【連載版】断罪の不死者〜転生した俺は最愛との約束を果たす為旅をする〜
悪魔 召喚
翌日。
時刻は9時30分をまわり、学園では恐らく朝のホームルームが終わり、一時間目の授業が始まってるであろう頃、俺は未だに寮の自室にいた。
勿論これには理由がある。――それは、右手の甲にある謎の紋様の事だ。
名前が無いと不憫な気がしたから、取り敢えずその紋様の事を《悪魔紋》と名付けるようにした。
その《悪魔紋》について俺は、昨日の授業を受けて、気になる事が出来た。
《天使紋》には、神の使いである《天使》を召喚出来る機能がある。
この話を聞いた時俺はある事を思い出した。
それは王都に向かう前日に見た夢での出来事で、男が加護をくれるとか言っていた事。
もしかしたらこの《悪魔紋》がそうなんじゃないかと思い、加護ならば、《悪魔紋》にも似たような事が出来るのではないかと思い、今日はそれを試すために休んだのだ。
  (取り敢えず、昨日教わった通りにやってみるか)
手を前に手を前に出して召喚の詠唱を唱え始める。
  「《告げる/我が命に従いし聖なる者よ/其の身を持って我が剣となり盾となりて/我が前に現れよ》!」
しかし何も起きず、残されたのは、手を前に出して固まっている俺。きっと側から見れば、変人と思われたに違いない。ここに誰もいない事を喜ぶべきだろうか……。
  「……」
俺はどうすればいいのかと《悪魔紋》を見つめる。
他の物を視界から全てシャットアウトしてひたすら見つめる。
それと同時に何かないかと思考を張り巡らせる。
すると集中し過ぎたせいか、窓越しに聞こえる朝を呼ぶ鳥の鳴き声も、楽しそうに都内を走り回る子供達の声も聞こえなくなり、まるで何も無い世界にぽつんと一人だけ取り残された感覚になる。
そして見つめることおよそ十分。
  「……これかも……」
俺はこれが正解ではないかと思う解を導き出す事ができた。
《天使紋》の様な白い羽ではなくその正反対である黒い羽。
神々しさは一切感じず、それとは正反対の禍々しさを感じる。
《天使紋》が聖なる存在ならば《悪魔紋》はその正反対、邪悪なる存在だ。
ならば召喚する際の詠唱も正反対の言葉で詠唱すれば良いのでは?
そう思い俺は、再び手を前に出して先程とは異なった詠唱を唱え始める。
  「《告げる/我が名に従いし邪悪なる者よ/その身を持って我が剣となり盾となりて/我が前に現れよ》!」
すると――
  「うおっ!何だ!?」
手の甲にある《悪魔紋》が赤黒く光り始めたと思えば、床に魔法陣が浮かび上がり、真紅の稲妻がビリビリと魔法陣の中を駆け回りはじめた。
その稲妻は、一秒一秒と時間が経つごとに勢いを増していきやがて――。
  「――っ!?」
爆発したかの様に魔方陣から放たれた光が部屋を一瞬で覆い尽くした。
そして徐々に光が弱まり、視界が開けると魔法陣があった場所には黒い羽の生えた一人の少女が浮かんでいた。
身長約140センチ位の小柄な少女。
炎の様な真紅の髪。
背が低いせいなのか、髪の毛は腰あたりにまで届いている。         
そしてその髪は、毛先までクネクネとウェーブが掛かっていて、それがまた燃え盛る炎を連想させる。
子供の様な見た目をしているのにも関わらず、放たれる威圧は圧倒的で、思わずしりごむ。
間違いなく今の俺より強いだろう。
そんな彼女は、閉じていた瞳を開き、じっと俺の事を見つめ始める。
髪と同じ色をしている真紅の瞳には、驚愕して口が開いたままの俺が映っている。
まるで心の奥底まで見透かされた様な――
  「おい、お前」
  「っ!?」
うおっ!喋った!いや、口があるから喋れるのは当たり前なんだけど、なんて言うかいきなりでちょっとびっくりしたわ。
  「妾を呼び出したのはお前か?」
  「そ、そうだけど……」
  「そうか……」
そう言って彼女は沈黙する。
そして――
  「妾の名はリリム。《中位悪魔》なのだ!よろしくなのだ!」
  「……は?」
  「妾が名乗ったのだから次は主が名乗る番なのだ」
  「あ、あぁ」
まるで先程までの威圧が嘘だったかのように、天真爛漫な子供の様に話す彼女に呆然する。
  「俺はアルスだ……って主?」
  「そうだお主は妾の主なのだ!」 
  「なんで?」
  「召喚者は妾より立場が上だからな。例え妾より弱くてもそれは変わらないのだ。だからお主は妾の主なのだ!」
  「はぁ、まぁいいけど、……子供に弱いなんて言われるなんて」
  「子供では無いぞ!妾は立派な大人の女性なのだ!」
そう言って彼女は腰に手を当て無い胸を張る。なんて悲しいことかな……。
  「むっ、何だその哀れむ様な目は!馬鹿にしてるのか!?」
  「いや、馬鹿になんかしてないよ。唯、ちょっと可愛いなと思っただけだよ」
  「ん?それは本当に本当か?」
  「あぁ、本当だとも」
  「そうか……まぁ、当然なのだ!」
ちょろいな……。
それから彼女と色々な話をした。
そしていくつか分かった事がある。
まず彼女達《天使》や《悪魔》は、魔術をあまり使わないらしい。
というのも、魔術というのは、人種が生み出したもので、《天使》や《悪魔》も習えば扱えるようになるらしいが、どうやら人種と比べると、同じ階級の魔術だとしても魔力の消費量が多いらしい。
では、どうやって戦うのかというと、彼女達は、人種と比べて技能が優れているらしく、彼女達にしか使えない又は取得出来ない技能があるらしい。
更に霊体化中は、念話というので会話が出来るらしく、試しにやってみたら、脳内に直接声が聞こえてなんかむず痒く感じたが、まぁその内慣れるだろう。
最後に俺は彼女のステータスが気になり、首に掛けているステータスプレートを彼女に渡し、魔力を注いで貰い、ステータスを確認する。
================================================
リリム   (中位悪魔)  Lv10
 【体力】  1100
 【魔力】  520
 【技能】  《血液操作》  《物理耐性》
================================================
《血液操作》は、読んだ字の如く、自分の血を操る事ができるらしい。恐らくこれが彼女だけが使える【技能】なのかもしれない。
《物理耐性》は、打撃などの物理攻撃に対してのダメージを軽減出来る【技能】で例えば、10の攻撃を8に抑える事ができる。
  「はぁ〜」
改めて、この子供の様な見た目をしている彼女より弱いという事実に思わず溜息をつく。
  「どうしたのだ?」
  「いや、ただ、これから頑張ろうって思っただけだよ」
  「?そうか……では、改めてよろしくなのだ!」
そう言って無邪気に笑う彼女に思わず頰が緩む。
もし、俺に妹がいたらこんな感じなのだろうか。
  「あぁ、宜しくな!」
時刻は9時30分をまわり、学園では恐らく朝のホームルームが終わり、一時間目の授業が始まってるであろう頃、俺は未だに寮の自室にいた。
勿論これには理由がある。――それは、右手の甲にある謎の紋様の事だ。
名前が無いと不憫な気がしたから、取り敢えずその紋様の事を《悪魔紋》と名付けるようにした。
その《悪魔紋》について俺は、昨日の授業を受けて、気になる事が出来た。
《天使紋》には、神の使いである《天使》を召喚出来る機能がある。
この話を聞いた時俺はある事を思い出した。
それは王都に向かう前日に見た夢での出来事で、男が加護をくれるとか言っていた事。
もしかしたらこの《悪魔紋》がそうなんじゃないかと思い、加護ならば、《悪魔紋》にも似たような事が出来るのではないかと思い、今日はそれを試すために休んだのだ。
  (取り敢えず、昨日教わった通りにやってみるか)
手を前に手を前に出して召喚の詠唱を唱え始める。
  「《告げる/我が命に従いし聖なる者よ/其の身を持って我が剣となり盾となりて/我が前に現れよ》!」
しかし何も起きず、残されたのは、手を前に出して固まっている俺。きっと側から見れば、変人と思われたに違いない。ここに誰もいない事を喜ぶべきだろうか……。
  「……」
俺はどうすればいいのかと《悪魔紋》を見つめる。
他の物を視界から全てシャットアウトしてひたすら見つめる。
それと同時に何かないかと思考を張り巡らせる。
すると集中し過ぎたせいか、窓越しに聞こえる朝を呼ぶ鳥の鳴き声も、楽しそうに都内を走り回る子供達の声も聞こえなくなり、まるで何も無い世界にぽつんと一人だけ取り残された感覚になる。
そして見つめることおよそ十分。
  「……これかも……」
俺はこれが正解ではないかと思う解を導き出す事ができた。
《天使紋》の様な白い羽ではなくその正反対である黒い羽。
神々しさは一切感じず、それとは正反対の禍々しさを感じる。
《天使紋》が聖なる存在ならば《悪魔紋》はその正反対、邪悪なる存在だ。
ならば召喚する際の詠唱も正反対の言葉で詠唱すれば良いのでは?
そう思い俺は、再び手を前に出して先程とは異なった詠唱を唱え始める。
  「《告げる/我が名に従いし邪悪なる者よ/その身を持って我が剣となり盾となりて/我が前に現れよ》!」
すると――
  「うおっ!何だ!?」
手の甲にある《悪魔紋》が赤黒く光り始めたと思えば、床に魔法陣が浮かび上がり、真紅の稲妻がビリビリと魔法陣の中を駆け回りはじめた。
その稲妻は、一秒一秒と時間が経つごとに勢いを増していきやがて――。
  「――っ!?」
爆発したかの様に魔方陣から放たれた光が部屋を一瞬で覆い尽くした。
そして徐々に光が弱まり、視界が開けると魔法陣があった場所には黒い羽の生えた一人の少女が浮かんでいた。
身長約140センチ位の小柄な少女。
炎の様な真紅の髪。
背が低いせいなのか、髪の毛は腰あたりにまで届いている。         
そしてその髪は、毛先までクネクネとウェーブが掛かっていて、それがまた燃え盛る炎を連想させる。
子供の様な見た目をしているのにも関わらず、放たれる威圧は圧倒的で、思わずしりごむ。
間違いなく今の俺より強いだろう。
そんな彼女は、閉じていた瞳を開き、じっと俺の事を見つめ始める。
髪と同じ色をしている真紅の瞳には、驚愕して口が開いたままの俺が映っている。
まるで心の奥底まで見透かされた様な――
  「おい、お前」
  「っ!?」
うおっ!喋った!いや、口があるから喋れるのは当たり前なんだけど、なんて言うかいきなりでちょっとびっくりしたわ。
  「妾を呼び出したのはお前か?」
  「そ、そうだけど……」
  「そうか……」
そう言って彼女は沈黙する。
そして――
  「妾の名はリリム。《中位悪魔》なのだ!よろしくなのだ!」
  「……は?」
  「妾が名乗ったのだから次は主が名乗る番なのだ」
  「あ、あぁ」
まるで先程までの威圧が嘘だったかのように、天真爛漫な子供の様に話す彼女に呆然する。
  「俺はアルスだ……って主?」
  「そうだお主は妾の主なのだ!」 
  「なんで?」
  「召喚者は妾より立場が上だからな。例え妾より弱くてもそれは変わらないのだ。だからお主は妾の主なのだ!」
  「はぁ、まぁいいけど、……子供に弱いなんて言われるなんて」
  「子供では無いぞ!妾は立派な大人の女性なのだ!」
そう言って彼女は腰に手を当て無い胸を張る。なんて悲しいことかな……。
  「むっ、何だその哀れむ様な目は!馬鹿にしてるのか!?」
  「いや、馬鹿になんかしてないよ。唯、ちょっと可愛いなと思っただけだよ」
  「ん?それは本当に本当か?」
  「あぁ、本当だとも」
  「そうか……まぁ、当然なのだ!」
ちょろいな……。
それから彼女と色々な話をした。
そしていくつか分かった事がある。
まず彼女達《天使》や《悪魔》は、魔術をあまり使わないらしい。
というのも、魔術というのは、人種が生み出したもので、《天使》や《悪魔》も習えば扱えるようになるらしいが、どうやら人種と比べると、同じ階級の魔術だとしても魔力の消費量が多いらしい。
では、どうやって戦うのかというと、彼女達は、人種と比べて技能が優れているらしく、彼女達にしか使えない又は取得出来ない技能があるらしい。
更に霊体化中は、念話というので会話が出来るらしく、試しにやってみたら、脳内に直接声が聞こえてなんかむず痒く感じたが、まぁその内慣れるだろう。
最後に俺は彼女のステータスが気になり、首に掛けているステータスプレートを彼女に渡し、魔力を注いで貰い、ステータスを確認する。
================================================
リリム   (中位悪魔)  Lv10
 【体力】  1100
 【魔力】  520
 【技能】  《血液操作》  《物理耐性》
================================================
《血液操作》は、読んだ字の如く、自分の血を操る事ができるらしい。恐らくこれが彼女だけが使える【技能】なのかもしれない。
《物理耐性》は、打撃などの物理攻撃に対してのダメージを軽減出来る【技能】で例えば、10の攻撃を8に抑える事ができる。
  「はぁ〜」
改めて、この子供の様な見た目をしている彼女より弱いという事実に思わず溜息をつく。
  「どうしたのだ?」
  「いや、ただ、これから頑張ろうって思っただけだよ」
  「?そうか……では、改めてよろしくなのだ!」
そう言って無邪気に笑う彼女に思わず頰が緩む。
もし、俺に妹がいたらこんな感じなのだろうか。
  「あぁ、宜しくな!」
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