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【連載版】断罪の不死者〜転生した俺は最愛との約束を果たす為旅をする〜

ノベルバユーザー519900

王都へ②

    着替えるということもあり、エリナには外で待ってもらい、俺は急ぎ王都へ行く準備をする。






 ♢♢♢♢♢




   準備を終えて自室を出てリビングへ向かうと其処には銀髪ロングの女性――俺の母親のリーザが家事をしていた。


   彼女は背中を俺の方に向けていたから俺に気づくことなく家事に集中していた。ここからだと顔は見えないが、忙しそうにしている手だけは俺の視界の中に入ってくる。――彼女の左手の甲には天使の羽の様な紋様が刻まれて居る。――そう、これこそが女神の加護――天使紋である。


   十五歳になり成人を迎えたアルカナ王国民は、年の始まりに王都の教会で『祝福の儀』により女神ディーティアから加護を授かる事が出来る。――その証として左右どちらかの手に天使紋が出現する。


   しかし極稀に加護を授かる事が出来ない者も居る。――そう言った者は、『紋無し』と呼ばれ、一部のプライドの高い人達からは不当な扱いを受けたり下に見られる事がある。


   「……あら、アルスやっと起きたのね。おはよう」


   母さんは俺の視線に気付いたらしく呆れた表情で声を掛けてきた。


   「お、おはよう母さん……父さんは?」
   「あの人なら今街の警備に廻ってるんじゃないかしら?」
   「あぁ〜なるほどね」


   俺の父親、ザックは元冒険者でどうやら其れなりの実力があったらしく今はその実力を買われ、街で衛兵として警備に廻ってる。――因みに父さんと母さんはめちゃくちゃラブラブである。――普段から俺が居るのにも関わらず「……あなた♡」「リーザ……♡」なんて呼びあいながらイチャイチャし始めたりして、気付けば俺完全空気の桃色空間が出来てるし。――別に羨ましいなんて思ってないし!?俺にもあんな関係になれる彼女が欲しいなんて――全く!決して!これっぽっちも!欲しいとか思ってないし!?――だからそんな哀れむような眼で見ないでくれよ……母さん――


   「……」
   「な、なにか……?」
   「……はぁ〜……アンタ、もう成人なんだから一人で起きられるようになりなさいよ。何時もエリナちゃんに面倒ばかりかけて、お母さん心配だわ」
   「す、すみません……」


   ……なんだろうこの居たたまれない気持ちは――ていうかエリナの事に関しては母さんが頼んだんだよね?俺、別に悪くないよね?――まぁ、こんな事言ったら怒られるのは俺だから言わないけど……母さん怒ると怖いし。


   「……そう言えばアンタ今日は儀式が終わったら一度帰って来るんだったわよね?」
   「え?……あ、あぁそうだよ帰る帰る。俺は別に儀式が終わった後、学園の寮に手続きしてそのまま入寮しても良かったんだけど、エリナが帰って両親に儀式の結果を報告したいって言ったから一度帰る事になったんだよ」


   アルカナ王立学園――王都に在る三年制の学校で、魔術や剣術などを学ぶ所で卒業後の進路先は王国の騎士団や自分の住んでいる街の衛兵になる事が主である。俺とエリナもまたその例に漏れず将来は騎士団になる事を目指して学園に入学する予定で、入試試験は加護を授かる前の実力を試す為に『祝福の儀』から一ヶ月前に行うのが学園の方針で、俺とエリナも一ヶ月前に試験を受けて合格しており、その時に入学の手続きもすませていた。そして今日は儀式が終わったら寮に手続きをしてそのまま入寮する予定だったのだが、エリナの要望で一度帰る事になったのだ。


   「へぇ〜、エリナちゃんは家族想いのいい子ねぇ〜……それに比べてアンタは親に対して冷たいわね」
   「うっ……だ、だから俺も一緒に帰って来るから別にいいだろ!……それよりエリナを待たしちゃってるからもう行くよ」
   「え?……あ、あぁそうね。いってらしゃい、気をつけてね……」
   「うん、行ってきます」




   ♢♢♢♢♢


 外へ出るとエリナが玄関先のベンチで腰掛けていた。


   「ごめん。待たせた」
   「ううん、大丈夫だよ!」


  そう言って彼女は首を横に振り、俺に微笑みかけてくれた。その笑顔は何時ものニカッとした元気な笑顔とは違い、どこか大人の魅力を感じるような笑顔で思わずドキッ!としてしまった。……てか今の恋人同士の会話みたいじゃなかった?……いや、違うな。なんか立場が違っている気がする……。
  
  「……よし!じゃあ行こ?早くしないと馬車が出発しちゃうよ!」
   「あぁ……ってオイ!なんで手握るんだよ!ちょ、引っ張んなって!!速い速い!転ける!転けるからぁぁぁあ!!」


 ベンチから立ち上がった彼女は俺の手を握り、馬車が待機している場所へ向かって走り出した。一瞬その時に見えた彼女の顔は、夕陽のように紅く染まっていた……気がする。

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