外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
24.ゴルゴーン族の国へ
ハーフリングの子供たちが丸めて遊んでいるというそのオモチャを見て俺は驚いた。
「ゴム?」
アマーリアが不思議そうに聞いてきた。
「ああ、この木の樹液は伸縮自在の素材になるんだ!こいつが対瘴気性を持ってるんだとしたら解決するかもしれないぞ!」
「そうなんですか?成長が早いのと瘴気の浄化作用が高いから沼地の縁に植えておいたんですけど」
フェリエが植えてたのかよ!
「ええ、濃すぎる瘴気はハーフリンクにとっても良くないし沼地が広がりすぎるのを防ぐという意味もあって」
「とにかく、こいつの樹液を試してみよう」
俺たちはさっそく沼地へと戻り、フェリエに手伝ってもらってゴムの樹液をたっぷりと採取した。
「伸び縮みさせるためには硫黄を加えなくちゃいけないんだけど、それは手間がかかるからまずはこのまま服をコーティングしてみよう」
ゴムの樹液に着けてしばらく乾燥させるとゴムでコーティングされた服が出来上がった。
「なんだかゴワゴワして動きにくいな」
「こればっかりは仕方がないから我慢してくれ。ついでにブーツもコーティングしておくと防水になるぞ」
準備ができた俺たちは再び瘴気の湿地帯に向かうことにした。
思った通り、ゴムでコーティングした服は瘴気を浴びてもボロボロに腐り落ちなかった。
今回は荷台をゴムの木で作ったのだけどこちらも無事だった。
「よし、これならいけそうだな!」
数日かけて準備を済ませた俺たちは蛇髪女人国へと向かった。
土産には加硫処理を加えて強度を増したゴムの束を用意した。
これだけ瘴気が強い場所に住んでいるならこういうものを必要としてるかもしれない。
俺たちは不気味な瘴気の沼を次々と越えていった。
瘴気の湿地帯は草木一本生えていない不毛の大地、と思いきやところどころに茂みや灌木あり、時折何かが動く気配もしていた。
蛇髪女人族はこういうところで採れるもので暮らしてるんだろうか。
そんな事を考えながら移動をしていると、突然下から何かが飛んできた。
荷台に当たって跳ね返ったそれは投げ槍だった。
「攻撃だ!」
俺の声を待たずにみんなフェリエを守りつつ一斉に防御態勢をとる。
見下ろすと瘴気の沼の中に無数の人影が見えた。
まるで半魚人のような、頭が魚で全身に鱗を持った魔族だ。
「な、なんだ?あれは?」
「わからん!初めて見る種族だ!」
その魚人?は俺たちに向かって次々に槍を投擲してくる。
金属部分を持たない、先端を焼いて炭化させた木製の槍だ。
それが木である以上は俺の力で防げるのだけど攻撃され続けるのは居心地が悪い。
「攻撃を止めてくれ!俺たちは蛇髪女人族に会いに来ただけなんだ!」
俺の言葉が聞こえているのかいないのか、魚人たちの攻撃は全く止む様子がない。
「仕方がないな。あまり武力は使いたくないのだが」
アマーリアがため息をつきながら詠唱を開始した。
「水弾!」
沼地から水の塊が幾つも飛び出して魚人たちに向かって放たれた。
水の弾丸で頭を痛打された魚人たちがバタバタと倒れていく。
「手加減してるから気絶だけですんでいるはずだ」
これで手加減なのか。
「こ、こ、こ、攻撃を、ひ、控えよ」
その時、俺たちの頭の中にどこからか言葉が響いてきた。
女性の声だ。
その声を聞いた途端魚人たちの攻撃がピタリと止んだ。
「これは?」
「魔素を使った魔導通話だ。本来魔族にしか聞こえないはずなのだが魔素が濃いためにヒト族にも聞こえるのだろう。しかしこれだけはっきり聞こえるのは凄いな」
アマーリアが感心しながら説明してくれた。
「ま、ま、ま、招かれざる者たちよ、な、な、何用があって我らが領土に、し、侵入してくる」
「私たちはドライアドの代表として来ました!失礼をお詫びするとともに蛇髪女人族の国王へお目通りをお願い申し上げます!」
フェリエがその言葉に返答をする。
…
……
…………
「…わ、わかった。で、では、そのまま真っすぐ進むといい」
しばらくの沈黙ののちに返事が返ってきた。
つまり面会してくれるということなのか?
何が起こるかわからないが進むしかない。
俺たちは魚人たちが見守る中、前に進み続けた。
やがて湿地帯の中に開けた陸地が現れた。
その中央には石と土でできた巨大な城がそびえている。
ここに国王がいるのか?
「そ、その中へ入るのだ」
再び声が聞こえてきた。
俺たちは声に従って城の中へと入っていった。
「テツヤ、蛇髪女人族は見たものを石に変える力があるというから気を付けるのだ」
アマーリアが顔を寄せて小声で警告してきた。
やっぱりギリシャ神話に出てくるゴルゴーンと同じ力を持っているのか。
知らず知らずのうちに俺は唾を呑み込んでいた。
城の中では何人かの蛇髪女人族を見かけたけどみんなフードのような服を目深に被っていて表情は全く見えない。
本当に髪の毛が蛇になっているのだろうか?
いや、それ見たら石になってしまうから確認する暇すらないのか?
やがて俺たちは城の最奥の巨大な扉の前へとやってきた。
「な、な、中に入るがいい」
声に言われるままに扉を開けて中に入る。
「よ、よ、よく来たな。ドライアドの使者よ」
広々とした謁見の間の奥に木でできた間仕切りが立てられていて、その両側に二人の衛兵が立っている。
どちらもフードで顔は見えない。
声はその間仕切りの向こうから聞こえてきた。
奥にいるのが蛇髪女人族の国王なのか?
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