一人暮らし
第4話 味覚
それから、また月日が経ち、
3月のある朝。
寒さも身を潜め、土からはぽかぽかとした暖かい空気が沸き上がっているようだ。
キッチンからいい香りが漂ってくる。
るんがスクランブルエッグにベーコン、サラダを作っている。充実な1日が始まりそうなモーニングセットだ。
最後に胡椒を小さじ…じゃなくて、それじゃ薄いから大さじだ。サラダにはフレンチドレッシングをたっぷりかける。
一通り食べ終わり、急かされるように着替え始めた。
両親の元へ3日間帰省する。早くしないと新幹線の時間に遅れてしまう。
急いでブラトップを脱ぎ、ブラジャーを着ける。
肩紐を肩にかけたとき、違和感を感じた。少し肩元がいつもより食い込んでいる気がする。
(また、大きくなったかな…。)
両手で自分の胸を触ってみる。
もう少し小さければ可愛い服が入るのにな〜と思いつつも、
(気のせいかな。はやとくんは大きい方がいいって言ってくれるし!)
大差ないと思った私はそのまま着替え、新幹線に乗り実家へ戻った。
日本全体が暖冬と今年は言われており、青森県に着いてもそこまでの寒さは感じず、新しい季節の幕開けを予感させるような雪解けのある景色だった。
「まま、ただいま〜!!」
「るん!おかえりなさい。久しぶりね〜!元気にしてた?」
「うん。元気にしてたよ♪」
「昼ご飯できてるから、一緒に食べましょう。」
そう言われて、荷物をある程度片付け、ダイニングテーブルにつきサンドウィッチを頬張る。
(あれ。なんか。。)
と思ったとき、
「るん。少し成績落ちてきたんじゃないの?前期よりA+の数が減っているわ。」
「ごめんなさい。」
「少し気を引き締めて2年生は頑張りなさいね。」
「わかったわ、ママ。」
春学期こそいい成績を残すことができたが、秋学期ははじめてのアルバイトやはやとくんとのデートなどで勉強に身が入っていなかった。母の言うとおり、弁護士になるためにはもっと努力しなくてはいけない。
父も帰ってきて、夜ご飯の時間になった。
魚を主食に、ほうれん草のソテー、味噌汁に玄米。
見慣れた食事の風景だが、なんだか今こうして見てみると殺風景に感じてしまう。
口に食事を運ぶ。
(なんだろう。この違和感。。)
昼食と同じ感覚に襲われた。
食べている感じがしなかった。
食べている感じ…?
「もうちょっと、味付けできないのか?これ。」
「何言ってんのよ、あなた。痩せるって言ってたじゃない?我慢しなさい。ちゃんと健康的に作ってるんだから。」
(味付け…?そうか。味気が全然ないんだ。)
でも…父と同意見になるなんて。。
この食事が普通なのか?
いや自分が最近取っていた食事が普通なのか?
1つ言えるのは、味気がなく物足りないということだ。
るんの舌は、コンビニのお弁当などの濃厚な味を摂取する機会が増えたことで、趣向が変わり、それと同時に自炊する料理の味も変わってしまったのである。やがて、それが普通に変わっていて、久しぶりに味気のない食事をとったるんの体は猛烈に糖分や塩分を欲しがっていた。
3日間の帰省が終わり、再び新幹線で東京に戻る。
駅のホームに降り立つと、売店があるのが見えた。
自然に体が引き寄せられ、売店の前に立つとキャラメル味と塩味のポップコーンがある。
(はやとくんと食べたとき、美味しかったな。)
手に取り、気づいた時にはもう購入していた。
新幹線に乗り、ポップコーンを開ける。
キャラメル味と塩味が充満する。手でポップコーンを鷲掴みし、口に運ぶ。
(そうそう。これこれ♪)
3日間、薄味の料理を食べていたことで、食欲が満たされていなかったからか、2袋あったのに思いのほかすぐ食べ終わった。
3月のある朝。
寒さも身を潜め、土からはぽかぽかとした暖かい空気が沸き上がっているようだ。
キッチンからいい香りが漂ってくる。
るんがスクランブルエッグにベーコン、サラダを作っている。充実な1日が始まりそうなモーニングセットだ。
最後に胡椒を小さじ…じゃなくて、それじゃ薄いから大さじだ。サラダにはフレンチドレッシングをたっぷりかける。
一通り食べ終わり、急かされるように着替え始めた。
両親の元へ3日間帰省する。早くしないと新幹線の時間に遅れてしまう。
急いでブラトップを脱ぎ、ブラジャーを着ける。
肩紐を肩にかけたとき、違和感を感じた。少し肩元がいつもより食い込んでいる気がする。
(また、大きくなったかな…。)
両手で自分の胸を触ってみる。
もう少し小さければ可愛い服が入るのにな〜と思いつつも、
(気のせいかな。はやとくんは大きい方がいいって言ってくれるし!)
大差ないと思った私はそのまま着替え、新幹線に乗り実家へ戻った。
日本全体が暖冬と今年は言われており、青森県に着いてもそこまでの寒さは感じず、新しい季節の幕開けを予感させるような雪解けのある景色だった。
「まま、ただいま〜!!」
「るん!おかえりなさい。久しぶりね〜!元気にしてた?」
「うん。元気にしてたよ♪」
「昼ご飯できてるから、一緒に食べましょう。」
そう言われて、荷物をある程度片付け、ダイニングテーブルにつきサンドウィッチを頬張る。
(あれ。なんか。。)
と思ったとき、
「るん。少し成績落ちてきたんじゃないの?前期よりA+の数が減っているわ。」
「ごめんなさい。」
「少し気を引き締めて2年生は頑張りなさいね。」
「わかったわ、ママ。」
春学期こそいい成績を残すことができたが、秋学期ははじめてのアルバイトやはやとくんとのデートなどで勉強に身が入っていなかった。母の言うとおり、弁護士になるためにはもっと努力しなくてはいけない。
父も帰ってきて、夜ご飯の時間になった。
魚を主食に、ほうれん草のソテー、味噌汁に玄米。
見慣れた食事の風景だが、なんだか今こうして見てみると殺風景に感じてしまう。
口に食事を運ぶ。
(なんだろう。この違和感。。)
昼食と同じ感覚に襲われた。
食べている感じがしなかった。
食べている感じ…?
「もうちょっと、味付けできないのか?これ。」
「何言ってんのよ、あなた。痩せるって言ってたじゃない?我慢しなさい。ちゃんと健康的に作ってるんだから。」
(味付け…?そうか。味気が全然ないんだ。)
でも…父と同意見になるなんて。。
この食事が普通なのか?
いや自分が最近取っていた食事が普通なのか?
1つ言えるのは、味気がなく物足りないということだ。
るんの舌は、コンビニのお弁当などの濃厚な味を摂取する機会が増えたことで、趣向が変わり、それと同時に自炊する料理の味も変わってしまったのである。やがて、それが普通に変わっていて、久しぶりに味気のない食事をとったるんの体は猛烈に糖分や塩分を欲しがっていた。
3日間の帰省が終わり、再び新幹線で東京に戻る。
駅のホームに降り立つと、売店があるのが見えた。
自然に体が引き寄せられ、売店の前に立つとキャラメル味と塩味のポップコーンがある。
(はやとくんと食べたとき、美味しかったな。)
手に取り、気づいた時にはもう購入していた。
新幹線に乗り、ポップコーンを開ける。
キャラメル味と塩味が充満する。手でポップコーンを鷲掴みし、口に運ぶ。
(そうそう。これこれ♪)
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