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【連載版】断罪の不死者〜転生した俺は最愛との約束を果たす為旅をする〜

ノベルバユーザー519900

vs黒い怪物②

 瞬歩で一気に背後にまわり、黒い怪物の足を目掛けて、迷宮で報酬として手に入れた黒刀――《孤月・偽こげつ・レプリカ》を鞘から抜き放ち、横薙ぎに一閃する。


 しかし、流石は災害級――瞬時に俺の気配を察知すると、それを躱すべく前へと跳躍し、着地する寸前に身体を横に半回転させて俺の方へと向き直り華麗に着地――その次の瞬間、着地してからわずか数秒すら間をおかずに、黒い怪物は四本の脚で地を勢い良く蹴ると、こちらに向かって突進してきた。


 しかし、そんな大胆すぎるとも言える大振りな攻撃をわざわざ許すわけもなく、俺は横へ跳び回避する。


 だが黒い怪物の攻めは止まる事を知らなかった。


 先程までの過剰とも言える警戒は何処へやら――俺との間に距離が生まれると、すかさずその距離を埋めようと再び地を蹴り、こちらに向かって攻撃を仕掛けてくる。


「ふぅ……」


 取り敢えず先制攻撃は失敗に終わってしまった……さてこれからどうしようか――と言うのも黒い怪物は、かろうじて瞳と脚だけは認識出来るものの、それ以外の部位は黒い靄に覆われてそのシルエットを捉えることができない。つまり何処に攻撃が通るのかがはっきりと分からない状態だ。


 一国を相手出来る程の威力を持つ《第三階位魔術》を無詠唱で唱えることができれば楽なのだが、流石に今の俺ではそこまで出来ない。と言うより前世でも一種類程しか《第三階位魔術》の無詠唱は出来なかった。


 迷宮での特訓のお陰で詠唱省略はできるようになり、《第三階位魔術》の発動時間の短縮化までは持ってこれたが、そもそも奴が詠唱を唱える隙を与えてくれないだろう。なら障壁を展開して攻撃を防ぎ詠唱する時間を稼げば良いのではとも思うが、障壁の展開は一度に一枚までしか貼れない――もし、奴が他方から攻撃する手段を持っていたとすれば、その全てを防ぐ事は出来ない。故に、今使えるのは無詠唱で唱える事ができる《第二階位魔術》まで。まあそれも単体ではヨルムンガンドの時と同様に災害級相手では決定打には欠けてしまうが……。


 思えば、前回のカオスネグロとの戦いで《第三階位魔術》を唱えることができたのは、カオスネグロが傷を再生する為に魔力を大量消費したせいで、疲労困憊の状態になり動きが鈍くなっていた事の他に、【技能】《空断》でカオスネグロの周囲に斬撃を設置して足止めをしていたことが大きい。


 なら今回も同じ作戦で行くべきだろうか……いや、そもそも前提条件が違う。
 前回のカオスネグロとの戦いでは、相手の全長をしっかりと認識出来ていたからこそ、何処に罠を設置すれば良いのかと判断が出来ていた。しかし今回は違う。黒い靄に覆われていて、靄の中の何処らか何処までが本体なのか、その全長を把握する事が出来ていないので、仮に罠を設置したとしても空振る可能性がある。
 なら、視認できている脚を集中的に狙えばとも思うかもしれないが、先の奴の跳躍を見れば無意味だと言う事がわかる。


 まったく、いったいその巨大の何処に瞬発力? を備えているのだろうか。


 記憶を取り戻して地球での常識が身に付いた今だからこそ思うけど、今回の黒い怪物然り、殆どの魔物に対して言えることだが、魔物自身の体重に対しての動きがまったく矛盾してると思うんだよね。まるで「飛べない豚はただの豚」とか言ってくる相手に対して真っ向から「は? 俺は飛べますがなにか?」とでも言うようなこの世界。色々と物理法則とか無視しすぎじゃない? ……まあいいや。物理法則を無視して地球での常識に囚われない「朝日が西から登る」と言う言葉が常に何処かに潜んでいるーーーそれが、いやそれこそが異世界! まさにご都合主義! なろうである! ……さて、無駄な思考もここまでにして、そろそろ本格的に反撃しないとな。さっきからずっとイタチごっこかの如く、追われては躱すの繰り返しで正直鬱陶しくなってきたところだ。


 と言う事で本題に戻ろう。議題は勿論、《第三階位魔術》に頼らず黒い怪物をどう倒すかである。



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