外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
32.教主スカルド・フラムナス
アマーリアたちは殺到する暴徒を右に左に舞うようにかわしながら次々に無力化していた。
「私も手伝おう」
エリオン王子が呪文を唱えると暴徒たちがクタクタと倒れた。
そのまま高いびきをかいて眠り込んでいる。
この人も何気に強キャラだよな。
一体どれだけの魔法を使えるんだ?
「ここが片付いたら町の暴動も何とかしないとね。テツヤ、君は早く行くんだ」
「済まない、恩に着る!」
俺は床石を引きはがして宙に浮かべた。
「ヘルマ、こいつで飛んでいくぞ!」
「うむ!」
ヘルマが飛び乗ってきた、がその腕にはゼファーを抱えている。
「ゼファー?なんで一緒に連れて行くんだ?危ないだろ!」
「私の手の届く場所以上に陛下が安全な場所などない」
「そんなこと言っても…」
俺の脳裏に昨晩のヘルマの言葉がよぎる。
「構わぬ。おそらく今日この日が教団との因縁にケリをつける日になるだろう。ならば余が立ち会うべきだろう」
ゼファーは泰然と床石に座り込んでいる。
「…わかったよ。どうなっても知らねえからな!じゃあみんあ、あとは任せた!」
「任せろ!テツヤ、あとでゆっくり話を聞かせてもらうからな!」
「絶対に生きて帰ってくるのだぞ!」
「こっちは任せて」
「ご主人様頑張ってね!」
みんなの声援を背に俺たちは山に向かって飛び出した。
「燼滅教団の本部はここからさほど遠くない場所にある」
ヘルマの道案内を頼りに俺たちはひたすら山の中へ入っていった。
ほとんど木々の生えない荒れ果てた谷を抜け、更に奥へ奥へと入っていく。
「あそこだ!」
ヘルマの指差した先には岸壁に作られた巨大な神殿跡があった。
荒れ果て、半ば崩れ落ちている。
「あれがかつての燼滅教団の本部だ」
飛んでいくと入り口に立つ人影が見えた。
先ほどエイラを攫った男だ!
「奴は死を撒く四教徒の一人、灼熱のアグリッパだ!」
アグリッパの姿が陽炎で歪んで見える。
「そうかよ!」
俺は飛びながらアグリッパが立つ神殿の入り口を破壊した。
巨大な瓦礫がアグリッパの上に降り注ぐ。
「悪いけど相手にしてる暇はねえんだ!」
俺たちは瓦礫の下敷きになったアグリッパをそのままに神殿の中に突入していった。
「どこに行くのか分かっているのか?」
「ああ!さっきエイラに俺が作った水晶を付けておいた!これだけ近づいたら大体の位置は把握できる!」
俺は床石に乗ったまま神殿の壁を抜いて直進していった。
アグリッパに攫われる前にエイラの服に忍ばせていた水晶がどこにいるのかを教えてくれる。
「油断のならん奴だな」
ゼファーが呆れたように息をついた。
神殿の遥か奥に水晶の反応がある。
「あそこだ!」
俺はひときわ大きな扉をぶち抜いて中に入っていった。
そこは広大な広間になっていた。
部屋の真ん中に魔法陣が描かれ、その中心にエイラが横たわっている。
ローブをまとった燼滅教団の魔導士がその周囲を囲み、一心不乱に詠唱を行っていた。
そしてその列の中心に他の者とは明らかに違うローブを身につけた人物がいた。
髭を蓄えた禿頭の男で頭に魔石を付けた黄金のリングを嵌めている。
あれが教主スカルドだ。
本能的にそう悟った。
「おらあっ!!!」
俺は飛んできた勢いに任せてスカルドに床石を叩きつけた。
「ぬおっ!?」
俺たちの侵入に気付いたスカルドは悲鳴を上げながらすんでのところでそれをかわした。
俺は着地の勢いで地面を滑りながら魔法陣の中にいるエイラを掬い上げる。
「く、貴様らどうやってここに?アグリッパはどうしたのだ?」
「あいつなら入り口で寝てるよ。瓦礫を布団代わりにしてな」
「なにいっ!…ク、あの役立たずめが!」
スカルドは怒りと驚愕で目を剥いた。
「ん…、ここは…?テツヤさん?」
腕の中でエイラが目を覚ました。
「助けに来たぞ、もう大丈夫だ」
「テツヤさん…!」
エイラが目に涙を溜めて抱きついてきた。
「ク、クソ、この異教徒どもをウルカン様の炎で浄化するのだ!」
スカルドの号令と共に周りにいた魔導士が一斉に詠唱を開始…することなく血を噴き出して倒れた。
「無駄だ。貴様の手勢はもういない」
ヘルマが剣についた血を払いながら言い放った。
「十三年前の残渣をここで片づけさせてもらう」
「き、貴様…まさか…クロエリアか…?十数年前に我が信徒を鏖殺した…」
「その名は捨てた。今の私は帝王陛下直轄部隊長ヘルマ・バハルだ」
ヘルマはそう言って剣を構えた。
「貴様は殺さぬ。生きて陛下の裁きを受けるのだ」
スカルドはヘルマの圧に押されてじりじりと後退していく。
しかしその顔には不気味な余裕があった。
「フ、フフフ…よもや貴様が生きていたとは、なんという僥倖」
スカルドが首のネックレスを引きちぎって前にかざした。
「呼応せよ!魂縛陣!」
その言葉にヘルマの身体がのけぞった。
スカルドの身体に浮かんだ紋様に呼応するようにヘルマの身体に紋様が浮かんでいく。
「てめえ、何をしやがる!」
掴みかかろうとする俺の喉元にヘルマの剣があてられた。
「ヘ、ヘルマ…?」
「フハハハハハ!その女の魂はこの儂の魂と結びついた!もはや貴様の声は届かん!」
スカルドが大きく哄笑した。
「まさか十三年前に施した術式が今になって役に立つとはな!念を入れておいた甲斐があるというものよ!」
やっぱりヘルマの言った通り何かを仕込んでやがったのか!
「てめえ、ヘルマをどうする気だ!」
「どうもせんよ。ただ儂の元に戻ってもらうだけだ。忠実な戦士としてな」
ヘルマが剣を構えた。
その切っ先はこちらに向いていた
「私も手伝おう」
エリオン王子が呪文を唱えると暴徒たちがクタクタと倒れた。
そのまま高いびきをかいて眠り込んでいる。
この人も何気に強キャラだよな。
一体どれだけの魔法を使えるんだ?
「ここが片付いたら町の暴動も何とかしないとね。テツヤ、君は早く行くんだ」
「済まない、恩に着る!」
俺は床石を引きはがして宙に浮かべた。
「ヘルマ、こいつで飛んでいくぞ!」
「うむ!」
ヘルマが飛び乗ってきた、がその腕にはゼファーを抱えている。
「ゼファー?なんで一緒に連れて行くんだ?危ないだろ!」
「私の手の届く場所以上に陛下が安全な場所などない」
「そんなこと言っても…」
俺の脳裏に昨晩のヘルマの言葉がよぎる。
「構わぬ。おそらく今日この日が教団との因縁にケリをつける日になるだろう。ならば余が立ち会うべきだろう」
ゼファーは泰然と床石に座り込んでいる。
「…わかったよ。どうなっても知らねえからな!じゃあみんあ、あとは任せた!」
「任せろ!テツヤ、あとでゆっくり話を聞かせてもらうからな!」
「絶対に生きて帰ってくるのだぞ!」
「こっちは任せて」
「ご主人様頑張ってね!」
みんなの声援を背に俺たちは山に向かって飛び出した。
「燼滅教団の本部はここからさほど遠くない場所にある」
ヘルマの道案内を頼りに俺たちはひたすら山の中へ入っていった。
ほとんど木々の生えない荒れ果てた谷を抜け、更に奥へ奥へと入っていく。
「あそこだ!」
ヘルマの指差した先には岸壁に作られた巨大な神殿跡があった。
荒れ果て、半ば崩れ落ちている。
「あれがかつての燼滅教団の本部だ」
飛んでいくと入り口に立つ人影が見えた。
先ほどエイラを攫った男だ!
「奴は死を撒く四教徒の一人、灼熱のアグリッパだ!」
アグリッパの姿が陽炎で歪んで見える。
「そうかよ!」
俺は飛びながらアグリッパが立つ神殿の入り口を破壊した。
巨大な瓦礫がアグリッパの上に降り注ぐ。
「悪いけど相手にしてる暇はねえんだ!」
俺たちは瓦礫の下敷きになったアグリッパをそのままに神殿の中に突入していった。
「どこに行くのか分かっているのか?」
「ああ!さっきエイラに俺が作った水晶を付けておいた!これだけ近づいたら大体の位置は把握できる!」
俺は床石に乗ったまま神殿の壁を抜いて直進していった。
アグリッパに攫われる前にエイラの服に忍ばせていた水晶がどこにいるのかを教えてくれる。
「油断のならん奴だな」
ゼファーが呆れたように息をついた。
神殿の遥か奥に水晶の反応がある。
「あそこだ!」
俺はひときわ大きな扉をぶち抜いて中に入っていった。
そこは広大な広間になっていた。
部屋の真ん中に魔法陣が描かれ、その中心にエイラが横たわっている。
ローブをまとった燼滅教団の魔導士がその周囲を囲み、一心不乱に詠唱を行っていた。
そしてその列の中心に他の者とは明らかに違うローブを身につけた人物がいた。
髭を蓄えた禿頭の男で頭に魔石を付けた黄金のリングを嵌めている。
あれが教主スカルドだ。
本能的にそう悟った。
「おらあっ!!!」
俺は飛んできた勢いに任せてスカルドに床石を叩きつけた。
「ぬおっ!?」
俺たちの侵入に気付いたスカルドは悲鳴を上げながらすんでのところでそれをかわした。
俺は着地の勢いで地面を滑りながら魔法陣の中にいるエイラを掬い上げる。
「く、貴様らどうやってここに?アグリッパはどうしたのだ?」
「あいつなら入り口で寝てるよ。瓦礫を布団代わりにしてな」
「なにいっ!…ク、あの役立たずめが!」
スカルドは怒りと驚愕で目を剥いた。
「ん…、ここは…?テツヤさん?」
腕の中でエイラが目を覚ました。
「助けに来たぞ、もう大丈夫だ」
「テツヤさん…!」
エイラが目に涙を溜めて抱きついてきた。
「ク、クソ、この異教徒どもをウルカン様の炎で浄化するのだ!」
スカルドの号令と共に周りにいた魔導士が一斉に詠唱を開始…することなく血を噴き出して倒れた。
「無駄だ。貴様の手勢はもういない」
ヘルマが剣についた血を払いながら言い放った。
「十三年前の残渣をここで片づけさせてもらう」
「き、貴様…まさか…クロエリアか…?十数年前に我が信徒を鏖殺した…」
「その名は捨てた。今の私は帝王陛下直轄部隊長ヘルマ・バハルだ」
ヘルマはそう言って剣を構えた。
「貴様は殺さぬ。生きて陛下の裁きを受けるのだ」
スカルドはヘルマの圧に押されてじりじりと後退していく。
しかしその顔には不気味な余裕があった。
「フ、フフフ…よもや貴様が生きていたとは、なんという僥倖」
スカルドが首のネックレスを引きちぎって前にかざした。
「呼応せよ!魂縛陣!」
その言葉にヘルマの身体がのけぞった。
スカルドの身体に浮かんだ紋様に呼応するようにヘルマの身体に紋様が浮かんでいく。
「てめえ、何をしやがる!」
掴みかかろうとする俺の喉元にヘルマの剣があてられた。
「ヘ、ヘルマ…?」
「フハハハハハ!その女の魂はこの儂の魂と結びついた!もはや貴様の声は届かん!」
スカルドが大きく哄笑した。
「まさか十三年前に施した術式が今になって役に立つとはな!念を入れておいた甲斐があるというものよ!」
やっぱりヘルマの言った通り何かを仕込んでやがったのか!
「てめえ、ヘルマをどうする気だ!」
「どうもせんよ。ただ儂の元に戻ってもらうだけだ。忠実な戦士としてな」
ヘルマが剣を構えた。
その切っ先はこちらに向いていた
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