外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
20.ウルカンシアでの再会
「まいったな。警備がやけに厳重になってるぞ」
「ここは火神教が支配している町だ。我々が来ることを予測していてもおかしくはあるまい」
ウルカンシアは城壁こそはないものの町に至る全ての道に警備が敷かれ、周囲には巡回兵までいるという有様だった。
どう考えても普通の警備じゃない。
「さて、どうしたものかな」
「行かないでガルバジアに戻る、という選択肢は…」
「ない」
ですよね~。
「しょうがない、地下道でも掘って進むか」
「いや、それも駄目だ」
「???なんでだ?」
「我が国は魔法の使用を制限している。そしてそのために都市や村に至るあらゆる場所に魔法探知具が設置してあるのだ。ある程度の規模の魔力を使うとすぐに当局にばれるぞ」
「なんだよそれ…ってじゃあクラドノ村にあのダリアスって奴が来たのも…」
「いや、それはないだろうな。あの宿舎に入った時点で探知具は余が破壊していた。おそらくダリアスは別の探知具で我々の場所を知ったのだろう」
ゼファーが言葉を続けた。
「つまり、魔力を使えば我々を追っている者たちにも位置を知られる可能性が高いということだ」
「クソ、魔力も使えないのか!…しょうがない、なるべく穏便に行きたかったんだけど…」
俺はため息をついて乗っていた馬の尻を盛大に叩いた。
驚いた馬がいななきながら警備兵の方へ突進していく。
「うわっ!なんだ!?」
「暴れ馬だ!みんな気を付けろ!」
警備兵たちが馬に気を取られている隙に町の中へと潜り込む。
「なかなか如才ないではないか」
「この手の経験は豊富なんでね」
俺たちは目立たないように人混みの中へと紛れ込んでいった。
ウルカンシアは土づくりの家が立ち並ぶ中規模の町だ。
火神教の本拠地というだけあって歩いている人たちはみな首元に火神教のネックレスを下げている。
そして町の中も警備兵がひっきりなしに巡回していた。
「参ったな。せっかく町に入ったのにこれじゃすぐに見つかっちゃうぞ」
「とりあえず腹が減った。どこか落ち着ける場所はないか」
「そうは言ってもなあ…この町に詳しい人でもいないと…」
「お兄さん方、町の外から来たんだよね?ちょいと聞きたいことがあるんだけど」
用心しつつ辺りを窺っていると不意に後ろから声が聞こえてきた。
振り向くとそこにはフードを目深に被った男が立っていた。
「この人相の男二人を見かけなかった…って、リューさん?」
「お前、キツネかよ!?なんでここに?」
そこにいたのは以前ベルトラン帝国で知り合った冒険者、キツネだった。
「それはこっちの質問…」
そう言ったキツネが持っていた羊皮紙と俺たちを交互に見比べている。
「あ~っと、ちょいと用事を思い出しました。じゃあこれで」
「ちょっと待て」
踵を返すキツネの喉元を腕で締め付ける。
「そいつを見せてくれないか。ついでになんでここにいるのかも教えてもらおうか。できればもっと静かなところでな」
「わ”、わ”か”り”ま”し”た”。だ…だから腕を緩めてくだざい」
「参ったな。もう手配書が回ってるのかよ」
町の外れの裏通りにある目立たない飯屋で俺たち三人はテーブルを囲んでいた。
周囲の客は酔っ払いばかりで俺たちに注意を払うものもいない。
テーブルの上には香辛料を効かせた串焼肉と平たいパン、肉のスープとエールの他にキツネの持っていた羊皮紙が置かれている。
その羊皮紙に描かれているのはまぎれもなく俺とゼファーだった。
この二人を連れてきた者に金貨五千枚を進呈すると書かれている。
ゼファーの方は生きたまま、俺については生死問わずときたもんだ。
「なんだこれは、全然俺に似てないじゃないか。どの絵師がこれを描いたんだ。しかも俺の価値が金貨五千枚だと!ふざけやがって」
ゼファーが憤慨しているけど怒るのはそこか?
「つーかなんでお前がこれを持ってるんだよ?」
「ちょ、勘弁してくださいよ!俺はあんたたちがターゲットだなんて知らなかったんすよ!しかも…そのうちの一人が…」
キツネがそう言って恐る恐るゼファーを見た。
「なんだ、俺のことを知ってるのか」
ゼファーが面白そうに口を吊り上げた。
「あ、当たり前でさあ!いっぱしの冒険者ならこの国の要人については熟知してますよ。ましてやあなた様は…」
「なんのことだ?俺はただの行商人のゼファーだが?」
ゼファーはしどろもどろのキツネにしらばっくれている。
「それよりもテツヤ、こ奴は主の友人なのか?」
「テツヤ?リューって名前なんじゃ…って、あれ偽名だったのかよ!ひでえなあもう」
「まあそう言うな、こ奴も事情があったのだ。そうだろう?」
「ま、まあ…ねえ。そ、それよりもだ、なんでお前がここにいるんだよ?」
矛先がこっちに向きそうになったので慌てて話題を変えることにした。
「なんでって、ひょっとして火神教に起こってることを知らないんで?」
「それはひょっとして創火派と滅火派の対立のことか?」
ゼファーの言葉にキツネが頷いた。
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