【連載版】断罪の不死者〜転生した俺は最愛との約束を果たす為旅をする〜
ギルド登録
「ん?」
「今の話、本当ですか?」
「今のって?」
「あの、その、そこに居る彼女が男だどうだとか言うの……」
盗賊風冒険者と一悶着あってから一拍置くと、目の前でやり取りを見ていた受付嬢が何処か遠慮気味に訪ねてきた。
「あぁ、勿論嘘にきまってるじゃないか。ああ言うのをいちいち真面目に相手するの面倒だからついた追い払う為の口実だよ」
「はあ、そうですか……」
「それより冒険者登録と彼女の分のステータスプレートを購入したいんだが」
受付嬢の問い掛けに対して否定するも信じていないのか若干目を細め疑わしげな視線を向けられる事に少しばかり心に傷を負いつつも、続けて登録の話をすると一転して真剣な表情になった。
流石そこはプロといった感じか。
「はい、冒険者ギルドへの登録とステータスプレートの購入ですね。ではまずステータスプレートをお渡しします。銅貨二枚になります」
言われたとおりに銀貨二枚を払い、ステータスプレートを受け取る。
それをリリムに渡すと彼女は早速首に掛けた。
そしてここまでの様子を見て確かに受け取ってもらったと確認した受付嬢が再び口を開く。
「では次にギルドへの登録ですね。先ずはこの用紙に必要事項を記入して下さい」
そう言って渡された用紙に名前や住所と言った個人情報を記入していく。
記入し終え、それを受付嬢に渡すと彼女は「暫くお待ち下さい」とだけ言い残して席を外し、そのままカウンターの奥へ消えて行った。
それから数分後。
戻ってきた受付嬢の手には先程自分の個人情報を記入した用紙ではなく、二枚のカードが握られていた。
あれが俗に言うギルドカードではないだろうか?なんて予想していたら案の定それはギルドカードであり、「どうぞ」と言って渡されたそれには、用紙に記入した内容が記されていた。
このギルドカードこそが他国へ入国する際の身分証にもなるのだ。
これで取り敢えず当初の目的は果たせた。
「アルスさんとリリムさんですね。私は当ギルドの受付を務めさせて頂いてますターニャと言います。よろしくお願いします」
「あぁ、よろしく」
「よろしくなのだ」
「はい、よろしくお願いします。では早速ですがギルドについての説明は必要ですか?」
「あぁ、頼むよ」
ターニャさんが説明の有無を聞いてきたので是非にと首を縦に振り促すと早速説明が始まった。
曰く、冒険者ギルドは基本中立の立場であるらしく、例え国同士の戦争が起きたとしても介入するかしないかは個人の自由であるらしい。
それはギルド内でも似た様なルールがあり、冒険者同士のいざこざも大事では無い限り基本不介入らしく、その責任は個人にあるらしい。だから先の件も大事には至る事は無いと判断したのか介入する事なく傍観していたのだろう。
冒険者ギルドにはランク制度と言うのがあり、FランクからSランクまでの七つに分けられていて、なんでも昔はSランクは存在せずAランクまでだったらしい。
登録当初は誰もがFランクからのスタートらしく、幾つもの依頼を重ねて冒険者ギルドに認めてもらえればランクが上がる仕組みになっているらしい。
そしてそのランクだが、以下のように分けられている。
Fランク――駆け出し冒険者。まだ右も左も分からない初心者。
Eランク――冒険者としての知識はそれなりに身についたが、実力としては未だ不充分。
Dランク――冒険者として認められる最低ライン。これより上を目指すのは、かなり難しい。
Cランク――ベテラン冒険者。Dランクの壁を乗り越えた真の実力者たちのスタートライン。
Bランク――リヴァイアサンやヨルムンガントと言った災害級を除いた上位魔物を数人がかり(十人程度)で倒す事が出来る。
Aランク――同じく災害級を除いた上位魔物を四人程度(パーティーメンバーの最低人数)で倒す事が出来る。
Sランク――同じく災害級を除いた上位魔物を単体で倒すことが出来る圧倒的強者、規格外、人生の勝ち組。
殆どの者がDランク止まりらしく、そんな中Cランク以上になった者があれば一種の憧れの的になり、Sランクにでもなれば最早英雄扱いらしい。
因みにSランクと言うのがレベルで言うとどの程度の実力かを聞いたところ、大体90以上で、過去にスタンピードを防いだ《六勇者》がそれに当たるらしい。
どうやら実力的には俺とリリムもSランクのようだ。
現在Sランク冒険者は数える程しか存在しないらしいが、ターニャさん個人の見解によると冒険者では無いが《七聖騎士》と呼ばれるエルトリンデ皇国の守護者たちがSランク程度の実力があるらしい。
(皇国か……いずれ合間見れるかもしれないところに守護者と呼ばれるSランクレベルの存在、それも複数も…少し厄介だな)
『なぁ主よ……』
『なんだ?』
『主には前世があるのだからそれなりの知識は備えてあるのだろう?なのに何故聞く必要あるのだ?』
説明が始まってからしばらく、ふとリリムが疑義の念を抱いたのか、悩ましさの篭った視線を向けながらそう念話をとばしてきた。
『あぁ、あの頃は、魔王を倒すのに専念してたから冒険者ギルドに関わることなんてなかったからな』
そう――あの頃は勇者として、魔王討伐の為に自身の強化に各地のダンジョンを回っていた為、冒険者活動をする時間がなかったから登録をしていなかったし、関わることもなかった。
故に冒険者のいろはを知らないし、盗賊との一件の際、ザックがCランクだと主張してきてもその凄さが分からなかった。
しかし聞いた限りだとCランクというのは中々に腕の立つ存在のようだ。
『それに、もし仮に関わっていたとしても、この数百年で仕様が変わっているかもしれないだろ?過去と今が全く同じという事はないんだから。まぁ絶対ではないが……』
『うむ、成る程確かにそうなのだ』
リリムが納得したと頷いたのを見たターニャさんが、ここまでのギルドの説明に対してだと勘違いしたのか次の説明に移った。
「では次に受ける事の出来る依頼と内容、そして依頼達成の報告についてです。
先ず受ける事の出来る依頼は、自身のランクと同じランクか一つ上のランクの依頼までです。
しかし一つ上のランクの依頼を受ける場合は必ず自身より上のランクの冒険者の同行を最低でも四人以上は必要に成ります」
成る程。つまり俺の場合まだ駆け出しのFランクだから受ける事の出来る依頼はFランクかEランクの依頼と言うわけか。
しかもEランクの依頼を受けるならEランク以上の冒険者の同行が必要であると言うことか。
「次に依頼内容についてです。基本、依頼内容は魔物討伐とそれ以外の護衛依頼などの二種類に分かれていいます。魔物討伐の場合は、討伐対象となる魔物の部位、例えばゴブリンの場合は耳だとかを提示してもらう事で依頼達成となります。
そしてそれ以外の護衛依頼などは予めこちらで用意させていただいた証明書に依頼主からのサインを頂き、それを提示してもらうう事で依頼達成となります――説明は以上になりますが何か質問はありますか?」
「一つだけいいか?」
「はい、どうぞ」
「依頼達成の報告ってのは必ず依頼を受けたギルドでないと報告できないのか?」
「いえ、その必要はありません。と言うのも各地のギルドは通信用の魔道具で繋がっているので現地にギルドが在ればそこで依頼の報告をしてもらって構いません――もしかしてここを出る予定でもあるのですか?」
「あぁ、実はこの後すぐに帝国へ向かう予定なんだが、その片道に何か依頼でも受けようかなって」
「成る程、それでしたら――」
「おお!アルスじゃねぇか!」
ターニャさんが何か言おうとしたところを遮って背後から聞き覚えのある声が掛かった。
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