ーー;)
すると、松本さんが
紀佳『私の事は気にしないで行ってください。』って…でもそれはできない。
今日は2人の歓迎会だ。
『あっちはあっち…こっちはこっちでやりましょう!あれだけ人がいたら俺一人いなくたって大丈夫ですよ(^_^;)』
~ Norika side ~
私を気遣ってくれての行動なんだろうけど…
真希は他の誰が行かなくても、貴方に来てほしいと思ってると思いますよ。って声に出して言いたかった。
でも、、、ここが近田 翔太のいいところなんだろうなぁ~。
この人が金持ちで顔もスタイルもよくて色んな事に万能であっても、性格的にやな奴だったら、
『やめときなよ。あんな男!』
って真希に忠告もできるんだろうけど…性格的にもいい人なんだよねっ(^_^;)
そういいながらさっきから私と自分の間に共通の話題を必死で探してる近田 翔太。
そして何を思いついたのか、
翔太『あっ、そうだ!!』って大きな声を上げた。
『はっ!びっくりしたぁ~!!』
いったい、なんなの。
翔太『あっ、ごめんなさい。実はさっきから俺・・・松本さんとの会話に距離を感じてたんですけど、その理由がわかったんです。』
『あっ、は、はい…』
すると何とも彼らしい理由が
翔太『俺達、同い年なんだから、タメ口でいいですよねっ?呼び方も「さん」づけじゃなくて「ちゃん」でもいいかなっ?』って…
なんか、、、この人、、、意外に天然かも…ww
クリスマスから一週間後の12月31日。すなわち今年最後の日…
俺と弘樹はいつもの如くスタジオで踊りおさめと称し、4時間程踊り続けていた。
『そろそろ帰る?』
そう言いながらシャワー室へ向かおうとする俺の腕をつかんだ弘樹。
そして真剣な顔つきで
弘樹『俺さ…真希ちゃんとつきあう事にしたんだ。』
『へっ?なにいってんの?』
弘樹『だから、この間あったあの真希ちゃんとつきあう事になった…』
『お前、自分が何言ってるかわかってる?』
俺の言葉にうなづく弘樹。
『えっ、いつそんな事になったの?説明しろよ。』
弘樹『この間送って行った時に妙に話があって…彼女、スタイルもいいし、きれいだし、いいかなって・・・』
まるで話がかみ合ってない弘樹。
話があった?あの時そんなに話してもないのに?
それに、あの真希ちゃんって子…
翔太にしか興味を示してなかったよなっ?
そんなあの子とお前がつきあう?
そんな話、信じろって言われたって信じられるわけがないじゃないかよ。
『お前なに考えてんの? ほんとの事言えよ。弘樹!!』
~ Hiroki side ~
あの日、真希ちゃんが言った
真希『私達、、、協力しない?』
といった内容とは、
真希『私とあなたが付き合うの。』
『へっ?付き合う?』
想像もしていないことだったので変な声が出る。
真希『もちろん、ふりよ、付き合うふり!
私達が付き合い始めたら、私とあなたがあの2人の日常にすっごく近づいたとしても怪しまれない。私、年明け早々にバスケサークルに入ろうと思ってるの。』
『あのサークル、かなり入りづらいって聞いたけど…』
真希『それは私も知ってる。だからあなたが近田君に話して入れるようにしてよ。
彼女の私が入りたがってるって…
もし、それがうまくいったら、私がりえに話してりえがバイトしてる本屋のバイト候補にあなたを推薦してあげるから…』
『俺が本屋のバイト?』
真希『そう!りえは週4でバイトだから、仲よくなるには一番効率がいいと思うの。
どう?』
そう言われ、心が動かないっていったら嘘になるけど・・・
そこまでして俺はりえちゃんと付き合いたいと思ってるのかって自問自答してみる。
いや、俺は、2人の事を邪魔する気持ちはない!
だったらこの誘いは
『俺はいい。そこまでしてりえちゃんと付き合いたいとは思わない。』
すると彼女が意味ありげな言葉をはいた。
真希『あなたは私に逆らえないはずよ。』
『それって…どういう意味?』
真希ちゃんが話し始めた逆らえないと言った意味とは…
俺がりえちゃんが今日会う前から顔見知りだったという事。
真希『化粧室に行った時にりえにきいたの。前にあなた達と会った事あるんでしょって…
そしたら言いにくそうにしてたんだけど、コンビニの常連さんだって教えてくれた。
絶対近田君に言わない事を約束にねっ。』
翔太にばれたくないって事、りえちゃんもわかったんだ…
真希『りえにとっては多分、ただのコンビニの常連さん。
でもあなた達、いやあなたは違うでしょ?
りえを恋い焦がれてる眼差しで見てた。
詳しい事情はわからないけど、少なくともあなた達は近田君にりえの事を知ってたという事実を知られたくない。
池田さんのあの時の言葉に反論しなかったもん。』
真希ちゃんの深い読みが全て当たってるだけに何も返せない俺がいて…
真希『井坂さん、協力して…何もしないで諦めたくない。汚い真似はしないから。
そして側にいて、彼がどんなにりえの事が好きなのかって事がわかったら諦める。
うん、諦めるから…』
そう言うと少し寂しそうに笑う彼女…真希ちゃんの事を突っぱねる事が俺にはできなかったんだ。
『わかった。そのかわりちゃんと約束、守ってねっ。』
~Toru side ~
長い付き合いの俺の事、そんな見え透いた嘘で騙そうなんて…
なに、考えてんだよ、お前は~(-_-#)
『何年お前と一緒にいると思ってんだよ…
俺が「へぇ~、そうなんだ。おめでとう!」って言うとでも思ったのかよ。』
俺の言葉に何も言えず俯く弘樹。
『何があった?話してみろよ。』
~ Hiroki side ~
徹に話すべきか…
でもこのままこいつが納得するような言い訳も思いつかない。
徹『言い訳探しても無駄。吐け( ̄Д ̄)ノ』
仕方なく真希ちゃんとのやりとりを話した。
すると、、、
徹『返事する前に相談してくれなかったんだよ、弘樹…』
『悪りぃ(ー ー;)』
徹『今更やめたって?言えない?よなっ(ーー;)』
力なくうなづく俺。
徹『わかった。でもこれだけは言っておく…
俺らは翔太の親友だから、俺が言いたい事、わかるよなっ?弘樹。』
『わかってる。お前ら2人を裏切るような事だけはしないって、、、約束するよ。』
~Norika side ~
あと10分で新しい年。家でのんびりDVDを見ていると、ベッドの上に放り投げていた携帯が鳴り響く。
こんな遅い時間にいったい誰?
携帯を取り、そのまま通話ボタンをポチッ
『もしもし~』
いつもより低いトーン…すると電話の向こうから
徹『ヤベっ…もしかして機嫌悪かった?』って、これって徹の声。
一瞬でテンションの上がる私。
『もしかして?池田 徹?』
徹『あったり~!よくわかったねっ。でもフルネームは勘弁・・・
あっ、もしかして俺からの電話、待ってた?』
『そ、そんなわけないじゃん!どうして私が徹の電話を待ってなきゃいけないの?』
焦って・・・全否定。
って、、、やっぱり私、変だよねっ
徹『そこまで言わなくても(ーー;)』落ち込む徹。
なんか調子狂っちゃう(-_-;)
徹っていつもこういう風に自然にじわじわと人の心に侵入していくの?
やたら気になる・・・この男・・・マジで要注意!って思った瞬間だった。
~Toru side ~
『実は紀佳に電話したのは、お願いがあってさっ。
友達になって初めてのお願い、、、聞いてくれるよねっ?』
必殺!ちょっと甘え声(*^^)v
紀佳『内容聞かないと…返事できない!』
どうやらこの秘策・・・紀佳には通用しないみたいだなっ(^_^;)
とりあえず弘樹から聞いたそのままの内容を話す。
紀佳『そこまで思い詰めちゃった感じなんだ(ーー;)
私とりえの前では結構、普段通りに装ってるんだけどねっ…』
『それでさっ、お願いというのは・・・真希ちゃんが暴走しないように、紀佳も一緒にサークルに入部してほしいんだ。
俺も弘樹が暴走しないように、本屋でバイトするつもり。
だめかなっ?なっ、紀佳。』
紀佳『どっちかというと井坂くんを監視したいんだけど・・・だめ?』
それってどういう意味?
紀佳は弘樹に興味あり?
『それって、、、弘樹に興味…
紀佳『いやだっ(;一_一) 勘違いしないでよ。私は単に運動音痴でサークル入部っていうのが難しいからよっ。』
かぶせてきた紀佳… ほんとにそう?なんだか怪しい( 一一)
『そう!それなら大丈夫。さっき弘樹と一緒に真希ちゃんの入部を翔太に頼みに行った時、部室の入口に
『女子マネ求む!!』
って書いてあったから・・・これなら大丈夫だよね、紀佳。』
かなりテンションの低い声で電話の向こうの紀佳が
紀佳『わかった。やりぁ~いいんでしょ(-_-;)』って引き受けてくれた。
~ Rie side ~
今年も残すところあと一日…
年明けは翔太と約束して、一緒に初日の出をみに行く約束。
来年もまたこうしてここに2人で来れますようにってしっかり初日の出のお祈りするんだ(^^♪
なんて頭の中で色々考えていたら
蒼『シャワー、空いたぞ…』ってお兄ちゃんの声!
『はぁ~い!』
って、、、
でもその時に私はちょっとした失敗をしでかしていた。
シャワーを終えると…
お兄ちゃんが私を見て、、、
蒼『お前、今日の夜中から真希ちゃん達と初日の出見てくるって言ってたよな?』
『へっ?そ、そうだけど…それがどうかした?』
へっ?私がシャワーを浴びてる間に一体何がおこったの?
蒼『さっき、お前の携帯に真希ちゃんから電話があったから。』
『えっ?お兄ちゃん、、、出たの?』
蒼『何回も鳴ってうるさかったから、誰かと思ってみたら、真希ちゃんだからいいかなって思ってさっ…なんか都合が悪いことでもあるのか?』
『な、ないけど…』隠し事をしているのでなぜか強気に出れない私。
でも、真希、お兄ちゃんと何を話したんだろう?(ーー;)
蒼『今日の夜中から日の出一緒に行くんだよねっ?って聞いたら。少し間があったから、なんか変だなって思って・・・』
しまった(;一_一)真希との打ち合わせ…まだだった。
いや~な沈黙が続いた後・・・お兄ちゃんが一言。
蒼『まさか男と行くとかじゃないよなっ?』
『へっ?そ、そんなわけないじゃない!お兄ちゃん、勘繰り過ぎだから(^_^;)』
焦るな、私。落ち着け、私。焦り隠すようにニッコリ笑ってみた。
するとぷ~っと吹き出したお兄ちゃん…
蒼『そうだなっ…お前みたいなお子ちゃまを相手にする奴なんていないかっ!まっ、気を付けて行って来いよ。』
そういって自分の部屋へ…
ふ~っ( ´ー`)ホッ とりあえずばれてないみたい。よかったぁ~
自分の部屋で厳重に鍵をかけた後に、窮地を救ってくれた大恩人の真希に電話…
電話にでるなり…
真希『あんたって子は~!口実に私を使うのは構わないけど、ちゃんと連絡しときなさいよ。マジで焦った(-"-)』
『ごめ~ん。シャワー浴びたら連絡しようと思ってたんだ。でも超助かった(^_^;) 
かなり怪しいって思ってたみたいだけど、真希がうまくごまかしてくれたから、大丈夫だった。ありがとう!!』
すると真希が
真希『じゃっ今度は私のお願い…きいてよねっ。』って。
お願いっ、、、一体なに?
~ Rie side ~
翔太と近くの公園で待ち合わせ。待ち合わせの時間まであと5分。
嬉しくて少し早く来過ぎちゃったかな?
公園のベンチに腰掛け彼を待つ事5分。時間通りにやってきた翔太・・・
急いで駆け寄ると、車のドアを開けてくれた。
翔太『寒かっただろうっ。早く乗って・・・』
車に乗り込むと、
翔太『これっ、、、ココア。これ飲むと体があったまるから…』
こういう気遣いが出来るのが私の彼なんです!って新年早々惚れなおす私。
『ありがとう。ほんと、あったかぁ~い(*^^)』
そういうと
翔太『どういたしまして…お姫様。』っていいながら頭を撫でてくれた。
~ Syouta side ~
早めに出てりえを待っていようって思ったのに、家を出る寸前に弘樹から電話が
弘樹『あけましておめでとう。今年もよろしくなっ。』って年始のあいさつ。
急いでいたので手短に済まそうとしたのに・・・
新年早々驚かされるニュースを聞かされ、足が止まった。
『へっ?なに?』
弘樹『そんなに驚く事?』
『いやっ、おめでたいことだけど・・・なんか展開早くない?』
弘樹がりえの友達の真希ちゃんと付き合う事になったという告白。
弘樹『フィーリングが妙にあったんだよ。』って…
フィーリングがあった? でもあの時はそんなに話してなかったよなっ?
そんな事を色々考えてると
弘樹『でさっ、早速なんだけど翔太に頼みたい事があってさっ、、、』
翔太の頼みとは、彼女である真希ちゃんの事…
弘樹『あのさっ、実は真希がバスケサークルに入りたいらしいんだけど、入部希望が多くてなかなか入れないだろっ…ちょっとだけ口きいてもらえないかなって思って。』
親友の弘樹の頼みとあらば、ひと肌脱がなきゃだろっ(ー_ー)!
『そういう事かっ…わかった!部長に掛け合ってみるよ。いい返事期待してて(*^^)v』
そんなこんなで先輩とやり取りしてたら、りえとの約束の時間ぎりぎりになっちゃって…
両手をこすりながらエアコンの前に手をやるりえに
『ごめんなっ。もう少し早く来るんだったんだけど…遅くなっちゃって…』
すると、俺の顔を見てにっこり笑うりえ。
りえ『謝ることなんかないよ。翔太はちゃんと約束の時間に来たんだもん。
私が嬉し過ぎて早めに出ちゃったから…』
新年早々…この笑顔にやられてしまった俺。
今年もこんな可愛いりえに翻弄されてしまうのかなっ、なんて一人で考えてしまった瞬間だった。
~ Syouta side ~
年頭のあいさつをすませ、車の中での談笑。
その話の中で真希ちゃんの名前が出て思い出した。
『そういえば、りえは真希ちゃんから聞いてる?』
するとハッとした表情になったりえ
りえ『あっ、そうだった!翔太と会った嬉しさに今年最初のビックニュースを忘れてた。』ってちょくちょく嬉しい言葉をもりこんでくる(^_^;)
りえ『聞いた!真希と井坂さんが付き合う事になったって事でしょ?』
『そう!年明け早々にビックリしちゃったよ。』
すると、りえが切々と語りだす。
りえ『うん。私も聞いた時はすっごくビックリしたぁ~。
真希ってあんなに綺麗なのに彼がいないから今まで不思議だなぁ~って思ってたの。
でも今まで彼がいなかったのは…井坂さんとの運命の出会いを待ってたからじゃない!
きっとそうよ。そうだよねっ?』
って最後にはいささか興奮気味。そんなりえが愛おしくてたまらくなくなる。
『という事は・・・俺達、もしかして、愛のキューピットって事だよねっ?』
りえ『そうだねっ。ダブルキューピットだねっ(*^^)v』
っていいながら、今年初めての満面の笑みをくれた。
~ Rie side ~
あともう少しで海が見渡せる丘・・・その時、翔太がまたもや真希の話題。
翔太『そういえば、真希ちゃんが年明けからバスケサークルに入りたいって言ってた事…知ってる?』
『へっ?そうなの?それは聞いてないなぁ~。』っていうか、私が急いでたから言えなかった?
『それで?』
翔太『入部希望が多くてなかなか入れないから、部長に頼んでもらえないかって弘樹から頼まれて・・・』
『へぇ~、早速彼女のお願いを聞いてあげるなんて、井坂さんって優しいんだぁ~(*^^)』
するとちょっと拗ねた翔太。
翔太『俺だって・・・りえから頼まれた事したなら全力でかなえてあげるよ。』って。
優しいって言葉に妙に反応したんだぁ~
なんだか、かわいい(^^♪
『そんなこと、言わなくてもわかってるよ。翔太・・・』
~ Syouta side ~
りえ『そんなこと、言わなくてもわかってるよ。翔太・・・』
もしかして俺、今、慰められてる?なんてことを考え込んでると、
りえ『あっ!翔太!海が見えてきたよ。』って窓の外と俺の顔を交互に見ながらはしゃぎはじめたりえ。
『あともう少しだねっ。日が昇るまでに間に合わせないと・・・』と言いながら少しスピードを上げた。
~ Rie side ~
朝陽が海面から少しその姿をのぞかせた時に車はタイミングよく丘の上に…
『翔太!間に合ったよ。』
そう言いながら車から慌てて降りる私。
翔太『そんなに慌てて降りなくても…』
『そんなこと言ってたらお願い事が出来なくなっちゃうから!早く、早く!』
私のあとからゆっくりと車を降りる翔太。
そして私の横に…
翔太『寒くない?』
そう言って自分のマフラーを私に巻き始める
『翔太、私なら大丈夫だよ。あらゆるところに使い捨てカイロを貼りまくってるから・・・』
すると翔太が澄ました顔で
翔太『誰が全部りえに貸すなんていった?これはこうやってくっついて2人で巻く為のマフラーだよ。こうやれば、首元も体も・・・そしてここもあったかくなるだろう。』
そういいながら胸をトントンと叩く。そしてマフラーを自分の首にも巻き付けた。
翔太『これであったかさ10倍(*^^)v なっ。』
そのぬくもりに包まれながら、私は初日の出に願いを・・・
来年も、再来年も、その先もずっとこうやって翔太と新年を迎えられますように・・・
~ Syouta side ~
無事、お願い事を済ませたようなりえは満足げな顔。
『何をお願いしたの?』
すると肩をすくめて俺の口元に人差し指を立てながら
りえ『それは・・・ひ、み、つ(*^_^*)』
りえの可愛い笑顔に免じて今日の追及はここまでしてやるか(^_^;)
そして俺達はまた東京へ逆戻り。
帰りの車の中でも、また弘樹と真希ちゃんの話題になる。
よっぽど2人が付き合うようになったことが嬉しいんだろうなぁ~
りえ『そういえばさっきはすっかり忘れてたけど、私も真希から頼まれごとしちゃった。』
『えっ?どんな?』
りえ『井坂さんをうちの本屋のバイトで雇ってもらえるように店長にお願いしてって…』
『えっ?どうして・・・確か、弘樹と徹はスポーツクラブでバイトしてたはずだけど。』
りえ『そこのバイト、身体的にかなり大変だって。井坂さん達、バイトが終わってからもダンスの練習してるでしょ。だから少し楽なバイトはないかって探してたらしいの・・・
それでうちがバイトさん募集してるのを聞きつけて、真希が頼んでほしいって。』
えっ?あのバイトって…
『文献情報学科の学生優先じゃなかった?』
すると
りえ『応募者が重なったら優先されるけど、そうじゃなければどこの学部でもOKなんだよ…』
~ Hiroki side ~
1月の中旬・・・俺と徹のバイト初日。
いやいや真希の作戦に乗ったはずなのに、朝からなんだかワクワクが止まらない俺。
そんな俺の心の中を見透かすように、
徹『弘樹、、、お前、、、顔に出過ぎ(ーー;)』
『へっ?何が?』
徹『今日からりえちゃんと一緒にいられる~!!って顔してる(-"-)』
『んなっ、、、ことないよ。』
そう言い訳しても昔からの付き合いの徹にはバレバレで・・・
徹『いいか。お前、俺との約束・・・忘れてないだろうなっ(ーー;)』
そう言われぶんぶんと顔を上下に動かす。
『忘れてないない!約束は守る。俺はりえちゃんにとってなんでも話せる男友達を目指すんだから・・・うん!』
~Toru side ~
明らかに上機嫌の弘樹。さっきから顔が緩みっぱなし(-_-;)
そんなんじゃすぐに翔太に勘付かれる。
俺はあいつのそんな不謹慎な態度をチェックする役目でこうしてここにいる。
でも、俺も今日は朝からやけにドキドキ・・・
人の事いえないかっ!そういいながら事務所の鏡で、にやけ顔に喝を入れた。
俺達の指導係は当然の如く、りえちゃん。
まずは事務所で店長さんの話を聞く俺達。
店長『中村さんに君達の教育係を頼んだので、しっかりと教えてもらってねっ。
君達が覚えるまでは、一緒のシフトにしといたから、よろしく頼むよ。』って…
店長から蛍光緑のエプロンを渡された。
弘樹『これ、俺達もつけるんですか?(^_^;)』
店長『そうだよ。うちのバイトはこれをちゃんと着用してもらう事になってるんだ。
はい、恥ずかしがらずに・・・それ、つけてここで待ってて。』
この年になってこんな公衆の面前でド派手なエプロンをつける事になろうとは(-_-;)
2人して身支度を整えていると、コンコンと事務所のドアをノックする音。
もしや、、、りえちゃん?
『はい、どうぞ・・・』するとひょっこり顔を覗かせたりえちゃん。
りえ『あっ、こんにちは。今日からですよねっ?よろしくお願いしますねっ。』って、コンビニでよく見かけてたあの笑顔。
一瞬で固まってしまった俺。
逆に弘樹から声をかけられる。
弘樹『徹・・・どうかした?』
『い、いや別に・・・』
慌てて取り繕い、何事もなかったかのようにりえちゃんに話しかける。
『こちらこそ・・・今日からは俺らはりえちゃんの生徒になるんだから、さん付けはやめてフランクにはなしかけてよ。』
~ Rie side ~
徹『…さん付けはやめてフランクにはなしかけてよ。』って池田さんは言ってくれたけど、やっぱりそんな簡単に「さん」は取れないよ(^_^;)
バイト3日目…
池田さんには新しく入荷した雑誌の陳列をやってもらい、井坂さんにはお客様からの希望で取り寄せた本についての処理方法を説明中…
『それは、右の棚に入れて、こちらの受注票はこちらの引き出しに入れてください。それから、』
弘樹『ねっ、りえちゃん…そろそろ徹が言ったように「さん」はやめない?
生徒の俺達がタメ口なのに、先生のりえちゃんが敬語で「さん」づけはやっぱりおかしいよ。でしょ?』
そういいながら苦笑いの井坂さん。
『でも…』
弘樹『わかった!こうしない?俺達もりえちゃんって呼ばずにりえって呼ぶことにするよ。だったらいいでしょ?だめかなっ?』
『私の事を…りえ…ですか?』
弘樹『あっ、もしかして…気分害した?呼び捨てされるのは嫌かな?』
嫌じゃないけど、家族と翔太以外の人から名前で呼ばれるのはちょっと気恥ずかしくて…
『いやっ、嫌とかじゃないです。
ただ今まで男性にそんな呼ばれ方したことなかったので…』
弘樹『嫌じゃないなら、それで決まりだねっ。俺はいまからりえって呼ぶ。だからりえも弘樹って呼んでみなっ!ほらっ!』
井坂さんに急かされ
『弘樹さん…ですか?』
弘樹『さんもいらないし、ですかもいらないよ。弘樹…はい!もう一回!』
『弘樹…』
弘樹『はいっ!よく言えました!(*^^)v これで俺達、、、友達だねっ。』
『友達?ですか?』
弘樹『そうだよ。俺達の大親友である翔太の彼女だもん。りえも俺達の大事な友達…
だろっ?』
その言葉になんだか胸の奥があったかくなった。
そして最後に井坂さんが
弘樹『あっ、俺の事だけ弘樹っていってたら徹が羨ましがるから、あいつの事も徹って呼んであげてよ。』
~ Hiroki side ~
りえ『弘樹…』
りえちゃん、いやっ、りえが俺の事を弘樹って呼んだ。
呼ばれた瞬間、ドキドキが止まらなくなった。
俺がもしりえの彼氏だったら…
毎日こうやって「弘樹」って呼んでくれるんだろうなぁ~なんて、起こることもないことを想像したりして…
でも、目の前にいるのは俺の彼女のりえではなく、翔太の彼女であるりえ。
もう余計なことを考えるのはやめようって、そう心に誓ったんだ。
~ Syouta side ~
年明け2回目の練習日…
そして今日はりえの友達である真希ちゃんが初めて練習に参加する日だ。
だけど俺の前に現れたのは、真希ちゃんだけではなかった。
和博『こちら、今日から入部することになった、近藤 真希ちゃんと松本 紀佳ちゃんだ。』
松本さんも?
和博『じゃっ、2人とも自己紹介してもらえるかなっ?』
そういうとチラッと俺の方を見た真希ちゃん。軽く会釈をしてから、みんなの前に立つと
真希『今日から一緒に練習させてもらう事になりました文献情報学科の近藤 真希と申します。
中高とバスケ部に入っていたので、初心者ではありませんが、何分2年以上の現役から離れているので、感も鈍ってるんじゃないかと思います。
皆さんの足手まといにならないように頑張りますのでよろしくお願いします。』
彼女・・・バスケ経験者なんだ・・・
和博『6年間もやってたなら、すぐに感も戻るよ。焦らずに頑張って…』
どうやら彼女は山木先輩の好みらしいなっ(^_^;) いつになく発言が優しい・・・
次に前に出たのは、松本さん…
紀佳『松本 紀佳と言います。
私も真希と一緒の文献情報学科です。
私は運動が苦手なので、選手としてではなくマネージャーとして頑張りたいと思います。よろしくお願いします。』
そっかっ… 真希ちゃんが一人だと心細いと松本さんに一緒に入ってと誘ったんだなっ。
これはりえに報告するネタが一つ増えたなっ。
~ Maki side ~
翔太に近づくのは私一人だと思ったのに、
バスケサークルへの入部の話をしたら
紀佳『なんだか面白そう。私も入ろうかなっ』って言い出した紀佳。
『へっ?紀佳・・・それって正気?』
紀佳『うん…なんか変?』
真希『変だよ!あなた、運動音痴じゃん。
高校時代も体育の時間は超憂鬱って言ってたのに…』
『いやだっ、誰がプレイヤーとしてなんかいった?私はマネージャーだよ。』
真希『マネージャー?』
『そう。大学時代に一つでも何かに夢中になって頑張りました!
みたいな思い出…作りたいじゃない。
そんな事をちらっと考えてたら、、、バスケ部の部室の前に
『女子マネ求む!!』って…それで私も入部希望出そうかなって・・・』
なんだかとってつけたみたいな言い訳をする紀佳。
でも私もそもそもの動機が不純だから何も言い返せない。
紀佳『それとも、私が一緒だったら…なにか都合でも悪いの?』って
それ以上、何も言えなくなってしまった。
~ Norika side ~
徹が言ってた通り、どうも動機が不純のような真希…
やっぱり、これは監視の必要があるのかも(ーー;)
でも、真希の気持ちもわからなくもない。
だって真希は高校時代から近田 翔太 一人をず~っと思ってきたんだもんね。
近田 翔太と一緒の大学に通うために一生懸命勉強して、この大学に入った。
近田 翔太に相応しい女の子になるために、頑張って減量してあのスタイルをずっと維持してるし、顔だって・・・ちょっと・・・
それなのに、やっと顔見知りになれたきっかけが…友達の彼って、、、
神様もひどいシチュエーションを考えたものだわっ。
だから、私は徹に
『監視はするけど私に真希の行動を抑える事はできないから』宣言したの。
徹は不服そう声で
徹『どうしてだよ。』って言ってたけど…
私は、りえの友達でもあるけど、真希の友達でもあるから。
あくまでも中立の立場で2人を見てるって…
それでもいいよって言ったのは徹、貴方なんだから、私が辛くなったら話ぐらいは聞きなさいよねっ。
~ Syouta side ~
早速、練習に参加した真希ちゃん。
自己紹介のあいさつでは、感が戻るかどうかなんて言ってたけど、そのバスケの腕前は大したもので、軽々とディフェンスをかわし見事なシュートを決めていく。
その衝撃とやらは男性、女性ともにかなりの噂に…
女子部員『彼女、やるじゃない。
私達も頑張らないとレギュラーの座を取られちゃうかも。』
男子部員『あれだけ綺麗で、スタイルもよくて、バスケの技術も大したものだなんて…近田、噂のお前の彼女ってあの子じゃないの?』
なんて聞いてくる奴までいてちょっと慌てた。
『違うよ。彼女は俺の彼女の友達。それに、彼女には彼氏がいるから・・・
それも俺の友達。だから変なちょっかい出すなよ。』って釘をさしておいた。
そしてその日の練習が終わり、部長の提案で2人の歓迎会を開く事に…
でも、今日は唯一、りえがバイトが休みの日で夕飯を一緒に食べる事になっていた。
『山木先輩、申し訳ないんですけど、俺、今日、用事があって…
和博『えっ、お前の頼みで入部をOKした彼女の歓迎会なのに、お前が欠席なんてありえないだろう?』
そう言われ、返す言葉が…ない。
その時、真希ちゃんが俺の方を見て小さな声で
真希『もしかして、りえとデートでした?ごめんなさい。私のせいで…』
そこまで言われると、やっぱり行かない訳にはいかないよなっ(-_-;)
ここは抜ける訳にはいかないと腹をくくってりえに電話。
すると意外にもあっさりと承諾してくれたりえ。
許してもらえたのはホッとしたけど、あっさりしすぎてるのもそれはそれでちょっと寂しくて…なんだか気分が落ちた(-_-;)
店も決まり、2人の歓迎会が始まった。
部長のあいさつも終わり、早速飲み始める俺達。
2人の歓迎会だというのに注目は真希ちゃんで、松本さんの傍には俺と数人の女の子だけ
あまりのみんなの態度に少し呆れながら飲んでいると
紀佳『近田さんは行かなくていいんですか?真希の所…』って、松本さんがその光景を見つめながらボソッ。
『あ~、あれだけ人がいたらいいんじゃないかなっww』
紀佳『私に遠慮なんてしてないですよねっ?』そういうと俺の顔をちらり。
どうも彼女は人の心が読めるみたいで、、、居心地が悪い。
その時、真希ちゃんを囲む人の輪から山木先輩が・・・
和博『近田、こっちに来いよ。』って…
全く、この場の空気を少しは読み取ってほしいよ(ーー;)
すると、松本さんが
紀佳『私の事は気にしないで行ってください。』って…でもそれはできない。
今日は2人の歓迎会だ。
『あっちはあっち…こっちはこっちでやりましょう!あれだけ人がいたら俺一人いなくたって大丈夫ですよ(^_^;)』
~ Norika side ~
私を気遣ってくれての行動なんだろうけど…
真希は他の誰が行かなくても、貴方に来てほしいと思ってると思いますよ。って声に出して言いたかった。
でも、、、ここが近田 翔太のいいところなんだろうなぁ~。
この人が金持ちで顔もスタイルもよくて色んな事に万能であっても、性格的にやな奴だったら、
『やめときなよ。あんな男!』
って真希に忠告もできるんだろうけど…性格的にもいい人なんだよねっ(^_^;)
そういいながらさっきから私と自分の間に共通の話題を必死で探してる近田 翔太。
そして何を思いついたのか、
翔太『あっ、そうだ!!』って大きな声を上げた。
『はっ!びっくりしたぁ~!!』
いったい、なんなの。
翔太『あっ、ごめんなさい。実はさっきから俺・・・松本さんとの会話に距離を感じてたんですけど、その理由がわかったんです。』
『あっ、は、はい…』
すると何とも彼らしい理由が
翔太『俺達、同い年なんだから、タメ口でいいですよねっ?呼び方も「さん」づけじゃなくて「ちゃん」でもいいかなっ?』って…
なんか、、、この人、、、意外に天然かも…ww
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