本当の恋・・・見つけたら(3Version)
再々会… 1章
~Syouta side ~
『お疲れ!』
ほんとは1時間くらいで終わるはずだったサークルの会議が長引いて、もう6時前。
約束した時間は30分も前。
りえは怒ってるだろうなぁ~(ーー;)
そんなことを考えながら開けたゼミの研究室。
『りえ、ごめん!!待たせちゃって…帰ろうかっ!あっ、、、』
俺は目の前の光景に言葉をなくした。
何故って?
りえと弘樹が、、、
そう、俺の彼女のりえが、こともあろうか親友の弘樹とキスをしていたんだ・・・
・
もう5年も前の事なのに、疲れているという時に限って、いまだに見てしまう悪夢。
5年も前に終わった恋なのに、、、
なぜ、こうも鮮明に俺の記憶の中に残っているのだろう?
俺の中にまだりえがいる?
そんなはずはない。
俺には香織がいるじゃないか…
こんな自問自答、俺はかれこれ1年も続けていたんだ。
~ Rie side ~
徹『おっ、りえ?お前、りえじゃねぇ~の?』
静まり返った図書館で、私の目の前にいる男が大声で私の名前を呼んだ。
顔を上げるとそこには大学時代の友人、池田 徹…
『えっ、徹?』
徹『やっぱっ、りえだっ(^^♪ 元気だった?』
昔から彼はこの調子…思いついたら周りの事が見えなくなることが多々あって、、、
弘樹や翔太がよく諭していたような、、、
久しぶりに思い出した、2人の事・・・
今思い出しただけでも胸が痛くなる思い出だけど・・・
『おかげさまで…でも徹、、、ここ図書館なの。少しボリューム落としてくれる?』
徹『あっ!そうだったなっ。わりい、わりい…でさっ、お前、ここ何時に終わるの?』
私のお小言にボリュームは小さくなったけど…
今度はなんだかわけがわからないことを言い出した。
『なんで?なんでそんな事聞くの?』
徹『えっ?なんかよそよそしいなぁ~、久しぶりにあったのに、夕飯でもご一緒にって気になんないの?』
少しムッとしたのか、しり上がりでまたボリュームが上がった徹。
このままじゃ、このカウンターに居座りそうだなぁ~。
仕方ない、ここはこの人のペースにひとまず合わせなきゃ(-_-;)
『もう~、またボリュームが上がってるから~。あと2時間で今日は終わり。
だから、しっ、しっ、あっち行ってて…』
すると唇をとがらせて舌打ちをする徹。
大学時代から成長がない奴(-"-)
徹『わかったよ。静かにしてりゃ~、ここにいていいんだよなっ…終わるまで待ってっから、一緒に飯でも行こうぜ・・・』
って、、、
人の都合も聞かないで~。
はぁ~、、、困った~(-_-;)
~Toru side ~
あれから2時間…
りえが働いてるところが斜めからよぉ~く見える位置に腰かけじっと見つめてる。
でも、、、
俺も根気よく待つよなぁ~(^_^;)
自分でも呆れる。
やっぱ俺って、、、まだりえに未練あり?(笑)
んなっ訳、、、ない!よなっ?
りえ『はぁ~、ほんとに待ってた(-_-;)…』
『なんだよ、その言い方(ーー;) 久しぶりに会った友人に対して・・・』
りえ『友人? ふふっ、そうだねっ』
『元彼じゃなくて、残念だった?』
話の流れででた言葉だったのに、一気に曇るりえの表情。
まだ、この話はダメなのか?(-。-;) 
という事は・・・あいつらも呼んでるとか言ったら、絶対こねぇ~なっ。
よし!
ここは黙っとけ~(^^;)
~Rie side ~
結局、徹に付き合わされることに・・・
『ねっ、どこ行くの? なに食べるの?』
前を歩く徹に話しかけると、
徹『ついてからのお楽しみ~(^^♪』
振り返ると昔のままの笑顔。
この笑顔…なんだか憎めないんだよね~
落ち込んだ時、この笑顔に救われてたなぁ~なんて昔の事を思い出しちゃった。
その時に浮かんだあの人の事…
『ねっ、2人だけ?』
徹『あっ、うん…2人だと何かマズイ?(笑)』
思い浮かんだのは弘樹の事。
徹と弘樹はいつも一緒で、、、
いまだにつるんでるんじゃないかって思ってたのに…ちがったんだ。
そうだよね。
あれから5年、、、
私達、何もかもが替わったんだもんね・・・
~ Hiroki side ~
『お疲れ様でした~! また明日、お待ちしています。』
今日は久々の早番。
ここんところ遅番続きだったから、まだ明るいうちに帰れるのはなんだかちょっと得した気分。
シャワーを浴び、更衣室で着替えていると
茂雄『おいっ、弘樹!もう上がり?』
『あっ、はい。今日俺、久々の早番なんです。』
茂雄『おっ、偶然(^^♪ 俺も~。
なっ、久しぶり飯食いに行くか?』
茂雄さんは俺より一つ年上で同じジムで働いてる先輩。
年齢も近いせいか、何かと気にかけてくれているいい人だ。
『あっ、それが、今日はその~、先約があって(^_^;)』
茂雄『もしかして?こっち?(*^^)』
小指を立ててニヤニヤする茂雄さん。
『いや、大学時代の男友達と飲みの約束が入ってて…すみません、せっかく声かけてもらったのに』
茂雄『なんだ~(-_-;) 男か~。
女だったら、無理にでもくっついて行こうかと思ったんだけどなっ(笑)』
そういうと俺の肩をポンとたたき更衣室を出で行った。
ジムを出ると、さっきまでHIP-POPレッスンに出ていた女の子が…
女『お疲れ様です。今日は早番ですか?』
そういえばこの子先月から一日も欠かさず、俺のレッスンを受けてる子だ…
『お疲れです。はい、今日はこれで終わりなんです。』
するとその女の子の表情が一気に明るくなった。
女『あの~、よかったら、ご飯でも行きませんか?』
『お、おれとですか?』
女『はい、ご迷惑でなければ…』
もしかして、これって、、、
デートに誘われてるのかなぁ~?
『迷惑とかじゃないんですけど、今日はちょっと…』
女『デートですか?』
さっきとは180度変わってめっちゃテンションの下がった女の子。
ここは何と答えるべきか?
今は女の子とどうこうなんて気もサラサラないのに、変に期待を持たせない方がいいよなっ。
『あっ、はい…そうなんです』って答えてしまった。
でも、俺って、いつまでこんな風に立ち止まっているんだろう…?
そう、5年前から・・・
一歩も進めない自分にちょっとだけブルーになった。
~Syouta side ~
久々のフライトオフ…
病欠の代行でフライトが続いていたから、今日くらいは家でゆっくりしようってそう思っていたのに…
一本の電話で俺の夕方の予定が狂ってしまった。
『もしもし…』
徹『お~、翔太、久しぶり!俺、俺。池田 徹だけど、覚えてる?』
そう、その電話とは、大学時代を共に過ごした徹から…
俺と弘樹と徹は、事ある毎に一緒に連んで遊んでいた仲間だから…
けどあの一件以来、一度も連絡をとってなかったのに…
『覚えてるよ。あの時のパンチは忘れたくても忘れられないくらいに強烈だったからなっ…』
徹『あ~、そんな事もあったなっ(^^;;
もうあれから5年も経つのに、翔太、お前、そんなに執念深かったっけ?(笑)』
俺の皮肉を笑い飛ばした徹。
そのやり取りに昔を思い出して、ちょっと笑えてしまった。
お前、、、変わってないなっ。
『そうだなっ、5年も前の話だなっ…
なんだかお前のその声を聞いたら思い出しちゃったよ。
それより、お前、なんで俺の携帯番号、知ってるんだ?』
~Toru side ~
翔太が電話に出るまで、ちょっとドキドキ…
俺だってあんな別れ方したままだったから、なんとなく話し辛いというか…
それなりに緊張感はあった訳で。
でも、意外とすんなり話しが進んでホッとした。
お前の中では、あの5年前の事は、きっちり過去になってるみたいだなっ。
それなら俺の計画も順調に進む…よなっ。
『この間、バスケサークルの同期会があっただろう?』
翔太の連絡先入手先は、あいつが入っていたサークル繋がり…
翔太『あっ、先週なっ。でもそれがどうかした?』
『実は、偶然にも俺のお得意先の担当者が、バスケサークルにいた山木さんだったんだよ。
そこでお前の話になってさっ…
会いたいって言ったら連絡先を教えてくれたんだ。どう?これで謎が解けた?』
電話口の向こうから、
翔太『個人情報の漏洩だなっ、勝手に連絡先を教えるなんて…(笑)』
って、少し澄ました笑い声が聞こえたんだ。
~Syouta side ~
徹の話は、久しぶりに一緒に飲まない?って誘い。
いつもの休みは香織と示し合わせて食事予定なんだけど、、、
今回のオフは突然もらえたオフだったので、香織とシフトが合わなくて…いいのか悪いのか、予定はなし(ーー;)
『お前と2人?』
すると一瞬、間があった。
もしかして、、、あいつも一緒なのか?
徹『お前が5年前の事にこだわっってるんであれば、無理にとはいわないけど…
もう過去の事だと割り切ってるんだったら、そろそろ俺達、友情復活でもいいんじゃない?』
って事は、弘樹もいるって事だよなっ。
俺を試してるかの様な徹の挑発。
先約があれば断れたんだろうけど…
『だなっ… もう時効だよなっ。』って強がってしまったんだ。
~ Hiroki side ~
ジムを出て今日の飲みの店…四ツ谷へ
車内で
【今日だったよなっ?】
って確認のLINEをしたら、徹から
【弘樹、今日はジム帰りのジャージとかじゃなくて、ちょっと小綺麗にしてこいよ】
って、釘を刺された。
もしかして、また女子を呼んだりしてるのかなぁ~(ーー;)
ジム帰りにそのまま向かう予定だったが、
とりあえず家に戻る為に途中下車した。
~Rie side ~
あの頃とちっとも変わらない徹は、意味のない話をさっきから何度も繰り返しては、1人でウケて思い出し笑い。
そしてちょっと呆れ気味で見つめる私のホッペをつねると
徹『りえ、ちゃんと俺の話し聞いてる?』って…
『痛い~!聞いてるよ。なんでつねるのよ。』
口を尖らしていう私に
徹『だって、さっきから全然笑わないじゃん!だから、聞いてんのかなって思ったの!』
私と同じように唇を尖らせる。
その表情に、あの頃を重ねる。
面白くない話をヘビロテのように聞かされ、呆れて呟く弘樹の一言にいつもお腹を抱えて笑った翔太と私。
ついこの間の事のように思い出されるのに…5年も前の事なんだよね。
ダメだ…
私、徹といるとあの時の事ばかり思い出してる。
もう、忘れたんだって思ってたのに…
~ Hiroki side ~
徹から指定された店に到着…時計を見るとまだ待ち合わせ時間まで5分程ある。
中に入って待つか。
受付で徹の名前を言う。
『あの~、池田 徹で予約してます?』
受付『あっ、はい…4名様でご予約を頂いてます。奥のお座敷です。どうぞ。』
やっぱり合コンをセッティングしたみたいだ(-_-;)
2対2のつもり?
折角、男同士2人でグダグタ言いながら飲みたかったのに・・・
また、気を遣わないといけないみたいだなっ(-_-)
~Rie side ~
徹『つ~い~た!! ここだよ、入ろっ(*^^)』
そういうと私の手を取り、自動ドアにそっと触れる。
これも前からなんだけど…徹は人と比べてスキンシップがやたら多い。
今だって、手を握る必要性は全くないのに、勝手に手を取ったりして・・・
『徹、手、、、離してよ。』
徹『なんで?いいじゃん、別に…(^^♪』そういうと繋いだ手を嬉しそうに振る。
『もう~、そういうのがやなの(ーー;) 学生じゃないんだから…』
そういうと、さっと手を引いた私。
すると、私の顔の前に人差し指を立て…グッと顔を近づける。
もう~、手の次は、顔?
徹『わかった。手は離してあげる。その代り今から俺が言うことに、はいって返事して!』
『な、なんでよ。』
あまりにも顔が近くて・・・ちょっと焦る。
徹『なんででも!! いい?』
仕方なくうなづくと
私の頭に右手を置きながら、更に顔を近づける徹
徹『今日は最後まで、ちゃんと俺に付き合って! 今からどんな居心地が悪いことが起きたとしてもだよ・・いい?』
それって、、、どういう意味?
~ Hiroki side ~
徹がくるまでスマホをいじって退屈しのぎ…
すると話し声とともに近づいてくる足音。
来たみたいだなっ
とりあえず適当に座ってたけど、いちよう立って出迎えた方がいい?よなっ
立ち上がり、身だしなみを整える。って言うほどの服は着てないけど・・・(笑)
その時、女の子の声で
?『2人きりって言わなかったっけ?』
徹『えっ?そんな事言ったっけ?』
そう聞こえた途端、、、足音がぴたっ・・・止まった。
もしかして女の子が嫌がってる?
えっ?どういう事?俺ってここにいちゃまずい?
一度に色んな情報が入ってきて、軽く焦る・・・
でもその直後
徹『まっ…とりあえず中に入ろう。』という徹の声と共に開いた襖。
後ろに立っている彼女をみて・・・かなり焦った俺がいた。
~Toru side ~
『今日は最後まで、ちゃんと俺に付き合って! 今からどんな居心地が悪いことが起きたとしてもだよ・・いい?』
俺がこう言った途端、、、りえの顔が硬直。
まっ、こうなる事は予測してたけどねっ。
とりあえず受付に予約している事を告げると何やらノートをめくって確認している様子。
するとやっと硬直から解き放たれたりえが、なにかいいたそうに俺の上着の袖をひっぱりながら
りえ『どういう・・・
受付『あ~、お待ちしておりました。先ほどお連れの方がお見えになって・・・どうぞ奥のお座敷です。』
って事でりえの言葉はこの受付の人の言葉でかき消された。
~ Rie side ~
聞きたい事があったのに、店員さんの声とかぶって聞けなくなっちゃった(-_-;)
でもさっきの徹の言葉といい、お連れ様といい、素直に考えれば…
先に入っている人は・・・
きっと・・・あの人・・・それしか考えられない。
なんで?
なんでこのタイミングなの?
という思いが言葉になる…
『2人きりって言わなかったっけ?』
私の表情からなにがいいたいかわかる癖に、悪びれもせずに
徹『えっ?そんな事言ったっけ?』とぼける徹。
そしてまた手を握る。優しい優しい笑顔付で・・・
徹『まっ…とりあえず中に入ろう。』
その笑顔に一瞬つられて笑顔になった私だったけど、
襖をあけた途端に中にいたあの人をみて…一瞬で真顔になった。
~Toru side ~
思った通りのりえの反応…
そして弘樹の焦りも想定内。
2人とも、しっかり過去を引きずってる(ーー;)
『どうしたの?早く中に入って来なよ…』
そういいながら真顔のままのりえの手を引っ張る。
一瞬、間があいたけど…
俺の顔をちらっとみたりえ
りえ『あっ、う、うん・・・』
どうやら手を振り払ってまで帰る感じではなさそうだなっ(^_^;)
~ Hiroki side ~
徹の後ろに立っていたのは…りえだった。
俺の顔を見て一瞬で固まる…
そうだよねっ・・・俺もどう反応していいのかわからない(-_-;)
すると意外にもりえの方から
りえ『久しぶり…元気そうだねっ(^_^;)』
少し大人っぽくなったけど、あの柔らかい笑顔は変わってなくて、、、
咄嗟に反応が出来ない。
そんな俺の脇をツンツンとつつく徹。
顎を突き出しながらシャツを前へ引っ張る。
『なんか言えよ!』って言いたいんだよね?
『あっ、あ~、りえも元気そうでなりより・・・みたいなっ?(笑)』
ヤバッ、ヤバッ、うまい言葉が出てこない。
でも俺のその言葉にりえが、
りえ『なによりって・・・なんか年寄くさくない? 弘樹、変わんないねっ(^^♪』
そう言ってまた笑う。
その笑顔に完全にタイムスリップした俺がいた。
~ Rie side ~
やっぱり弘樹だった。
思ってた以上に緊張。
徹『どうしたの?早く中に入って来なよ…』
そう言われ我に返る。
『あっ、う、うん・・・』
チラッと弘樹を見ると、私と同じような反応で、ちょっとホッとした。
勇気を出して声をかけてみる。
『久しぶり…元気そうだねっ(^_^;)』
でも弘樹はさっきと同じで固まったまま・・・
もしかして、私が来たこと、不愉快かな?(-_-;)
まぁ~、そう思われても仕方ないけど…
すると徹に即された弘樹がきょどった感じで
弘樹『あっ、あ~、りえも元気そうでなりより・・・みたいなっ?(笑)』
あっ・・・笑ってくれた(*^_^*)
昔のまんまのあの笑顔。
私、この笑顔に随分癒されてたんだよねっ~…って昔の事を思い出した。
だから私も今日だけは!って、そう思って、昔のように話してみた。
『なによりって・・・なんか年寄くさくない? 弘樹、変わんないねっ(^^♪』
~Syouta side 〜
約束の時間は午後6時…
徹『四ツ谷にあるオモニ亭という韓国料理のお店なんだけど、場所はわかる?』
『あ~、ネットで検索して行くから多分大丈夫だよ。
お前の名前で予約してるんだよなっ?』
徹『あ~、俺達は時間ギリギリかもしれないから、先に着いたら入っといてよ。』
でも今、、、時間は約束の時間を過ぎた6時10分。
身支度に手間どったのも事実だけど、それと同時に心の準備にも時間を要していた。
その時、徹からショートメール…
【食べないで、待ってるから早くこいよ。】って…
お前なりの優しさ、あの頃と変わんないなっ。
~Hiroki side ~
とりあえず、挨拶を済ませると
徹が俺とりえの顔を交互にみて、ひとこと。
徹『そろそろ座んない?(笑)』
その時、テーブルにセッティングされている箸や皿の数をみて、りえの表情がまたもやこわばる。
そして小さな声で、
りえ『あと1人、、、くるの?』
その表情に、容易にそのあと1人の見当がつく。
『徹、、、お前…』
徹『この面子が揃ったというのに、あいつを呼ばないなんて…ありえないんじゃない?』
~ Rie side ~
徹『そろそろ座んない?(笑)』
徹から言われ座ろうとした時、テーブルの上にあった箸やお皿のセッティングを見てハッとした。
3人じゃなく、4人のセッティング…
それって、、、
あの人も来る予定なの?
『あと1人、、、くるの?』
あえてその名前をふせてそう尋ねる
弘樹『徹、、、お前…』
弘樹が私の動揺を察して徹に何か言おうとしたその時、、、
被せ気味に徹が続ける。
徹『この面子が揃ったというのに、あいつを呼ばないなんて…ありえないんじゃない?』って…
徹・・・さっきしたあの約束の意味は弘樹だけじゃなくて翔太もという事なの?
いくらなんでも急すぎる。
そんなの、私、守れる自信がないよ…
その時、
翔太『遅くなって、ごめん。』
という、懐かしいあの声とともに翔太が入ってきた。
~ Syouta side ~
ここに来るまで、自分でも色々と考えてみた。
わだかまりが消えてなくなる?
いや、多分、5年たった今でもお互い一抹の気まずさはあると思う。
でも、それをこれからもずっとひきづっていく?
高校時代にできた無二の親友なのに…
そんなの俺だって嫌だ。
りえとは、、、もう二度会えないかもしれないけど…
そうだよ、今日の再会は徹が俺にくれた唯一、弘樹と仲直りするチャンスなんだ。
普通に、普通にしてればいいいんだ、そう自分に言い聞かせて、大きく深呼吸。
そして目の前の襖を開けた。
『遅くなって、ごめん。』
でもそこにいたのは、、、弘樹だけじゃなかった。
~ Rie side ~
『翔太…』
その存在を確認するように、呼んでしまった名前。
でもそこから先の言葉が出てこない。
4人の間に流れる重い空気…
次の瞬間、
弘樹『りえ、、、大丈夫?』
私を気遣い、声をかけてくれた弘樹。
その顔はすごく心配そうな顔で…
弘樹の言葉に何か言わないとって、一生懸命に言葉を探したけど、そんな急に見つかるわけもなく…
その時、
徹『へっ?おい、おい(⌒-⌒; )大丈夫。って、聞き方、変じゃない?なっ、翔太(笑)』
徹は、逆にいつもの笑顔で、翔太を気遣った。
~ Toru side ~
多少はギクシャクするかもなっ…てふんでたけど、、、ここまでとは(ーー;)
このままではよくないと計画した事なんだけど、先を急ぎ過ぎたかなって、、、
ちょっと反省したりして…
でも意外にも、
弘樹『りえ、、、大丈夫?』
最初にりえに声をかけたのは、弘樹だった。
昔と変わらない優しい口調で、、、
弘樹、お前の中にはまだりえがしっかり居座ってる、、、そういう事なんだよなっ
でもこのままじゃ集まった意味がない…
ここは俺が何か言わないと…
『へっ?おい、おい(⌒-⌒; )
大丈夫。って、聞き方、変じゃない?なっ、翔太(笑)』
俺の言葉にやっと反応した翔太…
頭を掻きながら、
翔太『あっ、ごめん…俺、、、りえまでいるなんて思わなかったもんだから、ちょっと驚いちゃって…』
翔太の言葉に続くように、今度はりえが…
りえ『ごめんなさい…私が急に来ちゃったからだよねっ。
ここは男同士で昔話の方がいいんじゃない?』って…
りえ、俺との約束、、、破るつもり?
~ Rie side ~
『ごめんなさい…私が急に来ちゃったからだよねっ。
ここは男同士で昔話の方がいいんじゃない?』
徹『なにいってんだか…(笑)
俺達が大学時代の想い出を語る時にお前がいなくてどうすんだよ。いつも俺達の輪の中心にいたくせに、、、なっ!弘樹、翔太。』
そう言って私の肩に手をかけた。
徹の言葉に、さっきまで硬い表情の翔太の表情が少し緩んだ気がした。
翔太『だなっ…ごめん、りえ。突然だったから驚いただけだよ。
5年ぶりにこうやって揃ったんだ。みんなで昔話でもしようよ、なっ、弘樹…』
少し戸惑い気味の弘樹も翔太の言葉を受け
弘樹『そうだなっ・・・』って呟いた。
~ Toru side ~
翔太が言うようにみんなで笑って昔話が出来たら・・・
俺達またあの時のように一緒に時を刻めるよなっ…
そうだよなっ・・・
りえ『わかった・・・そっかぁ~、もう5年も前なんだよねっ。
なんかあっという間だね。色んな事が昨日の事のように思い出せるのに。』
そういいながらやっと腰を下ろしたりえ
りえ『ねっ、座って話さない?(笑)』
さっ、これから俺達の第二章のはじまりだなっ。
『お疲れ!』
ほんとは1時間くらいで終わるはずだったサークルの会議が長引いて、もう6時前。
約束した時間は30分も前。
りえは怒ってるだろうなぁ~(ーー;)
そんなことを考えながら開けたゼミの研究室。
『りえ、ごめん!!待たせちゃって…帰ろうかっ!あっ、、、』
俺は目の前の光景に言葉をなくした。
何故って?
りえと弘樹が、、、
そう、俺の彼女のりえが、こともあろうか親友の弘樹とキスをしていたんだ・・・
・
もう5年も前の事なのに、疲れているという時に限って、いまだに見てしまう悪夢。
5年も前に終わった恋なのに、、、
なぜ、こうも鮮明に俺の記憶の中に残っているのだろう?
俺の中にまだりえがいる?
そんなはずはない。
俺には香織がいるじゃないか…
こんな自問自答、俺はかれこれ1年も続けていたんだ。
~ Rie side ~
徹『おっ、りえ?お前、りえじゃねぇ~の?』
静まり返った図書館で、私の目の前にいる男が大声で私の名前を呼んだ。
顔を上げるとそこには大学時代の友人、池田 徹…
『えっ、徹?』
徹『やっぱっ、りえだっ(^^♪ 元気だった?』
昔から彼はこの調子…思いついたら周りの事が見えなくなることが多々あって、、、
弘樹や翔太がよく諭していたような、、、
久しぶりに思い出した、2人の事・・・
今思い出しただけでも胸が痛くなる思い出だけど・・・
『おかげさまで…でも徹、、、ここ図書館なの。少しボリューム落としてくれる?』
徹『あっ!そうだったなっ。わりい、わりい…でさっ、お前、ここ何時に終わるの?』
私のお小言にボリュームは小さくなったけど…
今度はなんだかわけがわからないことを言い出した。
『なんで?なんでそんな事聞くの?』
徹『えっ?なんかよそよそしいなぁ~、久しぶりにあったのに、夕飯でもご一緒にって気になんないの?』
少しムッとしたのか、しり上がりでまたボリュームが上がった徹。
このままじゃ、このカウンターに居座りそうだなぁ~。
仕方ない、ここはこの人のペースにひとまず合わせなきゃ(-_-;)
『もう~、またボリュームが上がってるから~。あと2時間で今日は終わり。
だから、しっ、しっ、あっち行ってて…』
すると唇をとがらせて舌打ちをする徹。
大学時代から成長がない奴(-"-)
徹『わかったよ。静かにしてりゃ~、ここにいていいんだよなっ…終わるまで待ってっから、一緒に飯でも行こうぜ・・・』
って、、、
人の都合も聞かないで~。
はぁ~、、、困った~(-_-;)
~Toru side ~
あれから2時間…
りえが働いてるところが斜めからよぉ~く見える位置に腰かけじっと見つめてる。
でも、、、
俺も根気よく待つよなぁ~(^_^;)
自分でも呆れる。
やっぱ俺って、、、まだりえに未練あり?(笑)
んなっ訳、、、ない!よなっ?
りえ『はぁ~、ほんとに待ってた(-_-;)…』
『なんだよ、その言い方(ーー;) 久しぶりに会った友人に対して・・・』
りえ『友人? ふふっ、そうだねっ』
『元彼じゃなくて、残念だった?』
話の流れででた言葉だったのに、一気に曇るりえの表情。
まだ、この話はダメなのか?(-。-;) 
という事は・・・あいつらも呼んでるとか言ったら、絶対こねぇ~なっ。
よし!
ここは黙っとけ~(^^;)
~Rie side ~
結局、徹に付き合わされることに・・・
『ねっ、どこ行くの? なに食べるの?』
前を歩く徹に話しかけると、
徹『ついてからのお楽しみ~(^^♪』
振り返ると昔のままの笑顔。
この笑顔…なんだか憎めないんだよね~
落ち込んだ時、この笑顔に救われてたなぁ~なんて昔の事を思い出しちゃった。
その時に浮かんだあの人の事…
『ねっ、2人だけ?』
徹『あっ、うん…2人だと何かマズイ?(笑)』
思い浮かんだのは弘樹の事。
徹と弘樹はいつも一緒で、、、
いまだにつるんでるんじゃないかって思ってたのに…ちがったんだ。
そうだよね。
あれから5年、、、
私達、何もかもが替わったんだもんね・・・
~ Hiroki side ~
『お疲れ様でした~! また明日、お待ちしています。』
今日は久々の早番。
ここんところ遅番続きだったから、まだ明るいうちに帰れるのはなんだかちょっと得した気分。
シャワーを浴び、更衣室で着替えていると
茂雄『おいっ、弘樹!もう上がり?』
『あっ、はい。今日俺、久々の早番なんです。』
茂雄『おっ、偶然(^^♪ 俺も~。
なっ、久しぶり飯食いに行くか?』
茂雄さんは俺より一つ年上で同じジムで働いてる先輩。
年齢も近いせいか、何かと気にかけてくれているいい人だ。
『あっ、それが、今日はその~、先約があって(^_^;)』
茂雄『もしかして?こっち?(*^^)』
小指を立ててニヤニヤする茂雄さん。
『いや、大学時代の男友達と飲みの約束が入ってて…すみません、せっかく声かけてもらったのに』
茂雄『なんだ~(-_-;) 男か~。
女だったら、無理にでもくっついて行こうかと思ったんだけどなっ(笑)』
そういうと俺の肩をポンとたたき更衣室を出で行った。
ジムを出ると、さっきまでHIP-POPレッスンに出ていた女の子が…
女『お疲れ様です。今日は早番ですか?』
そういえばこの子先月から一日も欠かさず、俺のレッスンを受けてる子だ…
『お疲れです。はい、今日はこれで終わりなんです。』
するとその女の子の表情が一気に明るくなった。
女『あの~、よかったら、ご飯でも行きませんか?』
『お、おれとですか?』
女『はい、ご迷惑でなければ…』
もしかして、これって、、、
デートに誘われてるのかなぁ~?
『迷惑とかじゃないんですけど、今日はちょっと…』
女『デートですか?』
さっきとは180度変わってめっちゃテンションの下がった女の子。
ここは何と答えるべきか?
今は女の子とどうこうなんて気もサラサラないのに、変に期待を持たせない方がいいよなっ。
『あっ、はい…そうなんです』って答えてしまった。
でも、俺って、いつまでこんな風に立ち止まっているんだろう…?
そう、5年前から・・・
一歩も進めない自分にちょっとだけブルーになった。
~Syouta side ~
久々のフライトオフ…
病欠の代行でフライトが続いていたから、今日くらいは家でゆっくりしようってそう思っていたのに…
一本の電話で俺の夕方の予定が狂ってしまった。
『もしもし…』
徹『お~、翔太、久しぶり!俺、俺。池田 徹だけど、覚えてる?』
そう、その電話とは、大学時代を共に過ごした徹から…
俺と弘樹と徹は、事ある毎に一緒に連んで遊んでいた仲間だから…
けどあの一件以来、一度も連絡をとってなかったのに…
『覚えてるよ。あの時のパンチは忘れたくても忘れられないくらいに強烈だったからなっ…』
徹『あ~、そんな事もあったなっ(^^;;
もうあれから5年も経つのに、翔太、お前、そんなに執念深かったっけ?(笑)』
俺の皮肉を笑い飛ばした徹。
そのやり取りに昔を思い出して、ちょっと笑えてしまった。
お前、、、変わってないなっ。
『そうだなっ、5年も前の話だなっ…
なんだかお前のその声を聞いたら思い出しちゃったよ。
それより、お前、なんで俺の携帯番号、知ってるんだ?』
~Toru side ~
翔太が電話に出るまで、ちょっとドキドキ…
俺だってあんな別れ方したままだったから、なんとなく話し辛いというか…
それなりに緊張感はあった訳で。
でも、意外とすんなり話しが進んでホッとした。
お前の中では、あの5年前の事は、きっちり過去になってるみたいだなっ。
それなら俺の計画も順調に進む…よなっ。
『この間、バスケサークルの同期会があっただろう?』
翔太の連絡先入手先は、あいつが入っていたサークル繋がり…
翔太『あっ、先週なっ。でもそれがどうかした?』
『実は、偶然にも俺のお得意先の担当者が、バスケサークルにいた山木さんだったんだよ。
そこでお前の話になってさっ…
会いたいって言ったら連絡先を教えてくれたんだ。どう?これで謎が解けた?』
電話口の向こうから、
翔太『個人情報の漏洩だなっ、勝手に連絡先を教えるなんて…(笑)』
って、少し澄ました笑い声が聞こえたんだ。
~Syouta side ~
徹の話は、久しぶりに一緒に飲まない?って誘い。
いつもの休みは香織と示し合わせて食事予定なんだけど、、、
今回のオフは突然もらえたオフだったので、香織とシフトが合わなくて…いいのか悪いのか、予定はなし(ーー;)
『お前と2人?』
すると一瞬、間があった。
もしかして、、、あいつも一緒なのか?
徹『お前が5年前の事にこだわっってるんであれば、無理にとはいわないけど…
もう過去の事だと割り切ってるんだったら、そろそろ俺達、友情復活でもいいんじゃない?』
って事は、弘樹もいるって事だよなっ。
俺を試してるかの様な徹の挑発。
先約があれば断れたんだろうけど…
『だなっ… もう時効だよなっ。』って強がってしまったんだ。
~ Hiroki side ~
ジムを出て今日の飲みの店…四ツ谷へ
車内で
【今日だったよなっ?】
って確認のLINEをしたら、徹から
【弘樹、今日はジム帰りのジャージとかじゃなくて、ちょっと小綺麗にしてこいよ】
って、釘を刺された。
もしかして、また女子を呼んだりしてるのかなぁ~(ーー;)
ジム帰りにそのまま向かう予定だったが、
とりあえず家に戻る為に途中下車した。
~Rie side ~
あの頃とちっとも変わらない徹は、意味のない話をさっきから何度も繰り返しては、1人でウケて思い出し笑い。
そしてちょっと呆れ気味で見つめる私のホッペをつねると
徹『りえ、ちゃんと俺の話し聞いてる?』って…
『痛い~!聞いてるよ。なんでつねるのよ。』
口を尖らしていう私に
徹『だって、さっきから全然笑わないじゃん!だから、聞いてんのかなって思ったの!』
私と同じように唇を尖らせる。
その表情に、あの頃を重ねる。
面白くない話をヘビロテのように聞かされ、呆れて呟く弘樹の一言にいつもお腹を抱えて笑った翔太と私。
ついこの間の事のように思い出されるのに…5年も前の事なんだよね。
ダメだ…
私、徹といるとあの時の事ばかり思い出してる。
もう、忘れたんだって思ってたのに…
~ Hiroki side ~
徹から指定された店に到着…時計を見るとまだ待ち合わせ時間まで5分程ある。
中に入って待つか。
受付で徹の名前を言う。
『あの~、池田 徹で予約してます?』
受付『あっ、はい…4名様でご予約を頂いてます。奥のお座敷です。どうぞ。』
やっぱり合コンをセッティングしたみたいだ(-_-;)
2対2のつもり?
折角、男同士2人でグダグタ言いながら飲みたかったのに・・・
また、気を遣わないといけないみたいだなっ(-_-)
~Rie side ~
徹『つ~い~た!! ここだよ、入ろっ(*^^)』
そういうと私の手を取り、自動ドアにそっと触れる。
これも前からなんだけど…徹は人と比べてスキンシップがやたら多い。
今だって、手を握る必要性は全くないのに、勝手に手を取ったりして・・・
『徹、手、、、離してよ。』
徹『なんで?いいじゃん、別に…(^^♪』そういうと繋いだ手を嬉しそうに振る。
『もう~、そういうのがやなの(ーー;) 学生じゃないんだから…』
そういうと、さっと手を引いた私。
すると、私の顔の前に人差し指を立て…グッと顔を近づける。
もう~、手の次は、顔?
徹『わかった。手は離してあげる。その代り今から俺が言うことに、はいって返事して!』
『な、なんでよ。』
あまりにも顔が近くて・・・ちょっと焦る。
徹『なんででも!! いい?』
仕方なくうなづくと
私の頭に右手を置きながら、更に顔を近づける徹
徹『今日は最後まで、ちゃんと俺に付き合って! 今からどんな居心地が悪いことが起きたとしてもだよ・・いい?』
それって、、、どういう意味?
~ Hiroki side ~
徹がくるまでスマホをいじって退屈しのぎ…
すると話し声とともに近づいてくる足音。
来たみたいだなっ
とりあえず適当に座ってたけど、いちよう立って出迎えた方がいい?よなっ
立ち上がり、身だしなみを整える。って言うほどの服は着てないけど・・・(笑)
その時、女の子の声で
?『2人きりって言わなかったっけ?』
徹『えっ?そんな事言ったっけ?』
そう聞こえた途端、、、足音がぴたっ・・・止まった。
もしかして女の子が嫌がってる?
えっ?どういう事?俺ってここにいちゃまずい?
一度に色んな情報が入ってきて、軽く焦る・・・
でもその直後
徹『まっ…とりあえず中に入ろう。』という徹の声と共に開いた襖。
後ろに立っている彼女をみて・・・かなり焦った俺がいた。
~Toru side ~
『今日は最後まで、ちゃんと俺に付き合って! 今からどんな居心地が悪いことが起きたとしてもだよ・・いい?』
俺がこう言った途端、、、りえの顔が硬直。
まっ、こうなる事は予測してたけどねっ。
とりあえず受付に予約している事を告げると何やらノートをめくって確認している様子。
するとやっと硬直から解き放たれたりえが、なにかいいたそうに俺の上着の袖をひっぱりながら
りえ『どういう・・・
受付『あ~、お待ちしておりました。先ほどお連れの方がお見えになって・・・どうぞ奥のお座敷です。』
って事でりえの言葉はこの受付の人の言葉でかき消された。
~ Rie side ~
聞きたい事があったのに、店員さんの声とかぶって聞けなくなっちゃった(-_-;)
でもさっきの徹の言葉といい、お連れ様といい、素直に考えれば…
先に入っている人は・・・
きっと・・・あの人・・・それしか考えられない。
なんで?
なんでこのタイミングなの?
という思いが言葉になる…
『2人きりって言わなかったっけ?』
私の表情からなにがいいたいかわかる癖に、悪びれもせずに
徹『えっ?そんな事言ったっけ?』とぼける徹。
そしてまた手を握る。優しい優しい笑顔付で・・・
徹『まっ…とりあえず中に入ろう。』
その笑顔に一瞬つられて笑顔になった私だったけど、
襖をあけた途端に中にいたあの人をみて…一瞬で真顔になった。
~Toru side ~
思った通りのりえの反応…
そして弘樹の焦りも想定内。
2人とも、しっかり過去を引きずってる(ーー;)
『どうしたの?早く中に入って来なよ…』
そういいながら真顔のままのりえの手を引っ張る。
一瞬、間があいたけど…
俺の顔をちらっとみたりえ
りえ『あっ、う、うん・・・』
どうやら手を振り払ってまで帰る感じではなさそうだなっ(^_^;)
~ Hiroki side ~
徹の後ろに立っていたのは…りえだった。
俺の顔を見て一瞬で固まる…
そうだよねっ・・・俺もどう反応していいのかわからない(-_-;)
すると意外にもりえの方から
りえ『久しぶり…元気そうだねっ(^_^;)』
少し大人っぽくなったけど、あの柔らかい笑顔は変わってなくて、、、
咄嗟に反応が出来ない。
そんな俺の脇をツンツンとつつく徹。
顎を突き出しながらシャツを前へ引っ張る。
『なんか言えよ!』って言いたいんだよね?
『あっ、あ~、りえも元気そうでなりより・・・みたいなっ?(笑)』
ヤバッ、ヤバッ、うまい言葉が出てこない。
でも俺のその言葉にりえが、
りえ『なによりって・・・なんか年寄くさくない? 弘樹、変わんないねっ(^^♪』
そう言ってまた笑う。
その笑顔に完全にタイムスリップした俺がいた。
~ Rie side ~
やっぱり弘樹だった。
思ってた以上に緊張。
徹『どうしたの?早く中に入って来なよ…』
そう言われ我に返る。
『あっ、う、うん・・・』
チラッと弘樹を見ると、私と同じような反応で、ちょっとホッとした。
勇気を出して声をかけてみる。
『久しぶり…元気そうだねっ(^_^;)』
でも弘樹はさっきと同じで固まったまま・・・
もしかして、私が来たこと、不愉快かな?(-_-;)
まぁ~、そう思われても仕方ないけど…
すると徹に即された弘樹がきょどった感じで
弘樹『あっ、あ~、りえも元気そうでなりより・・・みたいなっ?(笑)』
あっ・・・笑ってくれた(*^_^*)
昔のまんまのあの笑顔。
私、この笑顔に随分癒されてたんだよねっ~…って昔の事を思い出した。
だから私も今日だけは!って、そう思って、昔のように話してみた。
『なによりって・・・なんか年寄くさくない? 弘樹、変わんないねっ(^^♪』
~Syouta side 〜
約束の時間は午後6時…
徹『四ツ谷にあるオモニ亭という韓国料理のお店なんだけど、場所はわかる?』
『あ~、ネットで検索して行くから多分大丈夫だよ。
お前の名前で予約してるんだよなっ?』
徹『あ~、俺達は時間ギリギリかもしれないから、先に着いたら入っといてよ。』
でも今、、、時間は約束の時間を過ぎた6時10分。
身支度に手間どったのも事実だけど、それと同時に心の準備にも時間を要していた。
その時、徹からショートメール…
【食べないで、待ってるから早くこいよ。】って…
お前なりの優しさ、あの頃と変わんないなっ。
~Hiroki side ~
とりあえず、挨拶を済ませると
徹が俺とりえの顔を交互にみて、ひとこと。
徹『そろそろ座んない?(笑)』
その時、テーブルにセッティングされている箸や皿の数をみて、りえの表情がまたもやこわばる。
そして小さな声で、
りえ『あと1人、、、くるの?』
その表情に、容易にそのあと1人の見当がつく。
『徹、、、お前…』
徹『この面子が揃ったというのに、あいつを呼ばないなんて…ありえないんじゃない?』
~ Rie side ~
徹『そろそろ座んない?(笑)』
徹から言われ座ろうとした時、テーブルの上にあった箸やお皿のセッティングを見てハッとした。
3人じゃなく、4人のセッティング…
それって、、、
あの人も来る予定なの?
『あと1人、、、くるの?』
あえてその名前をふせてそう尋ねる
弘樹『徹、、、お前…』
弘樹が私の動揺を察して徹に何か言おうとしたその時、、、
被せ気味に徹が続ける。
徹『この面子が揃ったというのに、あいつを呼ばないなんて…ありえないんじゃない?』って…
徹・・・さっきしたあの約束の意味は弘樹だけじゃなくて翔太もという事なの?
いくらなんでも急すぎる。
そんなの、私、守れる自信がないよ…
その時、
翔太『遅くなって、ごめん。』
という、懐かしいあの声とともに翔太が入ってきた。
~ Syouta side ~
ここに来るまで、自分でも色々と考えてみた。
わだかまりが消えてなくなる?
いや、多分、5年たった今でもお互い一抹の気まずさはあると思う。
でも、それをこれからもずっとひきづっていく?
高校時代にできた無二の親友なのに…
そんなの俺だって嫌だ。
りえとは、、、もう二度会えないかもしれないけど…
そうだよ、今日の再会は徹が俺にくれた唯一、弘樹と仲直りするチャンスなんだ。
普通に、普通にしてればいいいんだ、そう自分に言い聞かせて、大きく深呼吸。
そして目の前の襖を開けた。
『遅くなって、ごめん。』
でもそこにいたのは、、、弘樹だけじゃなかった。
~ Rie side ~
『翔太…』
その存在を確認するように、呼んでしまった名前。
でもそこから先の言葉が出てこない。
4人の間に流れる重い空気…
次の瞬間、
弘樹『りえ、、、大丈夫?』
私を気遣い、声をかけてくれた弘樹。
その顔はすごく心配そうな顔で…
弘樹の言葉に何か言わないとって、一生懸命に言葉を探したけど、そんな急に見つかるわけもなく…
その時、
徹『へっ?おい、おい(⌒-⌒; )大丈夫。って、聞き方、変じゃない?なっ、翔太(笑)』
徹は、逆にいつもの笑顔で、翔太を気遣った。
~ Toru side ~
多少はギクシャクするかもなっ…てふんでたけど、、、ここまでとは(ーー;)
このままではよくないと計画した事なんだけど、先を急ぎ過ぎたかなって、、、
ちょっと反省したりして…
でも意外にも、
弘樹『りえ、、、大丈夫?』
最初にりえに声をかけたのは、弘樹だった。
昔と変わらない優しい口調で、、、
弘樹、お前の中にはまだりえがしっかり居座ってる、、、そういう事なんだよなっ
でもこのままじゃ集まった意味がない…
ここは俺が何か言わないと…
『へっ?おい、おい(⌒-⌒; )
大丈夫。って、聞き方、変じゃない?なっ、翔太(笑)』
俺の言葉にやっと反応した翔太…
頭を掻きながら、
翔太『あっ、ごめん…俺、、、りえまでいるなんて思わなかったもんだから、ちょっと驚いちゃって…』
翔太の言葉に続くように、今度はりえが…
りえ『ごめんなさい…私が急に来ちゃったからだよねっ。
ここは男同士で昔話の方がいいんじゃない?』って…
りえ、俺との約束、、、破るつもり?
~ Rie side ~
『ごめんなさい…私が急に来ちゃったからだよねっ。
ここは男同士で昔話の方がいいんじゃない?』
徹『なにいってんだか…(笑)
俺達が大学時代の想い出を語る時にお前がいなくてどうすんだよ。いつも俺達の輪の中心にいたくせに、、、なっ!弘樹、翔太。』
そう言って私の肩に手をかけた。
徹の言葉に、さっきまで硬い表情の翔太の表情が少し緩んだ気がした。
翔太『だなっ…ごめん、りえ。突然だったから驚いただけだよ。
5年ぶりにこうやって揃ったんだ。みんなで昔話でもしようよ、なっ、弘樹…』
少し戸惑い気味の弘樹も翔太の言葉を受け
弘樹『そうだなっ・・・』って呟いた。
~ Toru side ~
翔太が言うようにみんなで笑って昔話が出来たら・・・
俺達またあの時のように一緒に時を刻めるよなっ…
そうだよなっ・・・
りえ『わかった・・・そっかぁ~、もう5年も前なんだよねっ。
なんかあっという間だね。色んな事が昨日の事のように思い出せるのに。』
そういいながらやっと腰を下ろしたりえ
りえ『ねっ、座って話さない?(笑)』
さっ、これから俺達の第二章のはじまりだなっ。
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