【連載版】断罪の不死者〜転生した俺は最愛との約束を果たす為旅をする〜

ノベルバユーザー519900

進化

 股間スマッシュの威力スゲェ……これからも時より使って行こう――そう胸に決意した時であった――。


「いっ――!」


 不意に右手の甲が熱くなった。


 来たーー俺はこの感覚を知っている。


 そう、あれはニ年前に迷宮で体験した――確か、百階層攻略を一時断念して、レベル上げの為に九十階層を周回し始めてからおよそ50周目くらいの時だった――。






 ♢♢♢♢♢♢






「どうしたんだリリム?」


 眼を細め、悩んでる様な疑っている様な、そんな何処か違和感のある表情をしながら何かを確かめるかの様に両手を開閉させているリリムの様子に俺は思わずそう尋ねた。


「うむ、自分で言うのも何だが、如何やら妾、強くなってる気がするのだ?」
「? 今更何を言ってるんだ。レベルが上がったのなら当然じゃないか」
「いや、それとは違う様な……何というか妾という存在そのものが強くなった様な気がするのだ……それに、主人との繋がりを強く感じるのだ。主人は何かなかったのか?」


 そう言われて俺は、此処九十階層で周回を始めてから今に至るまでに何か感じた事はないかと思考を回す。


「うーん……」


 すると一つだけ、自分の身に起きた違和感について思い出す。


「……そう言えば2周目終えた辺りで、右手が熱に触れた様な感覚がした様な気がするけど、ほんの数秒だったし……あれ? なんか今も似た様なーーいや、さっきより強く感じるんだが。それもなんかジンジンして少し痛いんだが。やべーな、戦闘に夢中になってて気付かなかったが再発しちゃってるよ。しかも悪化してると言うね」
「ふむ、右手と言えば確か《悪魔紋》が宿ってる方ではなかっか? なら恐らくそれと関係していると妾は思うのだ」
「確かに……ちょっと確認してみるか」


 リリムの言った様に何か《悪魔紋》と関係していると思い、早速俺はそれを確かめるべく、右手に嵌めている黒手袋を外す――すると何と、右手の甲に宿っていた《悪魔紋》の羽の枚数が五枚から七枚羽へと増えていたのだ。


「おー、これがヴァイオレット先生が言っていた進化ってやつか? ……あ、でもあれは《天使紋》の事か。まぁ、でも似たようなもんだろ。なぁリリ――ム?」


 だが、変化はそれだけでは終わらなかった。  


 《悪魔紋》が進化したとリリムにそう報告しようと視線を彼女の方へと転じると、そこに居たのは見るも美しい一人の女性であった。


 身長は170センチくらいだろうか、背筋がスラッとしていて、細くくびれたウエスト。それによって強調される溢れんばかりの豊満なお胸。さらに、すらっと細長い手足にきめ細やかな限りなく白に近い、薄い黄赤色の肌。


 一体目の前にいる女性は誰なのだろうか? そう一瞬思うも、よくよく顔を見てみれば少し大人びているが自分のパートナーであるリリムの面影がある。


「お前……リリムなのか?」
「? 他に誰がいるというのだ?」
「だよな……その、気付いてない? 自分の見た目が変わってるの……」
「見た目? ……そう言われてみれば少し目線が高くなった様な気がするのだ……」
「少しどころでは無いと思うんだけど……」
「そうなのか? 自分ではよく分からないのだ。取り敢えずステータスを確認してみるのだ。ほら主人も」
「あ、あぁ、そうだな」


 俺はリリムに促されるままに、首にかけているステータスプレートに魔力を流し表示されたステータスを確認する。


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 アルス (人族) Lv70


  【体力】 7000(+3450)


  【魔力】 6000(+2450)


  【技能】 《不老不死》 《?????》 《飛剣》《空絶》《ヘイトアップ》《空歩》《瞬歩》


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 リリム (上位悪魔) Lv70


  【体力】 6900


  【魔力】 4900


  【技能】 《血液操作》《血の契約》 《物理耐性Lv6》 《魔力耐性Lv4》




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「ふむ、如何やら妾、進化して《上位悪魔》と言うのになった様なのだ。それに技能も新しく増えてるな――《血の契約》……成る程、後で試しに使ってみるのだ。主人は如何だったのだ? ――んーん? レベルが上がって【体力】と【魔力】が増えたのは当然として、その隣に表示されている数字は何なのだ?」
「……」


 何かリリムが色々と言っているのは耳に届いているが、残念ながら頭には入って来ない。原因は勿論、彼女にあるのは言うまでもない。


「……これ、妾のステータスを半分にした数字なのだ。もしかしてさっき感じた主人との繋がりはこれが原因なのか? なぁ、主人はどう思う――って主人、聞いてるのか?」
「……」


 子供の見た目から180度変わってたその姿に驚ろいたのは勿論のこと、子供の見た目の時にはあまり気にならなかった露出の多い格好が、今は大人の女性の姿へと進化したせいもあって、まぁ色々と強調されていて正直かなりエロい! もうね、目のやり場に困るよねこれ!


「おーい、主人?」
「……リリムひとつお願いがある」
「? どうしたのだ?」
「?」
「この迷宮にいる間だけでいい。元の姿に戻る事はできないか?」
「うーむ、多分出来ると思うがどうしてなのだ?」
「それは……」


 本人の前でその格好エロいとか言える訳がない。もしそんな事言ったら絶対に変態扱いされるよね。まぁ、変態なんだけどね。だっておっぱいとかおっぱいとかおっぱいが大好きだし。


「もしや、妾の新たな、いや真の姿を前に惚れてしまったのか?」


 あ、これ絶対察してると言うか気付いてるやつだ。だって俺のこと見てからかうかの様に笑みを浮かばせているし。


「いや、惚れたっていうか、あのね? 俺もさ、一応男な訳よ。だからそんな格好でいられたら気が気でいられないと言うか、集中出来ないと言うか。とにかく出来るならお願いします!」
「ほぅ、主人は妾の格好を見て欲情していたのか。クククク」
「よ、欲情は言い過ぎだ! だいたいお前みたいな美人が「び、美人!?」そんな格好してたら誰だって興奮するんだよ! 男を舐めるなよ――ってあれ? きいてる?」
「妾がか……? ふふふ、そうかそうか……」
「なんだよ急にニヤニヤして……」
「ハッ! ま、まぁこんな事で戦闘に支障が出るのも嫌だしな。主人が如何してもと言うなら仕方がないが元に戻ってやるのだ!」
「……有難うございます」
「妾が美人……ふふふ」




 ♢♢♢♢♢♢




 ――っと、回想は此処までにして確認しなきゃ。


 右手の手袋を外し確認する。


 すると案の定、《悪魔紋》は進化しており、七枚羽から八枚羽へと変わっていた。


 続いてステータスを確認してみる。


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 アルス (人族) Lv110


  【体力】 11000(+5210)


  【魔力】 10000(+4100)


  【技能】 《不老不死》 《?????》 《飛剣》《空絶》《ヘイトアップ》《空歩》《瞬歩》《弱点突破》《万物万華鏡》




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 二年前のリリムが《上位悪魔》へと進化した時とは違い、特にこれと言った変化はなく、それとは別に普通にレベルが上がったことで【体力】と【魔力】が上昇したのは勿論のこと、【技能】《観察眼》が無くなり、代わりに《万物万華鏡》と言うのが追加されていた。そこからして恐らく《観察眼》の上位互換の様なものだろう。


「ちょっと試してみるか」


【技能】《万物万華鏡》を自身に発動する。《観察眼》であれば敵と視認した相手にしか使えないからこの時点で失敗に終わるが、如何やらこの新しい技能は敵味方関係なく使える様だ。


 そして――


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 アルス (人族) Lv110


 【状態】正常


 【体力】 11000(+5210)


 【魔力】 10000(+4100)


 【技能】 《不老不死》――老いる事なく(一定の年齢までは普通の人間と同じ様に歳を重ね、成長する)死んでも生き返る。


 《?????》――女神ディーティアが授けし技能。


 《飛剣》――斬撃を飛ばす事ができる。


 《空絶》――斬撃を設置する事ができる。


 《ヘイトアップ》――敵の注意を惹きつける。


 《空歩》――空中に不可視の足場を設置し移動出来る。


 《瞬歩》――50メートル内を一歩で移動出来る。


 《弱点突破》――敵の弱点に対しての攻撃力が増す。


 《万物万華鏡》――対象を鑑定する事が出来、見たい情報とそうで無い情報の調整が可能。(例・鑑定対象の個体名だけを鑑定する)




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 ……驚いた。まさかここまで詳細に鑑定出来るとは――《万物万華鏡》、凄い便利な【技能】だな。ただ、《?????》に関しては、鑑定内容が他の【技能】の様な効果説明では無く、取得経緯であった。
試しにもう一度鑑定してみたが、結果は同じで取得経緯の説明であった。
恐らく、ちゃんと《?????》が何と言う【技能】かを自覚しない限りは何度やっても結果は同じだろう。


《万物万華鏡》なんて体のいい名前であるが、要は万物――あらゆる物を鑑定出来るだけであって、その内容までは保証されていないのだから仕方がない。まぁ、そのうち分かるだろうから今は頭の片隅にでも置いといて気にしないでおこう。







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