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【連載版】断罪の不死者〜転生した俺は最愛との約束を果たす為旅をする〜

ノベルバユーザー519900

出発準備③

 翌日。


 他国に訪れる際に必要なものは何か?それは身分証だ。
 身分証とは読んで字の如く、自身の身分を示す証。
 もしその身分証を持っていなかったら入国料を取られてしまう。
 だから身分証は旅をする者、又は商人などにとっては必要必需品なのだ。
 その身分証を手に入れるにはいくつか方法があるが最も手っ取り早いのが冒険者ギルドに登録する事だ。


 冒険者ギルドって言うのは、平民から貴族、更には王族、ましてや国からの依頼を受ける事ができ、その規模は迷子の猫探しから魔物の討伐まで色々あり、要は何でも屋みたいなものだ。
 ここで発行されるギルドカードと言う物が身分証にもなるのだ。


 というわけで今俺たちは冒険者ギルドに来ている。


「さぁ、着いたぞ」
「おぉ、昨日も見たがやはり大きいのだ……」


 因みになんで今かって?それは今日王都を出る予定だからだ。
 本当は昨日のうちに済ませたかったけど、昨日は久し振りの王都と言う事もあっていろんな店に立ち寄ったりしていたらすっかり日が暮れてしまって出来なかったのだ。






 まるで西部開拓期代に在りそうな、それ扉の役割果たしてるの?って思うくらいの如何にもセキュリティゼロな木製の扉を開け中に入ると、そこに広がるのは、王都の賑やかな喧騒とはまた違った賑やかさをもった別世界だった。
 顔を真っ赤に染めながら酒を片手に談笑する者達。
 そのせいか酒独特の匂いが辺りを漂っている。
 正直あまり長居したい場所ではないな。


 早いとこさっさと用事を済ませてここから出よう――そう思いながら受付嬢に声をかけようとした時だった。


「おいそこの可愛いねーちゃんどうだ?これから俺とトゥギャザーしようぜ!勿論あった意味でな!」


 如何にも柄の悪そうな男が話しかけてきた。


 こいつ本当に冒険者か?盗賊って言われた方がまだ納得できるぞ。これを期に転職してみたら?まぁそうなったら最後だけど。


 男は俺たちを見て下卑た笑みを浮かべている。


 まぁこう言う場でそう言うのはお約束だし?何となく来るんじゃないかなって予想してたけど本当に来ちゃったよ。
 全く期待してないのに来ちゃったよ。
 むしろ来ないでくれって思ってたくらいなのに来ちゃったよ。
 テンプレが歩いてやって来ちゃったよ。


『主、こやつ何かキモいのだ。ぶっ飛ばしても良いか?』


 もしここでテンプレ通りなら――


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「てめぇ!調子になってんじゃねぇぞ!!」


 怒りに狂った男が右手を振り被り殴りかかってくる。
 それを俺は襲いかかって来た右手を左手で受け止める。
 すると男はまさか止められると思っていなかったのか目を見開き驚愕する。
 俺はその顔面に向かって一発拳を入れると男は呆気なく意識を手放した。


「「「……」」」


 屈強な男が倒された事に周囲が唖然としている中、それを見ていた誰かがこう言うんだ。


「おいおいマジかよ《早漏スピードスター》のボブを一発で倒したぞ!?何者なんだあの新人?」
「やべぇな」
「すげぇな」
「「「ザワザワザワ」」」
「あるじ……ちゅき♡」


 とそんな感じで回りが盛り上がっている中に颯爽とギルド長が現れるわけだ。そして俺はギルド長に一目置かれて期待のニュービーとして注目を浴びるわけだ!
 それはもう、街を歩く度に女の子から熱烈な視線を浴びる程に、そしてそれを見て嫉妬したリリムが腕に抱きついて来てその豊満な胸が……むふふふ。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ――とまぁこれも悪く無い、本当に悪く無い。むしろそうであって欲しいと思ってるくらいだが、今はあまり目立ちたく無い。
 非常に残念だがここで目立ちすぎると自称創造神に気付かれる可能性の一つになりかねない。
 まぁでも、もしそうなったらその時はその時だが。


『主……?』
『ん?あぁ、まぁ落ち着けって。こう言うお約束はな、その気にさせなければ良いんだ』
『?』
『まあここは俺に任せとけって――「悪いがボブ、俺たち急いでるんだ」
「まぁそんな硬いこと言うなよ別に良いじゃないか。てかボブって誰だよ!俺はサップだ!――ん?俺たち?……俺?まさかお前……男か……?」


 おぉ、この人表情がころころ変わるなぁ、まったく表情豊かな人だなぁ。役者になれるんじゃないか?これを期に転職してみては……ん?何か似た様な事さっきも言った様な……まあ良いか。
 てかリリムも言ってたけど本当に俺の見た目って女に見えてるんだな。いや、でもロッソ達はそんな事なかったし、人によるか。


「そうだが」
「ちっ、なんだよ紛らわしい格好してんじゃねぇよ!――まあいい、じゃあ隣のねぇちゃん、どうだ?俺と楽しいことしようぜ!」


 そう言ってリリムに手を伸ばそうとしてくるのを俺は二人の間に入って止める。


「あ?なんだテメェ、邪魔すんじゃねぇよ。それとも何か?俺とヤろうってのか?」
「いやいや、そんなつもりはないよ。ただ一つ誤解を解いとこうと思ってな」
「ああん?」
「いいか、彼女はな――男だ!」
「『……』」


 一瞬の静寂が訪れた。
 それからリリムが念話で『主!?』と声を上げるのと男が笑い出すのは同時だった。


「おいおいいくら何でも嘘が下手過ぎだろwでっけぇ乳ぶら下げて、更にこんな可愛いなりしてて男のわけわがねぇだろw」
「確かにリリムは可愛い。それは間違いない」
『ちょ、主可愛いなんてそんな……ふふ』
「じゃあ――」
「だが男だ!」
「『……』」
「だが男だ!」
「……」
「だが男だ!」
「何も言ってねぇよ!!しかも三回も言ってるよ!普通そう言うあえてもう一度言おう見たいなのは二回までしか言わねぇんじゃねぇの!?――はぁはぁ、何で声掛けただけなのにこんなに疲れなきゃいけねぇんだよ……」
「それにこう見えて付いてるんだよ」
「……付いてるって何が?」
「ナニがだっ!それも特大サイズだ!」
「おいおい俺を馬鹿にするのも――いや、その真剣な顔――嘘を言ってる様には見えねぇ。じゃあ本当に男なのか!?」
「そう言ってるだろう。もしかして開発されたいのか!?」


 俺がわざとらしく驚倒の声を上げながら若干引く様な態度を示すと男は――


「なっ、バカ言ってんじゃねえ!糞!俺にそっちの趣味はねぇ!」


 そう吐き捨てながら踵を返して外に出ていった。


 ふぅ、これにて一件落着!


『主……』
『ん?どうした?あぁ礼なら別に――』
『後で話な?』
『……はい』


 うわぁめっちゃ怒ってるし、怒りのあまり"のだ'つけ忘れてれるよ。
 いや、俺もね?自分で言っておいて今のは無いわって思ったよ。
 だってそうでしょ?女性に対してお前は男だなんて言うなんて失礼にも程があるよね。失礼千万だよね。怒るのも無理ないよ。
 はぁ〜、この後何されるか分からないけどここは甘んじて受け入れよう。

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