【連載版】断罪の不死者〜転生した俺は最愛との約束を果たす為旅をする〜
叶わぬ初恋
♢ケイン
彼女をはじめて目にしたのは、女神ディーティア様から加護を授かる日――『祝福の儀』の日に、教会前に出来た長蛇の列に並んでいた時だった。
後ろに並んでいる人達が何やら騒がしいなと思って少し注意しようと後ろを振り返った瞬間、俺の視界に映ったのは、身長165センチくらいはある、きめ細やかな肌を持ち、桜色の髪をツインテールにしている女の子。それが彼女だった。
これが俺にとって彼女とのはじめての出会いだった。
正直一目惚れだった。そしてこれが初恋だった。
俺は、自分の番になるまでの間、彼女のことが気になり、チラチラと何度も見てしまった。
時節垣間見える彼女の笑顔が可愛かった。
しかし、恋は儚いと言うべきか、ここを後にしたら俺は学園に通う為に学園寮に入寮するからもう会うことはないだろうと、そう思っていた。
しかし奇跡は訪れたのだった。
俺は首席として代表挨拶をする為にステージへ上がり、同じ新入生達を一望すると何とそこには彼女がいたのだ。それも俺が入る予定のクラス、一年A組の列に。
この時俺は心の中で歓喜した。
彼女と仲良くなり、あわよくば付き合いはじめたりと思っていた。しかしそう上手く行くことはなかった。
何故なら彼女の隣には常にある男がいたからだ。
その男の名前はアルス。彼女の幼馴染だった。
俺はなんとか彼女を振り向かせようと、アルスに突っかかっては自分をアピールしていた。それが間違っている事だとも気付かずに。
それは、実際訓練の時も同じで、俺は彼女に自分が強い事を示そうとした。しかし、上手くいかなかった。その原因もまた、アルスだった。
俺たちと違いアルスは、『文無し』なのにも関わらず、難なく魔物を倒していたのだ。
その実力に嫉妬し、そして悔しかった。
だから十一階層へ行こうと言ってしまった。ただ彼女に己の実力を示したいが為に。
その結果。アルスを失う事になってしまった。
今思えば、二人の仲の良い様子を見て俺は焦っていたのかもしれない。――いや、きっとそれだけじゃない。初恋という事もあり、どこか恋に盲目になっていたのかもしれない。
救助隊の報告を聞いた彼女は、絶望的な顔をしていた。
なんとなく彼女はアルスの事が好きなんじゃないかと薄々気づいていた。
でもそれを認めたくなかった。俺は、彼女の笑顔が好きで、俺が彼女を笑顔にしたいと思っていた。なのに俺自身が彼女から笑顔を奪ってしまった。
そして、アルスを失った引き換えに俺たちが得たのは、一ヶ月の謹慎という軽い罰だった。
この一ヶ月間、俺は彼女にどう接すれば良いかひたすら考えた結果、謝る以外に答えが浮かんでこなかった。
そして謹慎が解けてから初日の登校日。
 「エリナさん……」
 「あ、ケイン君おはよー」
 「あ、あぁ、おはよう……」
 「元気ないようだけど、どうしたの?」
 「その……ごめんなさい!俺のせいでアイツを失う羽目になってしまった!本当にごめんなさい!」
 「ケイン君……ううん、ケイン君だけのせいじゃないよ。最後まで止めなかった私も悪いんだよ」
 「そうですよ。貴方だけのせいじゃありません。私も反対しませんでした」
 「うん、僕もそうだよ……」
 「それでも俺が十一階層に行こうなんて言わなければあんな事には――」
 「ねぇ、ケイン君。私、諦めてないよ。リゼにね、私が気を失っていた時に救助隊の人が話してた事を聞いたの。だから、もしかしたら……ううん、絶対にアル君は生きてるって信じたい。だから、もっと強くなってこの目で確かめるまでは絶対に諦めたくないの」
 「それは……」
確かに救助隊の人達は、あの魔物の死骸があったと言っていた。それを聞けば生きているかもしれないと思うのは当然だ。しかし、捕食された後に討伐されたとも考えられる。だからあまりにも望みの薄い話だと思った。
しかし彼女の瞳からは、決意が満ち溢れているように見えた。
 「そうか……なら俺も協力させてくれ」
 「僕も協力するよ」
彼女に再び笑顔が戻るなら俺は、協力を惜しまない。きっとそれが俺にとって彼女に対する、最大の償いになると信じて。
 「みんな……ありがとう!」
彼女をはじめて目にしたのは、女神ディーティア様から加護を授かる日――『祝福の儀』の日に、教会前に出来た長蛇の列に並んでいた時だった。
後ろに並んでいる人達が何やら騒がしいなと思って少し注意しようと後ろを振り返った瞬間、俺の視界に映ったのは、身長165センチくらいはある、きめ細やかな肌を持ち、桜色の髪をツインテールにしている女の子。それが彼女だった。
これが俺にとって彼女とのはじめての出会いだった。
正直一目惚れだった。そしてこれが初恋だった。
俺は、自分の番になるまでの間、彼女のことが気になり、チラチラと何度も見てしまった。
時節垣間見える彼女の笑顔が可愛かった。
しかし、恋は儚いと言うべきか、ここを後にしたら俺は学園に通う為に学園寮に入寮するからもう会うことはないだろうと、そう思っていた。
しかし奇跡は訪れたのだった。
俺は首席として代表挨拶をする為にステージへ上がり、同じ新入生達を一望すると何とそこには彼女がいたのだ。それも俺が入る予定のクラス、一年A組の列に。
この時俺は心の中で歓喜した。
彼女と仲良くなり、あわよくば付き合いはじめたりと思っていた。しかしそう上手く行くことはなかった。
何故なら彼女の隣には常にある男がいたからだ。
その男の名前はアルス。彼女の幼馴染だった。
俺はなんとか彼女を振り向かせようと、アルスに突っかかっては自分をアピールしていた。それが間違っている事だとも気付かずに。
それは、実際訓練の時も同じで、俺は彼女に自分が強い事を示そうとした。しかし、上手くいかなかった。その原因もまた、アルスだった。
俺たちと違いアルスは、『文無し』なのにも関わらず、難なく魔物を倒していたのだ。
その実力に嫉妬し、そして悔しかった。
だから十一階層へ行こうと言ってしまった。ただ彼女に己の実力を示したいが為に。
その結果。アルスを失う事になってしまった。
今思えば、二人の仲の良い様子を見て俺は焦っていたのかもしれない。――いや、きっとそれだけじゃない。初恋という事もあり、どこか恋に盲目になっていたのかもしれない。
救助隊の報告を聞いた彼女は、絶望的な顔をしていた。
なんとなく彼女はアルスの事が好きなんじゃないかと薄々気づいていた。
でもそれを認めたくなかった。俺は、彼女の笑顔が好きで、俺が彼女を笑顔にしたいと思っていた。なのに俺自身が彼女から笑顔を奪ってしまった。
そして、アルスを失った引き換えに俺たちが得たのは、一ヶ月の謹慎という軽い罰だった。
この一ヶ月間、俺は彼女にどう接すれば良いかひたすら考えた結果、謝る以外に答えが浮かんでこなかった。
そして謹慎が解けてから初日の登校日。
 「エリナさん……」
 「あ、ケイン君おはよー」
 「あ、あぁ、おはよう……」
 「元気ないようだけど、どうしたの?」
 「その……ごめんなさい!俺のせいでアイツを失う羽目になってしまった!本当にごめんなさい!」
 「ケイン君……ううん、ケイン君だけのせいじゃないよ。最後まで止めなかった私も悪いんだよ」
 「そうですよ。貴方だけのせいじゃありません。私も反対しませんでした」
 「うん、僕もそうだよ……」
 「それでも俺が十一階層に行こうなんて言わなければあんな事には――」
 「ねぇ、ケイン君。私、諦めてないよ。リゼにね、私が気を失っていた時に救助隊の人が話してた事を聞いたの。だから、もしかしたら……ううん、絶対にアル君は生きてるって信じたい。だから、もっと強くなってこの目で確かめるまでは絶対に諦めたくないの」
 「それは……」
確かに救助隊の人達は、あの魔物の死骸があったと言っていた。それを聞けば生きているかもしれないと思うのは当然だ。しかし、捕食された後に討伐されたとも考えられる。だからあまりにも望みの薄い話だと思った。
しかし彼女の瞳からは、決意が満ち溢れているように見えた。
 「そうか……なら俺も協力させてくれ」
 「僕も協力するよ」
彼女に再び笑顔が戻るなら俺は、協力を惜しまない。きっとそれが俺にとって彼女に対する、最大の償いになると信じて。
 「みんな……ありがとう!」
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